世界的ベストセラ-『悪童日記』の著者による初めての自伝
祖国ハンガリ-を逃れ難民となり、
母語ではない「敵語」で書くことを強いられた、
亡命作家の苦悩と葛藤を描く
(本の帯文より)
文芸誌の紹介文に惹かれて読みました。
1956年、ハンガリ-動乱時にまだ生後数ヶ月の娘を抱いて夫と共にスイスに亡命した著者。
彼女の幼い頃からの記憶を辿りながら、話は進みます。
幼い時は本を読むことばかりしていたが、やがて物語を作り、人を喜ばせることに自身も喜びを得たと。
しかし、国内は他国の軍に占領され、敵語であるロシア語を学ぶことを学校で強いられ、また成人した後、フランス語圏に辿り着いたら、今度はフランス語を生き延びるためには取得しなければならない事態。
話すことは、割とすぐ出来ても、読むこと、まして書くことに関しては遅れる。
自分のなかで、祖国の言葉が殺されていくようと書いている著者の言葉は痛烈。
歴史的背景をみても、一生日本で暮らす日本人には、こういう経験した人いないでしょうし・・・。
想像以上のそこには、苦しみがあったと思います。
しかし、自分は物語をつくり、書くことがしたい!と本来の自分の気持ちを取り戻したとき、ここで書くためには、話せるだけじゃだめなんだ。
文盲のためではいけない!と気づき
26歳で読み方を学ぶための大学の講座に登録し、勉強を始める。
そして、最初に発刊されたのが「悪童日記」とか。
その書は、多くの国の言葉に訳され、世界的ベストセラ-となったそう。
わたしは、まだ読んでいないのですが、近いうちに是非、読みたいと思います。
調べたら、3部作らしいので、根気要りそうですが。
歴史的背景には、過酷なことももっとあったと思いますが、それらにはあまり詳しく触れていません。
ただひたすら、自分が書くことに向かって生きてきた事実のみが記されているかんじ。
100ペ-ジちょっとの短い本なのですが、印象に残る本でした。
中学校の惨劇はなぜ起きたのか?
いじめを受けつづけた少年たちがとった、最後の行動とは・・・・・。
「普通の中学生」の日常をリアルに描き、《心の闇》に迫る問題作!
ぼくが書いているノ-トは、(中略)さいしょのペ-ジの下のほうに、「計画」という文字と二本の交差させた骨が描いてある。Xの形だ。
ぼくに話しかけなかったり、返事しなかったりしたか、一日ごとに表にしてある。一回につきひとつずつ、X形の骨をたてに描いていくんだ。(中略)月曜日が木曜日をおさえて、いちばん多い・・・・・・・・・・(本文より)
(本の帯文より)
たまたま、図書館の棚で見つけ、なんとなく借りてきました。
読み始めたら、主人公は中学生だし、一般書のコ-ナ-にあったけど、これは児童書かな?なんて思っていましたが、全く違いました。
これは、子どもの事を理解しようとする大人が読む本だと思います。
物語の主人公・エドウィンは日本でいう中学二年14歳。
はっきりしたいじめの理由はわからないのだが、何故かいじめられ、それを見ている者たちもいじめている側の味方。
先生たちにも、目を付けられていて、親が呼び出しをかけられることもある。
唯一の友・フレイクと会話することだけが心のよりどころ。
二人の少年は、お互いの親の事にも不満を持っている。
が、家のなかでは、普通の子ども。
二人の少年の両親はそれぞれ健在で、それなりの社会的地位がある。
今まで少年犯罪の物語を幾つか読んで来ましたが、それらと違うのは特別寂しい家庭環境にあるとかではなく、いわゆる普通の家庭の子だということ。
両親たちも、子どもに特に無関心だったりではないし・・・。
会話もある。食事も家族揃ってしている。
そういう状況の子どもでも、何らかの事態が、子ども達の心を壊し、最悪の犯行を犯してしまうことに恐怖を感じました。
少年・エドウィンが語り手となり、毎日の出来事を淡々と語りながら、最後は、友人・フレイクと二人で銃を乱射し、学校内を惨状の場に変えてしまう。
いったい、どうしてこんな事が起こってしまうのか?
どうしたら、よかったのか?
