発行年月:2015年3月
面倒だけれど愛おしい――「ふるさと」をめぐる5つの物語
桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行先で待つものは――。婚約者の実家を訪ねて郡山へ。亡くなった母の七回忌に出席するため仙台へ。下級生を事故で亡くした小学4年生の女の子は新花巻へ。実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと……複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く、「はじまり」の物語。ふるさとから離れて暮らす方も、ふるさとなんて自分にはない、という方も、心のひだの奥底まで沁みこむような感動作。
(実業之日本社HPより)
ふるさとを思いながら、東北に新幹線で向かう人々の物語5つ。
その話も人を想う優しさがあって、温かい気持ちにさせてくれる。
<モッコウバラのワンピース>
千葉から宇都宮に1人で暮らす祖母を訪ねる大学生の智也。
祖母は、50歳を過ぎてバスツアーで旅した栃木県で出会った男と再婚した。
<からたち香る>
婚約者の実家、福島に挨拶に行く律子。
<菜の花の家>
母の法要で4年ぶりに故郷の仙台に向かう。
機嫌が悪くなった姉の一人娘・百花(4歳)を気を紛らせるため連れ出す。
話のなかで、「おばあちゃんと緑色のお団子を一緒に作って食べたよ」と。
<ハクモクレンが砕けるとき>
叔母の結婚式のため、家族で岩手に向かう小学2年生の知里。
旅の途中、思い出す事故で亡くなった同級生のみどりちゃんのこと。
<桜の下で待っている>
新幹線の車内販売をしている、さくら。
成人してすぐに両親が離婚し、母は別の家庭を持っている。
離婚当時はまだ中学生だった弟・柊二が相談したいことがあると言い会うと・・・
東北新幹線、乗ったことないので、東北地方に新幹線で行ってみたくなった。
最後の話の、さくらが、前の話の主人公たちと車内ですれ違っていると
思うと楽しい。
★★★
発行年月:2015年6月
実在する航空自衛隊機動衛生隊の医療チームと輸送機の機長を描くヒューマン・サスペンス。空飛ぶICUと呼ばれる世界有数の装備を大型輸送機に積み込み、緊急を要する患者を遠隔地に運ぶのが任務。スタッフの医官、救命士は患者のために、機長は医官のために全力を上げる。高度1万メートルで起きた緊急事態。限られた時間。襲いかかるプレッシャー。医官と機長が連携プレーで、預かった命を守る。
(徳間書店)
今回は、航空自衛隊の航空機衛生隊のお話。
北海道から、患者を日本全国、運ぶ。
最初の患者は、28歳の腎臓と膵臓の移植手術を受ける砂川理生(としお)。
両親と妹も同乗の航空機のなかで、起きた一悶着。
それを見事に収めたのは、医師・内村彰吾(30歳)。
彰吾が主人公かな?
色々な経験を積んで、周りの仲間との関わりから、どんどん、成長していったかんじ。
パイロットの鰐淵啓と義理の兄弟になる間柄になるとは、
ちょっと予想できない展開でしたが、ちょっと良い感じ。
彰吾自身も看護師の前島との関係を今後、強めて行きそうで、
お仕事の方より、恋愛話の方が主?
ちょっと今までの硬派な福田作品とは、違いましたが、まあこういうのも
読みやすくていいか?
ちょっと有川浩さんっぽいかんじだったけどね^m^
また同じメンバーのその後の話もあったらいいなぁ~。
★★★
発行年月:1990年5月
夢み、涙し、耐え、祈る……。梨園の御曹司に仕え、けなげに、烈しく生きた或る女の昭和史。

夢み、涙し、耐え、祈る。梨園の御曹司、雪雄に仕える光乃の、献身と忍従の日々。雪雄の愛人の出産や、料亭の娘との結婚・離婚にも深くかかわる光乃。一門宗家へ養子に行く雪雄につき従い、戦中の、文字通り九死に一生の苦難をも共に乗り越えた光乃。続く戦後の混乱期、雪雄の子を宿していると気づいた光乃の、重い困惑と不安……。健気に、そして烈しく生きた、或る女の昭和史。
(朝日新聞社出版HPより)
昨日から、上下巻、一気読みしました!!
光乃の生き様、凄い!
こんな苦労、実際そうそう出来るものじゃない!
女中として仕え、その後は、売れっ子歌舞伎役者の妻として生きた光乃。
夫婦になれたことは喜ばしいことなんでしょうけれど、この世界に入らなければ
もっと静かな幸せを得られたとも思い、何とも複雑な気持ちになりました。
でも、光乃は、幸せだったんでしょうね。
最期、病死する光乃ですが、最後の最期まで苦しんだ姿は、心が痛くなりました。
最期くらい、安らかであって欲しかった。
でも、凄い小説でした!!
★★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;