発行年月:2018年4月
人間の愚かさ、残酷さ、哀しみ、業――これぞ江戸怪談の最高峰!
もくじ
第二話 だんまり姫
第三話 面の家
第四話 あやかし草紙
第五話 金目の猫
(角川書店HPより)
三島屋シリーズ。
聞き手のおちかに加えて三島屋の次男・富次郎が登場。
おちかにとっては従兄弟。
最初の話<開けずの間>は、行き逢い神を招き入れてしまったことによって
次々起きる不幸に翻弄される三好屋の物語。
語るのは、当時まだ子どもだった三好屋の平吉。
行き逢い神は恐ろしいと最初は思ったけれど、結局は人間の身勝手さが
一番恐ろしい。
読んでいて次々起きる不幸には気が滅入った。
他の話は、一話ほどの怖さはなくて楽しみながら読めた。
お話としては二話の<だんまり姫>が好きかな?
あやかしを呼び寄せる声を持つ、おせいの語り。
大黒家の姫・加代姫(7歳)のおまる係として奉公することになった、おせい。
姫はしゃべらないので、だんまり姫と呼ばれていた。
何故、喋らない?喋れない?
おせいは、10歳で亡くなった一国様と会話し、お城に憑りつかれて
外に行けない一国様を解放してあげる。
あやかしの力を借りながら・・・
最後は姫様の声も戻り、めでたしめでたし。
<面の家>もちょっと不気味。
面が逃げないように見張る仕事を任された、お種の語り。
第四話<あやかし草紙>では、貸本屋を営む瓢箪古堂の若旦那・勘一が
登場。
おちかと良い関係になって、あれよあれよと言う間に夫婦になる顛末。
ちょっとこの急展開には驚いたけど、おちかが幸せそうで良かった
富次郎が聞いた物語を絵にして、それをまとめて<あやかし草紙>と名付けることに。
最後の<金目の猫>は、富次郎とその兄・伊一郎の子ども時代の話。
仔猫を見つけ家に連れ帰るが飼うことは許されず、油屋の娘・お久の元で
飼って貰い、そこを度々訪れる富次郎。猫の名前は、まゆと付ける。
まゆは、富次郎の家に以前いた縫い子の生霊だった。
生霊ってちょっと怖い響きだけれど。これは少し温かい気持ちになれて
良い話だった。
この後、三島屋の百物語は、富次郎が引き継ぐみたい。
新しい百物語もまた楽しみに待ちたい。
★★★★★
発行年月:2017年8月
それは亡者たちの声? それとも心の扉が軋む音? 正体不明の悪意が怪しい囁きと化して、かけがえのない人々を蝕み始めていた。目鼻を持たぬ仮面に怯え続ける青年は、恐怖の果てにひとりの少年をつくった。悪が幾重にも憑依した一族の救世主に、この少年はなりうるのか――。21世紀最強のサイコ&ミステリー、ここに降臨!
(新潮社HPより)
上巻での謎が、次々明かされた。
重興のなかにいた、女・桐播は、五香苑の家守であった五郎助の娘。
五郎助は、桐葉が重興にかけた呪詛が効いているか監視するために家守として
五香苑に入った。
重興が父・成興を殺めたのも呪詛によるものであった。
重興の体のなかにいた琴音という少年は、重興を救うために真実を告げ
謎解きの大きな役目を果たした。
多紀や、館守の石野織部、医師の白登も重興を救うために働き、最後は
重興が呪縛から解かれハッピーエンド。
途中、もしかしたら、これ最後は、哀しい結末で終わるパターン?
とハラハラして読んだので、ラストの正に、この世の春に相応しい
描写にはホッとした。
多紀が幸せになれそうでよかった。よかった。
四人の行方不明の少年たちは可哀想だったな。
でも成仏できたのかな?
哀しく重苦しいこともいっぱいあったけれど、多紀の周りで働く人たちは
皆、心温かい人たちで会話などは和んだ。
最初から最後まで面白かった。
★★★★
発行年月:2017年8月
それは亡者たちの声? それとも心の扉が軋む音? 正体不明の悪意が怪しい囁きと化して、かけがえのない人々を蝕み始めていた。目鼻を持たぬ仮面に怯え続ける青年は、恐怖の果てにひとりの少年をつくった。悪が幾重にも憑依した一族の救世主に、この少年はなりうるのか――。21世紀最強のサイコ&ミステリー、ここに降臨!
