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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2001年9月


広瀬すず主演で映画化! 2025年夏公開
英国で暮らす悦子は、娘を喪い、人生を振り返る。
戦後の長崎で出会った母娘との記憶はやがて不穏の色を濃くしていく。
映画化原作

                 (早川書房HPより)



映画化されるというので、原作を読んでみた。
改訂版が出版されているが、図書館で旧いのを借りて・・・


物語は戦後の長崎が舞台。
そこの風景がこの表紙の絵。

長崎で出会った悦子(映画では広瀬すず)と佐知子(映画では二階堂ふみ)の
話が主。
悦子は、夫・二郎(映画では松下浩平)と暮らしていて妊娠中。
佐知子は娘の万里子とふたりで長崎へ。
伯父の家に世話になっていたけれど、アメリカ人のフランクとアメリカに
行くつもりで、こちらに来たという。
が・・・フランクは一人でアメリカに渡ってしまう。
あっけらかんとした佐知子。そんな佐知子の言動に、ちょっと理解できない
悦子。


物語は、そんな悦子と佐知子が親しくしていた時代を過去のものとして
今はイギリスで一人暮らしをしている悦子の物語と交互で描かれる。

佐知子のことを非難するようなこともあった悦子だけど
二郎との子ども・景子は最近、自死してしまっていて、そんな母を
心配して次女のニキが訪ねてきている。
ニキはイギリスにわたってから知り合った二番目の夫との子らしい。

ニキの誕生までの話は出て来ないのでよくわからないけれど
結構、悦子も波乱万丈の人生だな・・・。
佐知子と親しくしていたころとは違う人みたいで
佐知子みたいだなと思ってしまった。


戦後の長崎という場所もあって、なんとなく暗いかんじだけれど
人間関係が丁寧に描かれていて、よかった。


映画化されたものも見てみたいな~。




                   ★★★

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発行年月:2024年11月


今日が、雨でよかった――時を超え、かたちを変えて巡る、“つながり”と再生の物語。
ビルの取り壊しに伴うリフォームジュエリー会社の廃業を起点に時間をさかのぼりながら、物から物へ、人から人へと、30年の月日のなかで巡る想いと“つながり”、そして新たなはじまりを描く、寺地はるな(2023年本屋大賞9位)の真骨頂が光る、感動長篇。
出会い、卒業、就職、結婚、親子、別れ……。中学の卒業制作づくりで出会った4人がそれぞれ直面する数々の選択と、その先にある転機、人生のままならなさ。不器用に、でもひたむきに向き合う彼らの姿を通して、日常のささいな不安や違和感を丁寧にすくい取って人の弱さにそっと寄り添いながら、いまを生きるあなたにエールを贈る大人の青春小説。
《あらすじ》
1996年冬、中学卒業を控え、卒業制作のレリーフづくりで同じ班になった永瀬珠、高峰能見、森侑、木下しずくはそのモチーフを考えていた。進路に迷う美術部員の永瀬、男女問わず学校中の人気者の高峰、誰に対しても優しくおっとりした森、物静かで周囲と距離を置く転校生のしずく。タイプの異なる4人がモチーフに選んだのは雫型(ティアドロップ)だった。
「古代、雨は神々が流す涙であると考えられていました。雨の雫はあつまって川となり、海へと流れ込み、やがて空にのぼっていく。その繰り返しが『永遠』を意味する、という説があります」
「永遠って、なんですか? 先生。そんなもの、あるんですか?」
美術教師が教えた「永遠」の意味。以来、永瀬や高峰の心に「永遠」が静かに宿り、やがて4人は別々の道を歩み始めた――。
時は流れて2025年春、リフォームジュエリー会社『ジュエリータカミネ』は、入居するビルの取り壊しにあわせて営業を終了した。ビルからの退去当日、デザイナーとして勤めた永瀬は将来への不安を抱えつつも次の仕事を決められずにいた。かたや、信念を持って店を立ち上げた高峰は、妻との離婚や自身の体調を崩して以来すっかり覇気がない。森は誰もが知る企業に勤めたものの上司のパワハラによって心に傷を負った。地金職人として独立したのち離島へ渡ったしずくは、いまも自分の感情を表すのが苦手なままだ。
30年の道のりの過程にある仕事、結婚、親子関係……。人との関わりでつまずきながらも、一方で人とのつながりによって救われてきた不器用な4人は、ままならない人生にもどのようにして前を向こうとするのか。「永遠」は不変で繰り返されるからこそ続くものなのか、それとも――。物から物へ受け継がれるジュエリー、人から人へと受け継がれる想いを通して、つながりの尊さとささやかで慈しみ深い日常を描く珠玉のヒューマンドラマ。


