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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2008年2月

第138回芥川賞候補作
好きになったということを仮定してみる
郊外の倉庫管理部門に左遷された独身女性・イリエ(28歳)は日々のやりきれなさから逃れるため、同僚の独身男性・森川を好きになったと仮想してみることに……

                 (講談社HPより)



表題作を含む3編。
やはり表題作が一番面白かった。

<カソウスキの行方>
左遷された先の同僚の藤村を好きだと仮想してみるイリエ。
遊び半分で、森川の行動を細かく観察し兵馬桶のノートにメモしていく。

本当は何ら特別な感情なしだったのに、少しずつ気持ちが変化してる?
と思えるところがなんとも愉快。

実は離婚歴があって、成り行き上その元妻に会いに行くことになってしまうイリエ。

イリエは最後、左遷先から再び、本社に異動。
森川は中国に出向になり、離れ離れになるのだが、近くに居たときより
何やら接近したような終わり方がいい。
カソウスキの行方は・・・・ハッピィエンドということか?


ほかの2編もよかった。

<Everyday I write A Book>
市営地下鉄で導入されるICシステム。
そのカードデザインをしたのが鹿戸浩介。同い年のデザイナー。
シカドのことを好きだった時期もあったのに、彼は絵本作家兼ミュージシャンの
茉莉と婚約したと聞く。
そして茉莉のブログを毎日チェックする野枝。


<花婿のハムラビ法典>
結婚式当日の新郎・ハルオ。
新婦は郷美。
ハルオはサトミを付き合っているときその行動を数値化していた。
遅刻は8割。3回に1度はドタキャン。
そこで、ハルオは1回の遅刻には自分も1回の遅刻を
1度のドタキャンには1度のドタキャンをすることに決めた。



登場人物たちのちょっと笑っちゃう思考がいい。
津村さんの書く人物って面白いなぁ~。

感動するとかの話じゃないんだけれど、何となく好きです(^^)


                           ★★★★
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発行年月:2013年6月


じぶんではない、だれかのために祈るということ――。


人型のはりぼてに神様にとられたくない物をめいめいが工作して入れるという奇祭の風習がある町に生まれ育ったシゲル。祭嫌いの彼が、誰かのために祈る――。不器用な私たちのまっすぐな祈りの物語。

                    (角川書店HPより)





2つのお話が収録。

一つ目の<サイガサマのウィッカ-マン>
町の特殊な信仰。
サイガサマ・・・願いを叶える代わりに体の一部を奪っていくと言われている神様?
冬至のお祭りとして、人々は願いを叶えて貰った折に奪われて欲しくないからだの部位を
作り物でお供えする。
地元の中学生が大きな人形を作り、人々が作ったからだの一部を入れ
それを燃やす行事。

その祭りでお供えするからだの一部を作る申告物教室なるものを手伝うはめになった
男子高校生・シゲル。
バイトで公民館の清掃をしているのだけど、公民館が会場の申告物教室を
手伝うことになる。
内心では、気が進まない手伝いなのに、与えられた仕事はちゃんとこなす。
ちょっと気になる中学時代の元同級生の女子・セキヅカのことを優しく見守る
姿は凄く好感が持てた。

ひきこもりになった中学生の弟も、少し前に進むかな?


2つ目は<バイアブランカの地層と少女>
京都の大学生の十和田作朗は大学のガイドサ-クルに所属している。
実家から大学に通うことも可能だが、実家が活断層の真上にあることを気にして
以前から住みたいと思っていた嵐山に手ごろな物件を見つけたこともあり
塾の講師と実家からの月2万の仕送りで一人暮らしをしている。

ひょんなことからアルゼンチンに住むファナという少女と文通をすることになり
アルゼンチンはスペイン語だと知り、友人のエンド-の知り合いである
スペイン文化研究会のナカオさんを紹介して貰う。

作朗も1作目のシゲルと似てる。
真面目で人の気持ちを理解しようとしている。
アルゼンチン人の少女からのメ-ルを理解しようして、彼女のことを日々考えている。


2つのお話に共通するのは、自分の家族でも恋人でもない人だけど
その人が幸せであるように祈っているということ。


文章もユニ-クで飽きない。
読んでいると不思議な心地良さに浸れるかんじ。


過去の作品も、もっと読んでみたいな~と思わされた。


                         ★★★★★
abe42896.jpeg発行年月:2012年2月


うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい――。

職場のおじさんに文房具を返してもらえない人。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する人。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう人――。それぞれの日々の悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に描く、芥川賞作家の最新小説集。働き、悩み、歩き続ける人たちのための六篇。

                                           (新潮社HPより)



普通の生活の一場面をよ~く観察して描いたような作品。
普通なのに、面白い。
うんうん、そういうかんじわかるぅ~!!と
多くの人が思えるような場面。

会社のなかの人間関係が次第にわかってくる。
次の登場したとき、ああ、あの人のことね・・・とわかってくるのが面白い。


三部構成になっていて、
最後のが表題作「とにかくうちに帰ります」
この題と表紙の絵からどういう状況か読む前から予測がつきますが、大雨により交通機関が麻痺した状況下で帰宅を急ぐ人たちの話です。
大変な思いをしながらの帰宅途中にある見知らぬ人との出会いがあって、そんななかにホッとするような場面がありました。
どんなときでも助け合える心の余裕は大事ですね。


★★★

 
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