(新潮社HPより)
宮部さんの時代小説、期待してました!
そして期待通り、読み進むにつれ、読むスピードが上がる^m^
主人公・各務多紀を中心に繰り広げられる物語。
話が進むにつれ、怪しい世界にハマって行く。
北見重興は6代藩主になりながら、乱心ゆえ26歳にして隠居の身となって
五香苑に移される。
そこに同じころ、移った多紀。
しかし五香苑の人たち(奉公人)の朗らかな雰囲気がいい。
重興がなぜ、乱心することになったのか?
重興に憑依した少年、女性は、どんな経緯で重興に憑いているのか?
色々な謎が下巻で解明されるのかな?
続きを急いで読まなきゃ!
★★★
発行年月:2016年11月
目に見えないけど、そこにいるよ。かいじゅうクマーの美しくもせつない物語
(角川書店HPより)
なんとも哀しく切ない(/_;)。
かいじゅうのクマーが気の毒で・・・泣ける。
ヨーレの街を悪いかいじゅうから一人闘って守って来たのに・・・
怪我を負い角が無くなり透明じゃなくなったら、
悪い怪獣と同じ姿になってしまった。
クマーの絶望感。
水面に写る自身の姿を見たクマーの気持ちが本当に哀しい。
最後まで救いがない物語。
「悲嘆の門」のなかに出て来たクマーの絵本?
そういえば、あったかな?
なんだか記憶が薄いけど、あの小説のなかの作だと考えると相応しいのかも。
物語は哀しいけれど、絵は美しくて好き。
★★★
発行年月:2016年12月
鬼は、人から真実を引き出す。人は罪を犯すものだから
江戸の洒落者たちに人気の袋物屋、神田の三島屋は“お嬢さん”のおちかが一度に一人の語り手を招き入れての変わり百物語も評判だ。村でただ一人お化けを見たという百姓の娘に、夏場はそっくり休業する絶品の弁当屋、山陰の小藩の元重臣、心の時を十四歳で止めた老婆……訪れた客が語り出したのは――
(日本経済新聞出版社HPより)
第一話「迷いの旅籠」
13歳のおつぎの語り。
ある農村での出来事。
村の名主の離れに居候していた絵師が引き起こしたこと。
あの世よこの世をつないだ瞬間に起きた諸々の怪事。
昔から伝わる祭り事って、なんだか恐ろしいものが秘められているなぁ~。
おつぎちゃんが幸せであるますように・・・。
第二話「食客ひだる神」
仕出し屋の<だるま屋>主人・房吾郎の語り。
だるま屋は、三島屋も春の花見の場所でいただくお弁当は毎年ここのと
決めているお馴染みの店。
その主人が語る店を開くまでの経緯と、店の秘密・ひだる神のこと。
こんな神様、ちょっと愛嬌あっていいな。
房吾郎の明るい話口調も楽しい♪
第三話「三鬼」
元、藩の家老務めをしていたお武家さま・村井清左エ門の語り。
妹を浚い惨い仕打ちをした男3人を相手に刀を抜いた村井。
一人を討ち取った。
その後、山奥の村で勤めることになる。
その村人たちから「鬼がいる」と聞くが・・・
復讐に燃える男の切なさ。
第四話「おくらさま」
見た目は老婆だが、その出で立ちは若い娘・梅の語り。
自分は3姉妹の末っ子。
家は香具屋を営み、家の守り神・おくらさまの話を父親からよく
聞かされていた。
あるとき、近所の火事により延焼の危機が迫るがおくらさまによって
家は無事だった。
が・・・その日から次女のお菊が行方知れず。
この話が、なんだか一番怖かったなぁ~。
梅さんは、子どもの頃、こんな体験をして、ずっと心の中に
重たくそれを抱えたままだったのかと思うと可哀想。
今回の百物語も興味深いお話ばかり。
またドラマ化してくれないかなぁ~
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;