昭和から平成にまたがる、女たちの宿命の物語
雪ぶかい地方で、高度経済成長時代に青春を過ごした2人の母親。
彼女たちの娘が停滞の次世紀に家庭を持った時、親族殺人が起きる
(文芸春秋HPより)
最初は、1980年代の話から始まる。
わたしにも懐かしい、ピンクレディ-とか出てきたり、キャンデ-ズや山口百恵なども次々解散やら引退などをした時代。
そういう話が出ると、その時期を自分の歴史のなかで振り返りやすくこの物語の背景にあるものもんあとなく想像できた。
最初はある少女たちの日常を主体に描き、途中から、その少女たちの母親たちが青春を送った1960~70年代に話が移る。
同じく日本のその時の政治や社会現象などを交えて少女たちの母親の結婚するまでの過程が淡々と描かれる。
話はあまり正直面白くもない。淡々とどこにでもあるような物であるし・・・
でも、なんとなくちょっとイヤな雰囲気。
暗いような・・・闇のような・・・不穏なかんじが付きまとうような。
そして、結末には、殺人事件。
何処にでもある日常を送っていた人達でも、積もり積もった何かがあって、こういう悲劇って起こるのなかな?
なんて、過去にあった事件を思い出したりしました。
読後も後味悪いのですが、物語としてはなかなか面白かった。
表題の「橋」のもつ意味も深いものかも。
いろいろにこの「橋」は解釈できる。
★★★
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(本の帯文より)
先に本書の続編と言われる『WILL』を読みました。
こちらの主人公は、大学生でアルバイトで病院の清掃員をしている神田。
その病院に患者同士の間で伝わる噂を耳にし、どうやらその願いを叶える人物は清掃員の格好をしているとか?
予後が悪く、死期もそう遠くない患者たちから、そんな話を聞き、どんな願いがあるのか聞く神田。
そして、自分のできる範囲のお願い事を引き受ける。
そのお願い事をする患者たちとの話が短編形式で進む。
願いを聞くと言っても、バイトの延長みたいに気安く。
そんなところが、かえって偽善ぽくなくて良かったな。
先に読んだ『WILL』の主人公である葬儀屋の幼なじみ・森野も度々、登場。
死期の迫った患者に「森野葬儀店をよろしく伝えろ」とか口は相変わらず悪いけど、根は優しいと知って読むので、二人のそんな会話も微笑ましい(^^)
喉頭がんの男性、心臓病の中学生、乳がん再発の女性などなど・・・いろいろな患者と接する神田。
最後はどの人も亡くなる・・・が、単純に悲しい、可哀相という話でもなく、かといって残りの人生光り輝くようなもので、残された人には希望の光・・・みたいな大袈裟なものでもなく・・・・全てが淡々と進んでいく。
そんな淡々とした話の中に、時に胸にグッとくる言葉があったり、ハッと気づかされる言葉があったりで、どの人の話も胸に沁みるものがありました。
そのなかでも乳がん患者の女性との話「FIREFLY」は素敵だったな。
泣けました。
神田の人柄にも惚れた!(笑)
あ~また『WILL』を読み返したくなったな~。
神田と奥野の『WILL』以降のその後も書いてくれないかなぁ~。
★★★★
名作『MOMENT』から7年。待望の姉妹編。
29歳の森野は、11年前に亡くなった両親の跡を継ぎ、寂れた商店街の片隅で葬儀屋を営んでいる。そんな彼女のもとに、仕事で関わった「死者」を媒介した、数々の不思議な話が持ち込まれてくる・・・。
(集英社HPより)
この作品に姉妹編にあたる物があるのは知らずに読みました。
何ら、困ることはなかったですが・・・。
高校生のときに両親を一度に亡くした主人公・森野。
両親の跡を継ぎ、昔から店にいた従業員・竹井と良い関係を保ちながら社長として働く。
言葉遣いがやや乱暴ですが、故人を悼む気持ちは優しい。
プロロ-グとエピロ-グを挟んで、3つの話にそれぞれ出てくる依頼人たちとの関わりも良かった。
第1話「空に描く」は、高校時代の同級生が葬儀の依頼人。姉の子どもが亡き父の幽霊をみたと言う。同級生のちょっと複雑な生い立ちを探り、亡き父の思いを汲む
第2話「爪跡」は、執り行った葬儀のやり直しをして欲しいと訪ねてくる故人の愛人を名乗る女性。調べると、名乗った名前の女性は既に亡くなっていた。
第3話「想い人」は、亡き夫の生まれ変わりだと言う15歳の少年が訪ねてくると老女から相談を受ける
故人を巡ったちょっと不可解な出来事を、故人の家族や親しかった人に話を聞きながら、真相を探るちょっとミステリ-の要素もあるお話たちだった。
謎が解明されると、そこには故人やその近い人の優しさが起した出来事とわかり、温かい気持ちになれました。
エピロ-グとプロロ-グでは、森野自身のことが綴られて
両親を亡くしてから、ずっと自分が良い娘だったか?今は良い娘か?と問い続けてきた彼女だったが最後は彼女を温かく見守り続けた人たちにより、迷いのようなものを吹っ切り、新たな気持ちで前に進んでいく姿が良かった!
