発行年月:2006年11月
片瀬喬一(33歳)は原因不明の激ヤセ、異常な喉の渇き、倦怠感に悩まされていた。そして病院で知らされた衝撃の診断結果ー突然「糖尿病」と宣告された著者の実体験をもとに書かれた、世界初の闘病エンターテインメント小説。患者と予備軍を合わせ全国で2200万人もが闘っているというこの国民病のことを、もっとよく知りましょう。シュガーな人にも、ノンシュガーな人にもお勧め。
(世界文化社HPより)
本書は、2003年に突然「糖尿病宣告」された著者自身の体験に基づく。
と解説にあって、興味を覚えた。
看護師のわたしには、既に知っている情報ばかりだなぁ~と
最初は思っていたのですが。。。。。
え?2型から1型に遷移するってあるの?
それ以外の緩徐型進行Ⅰ型っていうのがあるの?
と新たに知った情報もあり、無知なわたしには勉強にもなりました^^;
著者の体験に基づくということで、本書は男性が主人公なので「?」と思い
調べたら瑞穂=女性と勝手に思っていたわたしですが
平山瑞穂さんは男性だということも判明!
いろいろビックリした1冊となりました。
でも奥様も病気のことを理解し、食事づくりなど協力を惜しまず
良い関係を築いているご夫婦の姿には、微笑ましさを感じました。
これからの作品も楽しみに読ませていただきます♪
★★★★
発行年月:2015年5月(初刊:昭和55年)
お産が近づくと屏風を借りにくる村人たち、
両腕のない仏さまと人形――
奇習と宿業の中に生の暗闇を描いた表題作をはじめ七篇を収録。
(中央公論新社HPより)
以前読んだ、「洋子さんの本棚」で出てきた本。
興味を覚えたので、図書館で借りて読んでみました。
時代が少し前なのかな?
表題作を含む7編の物語は、どこかノスタルジックで、暗く重たい雰囲気を
漂わせるお話でした。
地方に伝わる風習だったり言い伝えだったり・・・。
表題作は一番はじめに登場。
みちのくで「旦那さま」と呼ばれているまだ30代くらいの青年と知り合った
主人公が彼の住む山深い家を訪問する話。
その青年の家に住むものは代々、旦那さまと言われていた。
そのわけは・・・
最初から、ちょっとゾクゾクと背中が寒くなるようなお話で、そんな雰囲気は
ほかの話でも感じました。
文章も読みやすく、他の作品も読んでみたいなと思えた。
★★★
発行年月:2014年12月
岡野藩領内で隣国との境にある峠の茶店。四十過ぎの寡黙な半平という亭主と、「峠の弁天様」と旅人から親しまれる志乃という三十半ばの女房が十年ほど前から開けている。ふたりは武家の出らしいが、詳しいことは誰も知らない。ある年の初夏、ふたりの静かな生活に事件が起こる。傑作時代小説
(双葉社HPより)
峠の茶屋を営む夫婦・半平と志乃。
二人の過去が気になりつつ途中までは読みました。
寡黙な半平と美人で物腰に品が漂う志乃。
二人は夫婦だが、そうなるまでの経緯が中盤に記され、ああ、そういうことだっのか。
と納得。
藩の派閥争いに巻き込まれて志乃は夫であった天野宮内の元から離れる。
まだ幼い一人娘・小春を残して・・・・
そんな志乃を助けたのが半平。
静かに茶屋を営んでいたけれど、やがて再び騒動に巻き込まれていく志乃と半平。
半平が格好いいのです。
葉室さんの作品には、必ず恰好いい男と美しい女が出てきて
途中困難があるけれど、最後はめでたしめでたしの結末になるという
のがお決まりなので、ハラハラドキドキはするけれど、安心して
途中のハラハラドキドキを楽しめます(^^)
最初は怖い存在だった盗賊夜狐のお仙が最後は自身を犠牲にしてまで
志乃たちを守ったのには、ジ~ンと来ました(/_;)。
今回も文句なしで楽しませていただきました!
