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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2024年7月


コロナ禍がはじまり、終息に向かった。
これは目眩? 日常の隣にある別世界。
分別盛りの人々の抱えた困惑と不安を
ユーモアと活力あふれる文章で描く四つの日常奇譚集。
妻は売れっ子イラストレーター、夫は音楽家。30代の夫婦が不動産屋の仲介で移り住んだ理想の家。しかし夫が出張中のある夜、天井から異様な物音が……。気のせい? 事故物件? それとも……。
そしてある日、夫婦は隣家の秘密を知ることになる。
(「屋根裏の散歩者」)
酔い潰れ、夜更けの電車内でヴァイオリンを抱いて眠る老人。慌てて下りていった彼の忘れ物は、なんと遺骨。「才女好き」と噂された男の、四十年に及ぶ家庭生活に、秘められたものはいったい何だったのか。
(「妻をめとらば才たけて」)
亡き父の後を継いだレストラン経営がコロナ禍で破綻に瀕している。家庭がきしみ始め、しっかり者の母が倒れ、妻は子供を連れて出て行く。負の連鎖の中でどん底の男が、はまったのは、因縁付きの謎の植物。完璧なフォルム、葉の緑のグラデーション。マニアの世界は地獄より深かった。
(「多肉」)
認知症の義母が亡くなった。ようやく見つけた葬儀用の遺影。しかしその肩先には人の手が写っている。そして切り取られた半分には見知らぬ男が。
背景からすると、近くの動物園で撮影されたようだ。
慎ましく物静かで、実の娘息子にも本音を語ることのなかった人の心の内にあったものは?
(「遺影」)
現実と非現実の裂け目から見えた、普通の人々の暮らしと日常の裏側。
『鏡の背面』(集英社文庫、吉川英治文学賞受賞作)や『冬の光』(文春文庫)
の流れにつながる、人の心の不思議と腑に落ちる人生のリアリティにあふれる力作


                  (朝日新聞出版HPより)


4つの話、どれも惹き込まれるように読んだ。

ちょっと不思議で哀しいような切ないような・・・・

最初の
<屋根裏の散歩者>は、いったい屋根裏の物音は誰が出している音なのか?と
真相がわかるまで、ドキドキした。

まさか・・・リクガメとは・・・・(^^ゞ
でも、そんな飼っていると違法なもの、しかも大きくなって何十年もまだまだ
生きるものがいるとしたら、わたしなら他へ引っ越したいな。
貴之、のんきすぎないか?(笑)



<妻をめとらば才たけて>
72歳のバイオリンが趣味の男が電車内に忘れたものは紙袋に入った骨壺だった。
最初から「えぇ~!」という衝撃だった。
でも、物語を読み進めるうちに彼がどれだけ妻を愛していたのかがわかり
切なくなった。
コロナさえなければ・・・



<多肉>
これはちょっとホラーっぽかったな~。
人から貰ったアカべ(和名ではリュウゼツランとか)を繁殖させることに
のめり込んでいく男のはなし。
男の異常さに呆れ、家を出てその後、離婚を果たした妻は逃れられてよかった。
男の切羽詰まった心理が読んでいて苦しかった。
でも最期は、そんなに苦痛そうじゃなかったから、ちょっと救われた。



<遺影>
亡くなった義母の遺影になりそうな写真を探していて
1枚の自然な笑顔の写真を見つける。
自分が撮った義母らしいけれど、その肩に手をかけている男に覚えがない。
よく一緒に行った森林公園内にある、ふれあい動物園で撮ったものだけれど。。
義母が楽しそうに接していた猿山の人格者というコーヘー?
写真は確かに人間だけれど・・・

これは少し不思議な話だったけれど、そういう不思議もあっていいかもと
心が温かくなる話だった。


篠田さんの長編も好きで読むけれど、この短編集もよかった!