考えても、考えても、わからない。
日本では、銃の規制がアメリカよりは厳しいので、このような事件はまだないけど、銃以外の無差別殺人はあるし、全く、関係ない話ではないと思う。
この小説の少年たちと同年齢の子どもを持つ親としては、考え込んじゃう重たいものだけが残る話でした。
上手く書けないけれど、だからと言って、読まない方がよかったとは思わない。
読んでよかったと思いました。
★★★
冒険ふしぎ美術館へようこそ。
ここは、謎に包まれたふしぎなできごとが起こる場所だ。
きみも、あのレオナルド・ダ・ヴィンチの人生や
アイデアについて、おどろくべき事実をいくつも
発見できる。
(本の表紙裏の解説文より)
先日、次女と映画「ダヴィンチ・コ-ド」を見て、気に入った様子だったので、図書館で次女の為に借りてきました。
早速、読んで「おもしろい!お母さんも読めば?」と言うので、読みました。
美術館見学にクラスの子どもと訪れた少年が、館長さんのトナテッリさんが怪しげな二人組みに何やら脅されているのを目撃するところから物語が始まります。
館内の宝を守るために暗号を解読しながら物語が進みます。
これは、ダヴィンチの数多い謎のいくつかを楽しめる本で、子ども用に分かり易く解説されたものなのですが大人でも十分、満足できる本でした。
既に知っている謎もありますが、鏡文字を解読しないと答がわからないようになっていたり、一工夫あるのが面白い!
あらためて、自分が既に知っていることを確認しながら、また時々「へ~そうなんだ?」みたいな知識も得ながら読み進めて行きました。
巻末にちゃんと付録で、鏡文字を解読する手助けになるアイテムが付いているので、字の読めるお子さんなら楽しく遊びながら解読できそう。
図書館で借りたものなので、実際は作れませんでしたが、工作の付録も付いていて、何倍にも楽しめる本だなぁ~という印象。
こういうのがキッカケでダヴィンチの絵画をより深く楽しみ、他の絵画にも興味が沸きそう。
ちなみに訳者の越前氏は、「ダヴィンチ・コ-ド」「天使と悪魔」(ダン・ブラウン/著)の訳者でもあります。
発行年月:2005年7月
「私が愛されたことの、
しるしが欲しい」
1964年サウスカロライナ。父親のもとを飛び出し、養蜂家の
黒人姉妹が住む家にたどりついた、
リリィ、14歳の夏・・・。
(本の帯文より)
映画では「リリィ、はちみつ色の秘密」でしたか?
ちょっと気になっていた映画で、見そびれたままだったので、図書館からその原作本を借りました。
4歳のとき、母親は事故で亡くなったと聞かされていた。
が、かすかな自分の記憶は・・・・銃が床にあり、母親が倒れていて、銃声も聞いた。
そして、その銃を自分も触った記憶。
お母さんを殺してしまったのは、わたしなの?その罪悪感から離れられないでいる。
母親が亡くなったあとは、父親と暮らしてきた。
だが、それは父と呼べるような人でなくリリィは「T・レイ」と呼んでいる。
リリィの面倒をずっと見てくれたのは、黒人のロザリン。
ある日、父親から「おまえを捨てたのは母親だ。死んだ日は、ここに荷物を取りに来ていた」と聞かされたリリィは、両親のどちらからも自分は愛されていなかったんだとショックを受ける。
その年、アメリカ大統領は公民権法を発効させると発表。
ロザリンは街に出て、黒人にもそれが適用されるのか?まずは選挙権登録をしようとする。
リリィは、一緒に連れて行って欲しいと頼み、父親にナイショで家を出る。
が、その先で事件が起こり、ロザリンは警察に連行されてしまう。
リリィが機転を利かせ、なんとかロザリンを警察の手からから連れ出し逃亡。
そして、行き着いたのが、黒人の3姉妹で暮らす養蜂家の元。
行き場がない事を話すと長女のオ-ガストが快く受け入れてくれる。
次女のジェ-ンは最初は冷たく接していたが、次第にリリィたちを受け入れてくれる。
三女のメイは、繊細なゆえ心を病んでいるがリリィたちには優しい。
他に、メイと双子のエイプリルが居たが、15歳のとき、黒人差別による無気力感からうつ病になり自殺している。
メイが心を病んだのは、エイプリルの死が原因。
そんな3姉妹と暮らしながら、蜂蜜づくりの手伝いに毎日、忙しく過ごすリリィ。
同じように蜂蜜づくりに関わる黒人少年・ザックとも心を通わせるが、黒人ゆえに哀しい事件に巻くこまれるザック。
まだまだ、不平等なアメリカ社会を痛感する出来事は哀しいが、逞しく立ち直る彼のその姿は感動する。弁護士になるのが夢だと、その夢に向かって進もうと強い意志をリリィに語る。
小説家になるのが夢と言ったリリィに綺麗なノ-トをプレゼントしたり、二人の様子が微笑ましい。
両親の二人に愛されていなかったと悲観するリリィだったが、偶然にも母親がこの地で暮らし3姉妹とも顔見知りであった事実が明かされ、自分の知り得なかった母親の事を知らされる。
そして嫌いだった父親にも以前とは違う気持ちで向き合えるようになったリリィ。
読み始めた最初は、重苦しい話かと思いましたが、最後は明るい終わり方で良かった!
