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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年2月


誰かに親切にしなきゃ、
人生は長く退屈なものですよ
18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉
ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――
助け合い支え合う人々の
40年を描く長編小説
毎日新聞夕刊で話題となった連載小説、待望の書籍化!

                   (毎日新聞出版HPより)


1章ごとに10年経っていく。

最初は、理佐18歳、 律8歳。
姉妹は、母親と、その婚約者から逃れて家出する。
理佐は高校卒業したばかりで律は小学3年生になるところ。

行き着いたのは、お蕎麦屋さん。
石田守と浪子(共に53歳)が営んでいるお蕎麦屋さんは、店の隣にある
水車の力で臼でそば粉を挽いているという。
その臼の番をしているのが、ネネ。
ヨウム(オウムではない)のネネは賢く、臼のなかが無くなると「からっぽ」と
教えてくれたり、人まねも上手。
そのネネのお世話係として理佐は働くことに。
事情を話し、律のことも受けいれてくれる。

そんな暮らしからスタートして、第一話から第四話まで10年ずつ経った
お話が続く。


色々な人に助けられた姉妹もやがて、他の人の手助けをしたり、助けられた人が
また別の誰かの助けになって、人間関係も広がっていく素敵な物語だった。



ネネはずっと皆の真ん中にいて、良い働きをしていた。
ネネが主役なのかも・・・。


長いお話だけど、楽しくてもっと読み続けていたいと思った。

イラストもいい。




                       ★★★★★

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発行年月:2023年7月


四年ごとに開かれる会社の代表選挙。一回目の投票は票が散らばったため、上位二名による決選投票が行われることになった。現体制は手堅い保守層から支持を集め、二番手につく候補は吸収合併した会社のプロパー社員のリストラ等過激なスローガンを掲げる。接戦が予想される中、両陣営共に動向を窺うのは、一回目で三位につけた候補の支持者たちであった。運動員の送り込み、ハラスメント手前の圧力、上司からの探り…。社内政治の面倒臭さをリアルにコミカルに描く。

                   (U-NEXT HPより)



U-NEXTで、本も出しているんだなぁ~。

本のサイズが、あまり見たことがないもので、薄くて、何かのオマケの
ような感じ。
それでも、薄さに反して、面白かった。
この短さでも、十分!


会社の代表を社員の投票によって決めるというのも面白い。
こういう会社員経験がないんだけれど、こういうの珍しいことじゃないの?


主人公の小林(性別不明)は、落選した「緑山」を推していた。
1位は藍井戸 2位は黄島。
それぞれの投票率は2%の差。

決戦投票にどちらかを投票しなければならない「緑山」推しの会(緑の会)。


「緑の会」の会合が開かれるときには「うどん」が振舞われる。
早く行かないとかき揚げはないが・・・。


緑の会の人たちの、緩いかんじがなんだかほんわか。
良い関係だな。

会合に、うどん、ちょっと数人で集まるときはうどん屋、
家でもうどん。

食べものうどんしか出てこない・・・( ´艸`)

決戦投票の前、「藍」と「黄」の人たちの攻防戦が、なかなか激しい。
露骨に相手を落とすような情報を社内に流したり・・・
強引に自分たちの陣営に取り込もうとしたり・・・。


うどん陣営の人たちの4年後をまた読んでみたいなぁ~。



                        ★★★★




発行年月:2005年11月


身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい―
就職が決まった大学四年生のだるい日常の底に潜む、
うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。
そしてかすかな希望…?第21回太宰治賞受賞作。


                 (筑摩書房HPより)


著者の本は、結構、読んでいるけれど、こちらのデビュー作は知らなかった。

読み始めは・・・へ~こんな青春小説からデビューしたんだなぁ~と
自己評価の低いちょっと変わった女子大生の日常を、緩い気持ちで
「なんか、いいな。学生のころをちょっと思い出すなぁ~」なんて読んでいた。

が・・・そんな生半可な物語じゃなかった!!

