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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年12月


第169回直木三十五賞候補作
『ジェノサイド』の著者、11年ぶりの新作!
マスコミには決して書けないことがある――
都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。
同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。
雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、
やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。
1994年冬、東京・下北沢で起こった怪異の全貌を描き、
読む者に慄くような感動をもたらす幽霊小説の決定版!

                 (文藝春秋HPより)




表紙が怖い。

幽霊の話?ホラー?
ホラーは苦手なので、恐る恐る読み始めた・・・・(^^ゞ


最初からホラー感・・・ドキドキ( ノД`)
でも、段々、怖さより、幽霊になった女性のことが知りたくなって読み進める。

踏切のそばで亡くなった女性は、何者かにその近くの小屋で刃物で刺され
絶命する前に自力でその場に辿り着いた。
なぜ、殺されなければならなかったのか?苦しみのなかで必死にそこまで
移動したわけは?


女性が殺された背景に大物政治家の黒い疑惑がある。それを暴こうとする
雑誌記者・松田法夫。元は新聞記者。新聞記者時代の顔見知り刑事・荒井から
情報を得ながら女性殺しの真相に迫っていく。
そのなかで、被害女性のことを知る者を見つけ、話を聞き、女性自身のことに
のめり込んでいく。
このままもしかして、憑かれたりしないかな?と心配になった。

女性を刺した男は最期まで怯えていたけれど、なんで?


が、急に霊媒師が現れるという展開になり、ややがっかり・・・。
ま、真相を知るのは手っ取り早いか?


女性は大物政治家の愛人だったゆえに殺されたみたいだけれど、
無口で暗いという元同僚の話などから、殺す必要あるかな?
社交的で、口が軽い女性なら、口封じしたというのもあり得るけれど・・・


幽霊になった女性の心情を考えて切なかった。
最後は、無縁仏としてでなく、母親の元に帰ることが出来たのかな?
松田がその辺りを働きかけてあげて・・・
母親が帰って来た娘の名前を呼ぶとか・・・
そういうラストを期待したんだけれどな~。


読み物としては、面白かったけれど、ちょっと自分としては腑に落ちないな



                       ★★★
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発行年月:2023年1月


「こんなはずじゃなかった」。進路を断たれた高校生、恋人と別れたばかりの青年、ワンオペで初めての育児に励む女性……。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれたのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密。あなたなりの答えを見つけられるよう、二人のカウンセラーが推理します。
明日への一歩のために、私たちは心を映す鏡になればいい。本当も噓も映し出す鏡に。

                 (光文社HPより)


最近、気にって読んでいる辻堂さん。
今回も楽しかった。

コロナ禍、生活が一変し、追い詰められた状況に陥った人たちが相談室に
訪れる話。

市役所が開設した相談室なので、無料。
段々と口コミ的に評判が広がり、最初は閑古鳥が鳴いていた相談室も予約制に。

相談室を担当する2人の人柄がいい。
臨床心理士の晴川あかり(20代後半~30代?)と
認定心理士の正木昭三(60代半ば~70代?)。

問題がその場で解決しなくても、こういう人たちに自分の不安や不満を吐き出す
だけで、かなり心理的には良いんじゃないかな?と思う。

<第一話 白戸ゆり(17)>将来の夢を失った
就職希望だったがコロナ禍で希望する接客業の求人が激減。
合唱部の最後の大きな大会も中止。
大好きだった祖母が亡くなったがお見舞いもお別れも出来なかった。


<第二話 諸田真之介(29)>婚約者を失った
婚約者の彼女と口論になる。
彼女は看護師で、コロナ禍の今は、仕事を一旦辞めてほしいと言ったことから
別れることに


<第三話 秋吉三千穂(38)>幸せな未来を失った
初産で入院したが、コロナ禍で夫の立ち合い出産は叶わなかった。
しかも仕事で忙しいと夫は産後も見舞いに来ず、出産から1か月経って
やっと家に来た。
一人での子育てに四苦八苦している間、夫が不倫していたことがわかり
別れることに


