忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[72]  [73]  [74]  [75]  [76]  [77]  [78]  [79]  [80]  [81]  [82


発行年月:2004年3月


「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」
亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた………。

                (講談社HPより)


理瀬シリーズ、先に読んだ「麦の海に沈む果実」から続く物語。
先の学園の寮から出た後、2年間、イギリスに留学していたという流れ。

そして今回は、祖母が亡くなり、その遺言に従ってその家で暮らすために
帰国した理瀬。
祖母は同居している、おばたちが留守中、転倒して亡くなったという。

洋館には、二人のおばが住んでいる。
理瀬との血の繋がりはない(みたい)。

姉の梨南子と妹の梨耶子。
2人は全く正反対の雰囲気。
姉は控えめで柔らかい印象、家事のいっさいを担う。
妹は自由奔放で毒婦のイメージ。

理瀬の家のそばには、同級生の脇坂朋子。
理瀬とは気が合い、朋子の病弱な弟・慎二は理瀬に憧れている。

理瀬の祖母の代から何かと相談に乗って貰っている弁護士一家勝村家の
長男・雅雪は、朋子の幼馴染であり、理瀬とも親しくなる。

祖母の一周忌の法要のため、理瀬の二人の従兄弟・亘と稔も洋館を訪れる。


そして・・・朋子に好意を寄せ執拗に迫る雅雪の親友・田丸賢一が行方不明になり
洋館では梨耶子が不運な事故で亡くなる。


理瀬の周りには、いつも不穏な空気が纏わりつく。
学園の時も、何人かが亡くなっていたし・・・
理瀬が直接、関わっているわけではないのに、何度もこんな体験をして
精神的に大丈夫か?と思ってしまう。


祖母がなぜ、理瀬をこの洋館に住まわせたかったのか?
洋館にある秘密を突き止め、すべてを理解したうえで、穏便にこの洋館を
処分してほしかったのだと思う。

理瀬もそのことをわかって洋館のもつ秘密を探り、最後は、真実にいきつく。

なるほど、そういうことかと色々な謎が納得の収拾。
お見事です!


この後、理瀬は再びイギリスへ。
ヨハンとはその後、どうなっていくのか?

ここで知り合った勝村雅雪も、すごく良い青年で成長した姿をまたみたい。

この後の話は2021年発刊の「薔薇のなかの蛇」。
これは既読だけど、この流れでもう一度、読んでみたい。


理瀬シリーズ、この先も続いてほしいなぁ~。



                       ★★★★★
PR



発行年月:2004年1月 (単行本は2000年7月)


三月以外にやってくる転入生は、学園を破滅に導くだろう。
湿原に囲まれた全寮制学園。謎の失踪をとげる生徒たち。
奇妙な学校行事と、図書館にあったはずの謎の本。
──夜と昼をあやつり師が築く影絵のごとき大伽藍。

                (講談社HPより)



理瀬が主人公の物語。

2月の最後の日に転入してきた理瀬。
普通は3月以外の転入も転出もないと知り戸惑う理瀬。

理瀬自身も自分が何者なのか、よくわからないでいるということに
最初は戸惑う。
他所と隔離されたような環境にある学園。
周りは湿原。
青の丘と呼ばれる場所に立ち、周りには自然のみ。

校長は、美形だけど、男装したり女装したり、何処か怪しげ。

学園内の生徒たちも個性的。
理瀬の部屋に同室を希望して入ってきた憂理とはすぐに仲良くなり
学園の情報をあれこれ聞く。

以前、ここの生徒だったものが行方知れずになっている件
既に亡くなっているのかも・・・・などなど。

そして生徒が亡くなる事件が起きていき、犯人は誰なのか?
何でそんなことが起きるのか?

始終、不可解なことばかりで不穏な空気が漂っている。


そして、最後に理瀬は自分の置かれた立場を思い出す。
「三月は深き紅の淵を」も出てくる。


あ~そういうことだったんだね~と、納得。

この先の理瀬の物語も知りたい!
面白い!


                      ★★★★


発行年月:2021年7月


話題騒然!!
YouTubeでなんと1000万回以上再生!
あの「【不動産ミステリー】変な家」には
さらなる続きがあった!!
謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋----
間取りの謎をたどった先に見た、
「事実」とは!?
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。
開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、
間取り図に「謎の空間」が存在していた。
知り合いの設計士にその間取り図を見せると、
この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が
存在すると言う。
間取りの謎をたどった先に見たものとは......。
不可解な間取りの真相は!? 
突如消えた「元住人」は一体何者!? 
本書で全ての謎が解き明かされる!

                   (飛鳥新社HPより)



なるほどね・・・動画配信されてからの書籍化だったんだ~。
確かにこれは、映像化したら、ホラーだな。
かなり気味の悪い、大嫌いな部類のホラー話だった・・・(^^ゞ


結局は、ある一族に纏わる忌まわしい呪いの話で、それを払うために
行われなければならない儀式の準備のために作られた家ということ。


いやはや、こんな遺伝は偶然にしてもちょっと・・・苦笑。
そのために殺人を犯してまで行われる儀式も・・・はぁ~??


