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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年11月


豊後(ぶんご)・羽根藩を舞台に”再起”を描く入魂作!

どん底を、なお生きてこそ--------
落ちた花を再び咲かすことはできるのか?
襤褸蔵(ぼろぞう)と呼ばれるまでに堕ちた男の不屈の生き様。

生きることが、それがしの覚悟でござる-----
俊英と謳われた豊後・羽根藩の伊吹櫂蔵は、狷介さゆえに役目をしくじり
お役御免、今や”襤褸蔵”と呼ばれる無頼暮らし。
ある日、家督を譲った弟が切腹。
遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知る。
前日、何事かを伝えにきた弟を無下に追い返していた櫂蔵は、死の
際まで己を苛む。直後、なぜか藩から弟と同じ新田開発奉行並として出仕を
促された櫂蔵は、弟の無念を晴らすべく城に上がる決意を固めるが・・・。

              (祥伝社HPより)



才能がありながら、ちょっとした不運でどん底生活をすることになった
伊吹櫂蔵26歳。
家族もやや複雑で、継母・染子とはそりが合わず、弟・新五郎に家督を譲っての
浮浪者生活。
隙間風が入りこむ廃屋での怠惰な生活を送り、唯一の癒しは、飲み屋でお芳の
料理をつまみながら酒を飲み、ときにはお芳を金で買う。

読みながら。。。。ああ、早くまともになって!と思うのですが、そのきっかけに
なることは、辛いこと。
家督を譲った弟が切腹したという知らせ。
腹違いの弟・新五郎がその前日、訪ねてきて、櫂蔵に告げたことばがじ~んと
蘇ってきて泣けました(/_;)。
新五郎は、櫂蔵のことを尊敬していたと。

弟の切腹には藩の裏切りがあったと知る櫂蔵。
飲み屋のお芳の店で知り合ったもと大店の大番頭・咲庵を家士に、お芳を
妻として屋敷に戻る。
が・・・最初は継母・染子は、お芳を妻とは認めず、女中として屋敷に留まる。

お芳の優しい気遣いに心を開き始めた染子だったけれど・・・・
ああ、またまた事件!!
辛いなぁ~。
井形清左エ門、なんて悪い奴!(怒)。


染子も事件後、動く。
井形の悪事を公にするために・・・。
おぉ~そんな繋がりを持っていたのか!?とややびっくりでしたが・・・^^;


最後は、事の真相が明るみに出て、めでたしめでたし。
けれど、お芳さんは生きていて欲しかったなぁ~。


やはり葉室さんは、実在の人物の伝記がらみのものより、こういう話の方が
いいな。個人的な好みですが・・・。


                         ★★★★
 
 
  
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発行年月:2013年9月


 姉妹の思いを乗せて、千本の矢が政治の非情を射貫く。爽快な長編時代小説。


扇野藩の重臣、有川家の長女・伊也は、藩の弓上手、樋口清四郎を負かすほどの腕前。競い合ううち清四郎に惹かれる伊也だったが、妹の初音に清四郎との縁談が。くすぶる藩の派閥争いが彼らを巻き込む。長編時代小説。

                     (角川書店HPより)


今回のお話は、葉室作品には恋愛小説の要素がたっぷりで、登場人物たちの恋の
行方が一番気になりました^^;
でも、お安い恋愛小説じゃないのが葉室作品!!


