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読んだ本の感想あれこれ。
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45906bdf.jpg発行年月:2008年2月


このブックレスト(岩波ブックレストNo.718)は
2007年11月に行なわれたシンポジウム
「なくそう!医師の過労死」(主催:過労死弁護団体全国連絡会議)の内容を再構築したものである。


                  (本の表紙裏解説より)


5人の著者がそれぞれの立場で経験した医療の現場。
医師たちが、それだけ過酷な労働を強いられているのかを克明に述べた書でした。

著者略歴

岡井 崇・・・昭和大学主任教授。産婦人科。東京大学医学部助教授、愛育病院副院長を経て現職。
日本産婦人科常務理事なども務める

川人 博・・・弁護士

千葉康之・・・ちばこどもクリニック院長。小児科医。大学病院や公立病院などの勤務医を経て現職。
専門は小児神経学・睡眠学

塚田真紀子・・・ジャ-ナリスト。読売新聞記者を経てフリ-に

松丸 正・・・弁護士
過労死弁護団体全国連絡会議代表幹事

                             (2008年2月現在)

これを読むと、ちょっと怖くなります。
大事な命を預かり、その生死を左右する医師の勤務状況が、こんなに過酷でいいのか!?と。
ここでは、特に産婦人科と小児科の医療現場の様子がその現場を見てきた医師によって語られ、早くこの状況を何とかしなくては!という切実な思いが伝わってきます。

また同じように、そんな状況を追ったジャ-ナリストと弁護士の伝えた事もよく理解できます。

でも、一国民はどうしたらいいんでしょう?
国のお偉い方々に、この状況を知ってもらい、なんとか早い時期での対応をして貰わなきゃ!

先ずは、みながこの状況を知るべきだと思います。

丁度、岡井先生書「ノ-フォ-ルト」を元にドラマ化された「ギネ」が放送中ですが、そういう物をキッカケに多くの人に、今の医療(医師の過酷な労働状況)を伝わるといいなと思います。

世界的にみても、最悪な労働状況下での医師たちですが、産婦人科では、妊産婦死亡率、周産期死亡率ともに減少していて、周産期死亡率は世界一の低さという素晴らしい結果を残しています。
これは、著者の岡井先生の述べていますが、凄い誇れる事です!!

そんなに頑張っている先生方が、壊れてしまわないうちに真剣に何か策を講じて欲しい!!

娘達がその子ども達が出産したり、病気になったとき、安心して病院に行ける万全な体制を医療機関が取ってくれていないと、困ります。

医療の現場を全く知らない人たちに読まれるべき書だと思います。

★★★★★

 



              
PR
2d7861d5.jpg発行年月:2007年9月


江戸の町で、女郎が次々と殺されていく。誰が、何のために?切れ者ゆえに世にいらだつ若き同心・信次郎は、被害者の一人が挿していた簪が、元暗殺者の小間物問屋主人・清之助の店『遠野屋』で売られていたことを知る。因果ある二人が交差したとき、市井の人々が各々隠し抱えていた過去が徐々に明かされていく。
生き抜く哀しさを、人は歓びに変えることが出来るのか?

      
              (本の帯文より)


前作『弥勒の月』の続きのお話でした。
物語は前作から1年半が過ぎた設定。

前作で登場の人々が再び登場で、同じ舞台で話が流れいくんだな~というかんじが嬉しい。
小間物屋の遠野屋が今回も事件に大きく関わってきました。

今回の被害者は、女郎たち。
そんな女郎の一人・おいとの物語が最初に出てきました。
女郎という世界に自ら入ったおいと。
幼い頃、兄と慕っていた信三と小間物屋の遠野屋で偶然、出会うところから、後の事件が起きてくる。
自分の今の状況を正直に言えない、女心の切なさを感じ、二人が幸せになれるといいな・・・
なんて思っていましたが・・・・・・・・


