無数の物語が、ギリギリのところですれ違ったり、ときに交錯したりしている。それは誰の身にも、きっと起きる。
もちろん、私自身にだって。
大切なのは、それに気づくかどうかということ。
『ななつのこ』 『魔法飛行』に続く
待望の駒子シリ-ズ第三作
(本の帯文より)
『ななつのこ』は、独特の形式に驚きつつ感動し、『魔法飛行』は謎の手紙の送り主の真実にまたまた最後、驚き、そして続く三作目。
最初の「スペ-ス」は、いきなり手紙。
これがまた長い手紙で、内容は他愛もない事なので、少々、途中は飽きました^^;
が・・・・今までの加納さんの作品は、これが後で活かされるのだから・・・・となんとか頑張って読みました。
で、次の「バック・スペ-ス」は、駒子と同じ短大に通う、まどかの話。
「スペ-ス」にあった、長い手紙の全ては、まどかが双子のはるかに宛てて書いたものだと途中で気づきました。
そして、まどかの話がなかなか良い話で・・・。
じ~んと胸の奥に温かいものが溢れるかんじでした。
で、またまた最後にびっくり&嬉しい事実!
へ~そうだったんですか!!??
今回は、瀬尾さんと駒子から離れた話だと思いながら読んでいたので、ラストは嬉しかった!
じゃあじゃあ、ダブルで再会という話はないのかしら?なんて一人想像したりして(^^)
駒子シリ-ズはこれで終わりかな?
続きがあっても楽しそうだけど・・・・
わたしは『ななつのこ』~3作をほぼ連続で読みましたが、これらが作品として発行された期間は結構、空いてるんですよね?
『ななつのこ』が加納さんのデビュ-作で、この『スペ-ス』はそれから10年以上、経っている!
著者の加納さんも「はじめに」で、その辺のことを書かれていましたが・・・・。
シリ-ズ3作の中では、まどかさんのお話(バックスペ-ス)が一番好きだな。
★★★★
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ジャズピアニストのおふくろは、あいつと再婚するんだろうか?
事故で父親と片腕を失った少年と、母親がつむぐ新しい家族の物語。
(偕成社HPより)
『サマ-タイム』の続編ですが、お話は、サマ-タイムのサイドスト-リ-のようなかんじ。
こちらにも2編の話が収められています。
表題作「九月の雨」は、16歳になった広一が、母親の再婚相手になるかもしれない男性・種田との関わりについて語る。
時々、3年前(サマ-タイムの時期)出会った進と佳奈と過ごした夏の思い出を振り返りながら。
種田は、今まで母が付き合ってきたタイプの男性とは、正反対で、見映えもしないし、話をしていても冴えないかんじで、彼といるとイライラ感さえ感じてしまう。
ある日、母の留守に訪ねてきた種田を最初は、疎ましく感じながら接する広一だが、ある事を一緒にやるうち、種田の本当の人間性に気づく。
広一の心の変化が読んでいて、嬉しかった。
きっと新しい家族を広一も温かく迎えるんだろうなぁ~なんて思いました。
もうひとつの話「ホワイト・ピアノ」は、14歳になった佳奈。
広一が引っ越してから届けた手紙は、あまりにもそっけないものでややガッカリしている。
でも、いつも心の中には、弟の進と三人で過ごした夏の思い出は大切にある。
ピアノの修理工場の社長令嬢・亜紀に「ホワイト・ピアノを見に来ない?」と誘われ遊びに行く。
亜紀は大人びた物言いをする子で、ロマンチックな夢を語ったり・・・。
そんな亜紀と話をしていると、やはり広一の事が頭に浮かんで来る。
ホワイト・ピアノを調律している千田という26歳の青年。
初恋の人が、ある日、そのピアノを突然、買いに来たが、気に入らないと言われてしまったのは気の毒だったな。
でも、その後の千田青年の行動は感動。
優しい人なんだなぁ~。
そんな優しい彼に接しながら、佳奈は再び、広一の事を想う。
彼と二年前に喧嘩しちゃったこと。そのまま引っ越して行ったこと。
そっけないと思った手紙だけど、わたしの事をまだ想ってくれているのかも・・・・。
なんだか、切ないな。でもすごくいいな。
実際は前作『サマ-タイム』の最後に、大人っぽくなった広一が佳奈の家を訪ねて二人は再会する場面があるので、この物語は、そこに行くまでの二人の出来事という事かな?
今回の挿絵も毬月絵美さん。どれもステキでした。
色つきで全部見てみたい!
わたしは、単行本で「サマ-タイム」「九月の雨」と読みましたが、文庫本「サマ-タイム」には、単行本にそれぞれ2つずつあった話、全4話が1冊に収められているようです。
これを読んで、ちょっとでも興味を持たれた方は、文庫本で一挙に読むのもいいかな?
その場合の挿絵はどなたでしょう?
そこまで、調べてなくてすみません^^;
★★★★
妙な振る舞いをする女の子、噂の幽霊を実地検証した顛末、受付嬢に売り子に奮闘した学園祭、クリスマス・イブの大事件・・・・・文章修行を始めた駒子だが近況報告のように綴る物語は。謎めいた雰囲気に満ちている。ややあって届く返信には、物語が投げかける謎に対する明快な答えが!
