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読んだ本の感想あれこれ。
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0e1b96ff.jpg   発行年月:2010年5月


小学四年生のぼくが住む郊外の町に
突然ペンギンたちが現れた。
この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを
知ったぼくは、その謎を研究することにした。
未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。

                 
                         
(角川書店HPより)



森見さんといえば・・・京都が舞台で大学生とか大人が主役が今までの作品。
しかし、今度の舞台は、郊外の新興住宅地。

主人公は小学4年生のアオヤマ君。
アオヤマ君は、日夜、いろいろな研究に追われている。
研究の内容は、ノ-トに書き留めておく。

そんなアオヤマ君がある日、偶然、目にしたペンギンたち。
同級生のウチダ君、ハマモトさんと一緒に、不思議な現象を探る冒険を始める。

冒険と言っても、遠くに行くわけではない。
住んでいる街の少し奥にある森が冒険の舞台。
不思議な世界が、日常から少し離れたところに存在する不思議。

アオヤマ君たちの敵には、イジワルなスズキ君たちがいる。
でもアオヤマ君は泣かないと決めている。そして怒らないとも決めている。
小学4年生なのに、キチンとした自分のル-ルを守って生活しているアオヤマ君が可愛い。
賢くて、優しい。言葉遣いも丁寧。
スズキ君に、時には仕返しをしたり。。。。


小学生のアオヤマ君だけど、歯医者に勤めるお姉さんとも親しくて、そのお姉さんがまた不思議。
ペンギンの謎のル-ツがお姉さんだったりする。

二人の会話が、ほのぼの。

でも、最後は、ちょっと切なかったな。


またいつか大人になったアオヤマ君とお姉さんの再会があったら楽しいな。
なんて思った。


今回のお話は、ちょっとメルヘンチックで、今ままでの森見作品にない雰囲気もあったけど、
こういう感じもいいな。

表紙の絵も好みだなぁ~。
装画は、くまおり純 さんという方らしい。


★★★


                         

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5a18ea62.jpg発行年月:2009年7月

祗園祭宵山の一夜に繰り広げられる6つのお話。

お祭の賑わいのなか、読者も共に不思議な世界に迷い込む。

森見ワ-ルド全開の面白さ!





表紙の絵が、物語の雰囲気にピッタリ!

6つのお話は別々のようで、同じ祗園祭宵山という共通の時間に起こった話。
登場する人々も少なからず関係していて、繋がっている。

京都の祗園祭は、日本三大祭りにも数えられるものですが、実際に見たことはありません。
これを読むと、祭りの賑やかなかんじが目に浮かぶよう。

京都という土地柄もあり、森見氏の今までの物語にあった、どこか懐かしいような不思議な気分も味わえました。

先ず最初の話で、バレエ教室の帰り、幼い姉妹が迷い込む、別世界に連れ去られそうな不思議な体験。
その後も何やら不思議なものが登場。
超金魚だったり、宵山様など。

偽祗園祭りを作る計画の祗園祭司令部の仕業なのか?実際に起こっている出来事なのか?

グルグル時間も戻ったり、先に進んだり・・・・・


まるで、この物語自体が万華鏡のようでした。

楽しい!楽しい!

森見さんの今までの作品の中では、一番好きかも!

まだ森見作品は読んだ事ない方にもぜひぜひ、読んで欲しい!

★★★★★
9ea72809.jpg発行年月:2003年12月


すべての失恋男たちに捧ぐ、爆笑妄想青春巨篇in京都。

私の大学生活は華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他になにも持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジ-ノベル大賞受賞作。

                                    
(新潮社HPより)

森見さんの学生時代(京都大学農学部院生)に書かれた物語。
主人公の森本(名前まで似てる・・・笑)も京都大学生。

振られた女性・水尾さんを研究するという勝手な言い訳を自身で作り、彼女の行動を追う森本。
一歩間違えたら、犯罪ですが。
そして愛車は「まなみ号」・・・これも可笑しい。

あるとき、水尾さんを待ち伏せしているところを同じように遠藤(こちらは法学部生)に激しく注意される。
恋のライバルか?と思うと、遠藤も密かに水尾さんを追い続けているだけの様子。
似たり寄ったりの二人。

しかし、お互いが敵と思ってか、第三者から見ると、バカらしく何とも執念深い、やり合い。
お互いの家に相手を驚かせる贈り物(ゴキブリなのぉ~(;O;))。
これは、かなり気持ち悪くて・・・正直、引いちゃいました^^;

森本と遠藤のほかにもかなり強烈なキャラクタ-(全部、男子!)。
読んでるうちに男臭さが実際にどこからか漂ってきそうなかんじでした(笑)。

でも、憎めないかんじ。かわいいな。とも思いました。

わたしがもう、このくらいの子どもが居ても不思議でない年齢だからかな?
若い女子が読んだら、また違うかもなぁ~。


そうそう、森見氏の物語には、いつも不可解な食べ物が登場しますが、ここにも出てきた「猫ラ-メン」。どんなラ-メン?
物語の中では屋台のラ-メンだとか。

これも妄想によるものでしょうか?実際にあったら、ちょっと食べてみたいような。


この本は、森見氏の原点かな?
この後、出た数々の作品を読んで、いいな。と思ってる人には面白いと思います。
が・・・どうも合わないという方には、更に苦手意識を強める可能性ありかも。

わたしは、まあまあ楽しませていただきましたが・・・。

★★★
d0cd81cb.jpg発行年月:2007年3月


山月記(中島敦)・藪の中(太宰治)・走れメロス(芥川龍之介)
桜の森の満開の下(坂口安吾)・百物語(森鴎外)

5つの名作を森見流に大胆にリメイク!




