発行年月:2012年7月
この男の戦いは0から始まった-----
敵は七人の魔女、待ち構えるのは英国海軍。敗戦後、日本の石油エネルギーを牛耳ったのは巨大国際石油資本・メジャーたちだった。日系石油会社はつぎつぎとメジャーに蹂躙される。一方、世界一の埋蔵量を誇る油田をメジャーのひとつアングロ・イラニアン社(現BP)に支配されていたイランは、国有化を宣言したため、国際的に孤立し、経済封鎖で追いつめられる。英国海軍が警戒する海を、一隻の日本タンカーがイランに向けて出航していた-----。
「日章丸事件」を材にとった、圧倒的感動の歴史経済小説、ここに完結。
(講談社HPより)
ああ、面白かった!!
主人公・国岡鐵造の生き方が格好いい!
95歳で亡くなるまで、力強く生き抜いた姿は本当に感動的。
出光興産の創始者って、こんなに素晴らしい人物だったんだ~。
第三章 白秋 昭和22年~28年
第四章 玄冬 昭和28年~昭和49年
終章
下巻は戦後の日本の様子も描かれています。
日本が戦争に負けたのは石油がなかったから。
鐵造は、その石油が何としても日本の復興に必要だと考え、海外から石油を輸入する
方法を考える。
自分の会社の利益よりもいつも考えるのは、日本の国の発展と日本国民の暮らしを豊かにしたいという思い。
そんな思いがいろいろな人の心にも響き、大型タンカーを手に入れることが出来た。
「日章丸」と名づけられた船。
そして、秘密裏にイランに向けて出航する。
イランの石油は当時、イギリスが独り占め状態であった。
石油保有国でありながら、イランはその資産をイギリスに搾取されていた。
そんな状況をみて鐵造はイランと公正な取引をしようと話を進め、それにイラン側も合意。
しかし、公に出来ない取引。
秘密裏に事を進める。
このあたりは、ドキドキハラハラ。
後に言われる「日章丸事件」の真相がわかりました。
日章丸に乗船した人たちの勇気と使命感には、ビックリ。
ひとつ間違えば、イギリス軍に攻撃さて命を落とす危険を孕んだ航海。
しかし、困難なことを本当に幾度も乗り越えた人生だったんだなぁ~。
鐵造の決断力と勇気も凄いけれど、それについていく人物たちも凄い。
最後の最後まで、感動しっぱなしの物語でした!
百田さんの小説は初めて読んだけど、凄いな。
山崎豊子さんの訃報を聞いたばかりだけど、それに負けない社会派小説。
これからもこういう作品沢山読ませて欲しいな。
★★★★★
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発行年月:2012年7月
忘却の堆積に埋もれていた驚愕の史実に当代一のストーリーテラーが命を吹き込んだ。
1945年8月15日、異端の石油会社『国岡商店』 を率いる国岡鐵造は、海外資産はもちろんなにもかもを失い、残ったのは借金のみ。そのうえ石油会社大手から排斥され売る油もない。
しかし『国岡商店』は、社員ひとりたりとも馘首せず、旧海軍の残油集めなどで糊口をしのぎながらも、たくましく再生していく。
20世紀の産業を興し、国を誤らせ、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて闘った男とは何者なのか-------
実在の人物をモデルにした百田尚樹作品初の本格ノンフィクションノベル!
(講談社HPより)
出光石石油の創業者・出光佐三が主人公なんですね~。
いやはや、凄い人物が昔はいたんですね~。
借金だけが残った絶望的状況のなかで、社員を誰一人、馘首せずなんて
今の時代では考えられないこと。
そして、そんな会社でもずっと残って働こうとする社員たちが殆どのことにもビックリ!