デビュ-作『ななつのこ』に続く会心の連作長編ミステリ。
(東京創元社HPより)
少し前に『ななのこ』を読みました。
物語は、今回も駒子が日常で感じたことを綴る形式。
ただし、物語にしてという設定。
そして、それを読んだ感想を瀬尾さんが手紙で送ってくる形式。
このやりとりは第一作とさほど変わらない。
駒子の日常の少し疑問に持つ出来事に対して、その予測みたいなものを瀬尾さんが送ってくるのもおんなじ。
日常の出来事はどれも読んでいて楽しい物なので、いいのですが、この形式にやや飽きました^^;
今回は、更に、瀬尾さんの感想文の後、謎の第三者が駒子の日常を覗き見ているかのような手紙を送って来るほうが気になりました。
その謎は最後に明かされて・・・なるほど!と最後に楽しめたので、読んだ甲斐はあったかな?
シリ-ズ3作目も一応、手元に借りてあるので、読んでみたいと思いますが、今までの加納さんの作品とは違い大した感動がないのはどうしてだろ?
わたしだけかな?と思ったら、同じく既に三作読んでいる主人も同様の感想でした。
★★★
現実と幻想のアヤフヤな存在で未熟者だから念力は3分間しか続かないけど、困った人を助ける為に旅をしているのだという足みじかおじさんのお話
副題どおりの おとなのメルヘン
35編の短いお話。
足ながおじさんは有名だけど、目立つのはイヤだという足みじかおじさん。
困っている人の側にいつの間にか現れ、どうして困っているのか?話を聞いてあげる。
そして、助けてあげる。
助けたあとで、自分は困った状況に陥ることもあるのに、助かった人の事を喜んであげる。
人間以外の者(動物だったり妖精だったり・・・)にも手助けしているのも面白い。
以前は人気者だったTVの人気キャラクタ-・おたすけキットがもう一度、人気者になりたいとおじさんにお願いする話は愉快であり、それに応えるおじさんの言葉はなかなか奥が深い。
自分も同じような立場だけど「助ける人は目立たない方がいい・・・・」と。
おじさんは、アドバイスした後、一人になって「あれで良かったのかな?」と度々するのですが、ここでは「そういう方法があれば、自分も一度くらい人気者になりたかった」と洩らすのが、面白くもあり切なくもあり・・・。
最後のあとがきで、やなせさん90歳になられたんですね?
ビックリ!
★★★★
1960年、小学校4年生のマリは、プラハのソビエト学校にいた。男の見極め方やセックスのことを教えてくれるのは、ギリシャ人のリッツァ。ル-マニア人のア-ニャは、どうしようもない嘘つきのまま皆に愛されていて、クラス1の優等生はユ-ゴスラビア人のヤスミンカだ。30年後、激動する東欧で音信の途絶えた彼女たちと、ようやく再会を果たしたマリが遭遇した真実とは-----。
(本の帯文より)
先日、読んだ、「打ちのめされるようなすごい本」が、すごく面白かったので、過去の出版物に大いに興味を持ち先ずはこちらの書を読みました。
これもまた引き込まれるように、読みました。
米原万里さんは、お父様が日本共産党員でそこからの派遣でプラハの『平和と社会主義の諸問題』という雑誌の編集局勤務をしていたそう。
同じように父親が共産党員である子ども達が多く、ここで登場するリッツア、ア-ニャ、ヤスミンカの家族も共産主義こそ人類最高の考え方をしている。
みんな同年齢なのだが、国はバラバラ。
ソビエト学校には、実に多くの国々の子ども達が集まって学んでいたらしい。
生まれた時から祖国を離れている者も多いけど、愛国精神は皆、とても強く自分は国の代表としてここに居るのだと思っているからスゴイ。
そして国は違っても、かけがえのない友情は育つものだと思いました。
しかし、激動の時代ゆえ、元々は差別な平等な理想社会をめざし闘う仲間同士の親たちが、国が違いその考え方にズレが生じると相手の事を汚く罵りあう。
子ども達の育んだ友情も哀しいことに隔てられたり・・・・。
米原さんがプラハに居た時代に知り合った人たちを30年後に訪ねるのもすごい。
日本に帰国した米原さんは友人たちと文通をはじめるのだが手紙が届かなくなりありそれは資本主義の国とは関わりを禁じられていたからとソ連崩壊後に知ったとか。
それでも、友人たちの安否が気になり、再会を願って訪ねて行く。
絶対、会えないでしょ?というような状況にも関わらず、運よく、皆と再会出来て、読みながらこちらまで感動しちゃいました。
再会した友だちはそれぞれ、社会的にも立派に活躍されていたのもすごい!
そうなるまでの苦労も並じゃなかったでしょうに・・・・・。
激動の東欧社会(最近は中欧に分類される国もあるそうですが)の歴史も万里さん自身が体験してきた事実と照らし合わせて読むと、、頭に整理されて入ってくるかんじがして、いろいろと学ぶ事が多い書でした。
う~ん、やはり米原さんってスゴイ方だわ!
文章が読みやすく、時にはユ-モアで笑わせてくれます。
これもお勧めの本です!
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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