主人公の女子大生・ホリガイの周りにいる大学生たち(辞めて社会人の人もいる)
の抱えているものが結構、ヘヴィだったりして「( ゚Д゚)!?」となること度々。
リストカットを繰り返す人、自死しちゃった人、過去に酷い暴力に遇った人
などなど・・・

ホリガイは、そんな人たちに普通に接して、そっと寄り添ったりしている。
でホリガイ自身も過去にそれに近い経験があったから、わかることもあったのかな?
放っておいても何ら責められないのに、きっと見過ごせないんだろうな。


大学卒業後の進路も決まっていて、地元の県職員になるという。
児童福祉に関わりたいと。
その動機が、なかなか凄い。
テレビで4歳の男の子が行方不明のままというのを18歳で知り、その子の
ことが気になっているという。


実際、偶然にも男の子を助ける。
その子は、間違いなく、ホリガイの行動がなかったら、助け出せなかった。
この場面は、泣けた。
そのことを知らせた自死した同級生のことも、助けてあげられたらな・・・と。


ホリガイが知り合った1つ下のイノギとの関係も、いい。
イノギは、ホリガイと出会ったことで救われたこと多いと思う。
二人の再会が近いうちにありそうなラストもよかった。


ホリガイは自分のことを低く評価しているけれど、大したもんだと思う。
凄いよ!と褒めてあげたいくらい。

どんな社会人になっているだろうか。


全部、読み終えて、表紙を見ると、なんだかジ~ンとする。
この表紙、いいな。
少年が穏やかな顔で微笑んでいて・・・
この表題もいい。 元の題は「マンイーター」だったそうだけど、
こちらの方がいい、断然、いいと思う。


映画化されているみたいなので、是非、観てみたい!!

                      ★★★★★




発行年月:2021年3月

とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。住宅地で暮らす人間それぞれの生活と心の中を描く長編小説。

                    (双葉社HPより)




冒頭の住宅地にコの字形に並ぶ10軒の地図。
それぞれの家族構成などが簡単に紹介されていて、物語を読みながら
こちらの頁を度々、眺めるかんじ。


それぞれの家の生活の様子が少し書かれていて、なんだか重苦しい事情を
抱えている家が少なくなく、ちょっと気が重たくなる。

けれど、そこに絡んでくる刑務所から脱走した36歳の日置昭子。
地元の人で、会社の金を10年間横領していた罪で収監されていたという。



物語のなかには、昭子の同級生だという男性と
昭子が母親の姉だという少年がいる。



そして、住宅地の自治会長の役が廻ってきた丸川は、10軒で交代で
見張りをしようと話を進める。


住人のなかでちょっと危なそうな25歳の大柳のことが心配だったけれど
日置昭子のおかげで自身が犯そうとした罪から遠ざかることが出来て良かった!


そして三橋家の12歳の息子くんのことも心配だったけれど、こちらも
この騒動のおかげでちょっと明るい未来が見えてきた。


日置昭子、犯罪者には違いないけれど、同情する。
新しく人生やり直せるといいなと思う。



                      ★★★★


発行年月:2020年6月

ある日、千春はバイト先の喫茶店で客が忘れていった一冊の本を手にする。それは誰からもまともに取り合ってもらえなかった彼女がはじめて読み通した本となった。十年後、書店員となった千春の前に現れたのは。人生は、ほんとうにちいさなことをきっかけに動きだす。たやすくない日々に宿る僥倖のような、まなざしあたたかな短篇集。

                  (新潮社HPより)



9つの短編集。

表題作は最初。
<サキの忘れ物>
サキは、詩人の【サキ】だった。

偶然、出会った人から受けたことがキッカケでその後の人生が変化していく
とても良いお話だったなぁ~。


物語の中に出てきた 文庫本の【サキ短編集】読んでみたくなった!



二番目の<王国>は、幼稚園児が主人公。
感性が豊かで、光を見つめているとラッパムシのデリラ(自分で名付けた)
が現れる。
けがをした膝の傷の様子を毎日、観察して、丸くて赤い湖のなかに
浮かんでいる三角形の島は、女王が治めている国。


最初のこの2つが好き!

ほかの作品もそれぞれ面白い。

<ペチュニアフォールを知る20の名所>
<喫茶店の周波数>
<Sさんの再訪>
<行列>
<河川敷のガゼル>
<真夜中をさまようゲームブック>
<隣のビル>


全部読んだあと、この表紙の絵を見ると、また楽しい気持ちになる。

短篇も面白いな。津村さん!


                       ★★★★
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