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読んだ本の感想あれこれ。
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41yuTZrCZpL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年4月

春の朝、土壌生物を調べに行った近所の公園で、
叔父のノボちゃんにばったり会った。
そこから思いもよらぬ一日がはじまり……。
少年の日の感情と思考を、清々しい空気の中に描く、新・青春小説。



                      (理論社HPより)


読むたびに思うけど・・・梨木さんって、やっぱり凄い!!

物語の主人公・コペル君は14歳。
日本人だけど、呼び名はコペル(名前は出てきたかなぁ~?)。

母親が大学で教鞭をとっていて、少し離れた地に転勤になってしまい、父親が母親の体調を心配しながら度々、その地を訪ねるいうち、いつしか母親の住む地に一緒に行ってしまった。
なので、一人暮らし。
とはいえ、すぐ近くに叔父が居て、度々様子を見に来てくれる。

叔父はノボちゃん。染織家。
そしてコペルには愛犬のブラキ氏がいる。
ブラキ氏はゴ-ルデンリトリバ-で本当の名前はブラキッシュだけどいつしか省略してブラキ氏となった。

梨木さんといえば、いままでの作品の多くに植物が出てきたけど、ここでも染織家のノボちゃんが草木から染料の素を採取する場面があるので、いろいろな植物、または生物が出て来る。

コペル君の考えることが実に哲学的。
そして会話するノボちゃんとの話のなかに、実に深いものが沢山。

人が生きていくなかで考えてみなくちゃいけないことをあれこれ提起してくれる。

コペルの友人、ユ-ジン君をノボちゃんと共に訪ねた先でも多くのことが問題提起される。
ユ-ジンは、暫く前から学校に来ていない。
その原因はなんだろ?そのわけは、ちゃんと説明されている。
なるほど・・・・・そういう辛いことがあったんだ。


ユ-ジンもまたコペルと同様一人暮らしという設定。
それだけ聞くと不自然だなと思うけど、ユ-ジンの家庭環境を考えたら、別に不自然ではない。

梨木さんの物語には、不自然さを感じない計算された設定がちゃんとされているのも凄いと思う。

ユ-ジンの亡くなった祖母の話も良かった。

表題の「僕は、そして僕たちはどう生きるか」の言葉は物語中に出てくる言葉だけど
それは、洞穴に潜んで住んでいた男性が言った言葉。
その人は、召集令状が来たが、それから逃れていた。

そして洞窟に一人潜んで何を考えていたか?というと「僕は、そして僕たちは・・・・・」ということをずっと考えていたと。


召集令状が来たら、国のため戦地に向かうことが当たり前だった時代、それをしながら生き延びたその男の人の気持ちをコペルたちが考える場面は、一緒に考えさせられた。

そして物語の全体を通して、この本で何を言いたかったのか?ということが最後にキチンと示されていた。

本文最後の方を抜粋しておこう。

・・・・・人間には、やっぱり群れが必要なんだって、僕はしみじみ思う。・・・・強制や糾弾のない、許し合える、ゆるやかで温かい絆の群れが。人が一人になることも了解してくれる、離れていくことも認めてくれる、けど、いつでも迎えてくれる、そんな「いい加減」な群れ・・・・・・・・・
そういう「群れの体温」みたいなものを必要としている人に、いざ、出会ったら、ときを逸せず、すぐさま、この言葉をいう力を、自分につけるために、僕は考え続け生きていく。



長女が先にこの本を読み
「すごい!すごく良かった!!」と言っていて
そりゃ、梨木さんの本だから良いでしょうと応えたけど・・・・

これは最高だと読んで思った。

★5つじゃ足りないくらいだけど・・・



 

★★★★★
 


 
PR
57930434.jpeg   発行年月:2010年12月


   暮しの中で遭遇する事象を個人的かつ
   社会的に映し出したエッセイ28編を収録。
   「憤ったり寂しかったり納得したり、何かを愛しんだり
   発見して感激したり嬉しくなったり」──あとがきより。



                              (文化出版局HPより)


梨木さんの物語が好きで、幾つか読んでいます。
エッセイは今回初めてでしたが、これがまた良い!

