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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年6月


 

愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る。野心的長篇小説!

長らく疎遠だった父が、死んだ。「明日香を除く親族は屋敷に立ち入らないこと」。不可解な遺言に、娘の明 長らく疎遠だった父が、死んだ。「明日香を除く親族は屋敷に立ち入らないこと」。不可解な遺言に、娘の明日香は戸惑いを覚えたが、医師であった父が最期まで守っていた洋館を、兄に代わり受け継ぐことを決めた。25年ぶりに足を踏み入れた錦野医院には、自分の知らない父の痕跡が鏤められていた。恋人の冬馬と共に家財道具の処分を始めた明日香だったが、整理が進むに連れ、漫画家の仕事がぎくしゃくし始め、さらに俳優である冬馬との間にもすれ違いが生じるようになる。次々現れる奇妙な遺物に翻弄される明日香の目の前に、父と自分の娘と暮らしていたという女・妃美子が現れて――。愛情のなくなった家族や恋人、その次に訪れる関係性とは。気鋭の著者が、愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る。喪失と再生、野心的長篇小説!

                   (角川書店HPより)




幼い頃、暮らしていた洋館を父の遺言に従って整理する明日香。

一緒に暮らしていて結婚まで考えていた冬馬とは、軋轢が生じ別れる。
父親が母親にしていた暴力を口論の末、自分もしてしまったことに
ショックを受けつつ、父親と似ていることを他の人からも指摘され
今まで気付かなかった父親の真意を考える明日香。


なんだか重苦しい話だった。
こういう家庭環境に生まれたら窮屈だろうな~。
同じような家庭環境の人なら少しわかるのかな?

遺品整理しながら、時々、現れる謎の男の子は気になった。
単なる好奇心旺盛な男の子?
それとも・・・・・。
でも男の子と明日香のやり取りの場面は結構、好きだった。


家族って不思議。
家族に愛されなかったとか愛されたとか、考えたことない
わたしは幸せなのかな~?
そういう人間には、この物語の言おうとしている事がよくわからないのかも?


今までの彩瀬さんの本は、面白かったけど、これはちょっとよく分からなかった^^;


                         ★★★
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発行年月:2017年10月

著者の新境地を開く七編

別れた不倫相手の左腕と暮す「くちなし」、
運命で結ばれた恋人に会うと体に花が咲く「花虫」など
繊細に紡がれる傑作短編集。

                    (文藝春秋HPより)




直木賞候補だったんだぁ~と読んでから気づく。


独特な妖しい世界観で統一された短編集。
SF?ホラー?
今まで読んだ彩瀬さんと少し雰囲気違って、これはこれで面白かった。


最初からインパクト大の表在作<くちなし>
別れを告げられ、何か贈らせてほしいという恋人に左腕が欲しいと頼み
その希望を叶えられる。
腕は十分に私を褒め、いたわり、甘やかせてくれた。


<花虫>
お互いの体の一部に咲く花を見つけ結婚した男女。
体のなかに侵入した羽虫によりコントロールされる一生。


<愛のスカート>
学生時代好きだった恋人と偶然、再会。
元恋人が今、好きなのは普通の主婦。
デザイナーの彼にスカートをプレゼントしてあげたらどうかと提案し
彼もその提案に乗る。


<薄布>
家庭を顧みない夫を憎む。
ママ友の集まりで知った:人形遊び:。
北から来た綺麗な少年との逢瀬を楽しむ。


<茄子とゴーヤ>
3か月前に夫が不倫相手と一緒に交通事故死。
髪を切って、カラーをしようとお店を探し、近所の床屋に入ってみる。
禿げ頭の無愛想な男に相談。
カラーは取り寄せるから先ずはカットだけと。
その後、茄子色に髪を染めて貰い、なかなかの出来映え。
禿げ頭の男が育てているゴーヤを食べないからと店に行くたび貰う。
男と普通に会話するほどの仲になる。


<山の同窓会>
3回目の産卵を果たした女は大抵、力尽きて死んでしまう。
3回目の妊娠をしている彼女たちに会うのは、最後のお別れのチャンス。



人ではない異形なものの話が多かった。
ちょっと不気味だけど、先が気になるのでスラスラ。

そんななか、<愛のスカート>と<茄子とゴーヤ>は
ちょっと微笑ましい人と人のやり取りなので、楽しく読んだ。
こういう話の方が、わたしは好きだな。

表題作の<くちなし>は、妖しく怖かった。
やはり一番、印象に残る話だった。



                         ★★★★

 




発行年月:2017年2月


 手が好きなので、あなたの手を見せてください!――不思議なノリで盛り上がる、深夜の掲示板。そこに集う人々は、日々積み重なっていく小さな違和感に、窮屈さを覚えていた。ほんとの俺ってなんだ――「小鳥の爪先」女という性になじめない――「あざが薄れるころ」不安や醜さが免除されている子はずるい――「マリアを愛する」社会の約束事を無視するなんて――「鮮やかな熱病」俺はいつも取り繕ってばかりだな――「真夜中のストーリー」連作短篇集。

                       (徳間書店HPより)




5つの短編、どれもそれぞれ良かった!


今の状況に少し居心地の悪さを感じている人たちが、人との関わりのなかで
少し気持ちが楽になる様子を描いていて、読んでいて最後はホッとするかんじが
心地よかった。


それぞれの話に共通して出て来る、ネットのなかの悩み相談の掲示板。
そこに出て来た「手がすきなので・・・・」という書き込みに反応する
それぞれの主人公たち。

そして最後の<真夜中のストーリー>でその最初の書き込みをした者が
登場するお話。

巧いなぁ~と思った!