                   ★★★★
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発行年月:1998年8月


沖縄・波照間島住民がまきこまれた戦争マラリアの惨劇と、
よみがえる島人を描いた作品。


                (かど創房/発行)



先に読んだ安東きみえさんの「夜叉神川」の中に出てきたお話になかに
これが元になったんだろうなという話があり、興味を覚えたので読んでみた。

沖縄の波照間島という名前も知らなかった。
西表島から南に進んだところにある小さな離島。
自然豊かなその地で平和に暮らしていた人たちが、次第に戦争の脅威に
翻弄されていく。

沖縄本土で決戦が始まり、島民たちは軍から赴任してきた新しい教師・山下を
最初は軍の人間とは知らず、温かく迎え、山下自身も「島民のお役に立ちたい」
と語り、子どもたちとも遊んだりして過ごす。
が・・・ある日、突然、豹変し島民たちを指示する。
手には刀を持ち、強制的に離島し疎開することを命令する。


仕方なく西表島(南風見田/はえみた)に移った島民たちだったが、
波照間島の環境とは雲泥の差で
蒸し暑く、蚊の媒介によりマラリアの感染が広がり、
人々は苦しみながら
命を落としていく。

敵は攻めてこないのに、こんな風に最期を迎えた人たちが大勢いたことが
哀しい。
山下には腹が立って仕方ない。
そんな環境でも識名校長は青空教室を開いたり、この劣悪な環境では
生きていけないと八重山軍刀の主部隊、旅団長に船で数名と共に夜中
向かい直訴し、それが受け入れられ波照間島に帰島することが許される。
 
山下に毅然と立ち向かった識名校長たちは素晴らしい。
島民のことを守ったのだから。

島を離れるとき、岩に刻んだ 「忘勿石 ハテルマ シキナ」の文字


元の島に戻れた島民は少なかったようだけれど、その後は平和な暮らしが
続いてよかった。


知らなかったことを学んだ。



                    ★★★★★



発行年月:2021年11月(単行本は2015年5月白水社より刊行)
  • 1979年、台北。中華商場の魔術師に魅せられた子どもたち。

  • 現実と幻想、過去と未来が溶けあう、どこか懐かしい極上の物語。

  • 現代台湾を代表する作家の連作短篇。単行本未収録短篇を併録。

著者

呉 明益 (ゴ,メイエキ)

1971年台北生まれ。現代台湾を代表する小説家・エッセイスト。97年、短篇集『本日公休』でデビュー。おもな小説に、『眠りの航路』『複眼人』『雨の島』など。『自転車泥棒』で国際ブッカー賞最終候補。

天野 健太郎 (アマノ ケンタロウ)

1971年生まれ。翻訳家・俳人。台湾文学・文化を積極的に紹介。訳書に、呉明益『自転車泥棒』、陳浩基『13・67』、龍應台『台湾海峡一九四九』など。句文集に『風景と自由』など。2018年没。



                           (河出文庫HPより)





以前読んだ中島京子さんの「小日向でお茶を」に出てきた本書
気になって読んでみた。

1970年代の子ども時代に同じ場所で過ごした人たちが、そのころのことを回想する形で
進む短篇連作。

共通して出て来るのは、、貧しい身なりで歩道橋の上でマジックを披露している
魔術師の男性。
子どもたちは、皆、その魔術師のことを気にかけていて、ふとした時に会話をする。


最初の話は、靴屋の息子がみた魔術師が操る紙の黒い小人。
どうやっているのか?気になるが教えてはくれない。
ある日、雨に濡れた小人がぺしゃんこになって道路に張り付いているのを
拾うとして腕がちぎれてしまい「小人が死んじゃった」と叫ぶ。
魔術師はその後、新たな小人を作る。


こんな風に話のそれぞれに、「死」を子どもたちが感じる瞬間が出て来る。
魔術師に関わった子達は、そのことを大人になっても覚えている。


独特の雰囲気があって、面白かった。
文章も読みやすい。
きっと訳者もいいんだろうな。


最後に単行本では未収録の短編があったけれど、なんだか雰囲気が違う感じがした。
読み終えて最後にみたら訳者が違う人だった。

天野氏が訳した「自転車泥棒」も読んでみようかな?




