発行年月:2025年12月
極上のクラムチャウダーをたべるためにロードアイランド州を訪れた恵理加。
レストランですばらしい食事とワインを堪能した彼女だったが、
それ以上に興味を惹かれたのが、ルークという不思議なウェイターで……
「ブーズたち」
ある日、秋介や真昼は、スマートフォンの電源を切っているのに
着信音が聞えたり、深夜眠っている寝室で、イスラムの祈りの声が聞えてきたり――
「ここにないはずの音」が自分にだけに聞こえるようになっていた。
「鳥たち」
心療内科医のさやかは、
最近幻聴が聞こえる患者が増えていることが気になっていた。
が、それよりも彼女には、差し迫った問題があった。
そろそろ妻子持ちの恋人と別れようとしていたタイミングで妊娠が発覚したのだ……
「わたしたち」
(角川春樹事務所HPより)
3つの章にわかれているけれど、繋がっている。
最初の<ブーズたち>は、アメリカのロードアイランドまで澄んだ
クラムチャウダーを飲むために来た恵理加。
予約したレストランで接客してくれたルークは、どこか挙動不審。
途中、ほかのスタッフ・アンディからルークのことを聞く。
彼はboozeだと。
父親がその研究をしていて、ルークとは兄弟のように育ったのだと。
ルークの一族は昔、他の多くのboozeたちと日本で暮らしていたが、アメリカに
渡ってきたという。
日本ではkappaと呼ばれて・・・・
恵理加は、boozeたちを擁護するマーサにほかのboozeたちにも会わせてもらう。
ルークの一族は日本へ還ろうとも思っているという。
<鳥たち>
真澄は結婚8年目で自分の恋愛対象は女性だと気づき、夫に離婚を切り出すが
夫は、離婚に応じない。
恋人の弥生と二人で暮らすために家を出るしかないと決断。
秋介は去年会社を辞めて、主夫になり家事や息子・誠也(もうすぐ小学4年)の
育児をやっている。
けれど、実家のある富山に帰り、そこで暮らしたいと思う。
姉の冬子は鳥になぜか好かれ、いつも周りに鳥がたくさん。
冬子がいうには、鳥たちはからだを持たない天狗が自分の代わりに操られていると。
そして皆、突然、そこにないはずの音が聴こえる
<わたしたち>
時坂さやかは心療内科医。
この1年、幻聴が聴こえると訴える患者が増えてきていることが気になる。
しかし、自身の問題も抱えていて悩む。
妻子持ちの恋人との間の子を妊娠した。
別れようと思っていたところだったのに・・・
そして彼とは円満に別れ一人で育てると決める。
母親と義父はさやかの気持ちを尊重してくれ、従姉のあずさ(独身)も
生まれる子の親権者になってくれる。
第二の母だと思って頼ってと。
色々なことが良い方に向かう。
秋介の息子・誠也は父親と離れ暮らすようになってから自分の頭の上に
よくトンビが飛んでいると気づく。
しかし半年ほどで姿が見えなくなる。
長期休みで父親のいる富山に遊びに行き、そこで再びトンビに出会う。
同じトンビかわからないけれどたぶん、同じ。
真昼と弥生は二人で暮らす。
そして、二人同時に妊娠していることがわかる。
浮気はしていない。
間違いなく、二人のこどもたち。
世の中のあちらこちらでちょっと不思議な現象。
キツネのような生き物を目撃するひとたちも。
全身が枯れ葉色のどうみてもカッパのような生き物が日陰でたたずんでいるのを
見た女の子は、キュウリを持っていて
「誰にもいわないから」と渡し、「ありがとう」と答えてくれる相手に
しゃべれるんだと驚く。
最初に登場した恵理加も旅の報告をしていた広瀬と結婚したみたい。
日本に無事、たどり着いたと聞いたルークとの再会も
あるといいな。
カッパや天狗やお稲荷さん(キツネ)が、日常のなかに自然といて
楽しい物語だった。
★★★★★
発行年月:2024年2月
「川のある街 Ⅲ」。
(朝日新聞出版HPより)
3つの場所で暮らす人たちの物語。
<川のある街>
両親が3年前に離婚して、母親と一緒に、母親の故郷に引っ越してきた
多々良望子(小学3年生)。
父親とは定期的に会って、楽しく過ごす。
母親の実家、母親の叔母とは放課後、母親の仕事が終わるまで
一緒に過ごす。
特に何もない小学生の日常なのだけど、ほのぼのしたり、ちょっと切なくなったり。
<川のある街Ⅱ>
東京からは離れている都市(北陸?)
