忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5



発行年月:2014年3月


 行方不明になった姉。真偽の境界線から、逃れられない妹――。あなたの「価値観」を激しく揺さぶる、究極の謎(ミステリー)。

私だけが、間違っているの? 13年前に起こった姉の失踪事件。大学生になった今でも、妹の心には「違和感」が残り続けていた。押さえつけても亀裂から溢れ出てくる記憶。そして、訊ねられない問い――戻ってきてくれて、とてもうれしい。だけど――ねえ、お姉ちゃん。あなたは本当に、本物の、万佑子ちゃんですか? 待望の長編、刊行!

                    (新潮社HPより)





先に「山女日記」を読んで、湊さんには珍しいハートフルな短編集だったなぁ~と
思い、こちらを読んで、うんうん、これは湊さんらしいと思った。

2つ違いの姉妹の話。
今は大学生になった妹・結衣子の語りで、幼い頃の姉との思い出を交えながら語る。
結衣子には、ずっとある種の違和感を姉に持ち続けて来た。
それは、幼いころ、姉が失踪した事件に遡る。

放課後一緒に遊んでいたけれど、姉が先に帰宅したが、姉は帰って居なかった。
夜になっても・・・
そしていろいろな目撃情報はあっても、姉の行方は不明のまま
2年経ったある日、突然、保護されたと連絡が入る。
見つかった姉は、失踪当時の服のまま。
かなり痩せていた。事件の事は何も覚えていない。
喜ぶ両親とは、違う感情を抱く妹の結衣子。
本当に姉の万佑子ちゃんなの?の疑念を抱いたまま。
その疑念は誰にも言えずに来た。


失踪事件の背景にある真実がわかったとき、なるほど・・・そういうこと?と
納得した。
怖いなぁ~。
そんなことが家族に起きたら・・・・・。


よく考えられた湊さんらしいお話だったが正直、似たような話は
以前にも読んだような・・・^^;
 
 
幼いとき姉が読み聞かせてくれたというアンデルセン童話の『えんどう豆の上でねたおひめさま』は、知らなかったなぁ~。
今度、絵本借りてみようかな?


                          ★★★
PR



発行年月:2014年7月


 このまま結婚していいのだろうかーーその答えを出すため、「妙高山」で初めての登山をする百貨店勤めの律子。一緒に登る同僚の由美は仲人である部長と不倫中だ。由美の言動が何もかも気に入らない律子は、つい彼女に厳しく当たってしまう。医者の妻である姉から「利尻山」に誘われた希美。翻訳家の仕事がうまくいかず、親の脛をかじる希美は、雨の登山中、ずっと姉から見下されているという思いが拭えない。「トンガリロ」トレッキングツアーに参加した帽子デザイナーの柚月。前にきたときは、吉田くんとの自由旅行だった。彼と結婚するつもりだったのに、どうして、今、私は一人なんだろうか……。真面目に、正直に、懸命に生きてきた。私の人生はこんなはずではなかったのに……。誰にも言えない「思い」を抱え、一歩一歩、山を登る女たちは、やがて自分なりの小さな光を見いだしていく。女性の心理を丁寧に描き込み、共感と感動を呼ぶ連作長篇。

                      (幻冬舎HPより)




長編かと思ったら、短編連作集でした^^;


登山する女性たちが自身が抱えた問題を前向きに捉えていく姿が、清々しい物語。
いつものちょっと毒気のある湊さんの物語とは、違った魅力があり
こういう物語もいいなぁ~と思った。

登場人物たちが少しずつリンクしているので、先に読んだ女性のその後が後の
物語でわかったりするのも面白い。
ああ、あの女性は、そういう決断をしたのね。なんて思って嬉しくなったり・・・。

本格的な山登りはしたことないし、あまり山登りする体力もないので
今後彼女たちの上った山に行く機会はないと思うけれど・・・
ハイキングくらいの軽い山登りならしてみたいなぁ~なんていう気持ちにもなった。

特に印象に残ったのは・・・
<火打山>の美津子と神崎の初々しいデート場面は、微笑ましかった♪
その後、ほかの話で夫婦として登場したのは嬉しかった。

また<利尻山>の姉妹がお互いの思いを打ち明け、その後の話で今度は姉が娘を連れて
3人で上った<白馬岳>に続く話も良かったなぁ~。


さてさて、次も湊さんの本を借りてあるので、読みますが、今度は
毒気あるのかなぁ~?


                            ★★★★




発行年月:2013年6月


名門橘第一高校の入試前日、教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」の貼り紙が見つかる。迎えた入試当日。振り回される学校側と、それぞれ思惑を抱えた受験生。謎に充ちた長い長い一日が始まった……。

                    (角川書店HPより)
 
 
「高校入試」が事件の現場になるという発想は凄いな。
大学受験でその後の人生が左右されるっていうのは、わかるけど
たかが高校入試で???なんて読み始めは思っていました。


「入試をぶっつぶす!」と書いたのは誰?
在校生?教師?受験生????