                              ★★★★★







発行年月:2021年1月


「ここは夜叉神川の上流。
両側に高い崖が迫る谷、聞こえるのは川の音と、山で鳴く鳥の声だけだ。」ーー『川釣り』より。
「昔、亡くなったおばあちゃんが教えてくれた。魂という漢字に鬼の字が入るのは、もともと人の心に鬼が棲んでいるからだと。」ーー『鬼が守神社』より
全ての人間の心の中にある恐ろしい夜叉と優しい神、その恐怖と祝福とを描く短編集。
「川釣り」「青い金魚鉢」「鬼が守神社」「スノードロップ」「果ての浜」        
夜叉神川の上流から下流へ、そして海へと続く全五話を収録。 
野間児童文芸賞受賞後初作品

                 (講談社HPより)



5つのお話、どれも良かった。
主人公は小学生~中学生。
ちょっとした悪意が絡むけれど、不思議なことに遭遇したことによって
その後の心持が変わってくる。

共通して出て来るのは、夜叉神川という名前の川。
主人公たちは、この川が流れる町で暮らしている。


好きだったのは「スノードロップ」

奥さんが亡くなり一人暮らしをしている松井さん(70~80歳?)
奥さんが居たころは優しい印象だったのに、偏屈なおじいさんになってしまった。

そんな松井さんが飼っている犬のゴン。
ゴンも今はただ顔を見ると激しく吠えるだけの怖い犬になってしまった。

そんな松井さんに怒鳴られ、思わず「あんたなんか死ね」とつぶやいてしまう。


後日、寒い夜、塾帰りに見かけた松井さんとゴン。
少し様子が変で気になる。


この主人公の男の子(小5)は優しい子だなと思った。
そして松井さんもそんな男の子と会話して、少し変わってくれたような・・・。

スノードロップは松井さんの家の庭にあった花で
生前松井さんの奥さんが少年に名前を教えてくれた花。


最後の<果ての浜>もよかった。
個人塾を経営している夫婦が主催の春休みの沖縄ツアーに参加した
小6のおれ。中学受験に合格出来て嬉しい気持ちで参加。
小2の弟・翔も参加。
沖縄には戦時中、悲惨な出来事があったと聞き、「そんな話、聞きたくない」と
内心で思う、おれ。

その後、サトウキビ畑で弟が隠れ見つからない探しているとき、小さい子どもの声を
あちらこちらで聞くという不思議な体験をする。
弟は、今度は浜であそぼうって。そのときに、ひーじゃーを持って来てってと。
先生に聞くとヤギのことらしい。
弟がその晩、熱を出したので、おれは弟の代わりに浜へ。
弟が買ったヤギのぬいぐるみを持って・・・



波照間島に暮らしてい軍の命令で西表島に移住させられ悲惨な最期を迎えたという
話は知らなかった。
そんな絶望的な状況でも、子どもたちを集めて青空教室を開いていた
識名先生は素晴らしいと思う。
そんなことを忘れないでと石碑もあるとか。

「ハテルマ シキナ」桜井信夫/著 という本にはそういうことが書いてあるとか。
早速、読んでみたい。




                      ★★★★★






発行年月:2025年1月


有名広告代理店を早期退職し、月十万円ずつ蓄えを切り崩しながら穏やかな暮らしを送るキョウコ。おかめの手ぬぐいで頬被りしてアパートの庭の雑草抜きに勤しんだり、隣人のチユキさんの悩みを聞いてあげたり、友だちのマユちゃんが遊びにきたり……と、楽しく自由な日々。小さな幸せを大切にするロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、みなさんに愛されて待望の第9弾。
書き下ろし最新長篇。


                     (角川春樹事務所HPより)




タイトルに恋愛があったので、もしかしてキョウコに?と

ちょっと期待したけれど、キョウコは何ら変わり映えのしない日常だった( ´艸`)

れんげ荘の住人、チユキが離れて暮らす恋人との関係を見直す話は
そうだね。それは別れてもいいかもね・・・と思った。
数日、暮らして疲れると感じるのなら会いに行く意味もないだろうし・・・。
チユキは、本当にきっぱり別れるのかな?

同じく、れんげ荘のクマガイさんは、いつもマイペースでいい。
雑草を抜くことに一生懸命になるキョウコに「がんばりすぎないでね」と
忠告。
キョウコの性格って、ちょっと面倒くさいかも・・・。
やることがないと言っているのなら他にやること見つけたらいいと思うけれど
何もしないで穏やかに暮らすと決めたことを貫こうとしているのなら
それは大きなお世話ということになってしまうか?


一人暮らしでも近くにお兄さん夫婦もいるし
お兄さん夫婦の子どもたち(甥と姪)との関係も良好そうなので
いざという時は、なんとかなりそうかな?


シリーズ9作目ということは、キョウコはもうすぐ還暦かな?
もっと先、どういう暮らしぶりになっているのか気になるので緩く
続けてほしいシリーズ。



                      ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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