<第四話 大河原昇(46)>人間の尊厳を失った
建設作業員として働いている。
コロナ禍まではネットカフェで寝泊まりして気ままな生活を楽しんでいたが
店が閉店し寝る場所がなくなりホームレス生活。
公園で寝ていると不良の集団に嫌がらせをうける。
最近、その仲間の一人らしい男が夜、公園に現れ、自分を観察しているのが
不気味でしかたない


<第五話 岩西創(19)>
父親と暮らしている。
大学に入学したが授業はオンライン
高校までの生活が大学では変わると思っていたのに・・・



話の最後に、それぞれ晴川あかりが謎解きをする。

第一話の白戸ゆり・・・高校で発生したクラスターは所属していた合唱部からでは?
そして、ゆり自身も感染し、祖母に感染してしまったのでは?

第二話の諸田真之介・・・看護師だったのは自分で、恋人に仕事を辞めてといわれた。

第三話の秋吉三千穂・・・三千穂が不倫相手側。夫であると言った男性は妻との離婚話に
奔走していて、やっとその見通しがついたのでは?

第四話の大河原昇・・・建設現場で働きながらネットカフェで寝泊まりというが
それはかなり金銭的な無駄使い。ほかに収入を得ていたのでは?
商店街の防犯カメラの位置に詳しかったのは、すりをしていたからでは?


第五話の岩西創・・・大学生と言っていたが、話に矛盾が・・・本当は二浪している
浪人生なのではないか?


謎解きが必ずそうとは言えないけれど、なるほどと思う箇所もあり面白かった。
人は知らない人にでも自分を少しよく見せたいという思いがあるのはわかる。


第一話の白戸ゆりと第五話の岩西創は兄妹だった。
両親が離婚して苗字が変わり、別々に暮らしているけれど、仲は良さそう。
建設作業員の大河原と岩西創の関わり方も面白かった。
大河原が犯罪者というのは、ちょっと嫌な想像で、そうでなければいいのにな。



                     ★★★★



発行年月:2020年4月


「辻堂ミステリの最高傑作であり真骨頂。本書で秘密を解くのは探偵ではない。読者である」先生、聞いて。私は人殺しになります。お願いだから、じゃましないでね?(「教師と児童」)わたしだって本当の気持ちを書くからね。ずっと前から、ムカついてた。(「姉と妹」)嘘、殺人予告、そしてとある告白……。大切な人のために綴られた七冊の交換日記。そこに秘められた、驚きの真実と感動とは?――この緻密な仕掛けを、是非読み解いてください。

                  (中央公論新社HPより)



先に読んだ作品より、こちらは明るいかんじでよかった。

最初の話<入院患者と見舞客>は
10歳(小学4年生)で白血病の治療のため入院中の愛美とそこに訪れて愛美と
交換日記を交わす先生の話。
愛美は快方に向かい退院し、小学6年生で学校に通い始める。

以後、色々な交換日記の話が続くのだけど、
それらがどれも感動的。
読んでいくと、最初の登場人物2人と関わりの在った人たちの話なんだと気づく。


愛美は大人になり小学校の先生になって、担任になったクラスの子どもたちと
交換日記をしていく。
2番目の話<教師と児童>は、大杉寧々香を殺したいと思いますという児童の
衝撃的な告白。
交換日記に対しても否定的。
そんな児童があることを機に変わっていく話。
以下
第三話 姉と妹
第四話 母と息子
第五話 加害者と被害者
第六話 上司と部下
第七話 夫と妻


ネタバレ・・・自分の覚えかき

第一話の愛美と交換日記をしていた先生は、入院中の子どもの勉強をサポートする
先生・坂田小百合。
51歳の時、孫のさくらとすみれとの散歩中に孫をかばって交通事故死。
事故の加害者は飲酒運転だった。そしてその助手席に乗っていたのが
第五話の加害者・礼二。
礼二は坂田の直接の加害者ではないが、見舞いに訪れ、坂田と交換日記を
していたが坂田が脳内出血により亡くなったと知り、命日には事故現場に花を持って
訪れていた。
そんなある日、出会ったのが愛美。
二人は言葉を交わしやがて結婚。
礼二は坂田と会う時は、「伊吹」として会っていたが、加害者の名前を使っていた。
本名は「葉山礼二」。


色々なしかけがあり伏線がのちに判明する。
途中、事故死したのは愛美?と勘違いした・・・(^^ゞ

この著者の本は、過去の作品もこれからの作品も全部、読みたい!!