それだけ、この物語の主人公・国岡鐵造という人物に魅力があるということですが・・・。
第一章 朱夏 昭和20年~昭和22年
第二章 青春 明治18年~昭和20年
第二章では、鐵造誕生から学生時代を経て、就職、結婚なども描いていた。
大きな会社に就職せず、やがて独立して事業を始めることを頭において、
経営の基本を学ぶ。
最初の就職先である酒井商会の社長・酒井賀一郎や、独立のときの資金を援助してくれた
日田重太郎。
スタ-トの時点で2人の強力な助っ人がいたことが、後の国岡商店発展には
大きな力であった。
特に重太郎は自分の家屋まで売り払っても鐵造の創業資金を作ったりして、
身内でもないのに、そこまで鐵造の将来性を見込んでいたのには、驚きだった。
しかし、読み進めば読む進むほど、国岡鐵造という人物の魅力に
惹かれていく。
下巻では戦後の話が続く。
またまた苦労続きなんでしょうね。
国岡鐵造の生き様、下巻で続けて読みたいと思います。
★★★★★
発行年月:2013年7月
明治13年(1880年)、福岡藩士出身の月形潔は、維新での政治犯を中心とする集治監の建設の団長として横浜港から汽船で北海道へと向かった。その旅のさなか、亡き従兄弟の月形洗蔵を想った。尊攘派の中心となり、福岡藩を尊皇攘夷派に立ち上がらせようとしていた洗蔵。だが、開国通商論を支持していた藩主・黒田長溥は、尊攘派の台頭を苦々しく思っていた。同じ志士たちとともに闘う洗蔵だったが、維新の直前に勤皇党弾圧により刑死した。維新の後、薩摩・長州藩の出身者が政府の要職を占める中で、福岡藩出身者に与えられるのは、政治の本流とは関わりのない瑣末な仕事ばかり。時は過ぎ、自分は今、新政府の命令によって動いている。尊敬していた洗蔵が、今の自分を見たらどう思うのか? 激動の明治維新の中で国を思い、信念をかけて戦った元武士たちを描く、傑作歴史小説!
(角川春樹事務所HPより)
2つの章からなっていました。
『第一章 月の章』
福岡藩士の出身である月形潔が、従兄弟である月形洗蔵を回顧しながら
幕末の福岡藩で藩を尊王攘夷に向かわせようと奔走した洗蔵の生き様を描く。
薩長同盟を成立させるため、長州の高杉晋作、薩摩の西郷隆盛にそれぞれ会い、
両者を引き合わせ、それぞれが尊王攘夷の意志を持って共に幕府と戦う旨を確認し合う。
坂本竜馬が有名だけれど、同じように動いていた人物なんだ!
無知で、今まで月形洗蔵という名前すら知らなかったけど、志のために
自らの命を懸けた凄い人だと知りました。
凄い働きをしているのに、上にたつ者に阻まれたのが悲劇・・・(/_;)
藩主の長薄にとっては、邪魔な存在になってしまった。
藩主の意向に添わないものは命を取られる時代。
なんと酷い時代だったんだろう。
洗蔵の無念を思うと、泣けて仕方なかった。
『第二章 神の章』
時代は移り、新政府になった。
洗蔵の無念の死のときは、まだ少年だった潔だが、政府の命令で北海道での開拓そして監獄づくりの先頭に立つ。
北海道に以前から暮らすアイヌたちとの交流。
囚人たちとの関わり。
囚人達とは言え、幕末の内乱時での危険分子として逮捕された者達。
高い知識を持つものもあり、潔は囚人とはいえ、一人の人間同士として接する。
寝起きを共にし、共に北の地の開拓を進める。
が・・・看守が囚人を斬る事件が起きる。
それに心を痛める潔。
時々、洗蔵のことを思い出し、自分はこれでいいのか?と苦悩する。
重苦しい話でした。
時代が違えば、上にたつ者が違えば、素晴らしい英雄として名前がもっと
知れていたかもしれない2人。
無知ゆえ名前も知らなかった2人の武士の悲運だったけれど
その時代で精一杯、自分の信念の元に生き抜いた姿は感動しました。
★★★★★
発行年月:2013年4月
友を陥れてまで、己は出世を望んだのか? 若き執政がゆく道は、栄達か、修羅か。
職務において冷徹非情、若くして執政の座に昇った桐谷主水。かつて派閥抗争で親友を裏切り、いまの地位を得たと囁かれている。三十半ばにして娶った妻・由布は、己の手で介錯した親友の娘だった。互いに愛情が芽生えはじめた頃、由布の弟・喬之助が仇討ちに現れる。友の死は己の咎か――。足元はにわかに崩れ、夫婦の安寧も破られていく。すべての糸口は十年前、主水と親友を別った、ある<事件>にあった。
著者史上、最上の哀切と感動が押し寄せる。
組織を生き抜く者たちへ――直木賞作家・葉室麟の新作! 峻烈な筆で描き出す、渾身の時代長編!!