お話として好きだったのは<マリアを愛する>。
恋人の元カノ・マリアのことが気になる香世子。
マリアは事故死している。
そんなある日、マリアが香世子の前に現れて・・・

マリア、いい子だなぁ~。可愛い。


この短編集は、また暫くしたら読み返したい!


                         ★★★★★



発行年月:2016年9月


 高校の廊下にうずくまる、かつての少女だったものの影。疲れた女の部屋でせっせと料理を作る黒い鳥。母が亡くなってから毎夜現れる白い手……。何気ない暮らしの中に不意に現れる、この世の外から来たものたち。傷ついた人間を甘く優しくゆさぶり、心の闇を広げていく――新鋭が描く、幻想から再生へと続く連作短編集。

                   (新潮社HPより)


不思議な話。
ちょっとホラーっぽい描写もあるけれど、なんだか惹きこまれていく物語たち。
6つの短編それぞれの主人公たちは、死を感じさせる者たちと触れ合う。
それぞれの主人公たちの置かれた立場がとても痛々しい。
けれど、絶望のなかから少しだけ救いが覗くのが読んでいるこちらにも救い。

<君の心臓をいだくまで>
夫は出張中の日菜子。
妊娠中だけど、胎児の心音が確認されず様子をみましょうと医師から言われる。
その後、帰宅すると見慣れぬ女が食事を作って待っていてくれる。
女は大きな黒い鳥。


<ゆびのいと>
まだ新婚なのに突然、妻は突然、脳梗塞で亡くなった。
けれど、帰宅すると料理を作って待っていてくれる。
料理のなかには何かすごく生臭い肉の塊のようなものが必ず入っているのだが、
妻はそれが一番大事という。


<眼が開くとき>
カメラマンの瑠璃は、仕事で偶然、阪口暁と再会する。
小学5年生のときに転校してきた美少年は今はモデルとして瑠璃の前に。
子どもの頃、暁を頭からバリバリ食べてしまう夢をみた。


<よるのふち>
10歳の宏之は母親を交通事故で亡くす。
8つ年下の弟を放課後に保育園に迎えにいく。
夜中、弟の頭を撫でる白い手。
母のハンドクリームのにおい。


<明滅>
大雨で避難勧告が山すその住民に出ているが、自分たちのところは大丈夫と
自宅で夜を迎えている夫婦。
夫が中学生のとき、川に落ちて流され怖い思いをしたことがあるという話をする。
妻はそのあと、怖い夢を見たと起きて、真っ暗ななんの救いもない場所に
連れていかれる恐怖について話し合う二人。


<かいぶつの名前>
学校の屋上から落ちて亡くなった少女。
昼間は学校の廊下にじっとしていて、夜になると歩き廻る。
女子トイレで感じる人の気配。
噂があったトイレで手首を切った女の子だろうけど、関わらないようにしている。
そして、新しく赴任してきた女教師が少女を見つけ自身の教員室に招き入れ
話をする。
かつての名前〇〇さんと呼ばれる。


独特の雰囲気。
表題の意味も全部読んだあとなら、なんとなく理解できる。
どうしようもない心の中の暗くて重たい思いを共有して
そばにいてくれる人の存在が、その人を救うってことかな?


                          ★★★★★



発行年月:2013年3月


 私って「かわいそう」だったの? 「女による女のためのR‐18文学賞」受賞第一作!

ずっと穏やかに暮らしてきた28歳の梨枝が、勤務先のアルバイト大学生・三葉と恋に落ちた。初めて自分で買ったカーテン、彼と食べるささやかな晩ごはん。なのに思いはすぐに溢れ、一人暮らしの小さな部屋をむしばんでいく。ひとりぼっちを抱えた人々の揺れ動きを繊細に描きだし、ひとすじの光を見せてくれる長編小説。

                   (新潮社HPより)



28歳独身の野坂梨枝。
母親と二人暮らし。
幼い頃、両親は離婚し、兄は家庭を持ち、離れてたところで暮らしている。
過干渉ぎみの母親に辟易する毎日だったが、兄家族が実家で同居する
ことになり、それを機に1人暮らしを始める。

ドラッグストアの店長を務める梨枝。
そこに新しいバイトとして来た20歳の大学生・三葉。
梨枝に親しげに接し、最初は仕方なく夜勤のバイト終わりにごはんを一緒に
食べたりしているが、徐々に彼との関係を特別なものと考える。

ドラッグストアに定期的に来る女性は、バファイリンを過剰に服用している様子。
気になり再三声を掛けるが、彼女は反論。
それでもまた店に来る。

兄の妻・雪ちゃんは、梨枝が幼いころから知っている小さい時からもお姉さんとして
接していた存在。
母は同居してから、雪ちゃんの作る食事がマズイことを梨枝になんとか言って欲しいと。



身近だから言えないことって確かにあるよなぁ~。

母親に、恋人に、兄嫁に・・・

ラスト、実家で餃子を作る場面は、ほんんわかして良かったなぁ~。
ギクシャクしていたかんじが取れたみたいで。


バファリン常用の彼女との関係も良い方向に行きそうで
梨枝の周りの人間関係が一挙にうまくいきそう。

あ、でも蜘蛛を潰せなかった柳原は、その後どうしたんだろ?


途中まで嫌な雰囲気だったけど、ラストは明るく終わってくれて良かった。


                          ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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