                     ★★★★★



発行年月:2020年12月


2021年へ!時代を貫く親子三代の物語
 スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。
 51年前――。紡績工場で女工として働いていた万津子は、19歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。
 泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて――。
 1964年と2020年、東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作!前作『あの日の交換日記』が大好評!!いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめの新境地となる圧巻の大河小説!!

                  (小学館HPより)



初めて読む作家さん。
何かでお薦めされていた「あの日の交換日記」も読みたいと思い、こちらも
図書館で借りてみた。



東京オリンピックが開催された1964年と二度目の開催となった2020年。
両方の年代を交互に物語が進む。


1958年、15歳の万津子は中学を卒業し、熊本から愛知県の紡績会社に集団就職。
そこでバレーボールをはじめ、仕事の後はバレー部の練習。
仲良しの友達も出来て充実した毎日。
18歳・・・見合い話が実家から。
相手は熊本大学の工学部を出たとか。
自分のような農家の貧しい学歴もない者には、勿体ないくらいの人だと
万津子自身も思ったが、話はとんとん拍子に進み、夫となった佐藤満の会社の
社宅で暮らし始める。

けれど、悲劇がここから・・・
満は、すぐに癇癪を起し、暴力も。
実家に帰りたいが母は「辛抱がたりない」と。
そして妊娠。生まれた泰介は夜泣きが酷く、成長すると益々、手が付けられないほど
の癇癪を起す。
次男の轍平より手がかかる。

2020年では、泰介が50過ぎ。
部署が変わり慣れない事務仕事でミスを繰り返したり、遅刻も多く
部署内では、なんとなく浮いたかんじ。
自分より年下の者が上司で、周りもみな若く仕事が自分よりも出来る。
そんな状況でいることに辟易している。

イライラを家に帰り、母の万津子に当たる。


泰介が、若い頃の満にそっくりだなと思った。
高校生の娘の一言で、ADHDのことを知った泰介が、少しずつ変わっていくのは
嬉しかった。
こんな風に自分から受診して治療を受けようとする人は珍しいかも。
でも、最後、母親に感謝の気持ちが持てるほどになって、良かった。


重たい話だったけれど、良い話だったな。




                   ★★★★




発行年月:2024年4月


安徳帝は入水せず、三種の神器の剣とともに土佐山中に消えた」。伝承を信じて、後鳥羽上皇のため神剣探索の旅に出た忠臣・有綱。苦難の果てに帝一行が住み着いたという集落を発見するが、そこでは思いも寄らない運命が待ち構えていた。一人の若者の冒険と恋を通じて、日本史最大の謎に挑んだ著者新境地の長編歴史ロマン。


                 (新潮社HPより)



壇ノ浦の戦いから36年後。
幕府軍に敗れ、隠岐の島へ追いやらる後鳥羽上皇。
三種の神器の剣さえあれば、再び力を持てるのに・・・・という心があったのか?
上皇の愛妾である伊賀局(亀菊)からの頼みで、その神剣を探す旅に出る
小楯有綱。途中刀匠・長船暁斎の元を訪ね、その愛弟子・伊織も同行。

有綱と伊織の関係が最初はギクシャクしたものだったが段々と良き相棒に
変わっていく。
更にある里で出会った不思議な少女・奈岐が剣の在る場所を知ると申し出
同行。
3人の旅となる。
ここからは、冒険ファンタジーのようなかんじで楽しかった。
歴史も絡み、壇ノ浦の戦いで敗れた平家側の苦労などもよくわかった。

そして、後鳥羽上皇の苦悩も。

旅の結末は・・・・
上手い具合におさまった。
納得の結末。

有綱がある集落でであった可乃と良い関係になり、旅の終わったあと
再びそこに向かうのかな?というのもいい。

色んな要素(歴史、冒険、恋愛)が楽しめた。



                    ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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