産婦人科病棟に入院中の魚住夏子。
胎盤の早期剥離のため安静を強いられている。
同室の菊村は、妊娠による高血圧のために入院。
二人の会話に出てくる人物が、同じ部屋で会うときは、クスッと笑えた。
そんな人間の日常を観察しながら生活しているカラス目線の話も
面白かった。
本当にカラスって人をよく見ている生き物かも。
<川のある街Ⅲ>
オランダに愛する希子と周りを気にせず一緒にいるために移住した芙美子。
最近は物忘れがひどく、自分の家への道順もわからなくなることが多い。
愛する希子を亡くした今は一人暮らしだけど、気にかけてくれる人たちも
いて、なんとか生活している。
そんなことを心配して日本から姪(弟の娘)の澪が来る。
伯母の様子を見て必要なら帰国を勧める役目を追ってくる澪。
伯母の老いた姿に驚きながらも伯母の考えを尊重しようとしている
様子はよかった。
出来ることなら、このままオランダで生活させてあげたいところ。
ちょっと切ない話ではあったけれど、
オランダの川のある風景も素敵なんだろうなと思いながら読んでいた。
表紙も素敵。
江國さんの文章もいつもながら美しい。
★★★★★
発行年月:2001年12月
大学生の透は恋の極みにいた。年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時、世界はみちたりていた。恋はするものじゃなく、おちるものだ。透はそれを、詩史に教わった。一方、透の親友・耕二は、女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子に夢中だった。彼女との肉体関係に……。夫もいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の対極的な恋人たちが繰り広げる長篇恋愛小説。
(発行/マガジンハウス)
ドラマが始まり見ていて・・・
江國さんの作品だから読んでいると思っていたけれど。。。「あれ?」と
思い、調べたら未読だった!
ドラマと原作は違うかもなぁ~と思いながら図書館で借りて読了。
20歳の透と母親の知り合いであった詩史(40歳)の出会い。
透の母親も詩史も自立した女性。
透の母親は詩史とのことを、薄々、気づきながら黙認している。
「ほどほどにしなさいよ」と忠告はするのだけど・・・。
そして、詩史の夫・浅野(広告会社)も妻と、透の関係を知っているよう
だけれど、夫婦の食事に誘ったり、二人で会っているところに迎えに
来たりしている。
内心はどう思っているのか?
透は、詩史のことだけに夢中で会えない日は悶々と過ごす。
少しの時間なら会えると言われれば、すぐに会いにいく。
翻弄されているかんじ。
それでも、途中、あれ?
あれ?詩史も冷静を装いながら、透のことを本気で好きなのかも。
と思わせる部分があり、最後は、まだまだ二人はこのまま続くのかな?と
思えるかんじで終わる。
透の親友・耕二の方が感情が激しい人妻・喜美子(35歳)と同年代の恋人・由利
との間で始終、あたふたしているかんじだったが、結果、二人ともに
振られるかたち。
登場人物、由利以外、誰とも共感できないんだけれど、
こういう恋愛もあっていいかもね~と他人事として楽しめる話。
ドラマはどうなるのかな?
その違いを楽しみにしよう。
★★★
発行年月:2023年11月 (文庫)
菅原孝標女の名作「更級日記」が江國香織の軽やかな訳で甦る!
東国・上総で源氏物語に憧れて育った少女が上京し、
宮仕えと結婚を経て晩年は寂寥感の中、仏教に帰依してゆく。
読み継がれる傑作日記文学。
(河出書房新社HPより)
大河ドラマを見ていて、平安時代の貴族の暮らしに興味を持ちこちらを
読んでみた。
管原孝標の次女として生まれた人が書いた、日記というか回顧禄?