怪しいと思った人が犯人でした。
でも、そう思う気持ちは、なんとなく理解できました。

中学生から高校入試に向かう者にとっては、それで人生決まっちゃうくらいの
一大事なんだと、自分の過去を振り返って、当時の気持ちを思い出しました。


入試という制度が抱える問題も提起していたかな?
しかし、採点ミスはなくならないんじゃないかな?
人間の手で行われるものだし・・・・。

読んでいて、あまり面白い話じゃなかったな。
登場人物が多くて読むのに難儀したし・・・

次回作に期待します。

これドラマもやっていたんですね?
後から知りました。
ドラマを見ていたら、もうちょい楽に読めたんでしょうね。


                                ★★


5834dacc.jpeg

     発行年月:2013年1月


     日本推理作家協会賞受賞! 心に刺さる連作短篇集

    島に生まれ育った人々の、
    島を愛し島を憎む複雑な心模様が生み出すさまざまな事件。
    推協賞短編部門受賞作「海の星」ほか傑作全6編。

                       (文藝春秋HPより)




瀬戸内海の白綱島を舞台にした短編6つ。

「みかんの花」
ミカン畑を管理している母は認知症で入院中。
姉は25年前、島に訪れた青年と駆け落ちし島から都会に出て行った。
そんな姉が作家になって、島に来る。
島から出た理由を初めて知るわたし。


「海の星」
父親がある日、失踪。
母親と貧しい暮らしをしていたが、ある日、漁師のおっさんに声を掛けられ
それからたびたび魚を届けてもらう。
妻と息子と暮らすわたしのもとに、おっさんの娘・美咲から葉書で
話したいことがあるからと連絡を貰い再会。
おっさんは、父親の失踪後のことを知っていた。


「夢の国」
子どもの頃、出来たばかりの東京ドリ-ムランドに行きたかった。
祖母に頭の上がらない両親は何度か行く機会があったのに、
連れて行ってくれなかった。
大人になり7歳の娘と夫とともに今、東京ドリ-ムランドにいる、わたし。


「雲の糸」
子どもの頃は、母親が父親を殺したことで、人殺しの子どもと虐められた。
先頭にたって、自分を貶めた同級生・的場。

今は歌手として成功している、わたし。
ある日、的場から会社の50周年記念パ-ティにゲストとして
参加してくれないかと打診があり渋々、受け入れる。


「石の十字架」
小5のとき、島に転校した。
事情がありそれまで一緒にいた両親とは離れ、祖母との2人暮らしが島で始まった。
クラスに馴染めないかんじの、めぐみと親しくなる、わたし。
島には2年間しか住まなかったけれど、小5の娘が不登校になり
島の学校に通わせたいと夫の許可を貰い、島に移り住む。
娘に話して聞かせるめぐみとのこと。


「光の航路」
10歳のときに教師だった父が亡くなった。
幼いころ、父に一度だけたたかれた。
わけも聞かずに・・・それがしこりになっているわたし。
自分も教師になり、故郷の島の小学校に赴任した。
いじめ問題に頭を悩ませている。
ある事故に遭い、入院中のわたしの元にたずねて来てくれたかつての父の教え子。



どの話も引き込まれるように読ませるのはさすが!
子どもの頃は、どの話でも嫌な思いをしている主人公たち。
読んでいるこちらまで、暗い気持ちになってきて、
子どもの頃って、外に逃げて行きたくても
自分の力だけで、その環境から逃げ出せない。
そんな、どうしようもない閉塞感がヒシヒシと伝わって来て辛くなった。

けれど、大人になり、外の世界を知ると、
当時、思っていたことも違う方面から見れば、また違う事実がわかったりする。

話としては「海の星」と最後の「光の航路」が、わたしは特に気に入った。
辛い気持ちを経験したけれど、大人になってわかった真実により、
希望をもって生きていくだろう主人公たちを愛おしくかんじた。


今回もダ-クな話が元の湊さんの作品ですが、
優しい気持ちにもなれるかんじで、ちょっと今までとは違ったかんじ.
でも、それがよかった。

どの話も、作品として面白かった。


★★★★★
 
410NXeHIE7L__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年10月


「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」著者入魂の、書き下ろし長編。

持つものと持たないもの。欲するものと欲さないもの。二種類の女性、母と娘。高台にある美しい家。暗闇の中で求めていた無償の愛、温もり。ないけれどある、あるけれどない。私は母の分身なのだから。母の願いだったから。心を込めて。私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました――。それをめぐる記録と記憶、そして探索の物語。


                                        (新潮社HPより)



新潮社のHPみて「これが書けたら、作家を辞めてもいい」と思ったとか。
湊さんの自身作ということかな?

湊さんお得意の主人公達がそれぞれの立場で語る手法。
今回は、母親とその娘。

母親はルミ子。
自身は母親が大好きで、その母親から愛情をいっぱい貰ったと思っている。
実際、ルミ子の母親は素晴らしい人だったと思う。
けれど・・・ルミ子が成人しても第一に考えるのは母親のこと。
自分の娘・清佳(さやか)が生まれれもそれは変わらない。
清佳が気の毒でならなかった。

そして、起きる事故。それによりルミ子は母親を失う。
そのことが更に娘を心の中で憎むことに繋がってしまう。

清佳は、母親から愛されないことを辛く思う。


う~ん。嫌な話だった。
辛すぎる・・・(/_;)
自分が娘であり、娘を持つ母親だから、余計にこんなことありえないでしょ!?と
ルミ子の考え方に腹立たしさを覚えた・・・というよりはゾッとした。
でも、こういう人、居るのかな?
全くの悪人という風でもないから他人からは見えにくい。
本人も自分は子どもをちゃんと愛していると思い込んでいるし。

最後は一応、丸く納まるかんじだったけれど、この先はどうなんだろ?
なんて要らぬ想像をしてしまった。
清佳が幸せにこの先は暮らせますように・・・・。


でも、ふと自分自身のことを考えて不安になった。
わたしの娘たちは、自分は愛されていると思ってくれているだろうか???


好きな話じゃなかったけど、先へ先へと読み進めさせる文章はさすが。


                                           ★★★

 
 
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
7 8 10 12 13
14 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]