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読んだ本の感想あれこれ。
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51dW9HhtDhL__SX230_.jpg   発行年月:2012年2月


   罪人になるのは簡単なのに、世界は何も変わらない。
   ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。「このミステリーがすごい!」第二位など、年末ベストを総なめにした『犯罪』に比肩する傑作


                                        (東京創元社HPより)


15編の犯罪話。
著者は作家兼弁護士。
自分が関わった事件を元に書かれた話のようです。
なので、それぞれが物語とはいえ、事件の記録を読んでいるようなリアル感がありました。

最初の話「ふるさと祭り」から、イヤ~な気分になりました。
祭りの最中、バンド演奏をしている男達が休憩時間に17歳の少女に集団で暴行の事件。
そのうちの一人が警察に通報した。
当然、男達は捕まり、当然の罰を受けるだろうと思いきや・・・・

他の話にも大罪を犯しながら、罰されない事件があったりで、読んでいて嫌なかんじになる話が多い。
だけど、不思議と次の話も読んでみたいと思わせる。
残酷な場面もあるけれど、意外とサラリと書いてくれてあるので、まあ、よかった。


唯一、ちょっとホッとした話は13番目の話「清算」。
ちゃんと裁判所が正しい判断で無実を言い渡してくれてホッとした。
彼女がその後の人生、幸せでありますように・・・と思った。


この書の前に書かれた「犯罪」も評価が高いようなので、そのうち読んでみようかな?
続けてはちょっとヘビ-だから・・・・^^;


★★★
 
 
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51Qv2rNnq0L__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年1月


ラジオ局を訪ねてきた少年は、行方不明者のリストを握り締めていた。ペルー系アメリカ人作家による初長篇。

行方不明者を探すラジオ番組「ロスト・シティ・レディオ」。その女性パーソナリティーのもとを、一人の少年が訪ねてくる。彼が手にしていた行方不明者リストには、彼女の夫の名前もあった。次第に明らかになる夫の過去、そして暴力に支配された国の姿。巧みなサスペンスと鮮烈な語り。注目の新鋭による、圧倒的デビュー長篇。


                                             (新潮社HPより)


惹き込まれる様に読みました。
とある国に起きた内戦を巡っての物語。
内戦なので、戦闘により命を落とす場面が多く出てくるのか?と思ったらさほどではない。
でも、単純に戦闘により命を落とす危険よりも更に根深い何か目に見えない恐怖が伝わってくる物語だった。

物語は人気ラジオ番組「ロスト・シティ・レディオ」のパ-ソナリティを勤めるノ-マの元にある日、現われる少年・ビクトルとの出会いから始まります。


ビクトルは貧しい人々が暮らすジャングルのなかの1797村というところから来た。
手には村の人たちから託された行方不明者のリストを持っていて、ラジオ番組でリストにある名前を読み上げて欲しいという。

ノ-マは少年・ビクトルをしばらく預かることに。
そして、物語は過去を織り交ぜていく。

ノ-マの夫・レイも行方不明者なのだが、二人が一緒に暮らしていた頃の話。
レイの少年時代の話。
レイが自身の仕事(民族植物学者)の関係でジャングルのなかの村を訪れていた頃の話。

そして、段々とわかってくるレイの失踪するまでの様子とその後のこと。


時系列が一定方向じゃないので、やや面食らったけど、分かりにくくはない。
始終、よくわからないなんともいえない閉塞感がつきまとう。

内戦が終わっても、いまなお人々のなかの戦いは終わらないのかな?

架空の国の物語とはいうけど、凄いリアリティを感じた!


                                       ★★★★★


 
41jA7bDTAQL__SX230_.jpg   発行年月:2011年12月

  
けっして動かないよう考え抜かれた金属の部品の数々。でも力加減さえ間違えなければ、すべてが正しい位置に並んだ瞬間に、ドアは開く。そのとき、ついにその錠が開いたとき、どんな気分か想像できるかい?8歳の時に言葉を失ったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くことと、どんな錠も明けることが出来る才能だ。やがて高校生になったマイクは、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり芸術的な腕前を持つ解錠師となるが・・・

MWA,CWAの両賞の他、バリ-賞最優秀長編賞、全米図書協会アレックス賞をも受賞した話題作


                                         (早川書房HPより)


なかなか面白く、スラスラと読めた。

8歳の時に喋れなくなったのには、ある凄惨な事件を目撃してしまったから。
そして、偶然にもそんな事件に巻き込まれたため、ある才能があることがわかる。
その才能とは、鍵を開けることが出来るという才能。

物語は8歳のときの事件に巻き込まれながらも生還したマイクを「奇跡の少年」とマスコミで取り上げられたということが書かれ、その後、どういう経緯か金庫破りの罪で囚われ、自分のいままでを振り返る形で進む。
子どもの頃のことと金庫破りをしていた頃のことが交錯しながら話が進むので、ちょっと話が前後するけど、読みにくさはなかった。

少年が金庫破りを自ら進んでやっているかというとそうではない。
犯罪者が少年に接触さえしなければ。。。。
けれど、イヤならやらずに済んだような状況で、それを続けていたのは、鍵を開けることで自分の存在価値が高まるようだったからかな?
そう思うと、哀しい。

やがて、金庫破りの現場を家主・マ-シュに見つかり、バツとして命じられたことを黙々とこなす。
律儀な・・・半ば呆れながらも少年の本質を認めるマ-シュ。
そしてその娘・アメリアとの恋。

金庫破りをしてなかったら、アメリアにもめぐり合えなかったのだから、まあ、結果良ければ・・・ということだろうか?