家の間取りを中心にしたもっと違った話を期待していたんだけど
安っぽいオカルト話に絡むには興ざめだったな~。


アッという間に読めたから、まあ、こういうのも今、話題なんだなぁ~と
知れたのは良かったけど。


                          ★★☆


発行年月:2021年8月   


2022年 本屋大賞ノミネート作品!
ミステリを愛するすべての人へ
当作の完成度は、一斉を風靡した
わが「新本格」時代のクライマックスであり、
フィナーレを感じさせる。今後このフィールドから、
これを超える作が現れることはないだろう。
島田荘司
ああびっくりした、としか云いようがない。
これは僕の、多分に特権的な驚きでもあって、
そのぶん戸惑いも禁じえないのだが――。
ともあれ皆様、怪しい「館」にはご用心!
綾辻行人
500ページ、一気読み!
知念実希人の新たな代表作誕生
作家デビュー10年 実業之日本社創業125年 記念作品
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、
刑事、霊能力者、小説家、料理人など、
一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。
館の主人が毒殺され、
ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、
圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。
著者初の本格ミステリ長編、大本命!

                  (実業之日本社HPより)


凄い考えらえたミステリーだなぁ~と感心。

最初の起きる殺人の犯人は、すぐにわかる。
その殺人動機は理解できたので、この先、どういう展開になるんだろうと
思いながら読んでいると、二つ目の殺人、3つ目の殺人と続く。


最初の殺人は、毒殺だけど、その後の二つは、刺殺。

塔の主と、そこに招待されたもの、主の使用人、併せて10人が最初に居た。

招待されたもののなかに刑事がいて
名探偵だと名乗るものがいて・・・・殺人事件の犯人探しの推理が
進行していく。


登場人物が多いのに、混乱せず、スラスラ読ませてくれる。
ミステリー好きが集まっているということで、ミステリー作品の書が
多く登場。未読のものもあり、そちらにも興味をもつ。

殺人事件が起きるけれど、不思議と凄惨さを感じない。

そして犯人が名探偵と名乗る者から当てられる。
二つ目、三つ目の犯人は、自ら認めて自死してしまい、最初の犯人も
犯行を認めるものの何か腑に落ちないものを感じ、この3つの殺人事件は
フェイクだと気づく。

そしてフェイクを乗っ取り実際の殺害に変えたの犯人がわかるけれど消える。


最後は、ちょっとファンタジーぽかったけど、まあまあ、これもいいか。
予想以上に楽しめたから。


                     ★★★★



発行年月:2022年4月


星の数ほどあるケーキの種類のなかでも、不動の人気を誇る「苺のショートケーキ」。「和菓子のアン」シリーズなど、甘いものを描いた作品に定評のある著者による、誰しも思い出のひとつやふたつはあるだろうショートケーキをめぐる5篇の連作集です。
大学生の<ゆか>と<こいちゃん>はどちらも、母との二人家族。父が出て行ってから買えなくなったホールケーキを求めて、ふたりは<失われたホールケーキの会>を結成、切れていないケーキを楽しんでいる。ある時、離れて暮らす父親から、「大事な話がある」と連絡があり……。(「ホール」)
俺が働くケーキ屋では、残りがちなホールケーキを予約なしに買ってくれるお客さんを天使と呼んでいる。天使の中には常連もいて、女子大生と思しきその二人組が俺は気になっている。どうやら彼女たちは、丸いホールのケーキにこだわっているようなのだ。(「ショートケーキ。」)
ケーキ屋で働く私には、嬉しいことがあったときにひとりで行う「趣味」がある。ケーキを冒涜しているようで人には言えないのだが……。
(「追いイチゴ」)
ママになった瞬間からさまざまなことがままならなくなった。大好きなショートケーキをもう一度ひとりでゆっくりと味わいたい。その願望を実現すべく、<あつこ>は二人のママ友と互助会を結成する。(「ままならない」)
央介の口癖は「嫁に行きてえ」、何事にも受け身で生きてきた28歳の会社員だ。ある時、領収書の不備を指摘されたのをきっかけに、会社の経理担当の女性のことが気になり始める。弟の学費を捻出するために倹約弁当を続ける彼女だが、どうやら本当はショートケーキが食べたそうなのだ。 (「騎士と狩人」)


                     (文藝春秋HPより)


短篇連作集。
どの話にも共通して出てくる、いちごのショートケーキ。

そして登場人物たちが、すこしずつリンクしていて、先に読んだ人が
関わっている仕掛けが楽しい。

一番最初の話で出てくる20歳の女子二人が買い求めるコージーコーナーの
イチゴショートケーキを手渡す、バイトの大学生・カジモトくん。
紙皿とフォークと0のローソクを袋にオマケで入れる場面を
2人の女子、カジモト君、カジモト君の先輩の視点でそれぞれ書いている箇所が
特にいい。


新米ママ3人の話も、良かった。
追いイチゴ・・・なるほどいいアイデア。
これはカジモトくんの先輩のアイデアだけど、それを実践するママ。


最後の話はにはカジモトくんのお姉さんが登場。
結構、お堅い性格で会社の経理担当をしている。
でも、ショートケーキを前にすると可愛らしい一面を見せる。
密かにそんな経理さんに好意を寄せる主人公だけど、なんと既婚者で
妊娠中というオチ。

ほっこり優しい連作集でした♪
最後の著者のあとがきも楽しめた。
坂木さんって、性別公表していないけど、女性だろうな・・・と思う。


                      ★★★★
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 5 6 7
8 10 13 14
15 16 17 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]