主人公は扇野藩の重臣・有川将左エ門の長女・伊也(18歳)。
父親から弓術を習い藩きっての弓の才能を持つ。
そんな伊也が弓を競い合うことで惹かれるのが樋口清四郎。
しかし、清四郎は伊也の妹・初音(16歳)の許婚と決まる。

そして、それから伊也と清四郎は、藩内の争いに巻き込まれていく。

初音は姉・伊也と許婚の清四郎のことを常に案じるが、ふと気づく二人の気持ち。

ああ、このままじゃ最後、初音が哀しい思いをすることになるのかな?
などと心配していたら・・・・
もう一人清四郎とは違うタイプの素敵な好青年の存在がありました!!
有川家に居候というかたちを取っている新納左近。
学問の道を志すもの静かなかんじの青年ですが、伊也、初音姉妹の将来を考えた
行動を起こし、そのため姉妹は幸せを手に入れる。

藩内の争いごとに巻き込まれ、一時は命の危険にもさらされる二人。
ハラハラドキドキの緊張感が読みながら迫りました。
が・・・必ず、この困難を脱して明るい未来があるはずと葉室作品には読者を
裏切らない結末があると信じて読みました!

終盤の伊也が挑む千射祈願の場面は、感動でした!

この作品、映像化されないかなぁ~。
このラストシーンは凄いものになりそうなんだけど・・・・。
なんて余計なことまで思ってしまいました^^;


表題にある「さわらび」・・・・聞いたことあるようなないような・・・
「さわらび」とは芽を出したばかりの、わらびのことだったんですね。
無知なので「源氏物語」に「早蕨(さわらび)」が出てくることは知りませんでしたが
源氏物語でも、姉妹の互いを思う気持ちを描いたお話に出てくるんですね。


男性が主人公の話も良いですが、女性が主人公のお話のほうが入り込み易いな。
さて、次の本が既に発売されている葉室さん!
次回作は今年中に読めるかなぁ~?(図書館順番待ち中にて^^;)


                          ★★★★★




発行年月:2010年11月


すべてが、この時、つながった。
錨を上げよ----後世必ずや日本文学史上に残る、怪物的傑作。


なぜ自ら嵐に飛び込むのか。それとも、この男が嵐を呼び寄せるのか。
大阪を 飛び出した又三は、東京へ、そして日本最北端の地へ------
予想もつかない大展開!又三の航海に終りはあるのか!

16世紀の悪漢小説(ピカレスクロマン)を現代の日本を舞台に蘇らせた
途方もないエネルギーに満ちた物語。感動の最終章!

作田又三、24歳、すべてをなげうち、大阪を飛び出した。
何の目的もあてもない。
「どこかへ行きたかっただけだ。行く先などどこでもよかったのだ」
昭和50年代の東京を漂流した又三は、ついに北海道根室に立つ。
緊迫する北方領土の海に跋扈する特攻船!
又三の航海に暴風が吹き荒れる!
果たして錨を下ろす「終着の港」にたどりつけるのか?

                 (講談社HPより)



下巻も長かったぁ~。
疲れたぁ~。
こんなに疲れる話は始めてかも~。
内容は面白いのだけど、又三の人生、破天荒なことばかり。
それも次々と・・・・終りのないジェットコースターにずっと乗らされているかんじ。

大阪を飛び出して、東京の弟・竜之介の元を訪ね、彼が一番兄弟のなかで優秀だったけれど
なんだかちょっといけ好かない金持ちになってたのはガックリだったなぁ~。

三男の剣之介も、優秀だったのに大学受験からコケて、ちょっと転落人生というのも・・・。
末っ子の正樹も成長したら不良街道まっしぐらだし・・・^^;
又三の破天荒さに比べたら、他の兄弟の人生なんて平凡に見えるけど。


いろいろな女性と出会い、恋をして振られて。。。。の繰り返し。
でも行きつけの飲み屋のママだった白武久子や遊びで通ったビリヤード場の店員・宇野保子
には、自分から別れを告げる。

ハチャメチャしていても好きになった相手の過去や過ちは許せない男なんですね~。


最後は何か劇的なことが起きるのか?と思いながら読んだのに
う~ん、ちょっと肩透かしな終わり方。

考えてみればこんなに色々なことがあったのに、まだ30歳くらいなんだよね~。
まだまだ彼の人生は長く続く。
こんな調子で人生続いたら、疲れるなぁ~。
読むだけで疲れたもの・・・・^^;