(講談社HPより)
主人公は37歳の桐谷主水。
幼い頃から親友であった芳村綱四郎を介錯することになった後世河原騒動の真相を追う。
綱四郎はなぜ、切腹しなければならなかったのか?
罪は根源は誰なのか?
主水の妻は、綱四郎の娘・由布。
父親が切腹の前に、主水を恨んではならないと説き、その言葉を信じ、主水の元に嫁ぎ
慕っている。
けれど、息子の喬之介は敵討ちの意向を示す。
後世河原騒動の真相は????
真相を追う主水。
そしてわかる真実にビックリ!
え?それじゃ罪の根源を斬るのは無理じゃない?
なんて思って、どうする主水?
ハラハラドキドキ。
今までの葉室作品のなかで、一番先が読めず緊迫した状況に頁をめくる手が
止まらなくなりました。
八方塞の状況なだけに、最後は必ず主水が勝つと信じながらもハラハラ感はマックス!
相手が誰であろうと許せないものは恐れず向かい自分の正義を貫く。
実際、こんな風に行動できる者は居ないだろうなぁ~と思いつつ、その姿には
惚れます。
格好いいぃ~!!
権力に抗えず、自身の志を曲げてしまった者の哀しさも・・・。
途中で主水の側について行動を共にしていた早瀬与十郎の告白は、辛かったなぁ~。
しかし、最後、主水の重い気持ちを和らげたであろう妻の由布の言葉が素敵だった。
「自らの命を託す相手と出会えた者は、それだけで幸せなのではないでしょうか」
葉室さんの作品は、やはり実在のモデルがいるものよりも
こういうお話の方がいいな。
★★★★★
発行年月:2013年6月
ありえない関係のラブコメ登場!
一見大人しく内心毒づきОLの皓乃の副業はエクソシスト。
イケメン有能上司に振り回されっ放しの皓乃だったが、彼の本当の正体は…。
(文藝春秋HPより)
主人公の真崎皓乃(あきの)は27歳。
生物多様性助成機構に勤務する。
副業は悪魔祓い(エクソシスト)。
ホラ-っぽいけれど、怖くない。
突如、赴任してきた上林薫。非常に有能だということでその肩書は異例の
部長待遇特殊主任。
ク-ルな容貌は女子職員の心をつかむけれど・・・皓乃は無関心。
しかし、なぜか気に入られ度々、外部調査に連れ出される。
皓乃は職場にエクソシストであることは秘密。
しかし、上林赴任後、不可解な事件が続き、皓乃は秘密の力を駆使せざるを得なくなる。
皓乃には交際5年の恋人・義斗がいる。
義斗は善良な青年。
結婚話も具体化してくるなか、エクソシストであることをいつ、
どのように告白するべきか悩む。
一方、上林も皓乃に好意を寄せて来て、どうする?皓乃!と思いながら途中から
読んでいました。
そして・・・なるほど、こういうラストかぁ~。
ときどき現れる、エクソシストとして皓乃をスカウトし、アドバイスするヨセフも
好きなキャラだった。
あり得ない状況だとわかるから、思い切り娯楽作品として楽しめた♪
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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