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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2024年10月


大学のサークルを抜けたい姪のため、うその辞める理由を考えてあげたことをきっかけに、「うそ請負人」と頼みにされるようになった女性の困惑。会社の自転車置き場で、人間関係へのストレス発散のために同僚がとっていた思いがけない行動。日常の困ったことどもをやり過ごし、目の前の「今」を生き延びるための物語11篇。

                   (新潮社HPより)




11のお話、どの話も「ああ、こういうことあるよね~」

「こういう人、いたいた」と内心で過去の面倒な人間関係のことを
思い出してしまった(^^ゞ


最初の話<第三の悪癖>は、親友の大して聞きたくない話に辟易している独身女性・岩崎。
仕事場の休憩中にビニール袋に入った何かを叩きつけている中山さんを見かける。
母親の所有している食器を持ち出しては叩き割っているという。
二人は何となく意気投合。

岩崎さんも中山さんも真っ当な人なんだろうな。
真っ当な人同士、共有する時間を持てたらストレスを抱えていても
少し楽になれそう。


他の話も主人公たちは、それぞれ面倒くさい人間関係に翻弄されている。

表題作<うそコンシェルジュ>の主人公・みのりも真っ当で優しい。
成り行きで色々な人の悩みことを解決するために嘘を利用していく話。

姪の佐紀(大学生)がサークルの先輩の言葉がストレスで辞めたいけれど
なかなかやめさせてもらえないと言われ自分勝手な叔母を演じて先輩たちに
対峙し、先輩たちから姪を引き離すことに成功したり・・・
職場内の小島部長の悩み(ゴルフの誘いを断りたい)に乗って解決策を考えたり・・・
部長の姪の問題にまで・・・

一人では問題解決策がうまく運ばないと思いきや、助太刀が加わって・・・
もう芝居の段取りもすごくなって、可笑しかった^m^


他の話もままならない人間関係のなかで頑張る人たちの姿がなんだか
愛おしい。

最後の<居残りの彼女>は小学4年生のさなえが居残り教室で出会った6年生の
堀内さんとのこと。
同級生から悪気はないのだろうけれど、仲間外れにされ哀しい気持ちになっていた
さなえにとって堀内さんとの出会いは嬉しいものになった。
小学生時代の2歳上って凄くお姉さんに感じるけれど、大人になったら
ほぼ同年なんだけどね~。



今回も楽しませてもらいました。
津村さんの物語は心理描写が巧みで、うまいなぁ~と感心しちゃう。



                       ★★★★★



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発行年月:2018年12月


コピー機が憎い! どうしてこんなに使えない機械を入れたんだ!? 
OLの日常のいらだちは思いもがけない方向に発展し……。
書き下し「地下鉄の叙事詩」も収録。

                 (筑摩書房HPより)

中編2つ。
最初は、表題作の<アレグリアとは仕事はできない>

アレグリアって、人の名前じゃなかった(笑)。
コビー機の商品名でした。
でも、擬人化して、度々、仕事を中断させるアレグリアに文句たらたらの
ミノベ(女性)。
自分と同じような仕事をしているトチノ先輩は、そんなミノベにイマイチ
共感してくれず・・・・
共感して二人で文句いうほうが、楽なのに・・・。
結局、先輩もミノベと同じ気持ちだったんだとわかるんだけど・・・

アレグリアを納品した会社からメンテナンスで来るアダシノ(男性?)
いつも定時以降に来るっていうのも嫌だわ~(-_-;)
で、不具合で呼んだけれどアダシノが来ると正常に作動するアレグリア。
全く、性悪だよ・・・。
社長が来た時も不具合は起きず、アレグリアは優秀だという認識は覆らない。

でも、結局、最後は、誰の前でも不具合を起こすようになり撤去。

ああ、よかった。


もうひとつの話は<地下鉄の叙事詩>
朝の通勤・通学の時間の混雑した地下鉄車内で起きること。
そこにいる色々な視点で順番に同じその時を語る。
・大学に通学途中のイチカワ。
 隣に立つOL風の女性が何やら険しい顔で
 いるけど、自分が原因か?少し揺れたとき触れたことで痴漢と勘違い
 されたのか?
・通勤途中のニノミヤ。
 今日は座れて運が良かったと思う。
 いつも席に座れる女性が今日は立っているのも嬉しい。
 隣の席の携帯画面が目に入る。「どんな内容を打っているのか気になりつつも
 目を閉じてうとうとしていると、人身事故で電車が止まる。
 皆と一緒に電車を降り、ホームを歩いていると何やら叫び声。振り向くと
 男がホームから転落しそうになっているので、思わずジャンパーを掴んで
 ホームに引き倒す。
・通勤途中のミカミ(女性) 
 車内を見ていて女子高校生の様子が変だと気づく。
 電車が停車したら、あの男を逃がしてはいけない
・女子高校生のシノハラ
 男が触っているのがわかるが身動きできず、声もあげられない状況。
 周りに人は沢山いるのに、孤独。
 電車が止まり、降りる。
 あの男を捕まえてくれている人がいる。
 ちゃんと見ていてくれた人がいた。
 OL風の女性は駅員に説明し、男の耳元で何かを囁き、男は力なく肩を落とし
 ホームの灰色のタイルに両手をついた。


こんな電車通勤は、嫌だな。
でも、こんな風に毎日、電車に乗らないといけない人たちがいるんだよね。
都会暮らしは絶対、無理だな。

しかし、ミカミは格好いい!!
男の耳元でなんて囁いたんだろ?