13歳のときに、上総(今の千葉県)から父親で京へ引っ越すことになり
源氏物語を読んでみたいと思っていたので、京にいけば物語が読めると
ウキウキしている様子が可愛い。
けれど、お供の者たちと京まで行くのは想像以上の過酷さ。
途中で眺める景色の描写がいい。
やはり山を越えて眺めた駿河でみる景色は美しかったとあり、なんだか嬉しい。
富士山の様子を・・・青く塗ったような色をしているところに雪が消えることなく
常に積もっているので色鮮やかな肌着の上に白い衵(あこめ)だけを
着ている幼い人のように見えるとあり、興味深い。
面白い解釈。
もう一か所素晴らしいと言っていたのは、近江の逢坂の関とある。
琵琶湖の風景をみたのかな?
京での生活。
やっと源氏物語を手に入れ、更におばさんから源氏物語50巻全部と
伊勢物語など多くの物語を貰い大喜び。
このおばさんってもしかして蜻蛉日記を書いた道綱の母?
大河では、兼家(ドラマでは段田安則さん)の第二の妻(ドラマでは財前ナオミさん)。
書き物をする家系なんだな。
結婚して子どもも何人か産んでいるようすだけど、それはサラリと話のなかに
出てくるのみ。
結婚して、夫に官職が与えられてホッとするとかあって
この時代官職に就けるか否かは重要なことなんだな・・・と。
最後の章は50歳代?
一人暮らしをしている様子で、とても寂しそう。
今の女性なら一人になっても生き生きしている人、多いけれどね^m^
江國さんの訳、読みやすかった。
現代語訳は、ありがたい。
ほかの古典も現代語訳で読んでみたくなった。
★★★★★
発行年月:2023年9月
かつての「三人娘」が織りなす幸福な食卓と友情と人生に乾杯!作家の民子、自由人の理枝、主婦の早希。そして彼女たちをとりまく人々の楽しく切実な日常を濃やかに描く、愛おしさに満ち満ちた物語。江國香織〝心が躍る〟熱望の長編小説。 「会わずにいるあいだ、それぞれ全然べつな生活を送っているのに――。会うとたちまち昔の空気に戻る」――作家の民子は、母の薫と静かなふたり暮らし。そこに、大学からの友人・理枝が、イギリスでの仕事を辞めて帰国し、家が見つかるまで居候させてほしいとやってきた。民子と理枝と早希(夫とふたりの息子がいる主婦)は、学生時代「三人娘」と呼ばれていた大の仲良し。早速、三人で西麻布のビストロで、再会を祝しておいしい料理とワインを堪能しながら、おしゃべりに花が咲いて……
(角川春樹事務所HPより)
50歳半ば(56~57歳?)過ぎた、3人の女性の日常を綴りながらの物語。
恋人らしき人は出てくるけれど、愛情表現の場面は、ほんのちょっと。
でも、なんだか読んでいて楽しかった♪
諏訪民子・・・・作家。父親は亡くなり母の薫と二人暮らし。
清家理枝・・・・外資系の金融会社に勤務していて、長くイギリスに住んでいたが
仕事を辞めて帰国。新居が見つかるまで民子の家で居候生活。
二度の離婚歴あり。
室伏早希・・・・主婦。夫と二人の息子の母。
長男(23歳)は就職を機に家を出て一人暮らし。
次男は高校生。
義母はアルツハイマーで施設入所。
3人それぞれの日常。
それぞれに大変さはあるものの、皆、充実しているかんじで良い。
たまに会って、美味しい物を食べたり、お酒を飲んだり、共通の知り合いの
話をしたり・・・。
こんな風にずっと続く友達っていいなぁ~。
表題のシェニール織とメロン(カンタロープメロン)、
他にはポークパイハット
3人が、学生時代、どういうものかわからずに勝手に想像していたものだとか。
シェニール織がもっと素敵な織物だと思っていたのに、フランス語に訳すと
毛虫織りと知り、ショックというのが笑えた。
毛虫織というと確かに・・・^m^
3人の10年先くらいの話も読んでみたいなぁ~。
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
