第1回日本ラブスト-リ-大賞・大賞作『カフ-を待ちわびて』から3年。
奄美諸島の小さな島を舞台に生まれた感動のサイドスト-リ-。
島を愛する旅人でフリ-タ-の純子と、故郷の沖縄を捨て、東京のキャリアウ-マンとして生きる成子。
ひょんなことから、この対照的な二人が出会い、ある目的のために奄美諸島の神秘の島々を旅することに・・・。
しかし、二人が見つけたものは、探していた目的以上の大きなもの。それぞれの「宿命」だった。
(宝島社HPより)
「カフ-を待ちわびて」は映画化が決まる前に読んでいました。
そちらは、幼いころに海で父を亡くし、母も出奔してしまうという重い過去を背負う明青の元に突然、島に来た幸という女性の話でした。
この「花々」は、明青と幸の傍らで、繰り広げられていた別のお話。
時々、明青や幸。
または、島の人々の様子もわかるので、なんだか懐かしい人たちに再会するような気分にもなれました。
今回の物語は二人の女性が主に語る形で進行していきます。
一人は看護師として都会で働いていたがいろいろな物(母親の介護、キツイ仕事、自分勝手な兄)から逃げるようにして、島に辿りつきサ-フショップでアルバイトをしていた純子。だがリゾ-トホテルの建設が始まる為オ-ナ-は店じまいをする事に決め、自身も行き先を考え始める。
そして、もう一人は、故郷の与那喜島から東京に出て、キャリアウ-マンとして忙しく働く成子。
夫は公務員だが、子どもはなし。結婚したのは、生活を安定させ、仕事に打ち込みたかったから。
夫は従順な人だが、あるとき「俺がいないほうが君はもっと遠くにいける。だから別れよう」と離婚を切り出され承諾する。
こんな対照的な二人の女性が、成子が故郷に一時的に戻ったとき、知り合う。
でも二人が、抱えているものが少し似ている。
それだからかな?気が合い、互いの連絡先を教えメ-ルで会話するようになる。
そして、成子が始めようと考えている仕事(ひとり旅が好きな女性が憧れる宿をプロデュ-ス)のリサーチを手伝わないか?と純子に勧める。
純子はそれを受け、互いに一人旅のリサ-チに出る。
そこで、出会う人たちから、いろいろな事を気づかされる。
純子は、奄美の与路島で。成子は奄美の加計呂麻島で。
そこに出てくる、それぞれの島民のとの関わりは良かった!
物語は「鳳仙花」「ねむの花、デイゴの花」「さがり花」「千と一枚のハンカチ」「花だより」と5つの話に分かれています。
どの話も目の前に青い海と青い空。
そして、綺麗な花が映像で浮かんでくるような物語でした。
二人が、それぞれの旅の末、久しぶりに再会するラストもステキでした!
あ~良い物語でした。
この表紙の写真そのままの雰囲気の物語!
最後の最後に「明青」と「幸」の事が二人の会話に出てきて、予期せぬ知らせに嬉しくなりました♪
原田さん、センスいい!
★★★★★
発行年月:2008年12月
「ハブテトル」とは備後弁で
「すねている、むくれている」という意味。
「ハブテトラン」は否定形。
東京の小学校に通う5年生の大輔は、あることがキッカケで一学期途中から学校に行けなくなっていた。
両親は相談し、母親の故郷である広島県福山市松永の祖父母の元で二学期の間は、そちらの小学校に通わせてみようと決める。
中島さんの本はこれで何冊目かな?
これは、一応、一般書なのかな?
でも、大輔と同年齢の子どもが読んでも楽しめる内容だと思います。
大輔目線のおはなしなので。
東京(行けなくなった学校)から離れ、両親とも離れた大輔。
祖父母やその周辺の大人たち、松永の小学校の同級生たちとの関わりの中では、とても生き生きしている大輔の暮らしぶり。
その中には、暗い影はあまり感じない。
周りの大人も子ども達ともすごく仲良く、楽しく関わっていて、読んでいても楽しかった。
でも、ちょっとした違和感。
松永の暮らしは、大輔には快適とも感じられるものだったけど、この後、東京に再び戻っても大丈夫なのかな?
大輔の留守中、両親は、再び東京の学校生活に戻るわが子の為には、何をしていたのかな?
が、わたしの中にありました。
東京の担任、クラスの子どもたちは、大輔が他の地で学校生活を送ることになった事をどう受け止めているのかな?