でも感動できる何かが欲しかったな・・・。



                           ★★★



発行年月:2010年11月

この男、いったい、何者か。
錨を上げよ-----疾風怒涛の2400枚。圧倒的青春小説。

昭和30年大阪下町生まれ。その名は作田又三。
下品で、ずるがしこくて、しずとくて、ルール無視でもお構いなし。
人生の至る所で敗北を喫しながらも、絶対にへこたれない不屈の男。

戦争が終わってちょうど10年目、いまだ空襲の跡が残る大阪下町に生まれた作田又三。
高度経済成長、60年安保闘争、東京オリンピック、大阪万博、よど号ハイジャック事件、
日本列島改造論、石油ショック-----激動の昭和時代、生まれながらの野生児、
作田又三は、人生という荒海を渡っていく。
いざ、海図なき嵐の海へ。さあ錨を上げよ!

                (講談社HPより)

 



長い!
上巻終わって、591頁読み終えました。
でも、面白いから、退屈はしない。
凄い話だなぁ~。
主人公・作田又三は、とんでもない男。
小さいときから、近所で有名な悪がきで、大人たちからは「こんな憎たらしいガキは
見たことない」と口を揃えて罵られていた。

幼少期~中学~高校~大学までの物語。
どこでも破天荒な行いばかり。

大学入学前は、猛勉強をしていて、同志社大学に合格したのは、凄い!!と感心。
高校までハチャメチャから・・・。
大学に入って錨を上げるのか?と思われたけれど・・・

さて、これが下巻でどういう人生展開を見せてくれるのか?
楽しみに続きを読みたいと思う。

ハチャメチャだけど、憎めない魅力を持ってる男なんだよね~。


                            ★★★



発行年月:2013年8月


 まわりが闇でも、明りが灯っているだけでいい――。「その後」を生きる、家族の肖像。

震災後の日々をともに過ごす同棲中の二人、震災の直前に九十一歳で逝った謹厳な父、被災地に暮しつづける酪農一家の、言葉少なにたがいを思いやる姿……。日常の細部と感情のディテールをリアルに描きだし、それぞれの胸に宿る小さな光、生きる意志を掬いとる。大地震を経て生きる日本人をつぶさに見つめようとする短篇集。

                   (新潮社HPより)

3.11の前後の物語が6つ。
東北とは離れた場所で、それを体験した人たちの話が続き、ラストの<団欒>は
実際に被災した酪農家の家族の話。

<助けて>
同棲中の男女。、博嗣と順子。
博嗣は、アナウンサーの仕事で被災地へ。

<渦巻>
娘が結婚し家を出て、夫と2人暮らしの主婦。
やるべきことが見当たらないような日々を送りながらふと思い出す
子どもの頃のこと。母親とのこと。

<父>
大学教授だった父は91歳。
家で寝たきり。
介護は妻任せだったが、その妻が骨折で入院してしまい
勝手が分からないなりに父の世話をする。
ずっと厳格で自分には威圧的だった父。

<枝豆>
草食系男子の研究に協力することにした敦志。
自分では草食系だと思っていないが、そう思ってること自体が
草食系男子に共通することだと聞き不快感を覚える。
じゃ、何系?と問われ・・・

<海と陸>
高校時代のクラスメイト・美保子を見かけて声を掛けた健太郎。
海に一緒に行き、そこで東北へ3度ボランティアで行ったと言う美保子。
確かに高校卒業前、みんなで行こうと言っていた。
美保子は津波は怖い。海に勝ちたい。漁師になりたい。など話し最初は
戸惑う健太郎だけど・・・

<団欒>
震災前、酪農家だった家族のその前と後のこと。



それぞれの話の主人公たちの心理描写は細かい。
和やかな雰囲気の話もあるけれど、そんな日常のなかで3.11は起きたんだと
改めて思った。

<父>は、ちょっと泣けた。
息子と最後、気持ちが通じたようでよかった。


                         ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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