事件解決に走り回る同心・信次郎と岡っ引き・伊佐治の関係も前回と同じく絶好調!
今回も事件は相次ぎ、何人も酷い殺され方をする人が出るのですが
事件が起きると張り切る信次郎と伊佐治。
素直じゃないひねくれ者の信次郎に対して時に親のように意見したり・・・
人に対しての口の聞き方を時には横から咎めたり・・・・
まるで親子のような微笑ましい二人の会話の場面は、一時の癒しでした。

いろいろな人のそれぞれ背負って来たものが明らかにされていて、中には辛い生き様もありました。


清之助もそんな辛い過去を持ったひとりでしたが、小間物問屋の主人として、これからは安泰に暮らせるのかな?
一人、家族が増えた事が、その希望に繋がるといいのにな。

ちょっと変わり者の同心・信次郎にも家族が出来たらいいのになぁ~なんて思ったり・・・・。
結構、信次郎、わたしは前作から好きなので・・・(わたしも変わり者か?^^;)

物語は更に続くようなので、手元に来る(図書館本)のを楽しみに待っているところです。


★★★★

e2d82815.jpg   発行年月:2006年2月


   小間物問屋遠野屋の若おかみ・おりんの水死体が発見された。
   同心・小暮信次郎は、妻の検分に立ち会った遠野屋主人・清之助の眼差しに違和感を覚える。ただの飛び込み、と思われた事件だったが、清之助に関心を覚えた信次郎は岡っ引き・伊佐治とともに、事件を追い始める・・・。“闇”と“乾き”しか知らぬ男たちが、救済の先に見たものとは?
   哀感溢れる時代小説!

        
                           (光文社HPより)

若い女性の飛び込み自殺?かと思われる事柄が発端で、それを目撃した者、また別の者と見事なまでの刀捌きで人が斬られる事件が続く。
一体、誰が?
主な登場人物は、さほど多くないけど、どんどんいろいろな人が登場し、怪しい人だらけ?
予想不能で、果たして、この一連の事件はどう決着するのやら?と思いながら読みました。

最後の方で、事の真相がわかったけど、意外なものでした。
これじゃ全く、予測不可能だわ~

でも、同心・小暮信次郎とそれに仕える岡っ引き・伊佐治の事件の真相究明に向けての動きは面白かった。
伊佐治は、なかなかの人情者なので、信次郎の事は頭は切れるけど、人柄には難なりと思いながら仕えている様も愉快。

確かに、結構、皮肉屋だったりするけど、信次郎わたしは好きだな。
人を見る目は確かだし、肝心なところでの優しさは出せる人だと見た。

事件の軸となる遠野屋の若旦那(おりんの夫)・清之助は、最初、怪しいかんじなのだけど、哀しい過去があった方でした。
最愛の妻を亡くし、この物語では一番、傷を負ったでしょう。

最後は、清之助も少し救われたということかな?

なかなか、読み応えのある話でした。

この作品は、シリ-ズ化?
まだここだけでは「?」の部分があったけど続きでその辺の話も出てくのかな?

同心・信次郎と岡っ引き・伊佐治のコンビでの事件解明・・・今後も楽しみ。
ということで、これと同時に次も手元に取り寄せました。(図書館本)

もう1冊も楽しみに読んでみます。

★★★
52b9aeba.jpg発行年月:2009年5月


シャレにならない大人の事情------
朝倉かすみが贈る、ほろ苦くもエロテックな恋愛短編集
「わたし」を脱いで裸になりたい

恋愛小説誌「Feel  Love」に掲載された5編と書き下ろし1篇を加えた短編集


                     (祥伝社HPより)

エロテック?そうかな?それほどでもなかったけど・・・・^^;

6編の短編の主人公たちの殆ど独身で40歳前後。
 
昔の彼を思い出してみたり、今の恋愛を考えたり、将来を憂いてみたり・・・・・
主人公たちの周りの人間関係も描きつつ、その心情を鋭く表現していて、朝倉さんって、ホントこういうちょっと自虐的なかんじの女の人の話が多いなぁ~。
そして、上手いな~。