日々の暮らしの何気ないものたちに、優しくて鋭い視点で接する様に感動しました。
今まで読んだ物語から、きっと植物とか自然のものに愛着を感じていらっしゃる方なんだろうな~と想像していましたが、ここでも植物の話がやはり出て来て、わたしの想像は当たっていた!と嬉しくなった。

でも、植物以外のものとの関わり方も面白かった。
見知らぬ人たちとの関わり方がユニ-ク。

「見知らぬ人に声をかける」での言葉・・・見知らぬ人と、一瞬でも楽しい会話が交わせたら、それは二人の勝利である。
なるほどね・・・・ユニ-クだけど、とても良い考え方だ!と心のなかで拍手!

「プラスチック膜を破って」では
電車待ちをする客たちがアナウンスの何かいつもと違う言葉に同じように微笑む場面や電車内で1匹の蚊を次々に手で仕留めようとする様は、まさに各自がプラスチック膜を破った瞬間とか。
その表現が巧い!

そして、物にたいする考え方もユニ-クでした。

旧式のカ-ナビに翻弄されることが度々あっても梨木さんは寛大な気持ちで接している。
カ-ナビの音声が女性だから彼女と呼んでいるし(笑)。
そしてこの話の題が・・・「個性的なリ-ダ-と付き合う」。
う~ん、タイトルのつけ方にもセンスあり!!

何から何まで、いちいち感心しながら読みました。

やはり梨木さんは、わたしにとって一番の作家さんだ!と確信したエッセイでした♪♪
文庫が出たら買って手元に置きたい!


★★★★★

 
93294247.jpg発行年月:2010年10月

物語の水源へ

緑溢れる武蔵野に老いた犬と住む棚。
アフリカ取材の話が来た頃から、不思議な符合が起こりはじめる。
そしてアフリカで彼女が見つけたものとは。
物語創生の物語。

                         (筑摩書房HPより)
  


生と死を考える、梨木さんらしい不思議な物語でした。
主人公の山本 翠は、ライタ-で仕事上の名前を棚(たな)と言う。

愛犬マ-スに異変が起き、獣医に「子宮に腫瘍があり手術が必要」と言われる。
腫瘍はどうしてできるのか?を問う棚に
「体のなかの要らないものがそうなるのかも」と言う医師。

過去に避妊手術を受けさせたことがあり、子どもを一度も宿すことなく存在する子宮が不要なものを
腫瘍に変えたのか?とも思う棚。
こういう発想は、なるほど~と思いました。女性ならではの考え方かも。
マ-スは術後は元気になりホッとしました。


そして、ライタ-としての仕事でアフリカに向かう棚。
物語はアフリカに飛びます。
ライタ-としての仕事とともに最近亡くなった知り合いの片山がウガンダで呪医について学んでいたことに興味を持ち、彼の足跡も追う。

この辺りから不思議な話にどんどん突入。
呪医っていう響きも何か怪しいかんじ。
でも、全く理解出来ない世界ではないな。と読みながら感じた。

科学ではうまく証明出来ないものが、人の生死には存在しそうだと、思っているから・・・。

棚がアフリカで感じたことを基にライタ-として書いた文章が最後
「ピスタチオ---------死者の眠りのために」として30ペ-ジほどあります。
その文章が良かった!


★★★
ccdf4e77.jpg発行年月:2005年8月


はじまりは「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床がうめくのだ----。
待望の書下ろし長篇小説。


叔母が死んで、久美は代々伝わるというぬか床を世話することになった。そのぬか床に、得体の知れない卵が出現。いったい何が起こっているの? 久美は酵母研究者の風野さんを伴い、ぬか床由来の故郷の島を訪ねる。増殖する命、連綿と息づく想い……。解き放たれてたったひとりの自分を生き抜く力とは?


                                           (新潮社HPより)


梨木さんは、やはり凄いです!
どういうとき、こういう物語を思いつくんでしょう?

