発行年月:2017年11月
答えはいつもふたつある。
吉田篤弘が、京都の街を歩きながら
「本当にそうか?」と考えたこと。
ミシマ社創業十周年記念企画
この街で考えたことを、これまでに何冊かの本に書いてきた。ただ、それらのほとんどは小説だったので、物語のどの部分が京都で考えたことであるかは判らない。いまこうして書き始めたこの本は小説ではなく、京都で考えたことをありのままに書こうという本である。――本文より
(ミシマ社HPより)
吉田氏が考えたことを綴っただけの本。
それでも面白い。
東京に生まれて、東京に暮らす著者が、京都に行って、ブラブラ街を歩き
古書店や喫茶店に寄りながら、あれこれ考える様子が楽しい。
こんな風に京都の街を歩き廻りながら、多くの小説の元が生まれているのか?
掌編小説<スリンク>も良かった。
夕方になると動き出す機械。
50円を入れて覗き窓を見ると奥に見える、この世のどこかにあるような
懐かしいもの。
何処か懐かしい子ども時代を思い出すような話。
この後、マルヤマとイツキはどんな会話をしたんだろ?
すぐ読み終えてしまったけど、やはり独特の雰囲気で好きだ。
★★★★
発行年月:2017年5月
羽野千夏は、民俗学の「口頭伝承」を研究する大学生。“消えない記憶”に興味を持ち、認知症グループホーム「風の里」を訪れた。出迎えたのは、「色武者」や「電波塔」などとあだ名される、ひと癖もふた癖もある老人たち。なかでも「くノ一」と呼ばれる老女・ルリ子は、夕方になるとホームから脱走を図る強者。ほとんど会話が成り立たないはずの彼女が発した「おろんくち」という言葉に、千夏は妙な引っ掛かりを覚える。記憶の森に潜り込む千夏と相棒の大地。二人を待っていたものは……!
(講談社HPより)
千夏と老人たちの会話が愉快。
自然と老人たちを語らせるのが上手い!
民俗学っぽい話を語る青村ルリ子(92歳)。
「おろんちく」「がらんど」・・・何やら怪しい気配。
その単語の意味を知りたいとネットに投稿し、反応したのが高校生の立原大地。
母親との折り合いが悪く不登校になり未来を失いかけた大地だったけれど
千夏と交流し、一緒に謎を追ううちに、なんだか活き活きしていった。
老人たちも共通の話題で盛り上がって楽しそう。
認知症の人がこんな風に即、反応するのは、ちょっと出来すぎだとは
思うけれど、物語としては面白かった!
千夏と大地、いいコンビだな~。
本当の姉と弟みたい。
社会問題も絡んで、楽しいばかりじゃない話だけれど、読み始めたら
一気読みだった!
他の作品も俄然、興味が沸きます!
★★★★
発行年月:2017年11月
中学校教師と作家の二足のわらじを履く多忙な生活から一転。
主婦となり、のん気な夫とやんちゃな娘と暮らす毎日が始まって──。
ほのぼのとおかしく、心があたたかくなる、著者初の家族&育児エッセイ。
(集英社HPより)
良い物語を書く作家さんの日常を知れるエッセイは楽しい。
瀬尾さんは中学校教師を辞めたんですね。
主婦、作家、子育てだけでも大変なのに、教師まではムリですよね~。
エッセイは40歳前に結婚して、出産、娘さんの幼稚園卒園までを綴ったもの。
ご主人がユニーク。
よく寝る上に早起きして30分かけて食事して、出勤前5分、再び寝るって
ビックリ!
そんな風に二度寝する人、他にいないと思う・・・笑
そんなご主人とどうやって知り合ったんだろ??
ちょっと興味が沸いてしまった。
娘さんはご主人似の性格かなぁ~?
やんちゃで可愛い姿は、ほのぼの。
これから、小学校生活か~。
そんな話もまた読ませて欲しいな。
自分の過去の子育てを思い出しながら楽しく読んだ。
★★★
発行年月:2017年5月
「遠吠えを、ひろっているんです」彼は水色の左目を光らせた。
……消えていった音、使われなくなった言葉を愛し収集する人たちと
作家・吉田さんの小さな冒険譚
(筑摩書房HPより)
素敵なお話だった。
音響技術者の冴島と作家の吉田。
編集者の茜 喜和子とその友人の代筆屋・夏子。
『バッテン語辞典』の編集に取り組む白井先生。
白井先生は、病気で亡くなってしまうのだけど、登場人物たちは、皆、先生の
元で働いた過去があって・・・
先生の恋文が出てきてから話は、更に面白くなった。
そして、恋文を先生が書いた本当の理由がわかって、ああ、なんて素敵なんだ
白井先生!!
吉田さんの作品、いつもよくわからないけど、この文章、醸し出される雰囲気
好きだな~というのが殆どだったけど
これは、わかりやすい素敵なお話だった。
犬の遠吠えは、過去の音を犬が見つけた反応
そんな風に考える吉田さんのセンス、やはり好きだ。
読んでいて本当に気持ちいい文章。
これ、今までで一番好きな作品かも。
★★★★★
発行年月:2017年12月
著者充実の4年間のあゆみを堪能できる、宝箱のようなエッセイ集!
ふるさと福井で、北海道の大自然の中で、のびやかに成長する三人の子どもたち。
その姿を作家として、母親として見つめ、
あたたかく瑞々しい筆致で紡いだ「緑の庭の子どもたち」(月刊情報誌「fu」連載)
4年分を完全収録。
ほかに、読書日記、自作解説ほか、宮下ワールドの原風景を味わえるエッセイ61編、
掌編小説や音楽劇原作など、単行本初収録の創作5編も収載。
本屋大賞『羊と鋼の森』誕生前夜から受賞へ。
そしてその後も変りなくつづく、愛する家族とのかけがえのない日々。
著者充実の4年間のあゆみを堪能できる、宝箱のようなエッセイ集!
地元の新聞社が月に一度発行する情報誌『fu』に、
二〇一三年からエッセイを連載してきた。
「緑の庭の子どもたち」という、子どもたちがテーマの文章だ。
本になるとは思っていなかったので、ずいぶんリラックスして書いている。
寝ころんで読んでもらえるくらいでちょうどいいなと思う。
読んでくれた方の夢も、きっといつのまにか叶っているに違いない。
これはしあわせのエッセイ集なのだ。 (「まえがき」より)
(実業之日本社HPより)
ホント、これはしあわせのエッセイ集!
読みながら温かい気持ちになれる。
3人のお子さんたちが皆、いい。
男の子2人と末っ子が女の子。
長男君は、大らかなかんじ。次男くんはしっかり者、末っ子さんは
料理好きな女の子らしい子。
長男くんが大学受験の年に本屋大賞『羊と鋼の森』を受賞して、
受験生の親らしいことが出来なかったと謝ると、放っておいてもらえて
助かったと言われたと。
ああ、素敵な家族だ~(:_;)
宮下さんの物語に音楽絡みのものが多い理由もわかった。
表紙の絵も可愛くて好き♪
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;