                    (NHK出版HPより)



永瀬 珠・・・同級生の高峰能見に誘われて「ジュエリータカミネ」で
       ジュエリーデザイナーとして25歳~20年間働いてきた

高峰能見・・・株式会社高峰の社長。「ジュエリータカミネ」は廃業すると決める


森 侑(たすく)・・・高峰ビル内の「かに印刷」で働いていた。会社が移転することに


木下しずく・・・高峰とは親戚関係。家庭の事情で中学卒業と同時に地金細工をする
        駒工房に弟子入りした。一時期、高峰の家で暮らしていた。



4人は中学3年生の卒業制作のとき、同じ班になり以来、親交がつづく。
男女で、こういう絆で結ばれている関係はいいな~。

高峰も森も結婚して子供もいるのだけど、高峰は離婚して妻と娘とは離れて暮らしている。
一時、心労から入院までした高峰だけど、その時も森や珠が見舞い勇気づけている。
しずくは、少し内向的であまり自分を主張しないけれど、好きな人と巡りあって
しあわせそうで良かった。


表題の「雫」は、卒業制作で4人が作ったモチーフ。
永遠に継続されていくという意味もあると教えてくれた美術教師の田村先生も
素敵だったな。

最後はその田村の個展で4人が再会という場面。
しずくのパートナー・奥田さおりもすてきな女性だった。


最後の場面は雨だけど、清々しい。




                      ★★★★



発行年月:2024年8月


5つの短編に待ち受ける、予想外の驚愕の結末!
あなたはもう、以前の家族には戻れない。衝撃の令和の家族像。
「母という禍、家庭という地獄。
ひょっとして獄吏は自分自身なのかもしれない」
ーー中島京子(小説家)
<崩壊する家族を描く、衝撃の連作短編集!>
セメタリー
ワンピース
ビースト
エスケープ
アフェア
<書評家も絶賛>
「よくぞこの全人類にとって厄介で気になりすぎる母という存在を描き切ってくれた。不謹慎なほどの面白さ!」ーーマライ・メントライン
「作者がエールを送っているのは、母という名の女性たちなのだ。母親という呪縛に囚われている、すべての女性たちなのだ」--吉田伸子
母と娘の関係性はたくさん書かれているが、これは、母とかつて母だったものとの物語だ。
アニメのような三世代家族から独立して家庭を持った青年が、コロナ禍の間に立て続けに身内が亡くなった実家に久々に帰る「セメタリー」、過労によるうつ病で医師の仕事をやめて離婚した兄から、その身を案じながら亡くなった母の一周忌を前に再婚の知らせが届く「ワンピース」、娘が嫁いで一人残された高齢女性が、やがてマンション内で鞘当てが起きるほどに華やかに変貌していくさまを管理人の目から見た「アフェア」など、「母」という名に隠された一人の女性としての“本当”の姿を描き出す、直木賞作家渾身の家族小説!


                     (講談社HPより)



短編集だけれどそれぞれの話が読み応えあり。
ちょっと辛い展開なんだけど、こういう家庭、いくらでもあるよな~という
リアルさがあった。



<ビースト>の柏木美也子には、同情しちゃった。
60歳、夫が亡くなり、のんびり一人暮らしをしていたところに
7年間、音信不通の娘が子ども(男子2人)とともに転がり込んでくる話。

娘の態度がなんとも横柄で嫌だったなぁ~。
それでも孫は可愛く色々と世話をしての最後・・・・
階段から落ちるという悲劇。
このあと、どうなったの!?と一番、気になる話だった。


<エスケープ>は全く同感できない母親。
26歳から不倫関係にあった男性がやっと離婚して結婚できた。
40歳過ぎての出産。
生まれた女の子陽希(はるき)は、母親の胎内にいるときから母親の言葉を
聴き、産まれてからも母親の声に不快感を持ち、泣く。
そんな我が子を可愛く思えない母親。
はるきは父親に懐く。
母親が家を出て父親と二人の生活になり、自分がここから逃げなくてよくなった
ことに安堵するというはなし。

なんか、勿体ない人生の過ごし方をする女性だな・・・・



乃南さん、やはり面白いな。
グイグイ読ませる文章は流石です!