この中で、ちゃんと知ってる原作は・・・走れメロスくらいかなぁ~^^;
山月記は、数日前に柳広司氏の新釈版のような「虎と月」でも読んだので、大抵の話は分かりましたが・・・・。

原作をあまり知らなくても、大丈夫!
十分、楽しめますので(笑)

この方のセンスに脱帽です。

それぞれ、全く別の作者による作品ですが、森見氏の手にかかるとそれぞれの作品が少しずつリンクしているような不思議な構成。
舞台も森見氏お得意の京都。
そして、物書きとして大作を書くことに日夜追われる孤高の男性・斉藤秀太郎を軸に、彼に関係する人たちの話になっている。

「山月記」では、大文字山にこもってしまう秀太郎の話で、原作では「虎」になるのだが、ここでは「天狗」になっちゃう。
天狗・・・これも森見氏の話には度々出てきて・・・可笑しかった。

表題作の「走れメロス」が一番、笑えます。
原作の軸になるものは、ある意味キチンとあるのですが・・・「間に合わなかったらブリ-フ一枚で踊らなくてはならない」なんて・・・・。
バカバカしいけど、こういうのも好き(^^)


でも、話として一番良かったのは「藪の中」かなぁ?
原作を知らないのですが、これは原作も読みたくなりました。

恋人の女性とその元恋人のラブスト-リ-を自分が物語にして、映画として撮影する男の話。
男性同士は以前からの親友で、理解不能なそれぞれの行動ですが、実のところどういう気持ちでそんな状況を受け入れたのか?
ということをそれぞれが述べたり、第三者的にその作品を見たものが思ったことを述べたり。


あとがきの森見氏の言葉も良かった!
やはりこの方も楽しみながら書いてるのね・・・納得。

森見氏の思惑通り、これを読んで文学史に残るこれら名作の原典を読みたくなりました。


★★★★


04e1456d.jpg発行年月:2009年3月


京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。
無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。
手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ--------

                                               (本の帯文より)

森見さんの独特の世界観が大好きです!
他の作家さんにはない世界を今回もたっぷりと堪能させていただきました!

言葉の使い方本当に上手い!語彙力は、抜群です!!

今回は、可笑しい手紙の連続。
最初から最後まで、手紙のみ。
主人公の守田一郎が宛てた相手は・・・・

・小松崎友也・・・・・三枝マリに恋するマシマロ化(マシュマロが好物)した友
・大塚緋沙子・・・・・守田と小松崎の先輩で、類まれなき美人ながら怖いものなしの肝の太さで後輩いじめが趣味のような女性
・間宮くん・・・・・小学4年生で、かつて守田が家庭教師をしていた少年。
・森見登美彦・・・・学生時代、同じクラブに所属していた知り合い。
・守田薫・・・・守田の妹。高校三年生。
・伊吹夏子・・・・・守田が恋文の技術を駆使して綴る相手。

他にも、飛ばされた能登の研究所でクラゲのエキスパ-トとして守田を厳しく指導する谷口。

守田の手紙の中に登場するだけの↑のメンバ-なのに、それぞれの人の特徴が実によく表されていて人物像が自然と頭のなかに浮かんで来るのが面白い。

著者の森見氏が物語りに登場するのもなんとも愉快。
主人公の知り合いとして、手紙の相手で登場するのだが、守田が森見氏に書く手紙がまた可笑しい。
「どんな美女でも籠絡するような手紙の奥義を教えて欲しい」と送る守田に来た返事が「恋文を書く技術はない。ただ真心をこめて書くのみ」の返事を送ったという森見氏。
守田は、物書きのくせに・・・・と少しアテが外れた感を抱くのですが・・・・
わたしはこれ、結構、良いアドバイスじゃないかな?なんて思ったりして・・・・笑

そして、手紙を送る相手の女子たちが、揃いも揃って、森見登美彦氏の小説を愛読しているという設定もいいなぁ~。
もう、楽しんで書いてますね・・・・・笑
三枝さん、伊吹さん、守田の妹・薫で結成された「大日本乙女曾」という会。
わたしも入れていただきたい!なんて思ってしまいました^^;


能登にいる主人公ですが、手紙の相手は京都にいる。
そんなわけで、今回も京都のあれこれが出てきました。

気になる食べ物、今回も登場!
ぷくぷく粽、あじゃり餅、三嶋亭のすきやき、猫ラ-メン
どんなのでしょう?本当にあるものは?

そうそう、能登の天狗ハムも気になりました。


最後に守田が憧れる伊吹さんに書く恋文・・・・なんと其の9まであるのですが。
その失敗書簡集(特に其の四)は、笑えました。

こんなの要らん(特に其の四)!!(怒)とういうのもあったりして。

書いた手紙の後ろに【反省】があり、いちいち自分で書いたものについて突っ込み入れたり。

何か強い想いを相手に文章で伝えるって、本当に難しいのだと思います。
書いているうちに「あれ?こんなこと言いたいわけじゃないよな~」って思えて、もう一度書き直してそれでもやっぱり納得いかなくて・・・・。

今は便箋に言葉を綴って相手に送るなんて事はあまりなくなった時代だけど、自分が若い頃は、こんな思いしながら手紙を書いていたなぁ~なんて事も思い出したりして。

最後に守田が伊吹さんに送った手紙は、素直に思ったことを書いたものという事かな?
でも、ちょっと長いよ・・・・・^^;


兎に角、楽しいお話(お手紙)でした!

今まで森見さんの本、読んでみたけど、ちょっと入り込めなかったという方もこれは楽しめると思うけど。。。。どうでしょうね?


★★★★★


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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