リリィの家族以外は黒人が多いのですが、皆、前向きで、明るい。
辛いことが度々、起こるのですが、その度に皆で支えあう人たちには、何か勇気をもらったよう。
蜂についてのちょっとしたウンチク話も勉強になりました。
今度は映画をみてみようかな?
とても良いおはなしでした♪
★★★★
学校帰りに気分が悪くなった15歳のミヒャエルは、母親のような年の女性ハンナに介抱してもらい、それがきっかけで恋に落ちる。そして彼女の求めに応じて本を朗読して聞かせるようになる。
ところがある日、一言の説明もなしに彼女は突然、失踪してしまう。彼女が隠していたいまわしい秘密とは何だったのか・・・・・。
(本の表紙裏の解説文より)
来月公開予定の映画「愛をよむひと」の原作本です。
映画の予告を観て、その原作があることを知り、図書館で借りました。
全世界500万人が涙したベストセラ-小説・・・・と映画のチラシにもありました。
15歳のミヒャエルが36歳のハンナに気分が悪いときに優しくしてもらい、その後も家を訪ね、恋が芽生える。
が、それは短い時間に幕を閉じ・・・・でも、その後、再会するのは、法律を学ぶ大学生になったミヒャエルがゼミの担当教授の指示で傍聴したナチス時代の強制収容所で起こった事件に対する裁判だった。
ハンナは複数の被告者のうちの一人として、裁かれる側。
その罪とは?
とても重い内容でした。
アウシュヴィッツの近郊の収容所に当時、看守として勤務していたハンナ。
その収容所から再び、アウシュヴィッツに戻される囚人は殺される。
ハンナは再び戻される囚人を呼び出し、本を朗読させていた。
それは、直接的な罪でもないのだが・・・・裁判では、そんな事すらも罪だとハンナを攻める。
複数の被告人のなかでハンナだけが重い罪を着せられるその過程は辛い。
それを傍聴し続けるミヒャエルの心中も想像すると辛い。
一人だけ、重い罪を背負うことになってしまうハンナだが、それを覆すことが出来る事実を掴むミヒャエル。
しかし、それを暴露することをハンナ自身は望むか?自分でその事実を述べないハンナに代わって自分がそれを言うことはハンナにとって良いことなのか?
自分だったら、どう行動するだろう?
でも、そんなに隠したいことだろうか?(あえてここでは言いませんが・・・・)
無知ゆえにこういう仕事に就いてしまったか?と思うとハンナが気の毒でした。
裁判で無期懲役を言い渡され、長い服役生活をする間に、ミヒャエルは同じように法律を学ぶ女性と結婚、娘も生まれ、幸せそう。
でも、ハンナを想う気持ちが常にある。
ラストの方では、恩赦により18年の服役生活から開放されることが決まったハンナとミヒャエルの再会。
だけど結末は。。。。。切ない。哀しい。辛い。
泣けます。
ハンナの気持ちを想像すると・・・・。
彼女の一生って、何だったんだろう?
すごく重たい恋をしちゃったミヒャエル。
でも最後まで、ハンナへの想いを貫き通したのは、スゴイ!
こういうのを本当の無償の愛というのでしょうか?
映画ではハンナ役はケイト・ウィンスレット。
これは映画も観なくては!!と思いました。
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;