ふたつの話、それぞれ面白かった。
津村さんの物語にする題材は、興味深いものがおおい。



                      ★★★



発行年月:2023年2月


誰かに親切にしなきゃ、
人生は長く退屈なものですよ
18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉
ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――
助け合い支え合う人々の
40年を描く長編小説
毎日新聞夕刊で話題となった連載小説、待望の書籍化!

                   (毎日新聞出版HPより)


1章ごとに10年経っていく。

最初は、理佐18歳、 律8歳。
姉妹は、母親と、その婚約者から逃れて家出する。
理佐は高校卒業したばかりで律は小学3年生になるところ。

行き着いたのは、お蕎麦屋さん。
石田守と浪子(共に53歳)が営んでいるお蕎麦屋さんは、店の隣にある
水車の力で臼でそば粉を挽いているという。
その臼の番をしているのが、ネネ。
ヨウム(オウムではない)のネネは賢く、臼のなかが無くなると「からっぽ」と
教えてくれたり、人まねも上手。
そのネネのお世話係として理佐は働くことに。
事情を話し、律のことも受けいれてくれる。

そんな暮らしからスタートして、第一話から第四話まで10年ずつ経った
お話が続く。


色々な人に助けられた姉妹もやがて、他の人の手助けをしたり、助けられた人が
また別の誰かの助けになって、人間関係も広がっていく素敵な物語だった。



ネネはずっと皆の真ん中にいて、良い働きをしていた。
ネネが主役なのかも・・・。


長いお話だけど、楽しくてもっと読み続けていたいと思った。

イラストもいい。




                       ★★★★★




発行年月:2023年7月


四年ごとに開かれる会社の代表選挙。一回目の投票は票が散らばったため、上位二名による決選投票が行われることになった。現体制は手堅い保守層から支持を集め、二番手につく候補は吸収合併した会社のプロパー社員のリストラ等過激なスローガンを掲げる。接戦が予想される中、両陣営共に動向を窺うのは、一回目で三位につけた候補の支持者たちであった。運動員の送り込み、ハラスメント手前の圧力、上司からの探り…。社内政治の面倒臭さをリアルにコミカルに描く。

                   (U-NEXT HPより)



U-NEXTで、本も出しているんだなぁ~。

本のサイズが、あまり見たことがないもので、薄くて、何かのオマケの
ような感じ。
それでも、薄さに反して、面白かった。
この短さでも、十分!


会社の代表を社員の投票によって決めるというのも面白い。
こういう会社員経験がないんだけれど、こういうの珍しいことじゃないの?


主人公の小林(性別不明)は、落選した「緑山」を推していた。
1位は藍井戸 2位は黄島。
それぞれの投票率は2%の差。

決戦投票にどちらかを投票しなければならない「緑山」推しの会(緑の会)。


「緑の会」の会合が開かれるときには「うどん」が振舞われる。
早く行かないとかき揚げはないが・・・。


緑の会の人たちの、緩いかんじがなんだかほんわか。
良い関係だな。

会合に、うどん、ちょっと数人で集まるときはうどん屋、
家でもうどん。

食べものうどんしか出てこない・・・( ´艸`)

決戦投票の前、「藍」と「黄」の人たちの攻防戦が、なかなか激しい。
露骨に相手を落とすような情報を社内に流したり・・・
強引に自分たちの陣営に取り込もうとしたり・・・。


うどん陣営の人たちの4年後をまた読んでみたいなぁ~。



                        ★★★★




発行年月:2005年11月


身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい―
就職が決まった大学四年生のだるい日常の底に潜む、
うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。
そしてかすかな希望…?第21回太宰治賞受賞作。


                 (筑摩書房HPより)


著者の本は、結構、読んでいるけれど、こちらのデビュー作は知らなかった。

読み始めは・・・へ~こんな青春小説からデビューしたんだなぁ~と
自己評価の低いちょっと変わった女子大生の日常を、緩い気持ちで
「なんか、いいな。学生のころをちょっと思い出すなぁ~」なんて読んでいた。

が・・・そんな生半可な物語じゃなかった!!

主人公の女子大生・ホリガイの周りにいる大学生たち(辞めて社会人の人もいる)
の抱えているものが結構、ヘヴィだったりして「( ゚Д゚)!?」となること度々。
リストカットを繰り返す人、自死しちゃった人、過去に酷い暴力に遇った人
などなど・・・

ホリガイは、そんな人たちに普通に接して、そっと寄り添ったりしている。
でホリガイ自身も過去にそれに近い経験があったから、わかることもあったのかな?
放っておいても何ら責められないのに、きっと見過ごせないんだろうな。


大学卒業後の進路も決まっていて、地元の県職員になるという。
児童福祉に関わりたいと。
その動機が、なかなか凄い。
テレビで4歳の男の子が行方不明のままというのを18歳で知り、その子の
ことが気になっているという。


実際、偶然にも男の子を助ける。
その子は、間違いなく、ホリガイの行動がなかったら、助け出せなかった。
この場面は、泣けた。
そのことを知らせた自死した同級生のことも、助けてあげられたらな・・・と。


ホリガイが知り合った1つ下のイノギとの関係も、いい。
イノギは、ホリガイと出会ったことで救われたこと多いと思う。
二人の再会が近いうちにありそうなラストもよかった。


ホリガイは自分のことを低く評価しているけれど、大したもんだと思う。
凄いよ!と褒めてあげたいくらい。

どんな社会人になっているだろうか。


全部、読み終えて、表紙を見ると、なんだかジ~ンとする。
この表紙、いいな。
少年が穏やかな顔で微笑んでいて・・・
この表題もいい。 元の題は「マンイーター」だったそうだけど、
こちらの方がいい、断然、いいと思う。


映画化されているみたいなので、是非、観てみたい!!

                      ★★★★★

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