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読んだ本の感想あれこれ。
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4e0fd064.jpg発行年月:2005年9月


あたし、大西葵13歳は、
中学2年生の1年間で、人をふたり殺した。


                      (本の帯文より)



衝撃的な帯文!
中学2年生で殺人?しかも2人?

葵は、学校では明るくて、ひょうきん者。
それは意識してそうしているだけ。
家では、心臓病を患ってるのを言い訳に母の再婚相手(義父)が昼間から酒びたりで怪物のようにのさばっている。

葵の友達、颯太だけは以前から自分の苦悩を理解してくれている。
颯太の父親もアル中。

そしてとうとう、葵は義父を殺してしまう。だが、元々心臓が悪かったので、病死扱い。
だが同級生の静香は、事実を知っている。
静香が「わたしも殺したい人がいる」と告白し、葵と静香は、妙な連帯感を持つ。
学校では目立たない風貌の静香だが、実はそれも意識してそうしているだけ。


葵と静香、二人の家庭環境やら、育ってきた境遇は、普通とは違う。
人を殺したいと憎んで、本当にそれを実行する少女たちは残酷だが、淡々とした行動のなかには罪と感じていないような、変な明るささえあり、その辺が怖い。

人を二人殺すことは、特別なことだけど、二人の少女が育ったような環境でずっと何かに圧迫されるように生きてきたら、もしかして人は誰でもこんな風に思ったり、行動しちゃったりするのかも・・・。
少女たちの苦しみがよく描かれていました。


ラストも救いがあるのか?ないのか?分からないのですが、二人の少女はどこかでホッとしているかんじ。
罪なことをしてしまったという認識はあったのでしょうね。
やるせないかんじ。
殺人を犯す前に誰かが守ってあげられなかったのが可哀相。

重たい話です。本の表紙が爽やかなことだけが救いでした。
でも、物語としては、面白かった!

★★★★
 





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8de94b72.jpg発行年月:2008年11月


マコ25歳、コマコ5歳、逃避生活のはじまり。
ママに必要とされていることがコマコの誇り。


直木賞受賞後初の書き下ろし長編。




物語は二部構成になっていて、第一部「旅」では、何かから逃げるため、点々を住む場所を変えて暮らす母子の暮らしが描かれている。
そして、第二部「セルフポ-トレイト」では、母から離れて暮らし、大人に成長するコマコの様子が描かれている。

第一部の母子の逃亡生活を読みながら・・・「あれ、こんな話前に読んだっけ?」と思ったら角田光代さんの「八日目の蝉」に似てると気づきました。
こちらは、本当の親子なんですが、コマコが痛々しい。
お互いがお互いだけを必要としている関係なのですが、母親が時々、コマコに対して虐待をする。
でも、その様子は実に淡々と描かれているので、こちらにコマコの辛さはあまり響いてこないのが救いでもあるのですが・・・。
コマコにしてみれば、そんな母親でも、唯一頼れる人なわけで、自分の存在が母親にとって必要ならば逆に誇りであり、やはり大好きとも考えている。う~ん・・・・健気で痛々しくて辛いです。
そんな暮らしを中学生くらいまで続けて・・・・あるとき、突然、一人になるのです。

そして、第二部「セレフポ-トレイト」では、高校生になるコマコ。
今まで学校に通っていなかったので初めての学校を体験。
父親が実は社会的地位も高い人(大学教授で学者だったかな?)で、ずっとコマコを探してくれていて引き取られるのです。
経済的に守ってくれる人が現れるのですが、コマコの暮らしぶりは破天荒。
高校卒業後、バイトする文壇バ-に集まる、作家や編集者で知り合う人々がコマコにはラッキ-だったでしょう。
そこのバ-でママが気に入っている遊び「嘘しか言ってはだめのゲ-ム」で、コマコが語るお話。
それは、自分が今まで経験したことが軸になったお話で、それがキッカケでバ-の片隅で文章を書くようになり、やがて作家として成功するコマコ。
だが、演じなくてはというおかしな迷宮から行き当たりばったりで出奔。
自分から幸せから遠ざかるように・・・。

しかし、最後は、コマコに理解を示し、支えてくれる人たちにより割りと平凡に落ち着く。

コマコの担当編集長、是枝とその奥さん、温かくていいなぁ~。


破天荒な行いも、接する人が変われば変わるってことかな?
もっと最後まで、ハチャメチャな人生の方が物語的には、面白かったと思うけど、こういう風に落ち着いてくれて、少しホッとした部分もありました。

★★★

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