児童書として読めば、「良い思い出」を胸に東京でもがんばれ!と言えばいいのかもしれないけど、現実問題では、そう単純には行かないかも・・・・と考えてしまうのは考えすぎかな?^^;
大輔は、とっても素直で人の気持ちがわかる子。
こんな良い子が、再び、東京に戻ったとき、辛い目にまた合わないように、両親や周りの大人たちがもっと頑張って欲しい!!東京の大人たち、松永の大人たちに負けるな!
なんて思いました。
大輔は、もう十分、頑張ってるんだから!
★★★
発行年月:2008年3月
人気作家7人が贈る
「はじまり」の物語。
迷い、揺れ、苦しみながら選びとった、これがわたしの生きる道------。
オ-ル書き下ろし&オリジナルの珠玉のアンソロジ-。
(本の帯文より)
7人の作家さん。
名前は知っていますが、初めて読んだ方2人。
宮下奈都さんと福田栄一さん。
そして、この二人の作品が凄くよかった!
新しいお気に入りの作家さんに出会えてラッキ-!これぞ、アンソロジ-の良い点!
宮下さんの作品は「よろこびの歌」
母親が著名なヴァイオリニストで自身も幼い時からなんとなく音楽家になるんだと音大の付属高校に入学し、そのまま大学、大学院へ進むものだと思っていた玲。
だが、音大附属高をまさかの不合格。
主人公が仕方なく進学した高校で、今まで音楽に対して持っていた考え方を変える。
挫折を味わったことで、大切なものに気づく彼女。
福田さんの作品は「あの日の20メ-トル」
大学生になったばかりなのに、学校の講義を受ける気力がなく、屋内市営プ-ルに通うことを唯一の日課にしている克彦。
そこに一人の老人が「泳ぎを教えてほしい」と声を掛けてくる。
老人と接するうちに自分は、このままでいいのか?と気づく。
ここで共通してるのは、主人公が学生で、挫折を味わうということ。
二人はそれぞれ違う話の主人公ですが、ちょっと似てるな。なんて思って読みました。
このわたしにとって、初めての作家さんが1話目と2話目だったというのも、印象を強くした要因かも。
勿論、ほかの作家さんの作品も面白かったです!
1番好きだったのは、中島さんの「コワリョ-フの鼻」。
面白い!
夫婦が「鼻」について語るその様子がなんとも言えない雰囲気で、すきだなぁ~こういうかんじ♪
瀬尾さんの「ゴ-ストライタ-」は「戸村飯店青春100連発」の原型だそうで、既に「戸村飯店・・・」は読んでいるので、内容を再び思い出しました。
けど、まだ読んでない人は、是非、そちらを読んでね!というかんじ。
これだけじゃ中途半端な気がします。
伊坂さんの「残り全部バケ-ション」も変わった設定の話だったけど、なんだか愉快な気持ちになれた。
このアンソロジ-は、とても、よく出来たお話ばかりで、楽しかった!
はじまりの一歩というだけあって、状況はいろいろだけど、それぞれの登場人物たちが明るく一歩を踏み出すかんじのラストで読後感を爽やかなものにしてくれました!
★★★★
車や人から、飛行機、インタ-ネットまで。
最近の研究が、さまざまな
渋滞の謎を解明する。
第二章 車の渋滞はなぜ起きるのか
第三章 人の渋滞
第四章 アリの渋滞
第五章 世界は渋滞だらけ
第六章 渋滞学のこれから
「流れ」のあるところに、必ず「渋滞」あり!
(本の帯文より)
ゴ-ルデンウィ-クの初めくらいの朝のラジオ番組で、渋滞について、著者の西成さんがお話していて、なんだか興味が沸いて図書館から借りて来ました。
東京大学卒で、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻准教授の著者。
数理物理学者というエライ頭脳の持ち主なので、わたしには難解な、箇所もあり、その辺は、軽く飛ばして読みました^^;
でも、丁寧に素人にも比較的分かり易く説明してくれていると思います。
渋滞というとやはり、お出かけの時に、高速道路で運悪く、はまる渋滞が一番、最初に頭に浮かびます。
この書も最初はそんな、主に高速道路での車の渋滞について書かれていました。
それは、なかなか面白かったです。
事故があり、渋滞が起こるのは、誰でもわかりますが、自然渋滞って、どうして起きるの?は、誰もが疑問に思っていることだと思います。
その説明を読むと「なるほどね~」と理解出来ました。
著者の説明では、車間距離が40m以下になると渋滞が始まるのだそう。
皆が、どんな時でも必ず40mより広い車間距離を保とうと意識して運転していれば渋滞は起きないのだとか。
その理屈は本に書いてありましたがここでは省略^^;。
そして、その回避方法も少し書かれているのですが、実際、高速道路を運転するのは、主人なので、この書を読んで貰わなきゃ・・・笑
高速道路にある追い越し車線と走行車線はどちらを走る方が得か?
