12歳のおふくは、江戸・深川の料理茶屋「橘屋」に奉公に出る。
仲居頭のお多代に厳しく躾られ、おふくは仲居として成長していく。
橘屋に関わりのある人々の生き様を書いた連作7つの物語。
自分の与えられた仕事を誇りをもって真剣に取り組むことの大切さを感じました。
この時代の話は、ほかの小説でも読みます。
12歳くらいになると、よほど裕福でない限り、子ども達は親元を離れて、奉公に出る時代。
そして奉公先での苦労話。
おふくも12歳で慣れない場所に来て、仲居頭の、お多代に厳しく躾けられ、時には涙することも。
しかし、自分の居場所は、ここしかない!ここで頑張るしかないのだ!という気持ちが常にあるかんじ。
お多代のことも、厳しいなとは思ってもイヤだなとは思わない。
どんなに厳しくても、一生懸命に仕事に励む姿が、周りで働く人々やお多代にも認められます。
7つの連作短編ですが、舞台は、料理屋「橘屋」なので、違う話でも、おふくやお多代が登場し、橘屋の様子をずっと覗き見しているような気持ちで読めて楽しかった。
厨房の料理をする様子も見えるよう。
包丁のトントンという音が聞こえて、何かを煮込む鍋から湯気がたちのぼる。
お客さんに膳を運ぶ、仲居の廊下を忙しく行き交う姿。
そんな物を自然に頭に浮かべるかんじ。
おふくの成長も頼もしかったのですが、厳しくしながらも、きちんとその成長ぶりを認めている、お多代が素晴らしい。
こんな上司の下でなら、どんな苦労も厭わず、部下は働けるんだろうなぁ~なんて現代に置き換えたりして。
おふく以外の仲居たちへの指導も的確で、実に格好いいのです!
女性として憧れるちゃいます。
しかし、そんな格好いいお多代も時代的には、とても苦労していて、最後の方で20歳になった、おふくとお多代の会話は、感動しました。
現代でいうと、上司と部下みたいな関係だったのが、信頼し合う友、いやそれ以上かな?
信頼し合う姉妹みたいな雰囲気で、良い感じ!
なんだか、泣けました。
表紙の絵にある鳥は、百舌(モズ)で花は橘でしょう。物語のなかにも登場していました。
切ない恋もあり、この時代ならではの、しっとり落ち着いた雰囲気がいい。
児童書、青春物、そして時代物・・・・何を書かせても上手い作家さんだなぁ~。
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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