森野の名前・・・気になっていたけど、最後の最後に明かされてました(^^)
表題「WILL」は、ピッタリだと読み終えて思います。
姉妹作だという「MOMENT」も是非、読まなくちゃ!
★★★★
男はなぜ、ゴミ屋敷の主になったのか?
いまはひとりゴミ屋敷に暮らし、周囲の住人たちの非難の目にさらされている男。戦時中に少年時代をすごし、昭和期日本をただまっとうに生きてきたはずの男は、いつ、なぜ、家族も道も、失ったのか。誰もが目を逸らすような現在のありさまと、そこにいたるまでの遍歴を、鎮魂の光のなかに描きだす。
橋本治、初の純文学長編。
(新潮社HPより)
主人が図書館から借りて先に読み「なかなかおもしろい」というので、読んでみました。
物語は主人公・忠市が、ゴミ屋敷と化した家に住み、近隣住人たちに大迷惑をかけているところから始まり、テレビのリポ-タ-が住人たちにインタビュ-して周る。
昔、まだ忠市の住む家が荒物屋として存在していた時代を知る人はわずかだが、昔はあんな人じゃなかったんだけど・・・と。
人目を避けるような時間帯には外へも出る。
どこかに行くアテのある人を羨ましくも思う。
ちょっと前、実際にワイドショ-番組でもゴミ屋敷に暮らす女性を取り上げた番組を見ていたときもその人は「これはゴミじゃない」と言ってたっけ。
忠市も「これはゴミじゃないんだ」と。
到底、普通のひとには理解出来ないことば。
物語は、途中から、忠市の過去の話になる。
戦後まもなく荒物屋に住み込みで働きに出て、その後、家業の荒物屋「丸亀屋」に戻る。
見合いで結婚もした。子どもも出来た。
けれど・・・・父親が病に倒れた辺りから、バタバタと不幸が続く。
12歳年下の弟・修次も結婚し、その妻は家事の段取りもよく姑の扱いも上手でなとなく一家がまた明るい方に向かうのか?と思ったら・・・・
ある事を機に弟夫婦は家から出ていく。
店の仕事が減り、母親が亡くなって一人きりの忠市。
そのころから、ゴミが少しずつ溜まる。
なんとも切ない、胸が痛い。
忠市は、普通の人。家業を継いで真面目に働いていたのでしょう。
でも、戦後のめまぐるしい変化に取り残されてしまったかんじ。
近所に迷惑をかけている。片付けなきゃいけない。頭ではわかっている。
けれど・・・この環境を変えられない。
最後はどうなる?と思ったら・・・・
35年ぶりに弟がテレビで実家が凄いことになっているのを知り、兄の元に来る。
偉いぞ!弟!
そして、この弟が現れたことで、忠市の気持ちが大きく変わる。
表題の「巡礼」はどこに?と思っていたら最後、弟が、この先のことを四国88ヶ所をお遍路しながら、お大師さまに教えてもらおうと二人で旅に出るのです。
最後は、ちょっとホッとして、救われました。
ず~っと重たい気持ちで読んでいたので。
なかなか、読み甲斐のある物語でした。
★★★
子どもなんて、すぐ出来ると思ってた。いつでも産めると思ってた。でも-----。
既婚で子なし。ネット新聞の中堅記者・由佳子は、妊娠と出産の現場を集中取材することに。けれど、人生で一番輝いているはずのカップルはみんな、誰にも言えない気持ちを抱えてその場にうずくまっていた----私たち、本当にもうすぐ、幸せになれるの?出産適齢期への焦りと戸惑い、そして尽きない願望の行方を描いた渾身の長編。
(新潮社HPより)
橋本さんの作品は「彩乃ちゃんのお告げ」 「九つの物語」と過去に読みました。
心がポッと温かくなるような優しいお話でしたが、これは、ちょっと違うかんじ。
リアルな出産にまつわるお話でした。
物語はネット新聞の記者・由佳子が、ある産婦人科医師の医療裁判を追跡取材しながら、同時にネットで、今の女性がどんな風に出産、あるいは子どもを持とうとしているかの特集を組み、そこに寄せられる体験談を通して、いろいろな女性の妊娠、出産に関する状況をリアルに伝えていく形で進みました。
裁判で被告となった医師は、業務過失致死に当たるのか?ほかの産婦人科医師にその意見を求める由佳子。
モンスタ-ペイシェントの可能性もある?
そして、ネットの方では
診察していた病院で、ある日、「ここでの出産は予約してないから出来ない」と言われる夫婦の話。
なかなか妊娠しない夫婦が、男性側に問題があるかどうかの検査を受ける話など。
自分自身は幸いなことに結婚後二人の娘を出産していますが、これは物語の中の女性たちと同年代の30台のまだ出産前の方が読むのは、少し辛いかも。
しかし、ある程度の取材をしての物語でしょうから、それが現実ということでしょうか?
ラストの方で主人公・由佳子の親友が出産するシ-ンは、なかなか感動的でした。
著者は男性ですが、ここまでリアルに産婦人科の話が書けるのには、驚きです。
女性の気持ちもよ~く表現できていたと思うし・・・。
もしかして、出産の立会い経験ありでしょうか?
なんて、余計なことを考えたりして・・・・・^^;
やや重たい内容でしたが、最後は明るく終えていて、読後感は良かったのでホッとしました。
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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