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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年5月


灼熱の夏、彼女はなぜ幼な子二人を置き去りにしたのか。
追い詰められた母親、痛ましいネグレクト死。
小説でしか描けない〈現実〉がある――虐げられる者たちの心理に深く分け入る迫真の衝撃作。

                     (中央公論新社HPより)


大阪で実際にあった事件を基に書かれた物語だそうです。
ああ、そんな事件あったな~。
子どもを置いたまま帰らず暑い部屋に閉じ込め、衰弱死させるなんて考えられない!
と怒りが沸いたことを思い出す。


物語は、子ども二人を死なせてしまった母親・蓮音とその母親・琴音の語りで進む。
蓮音の起こした事件だけど、そこに至るまでの育った環境、母親・琴音の同じく育った
経緯を読んでいくうちに、哀しい事件が起きる背景にあったものが少しわかってくる。

ただただ、つらい。

人が育っていく過程で、どんな大人たちに関わって、どんな風に自分の存在を
受け入れっらえていたかってその後の人格とかをつくるうえでやっぱり凄く
大切なことなんだなぁ~と改めて感じた。

子どもを死なせ、世間では鬼のように思われている母親・蓮音だけど
子どもたちには、愛情を感じていて、子どもたちも母親が大好きだった。
そのことが唯一の救い。
ただ、子どもを守る知恵というか、自覚が欠落していた。
自分が守られて来なかったし、その母親・琴音も同様。
自分の力でなんとか生き抜いて来たから。

哀しい負の連鎖。

蓮音が結婚したときは、相手の男性も学歴もまあまあ、優しそうだし
幸せになれそうだったのに、結婚してからはただの頼りないマザコン男だとわかり
がっかり。
小学生のころ、母親が出奔し、幼い弟と妹の面倒を見てきた経験があったから
多少放置しても子どもたちで何とかするだろうという気持ちもあったのか?
がんばりやさんと言われて一人で頑張ってきた蓮音が、なんだか哀れで仕方ない。

子どもを死なせてしまった母親でも、鬼だと責めることが何だかできなくなった。

実際の事件の母親は、どうだったんだろう。
どうしたら子どもたちは死なずに済んだんだろう?

いろんなことをグルグルと考えてしまった。


この類の事件が再び、起きることがないといいなと思うけど、
もしまたニュースで知ったら、今までとは違う見方で母親のことを考えるだろうな。



                      ★★★★
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