の項目も、なかなか興味がある項目でした。
これは、あまり多くの人が知って実践すると、効果なくなるので教えたくなかった事だけど・・・みたいに書かれてもいました。
でも、知っても「そうかなぁ~」っていう部分もありそうですが・・・。
この書を読んだから、渋滞を避けることが出きたりという単純なものでは、ないと思いますが、知識として知ってると、ちょっと楽しいかも。
中学2年の夏、少女たちは出会った。
ダブルダッチを通して、深まる友情。
成長する彼女たち。
スポ-ツを通した爽やかな青春スト-リ-!
ダブルダッチ=二本の縄を回し手(タ-ナ-)が内側にまわし、そのなかをジャンパ-が技を交えながら飛ぶスポ-ツ
物語の主人公は中学生の少女たち。
主人公の朋花はある日、高校教師の母親との会話でイライラし家を自転車に乗って逃げ出し校区から離れた公園で、偶然、ダブルダッチをする同じ中学の子たちに遭遇。
二人が縄を廻し、その中を見事な技で跳ぶ少女。
顔はみたことあるけど・・・話をした事もない子達。
まして、「あの子とあの子がなんで一緒に?仲良く?」と不思議がる朋花。
学校では優等生で同じクラスだけど、とても話しかける雰囲気ではない美咲。
茶髪で欠席、遅刻の常習者なこれまた近づき難い雰囲気の玲奈。
そして、皆は玲奈のパシリだと噂されている玖美。
通りがかりの「?」顔の朋花に「やってみる?」と気楽に声をかけてきた美咲。
やや挑発的な目で言われたが、玲奈が手本を見せる形で先に縄に入り挑戦することに有無を言わせぬ雰囲気。
なかなか縄に入るタイミングがつかめずいる朋花に的確な指示で誘導する玲奈。
何度か挑戦するうちに跳べるようになる朋花。
相変わらず、玲奈は乱暴な口の利き方だし、美咲はぶっきらぼう。愛想の良いのは玖美だけだけど、運動後の爽快感か?気分が良い。
そんなかんじが朋花と他3人の出会い。
朋花には、優等生だった兄がいるのだが、レベルの高い高校に進学した後、突然、行方不明になっている。
でも、時々、件名と写真が添付されただけのメ-ルが届くので、元気でいることは確かと思っている朋花。
だが、両親には告げるな!との約束を守っている。
朋花の両親って、そんなに子ども達から疎まれちゃう存在なの?と少々疑問でした。
同じ親として親の立場で考えちゃって・・・
どうしてそこまで、信用なくされちゃったんだろう?
多分、こういうことかな?という事は少し出てくるのですが・・・。
中学生なので、いろいろ多感な時期。
親以外にも学校の先生の言葉で傷つく場面も出てきます。
が、信用を寄せる大人も何人か。
同じ教師でも担任の渡部先生はなかなか良い先生。
生徒の言葉をよく聞き、信じてくれる。
子どもって、都合よく、ウソをつくこともあるけど、真剣に助けを求めているときには信じてあげないとダメなんだろうな。
ラストは、行方不明だった兄も、朋花の母親もなんとなくこの後は、歩み寄り、関係が少しずつ修復していくのかな?と希望が持てそうでホッとしました。
お兄ちゃんとその友達の関係もいいな。
人って、多くの人と接して、いろいろな経験をすることで大きく成長していくんだなぁ~。
濱野さんって若い人の心理がよくわかるのね。
若い人なのかな?と思ったら・・・・後ろのプロフィ-ルみて1956年生まれとか。
わたしより年上の人なんだ!?ちょっとビックリ!
うしろのあとがきにあったけど、実際に体育館に座り込んで現役の学生さんから取材したとか。
前回、長女に薦められて読んだ「その角を曲がれば」も楽しかったし、これも長女の後に読みましたが大人が読んでも楽しい話でした。
また、爽やかな青春小説、読ませてくれるかな?
新刊を楽しみにしています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;