性に関する欲望みたいなものも出てくるけど、大人の女性ですから・・・・このくらいはエロテックのうちには入らないでしょ?なんて読んでいました。

特に面白かったのは

「誦門日和」・・・商店街の本屋の娘・わたしと青物屋の晴子のはなし。晴子は、父親と二人暮らし。
小さい時からわたしは晴子と遊び、周りからはしっかり者で礼儀正しい子と評価されていた。
が、晴子にはどこか人を惹き付ける魅力があり、成長すると男出入りの激しい子と周りから評価される。わたしは、小さい頃のまま、真面目だけど不器量。
自慢の兄まで晴子に魅せられて。。。。

最後の最後、ペ-ジをめくった後の晴子の描写が何か切なく、衝撃的!


もうひとつ気に入った作品
「小包どろぼう」・・・宇津井茂美は43歳独身。妹は結婚し娘がいる。
母親の姉のきみちゃんも70歳過ぎで独身。自分の姿と伯母のきみちゃんの姿を重ねて将来をあれこれ思う茂美。
ある日、父の上司の息子たちをある事情により1晩泊めることになっていた日、きみちゃんが肺炎で入院の知らせがあり両親は病院へ。
留守中、上司と思われる杉山とその部下と息子が訪ねてくる。

一人暮らしの伯母は、寂しい暮らしをしていたわけじゃないし、茂美にも何やら恋の予感めいたものを感じるラストが明るくよかった。


朝倉さんの短編作品は、ササ~ッと読めていいな。

★★★
            
                  

b8ae15dd.jpg発行年月:2009年9月


癒えることなどないのか?
はるか昔の一家皆殺し事件が17年たった今
心ひかれあう2人の大学生にのしかかるなんて------

死刑や裁判員制度をも問う心ふるえるミステリ-!


                 
(講談社HPより)

17年前の弁護士・桜井裕一一家が殺された。
主犯は西川正実。共犯は小田島清彦。
一審では二人とも死刑だったが、二審で西川は死刑のまま。
小田島は無期懲役の刑が確定。
西川の刑は既に執行されている。

物語は、共犯で無期懲役の小田島が18年足らずで出所したところから始まる。
加害者二人の関係は従兄弟同士。
小田島が出所した事実は、すぐに主犯とされた西川側にも知らされ・・・・

最初、人間関係がちょっとゴチャゴチャしましたが、段々と読み進めるたびに、驚きの相関図が出来上がっていきました。

小田島は登場と同時に、胡散臭く、イヤなかんじ。
事件の本当の内容は、割と早くに知らされ、やはり小田島はとんでもない奴!と思いますが、どうしてそういう事に及んだのか?は最後までよくわからず、ちょっと「?」と思いました。

加害者で、主犯とされた西川正実の家族は随分な傷痕を受けました。

そして、被害者側でも当然、大きな傷痕を受けたひとたち。
特に桜井香子は、気の毒過ぎる。
自分の存在価値がこんな理由だったなんて知ったら、耐えられないかも。

それは父が遺族として事件の哀しみに耐えられず起こした異常な執念だったのか?
研究者の考える事って怖いわ~

一般的には、人を殺したのだから犯人側は苦しむのは当然でしょ?とも少し思いますが、
本当にそんな風に単純に考えていいのかな?

罪を認めた(否定しなかった)から犯人としてしまう事の怖さを感じました。

こういうの読むと、裁判員制度によって、もしも裁判に参加しなくてはいけない立場になるのが、またちょっと怖くなる。
死刑制度についても、考えちゃう。

無期懲役が本当に無期懲役でないことが問題なのか?とか。

重く哀しい物語だったけど、最後は少しそれでも明るく終わってホッとした。


★★★



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