★★★★★
発行年月:2014年11月
「刺青のエンペラー」とよばれた男の一生!
1913年、ニューヨーク。ハドソン川で若い女性の死体が発見され、ニューヨーク市警は女の肩にヘビの絵柄とともに彫られていた「H・C」のイニシャルをもつ刺青家の捜索を開始する――
時は遡って1859年。駿河の下級武士の家に生まれた宮崎匡(のちの彫千代)は運命的に出会った刺青に心を奪われ、放浪の末、彫り師を志す。欧米人には「刺青のエンペラー」と称賛され世界にその名を轟かすまでになるが、遊女・お蓮との初恋は悲しく砕け散った。古風な実兄との確執、師匠からのいじめ、右目の失明……数々の苦難を乗り越えて、新しい時代の”美”を追求した彫千代を待ち受けていたのは、さらなる悲劇だった。
自由奔放でわがまま、しかし繊細で常に”小さき命”への慈しみを忘れなかった男、彫千代。かつてないほど人間臭い英雄が、守るべきもののために下した衝撃の決断とは――!?
いま最注目の実力派作家が実在の伝説的彫り師の生き様を描いた、感動の歴史エンタテインメント!!
(小学館HPより)
彫千代と言う刺青師の一生を描いた物語。
時代は明治~大正。
宮崎匡という男が駿河の地で下級武士の子どもとして生まれる。
父親からは学問を学ぶことの大切さを説かれるが、虫やカエルや鳥などの
絵を帳面に描く楽しみを覚え、絵を学ぶために塾に通いはじめる。
そして、刺青という人の肌に直接描く手法に魅せられ、自身もそんな技を身につけたいと
弟子入りの口実に、背中に鬼子母神の刺青を入れて貰い、彫った彫安の元で
修行を積む。
時系列がやや前後するので、少し戸惑いもありましたが、彫千代という名前で
名を馳せた男の一生を面白く読みました。
男女を問わず愛されるキャラクターだった。
最後の方の青池マツの回想で、彫千代の家族や弟子の清吉のその後が語られ
時代を物語った最期だったなとちょっと切なくなりました。
巻末の参考文献の多さにはビックリ!
実在するモデルも居たのかな?
なかなか読みごたえある作品でした♪
★★★★
発行年月:2014年11月
「亡失」「等閑」「匿名」「紐帯」「雷同」「黙過」「増益」…
日常の、私たちの生活に地続きで潜む狂気。誰も逃れることはできない、
誰もが犯しうる現代版「七つの大罪」を描く短篇集。
(河出書房新社HPより)
なかなか面白い短編集でした。
特に最初の「亡失」は最高!
大学時代の友人から2年前まで付き合っていた桔梗さんの話が出されるが
桔梗さんって誰?状態の58歳の男の話。
特に目立った出来事もなく、ありきたりに生きてきた。
女性とは何人か付き合ったけれど、覚えているくらいの人数で、そんなに長く付き合った
人も居ない。
けれど、桔梗さんと言う人とは、2年前まで35年間も別れを繰り返しながらも
続いていた仲らしい。
実際に友人を介して、桔梗さんに再会する男。
桔梗さんと男の会話も笑えるし、本当にこんな風に完全に忘れてしまうことは
ないでしょうが、話としてはこの最初の話が一番良かった。
他の話もそれなりに面白かったのだけど・・・・
3番目の「匿名」の男は、本当に悪い奴!
大嫌いだ!こういう人!
何らかの罰を受けるべきだよ!と突っ込みを入れたくなりました。
名前が小泉太郎というのも許せない。
小泉孝太郎さんは好きな役者さんなので、なんでこんな嫌な奴の
名前をこう設定したんだ!!
と著者の藤谷氏にも悪を感じてしまった。
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;