                   ★★★★★



発行年月:2021年6月


自分のルーツを探す旅に出る
自分ではわくわく少女だと思っていた。   
でも、今のあたしは、好きじゃない。
ああ、無人島へ行きたい。
学校生活に疲れたとげとげ少女が向かったのは生命力あふれるハワイ。
ハワイは、彼女のお父さんの故郷だ。
まだ会ったことのないおばあさんや親戚との出会いに、緊張しつつ、空港に降り立つ。
すがすがしい香りの花々、真っ青な空と海、雄大なハワイの景色、そして、彼女を待っていたのは・・・・・・?
自分を一人の人間として扱ってくれるハワイの人たちに囲まれて、自分につながる大切なものを見つけた。

                   (小学館HPより)



児童書だけど、大人でも楽しめる。
SNSの誹謗中傷に傷つき、人と話すことが嫌いになったもうすぐ中学3年生の
真奈。
春休みを利用して、亡くなった父の家族のいるハワイへ。

ハワイは行ったことないけれど、明るくて、のんびりしていて
自然が綺麗なイメージそのままの雰囲気。
そこで父親の姉(レオナ)やその家族。
一人でレオナの家の離れで暮らす祖母のハイディの元で生活し
真奈は色々なことを学んでいく。
ハイディは優しいけれど言葉は少な目。
目が不自由だけれど、家事や庭仕事もこなし、真奈はハイディと共に
動きながら色々なことを学んでいく。
そしてハイディの母(真奈にとっては曾祖母・イサ)のこと。

イサは16歳で日本から先に移民としてハワイに渡っていたクスジロと
結婚。クスジロは結婚当時35歳で見た目はもっと老けてみえたとか。
愛情がない結婚。
そんななか、子どもを産み、子どもを背負ってさとうきび畑で
1日10時間。週6日の労働・・・・・過酷すぎてビックリ!
ハイディの上に兄2人、姉2人いたけれど両親が相次いで亡くなり
その時、ハィデイは3歳で裕福な白人夫妻の養子になったと。


ハワイに移住した日本人の苦労は前にも読んだことがあるけれど
真珠湾攻撃の後、スパイ容疑をかけられたりというのは、今回初めて
知り、恐ろしくなった。
戦争でいつも理不尽な目に遇うのは普通に暮らしていた人々。


そういう先人たちの苦労の元に現在の日本の平和があるんだということを
改めて感じる。


真奈の元にSNSに誹謗中傷をしていた親友だと思っていたカレンから
メール(電話)が来たけれど、真奈は立派な対応をしたと思う。
それは強くなったから。
言葉では許すと言っても心では許せないは当然。

こういう本を中高生たちにたくさん読んでほしいな。
勉強になることも沢山の本だった。





                     ★★★★★





発行年月:2018年12月


アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。
ノーベル文学賞受賞!
生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、
朝鮮半島の記憶が交差する。


                  (河出書房新社HPより)


ノーベル賞受賞作って、ちょっとよく理解できないなぁ~というものが
今まで多かったので、敬遠しがちがったんだけど、これは良かった!!
こういう文章はすき。
わかりやすい。
詩のように、白いものたち、ひとつひとつのことが短く描かれる。
そこにある情景などが自然と浮かんでくる。


表紙の写真にあるしろい産着は
産まれて2時間でこの世を去った、私の姉に母親が着せたものかな?と想像する
写真。
産まれてわずか2時間のことが映像をみるように頭にうかぶ。

そんな姉のことを「わたし」はずっと考えながら白いものたちのことを
語るかんじ。


著者が後ろの「作家の言葉」として書いたものを読むと、この本がどうやって
生まれたのかがわかる。
著者の本を翻訳していたポーランドの翻訳家がワルシャワに招待されたら
自分も行くと約束し、その地を訪れたときに、構想が浮かんだのだとか。


なるほど・・・ワルシャワの地でね・・・

静かだけど、何か強く心に響いてくる良い本だった。


著者の他の作品も読んでみたい。




                     ★★★★★


                    
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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