「ぬかどこ」から始まる物語なんて、どこにもないでしょ?
でも、考えたら代々、受け継がれていくものだったりするから、ここにある物語のような昔のいろんな時代の思いのようなものも吸収していたりするかも?
わが家には、ぬかどこないけど・・・^^;

梨木さんの物語は、いつもちょっと不思議なことが起きるんだけど、これもそう。
最初からちょっと不思議。
でも結構、ほんわかした感じがあったのですが・・・段々とホラ-っぽくもなり、ちょっと不思議な怪しいかんじにもなったかな?
でも、その怪しさは、もっと先に進んで本当の事を知るなるもの。
夢中にさせてしまう力が梨木さんの文章にはある。


主人公の久美が亡き叔母が毎日、かき混ぜていたぬかどこを自分が譲り受けた所から物語は始まり、不思議なことがいろいろ起きるのですが、登場する人たちも個性的で不思議。

ぬかどこの不思議を相談する風野は、男性であることを捨てた人。
野生酵母を収集し、変形菌を飼っている。
久美と風野の会話は、なかなか面白かった!
ヒトの遺伝子と酵母の遺伝子は多くの互換性がある
なんて話は特に!本当!?

表題の「沼地の森」は、最後の方で出てくるけど、ぬかどこのル-ツを探る話にまでなって、益々面白くなっていった!


途中、ぬかどこの話と少し飛んで「シマの話」がⅠ~Ⅲまで出てくるのですが、正直、主な物語との関連性がイマイチ、はっきりわからなかった。
わからなくても、それはそれで面白いんだけど・・・^^;
再度読めば、それもわかるかな?

はじまりは、1つの容器にはいった、ぬかどこですが、スケ-ルの大きな物語に発展していく様が凄く面白かった!


梨木さんの物語は、やはり最高です!!
時間を空けて、また最初から読みたい本です!!

★★★★★



66c3a2ca.jpg発行年月:2010年4月

オオワシ、ワタリガラス、ヒヨドリ……。鳥の渡りの先の大地にはいったい何があるのだろうか。

近所の池や川に飛来するカモたちも、命がけで渡りをし、奇跡的に辿り着いている。住み慣れた場所を離れる決意をするときのエネルギーは、どこから湧き起こってくるのか。渡りは、一つ一つの個性が目の前に広がる景色と関わりながら自分の進路を切り拓いてゆく、旅の物語の集合体。その道筋を観察し、記録することから始まった最新エッセイ。


                                    
    (新潮社HPより)

梨木さんのエッセイを読むのは初めて。
実は物語かと思って読み始めたのですが・・・・・^^;

渡り鳥を見るために知床半島に旅をする話が最初に出て来て、自然の描き方が素晴らしいなぁ~と改めて思いました。
過去の作品の多くにも植物など自然の描き方は独特で、すごく好きだったけど、今回は鳥とか動物とか動いている生き物が多く登場。

ワタリガラズって、どんな姿?わたしには鳥のこと、よくわからないし、正直、あまり好きじゃないんですが、梨木さんの愛情を持って描くその姿は、見えないけれど、なんとなくイメ-ジのようなものが頭に浮かぶから不思議。

旅をしながら、梨木さんの日常の様子も垣間見れるのも楽しかった。

「渡り」は鳥に限らないっていう事も書かれていました。
そのなかで、第二次世界大戦中のアメリカの日系人強制収容所の話は衝撃的でした。
「ノ-ノ-ボ-イ」の事実、今まであまり知らなかったけど、勉強になりました。

そんな話の後で梨木さんが言っていることも印象的。

「存在」は移動し、変化していく。
生きることは時空の移動であり、それは変容を意味する。
それが渡りの本質なのだろう。生きものはみな、それを生き抜かなければならない。
その道行がときにどんなに不器用で本人自身、当惑するような姿をして現れてこようと。

「渡り」の意味を梨木さんなりの解釈で記した言葉でしょう。


梨木さんの考え方をいろいろ知る事が出来た書で、ファンには嬉しいエッセイでした!

「春になったら苺を摘みに」も是非、読まなくては!


★★★★
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