金庫破りをするシ-ンが度々出てくるけれど、そんな風に実際、鍵を開けることが出来る人がいるとしたら脅威だな。
でもその描写はリアルで面白かった。

刑期を終えたマイクが、今度は絵の才能を活かして、アメリアと新たな人生を歩いてほしいなぁ~なんて願望を持ちながら本を閉じた。

映像化されたら、これ面白いかも。


★★★★
51642ll2iQL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年8月

人と犬の絆、人間の原罪、
驚異のデビュー作

スティーヴン・キング絶賛、発売忽ち140万部突破の全米大ベストセラー小説。動物文学の新たなる金字塔。
ウィスコンシンの静かな農場で犬のブリーダー業を営むソーテル家の一大サーガ。思いがけない父の死とその真相、母と叔父の接近。居場所を失った息子エドガーは、3匹の犬とともに森に姿を消す──。人と犬との絆、人間の原罪、少年の成長を魔術的に、寓話的に描き、物語の醍醐味に正面から挑んだデビュー作。


                                         (NHK出版HPより)


素晴らしい物語でした!!
700頁を超える長編作品ですが、全く飽きませんでした!
むしろ残りの頁がなくなってくるのが寂しくなったほど!

犬好きの人ならすごく楽しめると思うけど、犬より猫派のわたしでさえ、犬って素晴らしい生き物だな・・・と思った。
主人公は、表題通り、生まれつき言葉を発することが出来ない少年・エドガ-・ソ-テル。

祖父がこの土地を買い取り、犬の飼育や繁殖を行い、それによって生まれたソ-テル犬は誇り高い賢い犬として、世に知られることにまでなった。
エドガ-の父・ジョンがその後を引き継ぎ、母と結婚し、流産を2度繰り返した後、生まれたのがエドガ-であった。
エドガ-は、言葉は喋れないけれど2歳から手話をはじめ、犬とも手話で接し、エドガ-が生まれたときから居た犬のア-モンディンとはいつも一緒に行動し、まるでエドガ-の二番目の母親のよう。
信頼関係で繋がっていた。

平和だったソ-テル家だったのに、少しずつその様子が変わってくる。
そのキッカケになったのは、ジョンの弟・クロ-ドが農場に戻って来たこと。
ジョンとは意見が対立し、口論が耐えない。

そして、突然の父の死。
その死の瞬間、居合わせたエドガ-は、後に、自分が言葉を話せていたら、父親を助けられたのではないか?と自責の念にかられ苦しむ。
母親も父の死を哀しんでいるが、クロ-ドが家のなかに入り込むことを容易に受け入れ、クロ-ド自身をも受け入れているかんじがエドガ-を一層、苦しめる。
そして、父の幽霊と接する。
精神状態がアンバランスになっていくエドガ-。
そして起こしてしまう惨事。

その後、3匹の犬と一緒に家出して森のなかで生活する。
この場面は、哀しく過酷なんだけど、自然を相手に生きるエドガ-と犬たちの様子が生き生きしている。
最初は空腹に苦しむが、その問題も解消し、親切なヘンリ-という男性の元で暫く生活をする。
ヘンリ-とエドガ-たちのやり取りの場面はホッとするものだった。

しかし、再び、家に帰らなければとヘンリ-に別れを告げて家に帰る。

ハッピ-エンドでなかったラストの成り行きにはビックリだった!

いつまでも余韻が残る


これは、またぜひ時間のあるときに時間をかけて再読したい。


 

★★★★★

 
41-yVY77KkL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2010年8月


逝ってしまったきみへの追想と祈り----。少年と教師、ひと夏の恋。

追悼式の日、合唱隊が歌い、彼は目を閉じる。夏休みの小さな港町で、少年は美しい教師に恋をした。海辺の出会い、ヨットレース、ビーチドレスと短い黒髪、そしてホテルの夜……織りなす記憶の重なりは、やがて沈黙に満たされる――妻を亡くした巨匠レンツが祈りを紡いだ物語、ドイツでベストセラーとなった清冽な恋愛小説。


                                         (新潮社HPより)



物語は、学校の講堂での追悼式の場面で始まる。
その学校で英語を教えていた教師・シュテラ・べ-タ-ゼンの追悼式。
彼女は、生徒たちに人気があり同僚からも高く評価されていた。

そして、その追悼式のなか、一人の青年・クリスティアンは特別な想いでそこに居た。
先生と過ごした時間を思い出しながら・・・・

一言で言うと高校生と女教師の恋物語を描いたもので、そういう話は結構、過去にも読んだし、物語としてはありがちな設定です。
でも、物語のうしろにある背景が頭に浮かび、それがとても美しい。
海辺が近い場所が舞台で、そこで過ごす二人の姿はロマンチック。

状況として、よくわからない部分もあるのだけど・・・・
例えば・・・シュテラはクリスティアンになぜ、そしてどこに惹かれたのか?
事故の起きたときの状況もちょっとよく分からなかった。
それは、まあ置いておいて

80歳を過ぎてもこういう恋愛話を書けるレンツって、素敵だな。

ほかの物語も読んでみたくなった。


こういう雰囲気のある小説って好き。
海外の作品ぽくて・・・。


★★★★
 
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