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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年9月

日本人の手で大砲を造る!
幕末佐賀・鍋島藩は、オランダ渡りの一冊の専門書だけで 反射炉を建設、
鉄を作り大砲を製造しようとした。
男たちの孤独な戦いの物語。

                 (文藝春秋HPより)




昨夜、伊豆の国市の韮山反射炉が世界遺産登録されることが決定!
その可能性大の時から、「反射炉ってなんだろ?」と思っていたので、
この物語で大いに勉強させていただきました。

幕末の日本に外国船が迫り、通商条約を結ぶ兆しが・・・
そんななか、外国から日本を守るためには、港周辺の防衛が必要だと考えた
佐賀藩主・鍋島直正。
砲術家の本島藤太夫をリーダーに鉄製の大砲を作るための、反射炉づくりを任せる。

どうやって造ればいいものか?0からの物づくりに手助けしたのが
伊豆韮山の江川太郎左衛門(御公儀の代官)。
オランダのヒュゲニン著の「鉄製大砲鋳造所の鋳造法」を示し、韮山でも反射炉を
造ろうと思っているという。
互いに頑張って造ろうということでしょうね。


でも、それは並大抵の苦労でなく・・・
一時は諦めて、関わった7人で腹を切ろうと真剣に思うほど。
藩主の鍋島が偉い!
その気持ちを汲んだうえで、金は出すから、もう一度やってくれと励ます。
その言葉で、死んだ気になってまた頑張ろうと思う面々。
素晴らしい藩主だなぁ~。

反射炉が何とか出来て、次は大砲づくり。それから試射。
ここでも試練。
ああ、辛い。でも誰も自分の役目を全うすると決めてへこたれない。
凄い根性。

大砲まで出来ても、それを置く台場の建設でまた試練。

本当に気が遠くなる程の仕事。

しかし、時代は尊皇攘夷の動きが各所で起きて、内乱も起き、
外国船の脅威となる港付近の警備のための大砲づくりが、違う目的に使われて
しまうことに。

本意ではないことに二の足を踏む佐賀藩は、悪者扱いされるという辛い目に遭う。

そして、時代の波は、西洋のものを容易に受け入れることになり
苦労して作った反射炉や大砲は時代遅れに。

無駄な苦労をした佐賀藩という気もしないではないけれど、
モノづくりに情熱を命を賭けた人たちが居たということが、こういう物語から
広く知られるのは良いなぁ~。


韮山反射炉は、中心となって動いた江川の死後、完成とか。
実際に稼働して現存する反射炉の唯一のものとして、知られている。

これを読んだら、是非、実際に見てみたいと思った!


                       ★★★★★
 
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発行年月:2015年4月


 文久三年、天皇の攘夷親征の先鋒隊となるべく、
公家・中山忠光は志士たちを率いて奈良へと向かった。
維新には早すぎた「天誅組」の光跡を描く、書き下ろし歴史長篇。

                    (中央公論新社HPより)




幕末の人物には有名どころが揃っていて・・・

主人公の「中山忠光」と聞いても「?」という感じでした^^;。
明治天皇の叔父にあたる人物なんですね。
姉が帝の子ども・祐宮を産み、幼い祐宮が大人になったときの世の中を案じて
討幕に向かった男。


やや無謀とも思われた挙兵で、最初に攻めた代官所は焼き払い、五条新政府を
開き勢いに乗り、以後「天誅組」と名乗るが、その後は厳しい幕府側との戦いとなる。
次々に仲間を失い、それでも次の世を作るという目的の為、生き延びることを
選ぶ忠光。

片腕となり時には意見が分かれ激しい喧嘩になった吉村虎太郎の最期を想像させる
場面は切なかった(/_;)。


結果的に忠光は、自らは何も大きな働きをしないまま命を落とした。
無念だっただろうな~。

でも、その後、結果的には幕府は倒され明治政府が発足。
忠光が望んだ世の中に変わった。

忠光が事を起こす必要はなかったんじゃないか?と単純に思ってしまうけれど
こんな働きをした人物が居たと言うことが、わかって良かった!

小説なので、多少の作り事はあるのかもしれないけれど
今回も大いに勉強になりました。

NHK大河ドラマの花燃ゆもこういう時代の若者たちの話なので
ドラマを見ながら、この小説のこともまた思い出すでしょう。


                         ★★★★★



発行年月:2013年11月


 42歳で作家修業をはじめ、48歳で小説家デビューした、おばさんの奮闘記。
デビューのしかた、小説の書き方の極意もこっそり伝授!

                 (東京堂出版HPより)




いや~面白かった!

小説家としてデビューするまでも文章を書く仕事に関わっていなんですね~。
でも意外だったのは、ファッション誌というところ。
「an an」 「婦人画報」なんて誰でも知っている雑誌の編集に関わって
いたとは!
それを結婚を機会に辞めて、ご主人がアメリカの大学の職員になるため渡米し
7年間過ごした話も愉快だった。
日本語新聞を手づくりしたり・・・・。
やはり文章を書くことからは離れらえない人なんですね~。

静岡出身とは知っていましたが、最初は、川口市に暮らしていて
父親の仕事の都合で静岡市に引っ越し、以来、静岡育ちとか。
小学4年生の郷土の歴史の授業で明治維新の際、静岡に移住した旧幕臣の人たちの
ことを習い、歴史に興味を持たれたとか。
引っ越し先が静岡でよかった!と嬉しくなった(^^)


植松さんが小説の主人公にする人は、無名な人や名前は知っているけれど、
どういう人だったのかは知らないというひと。
それは「こんな人だったのか!」と読者に驚いて貰いたいからだとか。

わたしは毎回、驚かせて貰っています。
こんなに素晴らしい人だったのかぁ~とか、意外とユーモアのある人なんだなとか。

そして、男性を主主人公にする場合は
自殺をしなかった人 戦争をしなかった人 を基準に選ぶとか。

なるほど!
植松さんの考え方は共感出来ます!!


素敵な人だなぁ~とこのエッセイで知ることが出来て
まだまだ読んでいない本が沢山あるので、読んでいきたいなぁ~と思います。


                          ★★★★★


発行年月:2014年9月


太平洋戦争末期、空襲が激しさを増す中、貞明皇太后は疎開することを拒み続けた。それは、今すぐ戦争を終えてほしいという、皇太后の命をかけた主張だった――。

 のちに貞明皇后となる九条家の姫、節子は、幼少の頃に農家へ預けられ、「九条の黒姫さま」と呼ばれるほど活発な少女として育つ。その利発さと健やかさを評価され、皇太子妃として選ばれたことから、明治、大正、昭和をつらぬく節子の激動の人生が始まった……。

 病に臥せることの多かった大正天皇を妻として支え、母として昭和天皇を見守り続けた貞明皇后の、平和への願いと家族の絆を描く。

 正当な評価をされてこなかった大正天皇の実像に迫るとともに、皇室の視点から日本の近代史に光を当てた傑作長編。

                     (PHP研究所HPより)




大正の時代は短く、大正の天皇と皇后さまのことは、全く無知でした。

が・・・この本を読んで、お二人とも人間として、素晴らしい方たちだったんだと
知ることが出来ました。


大正天皇は、幼いときから病弱で、髄膜炎の既往があり、お后候補に当初選ばれて
いなかった九条家の節子(ながこ)様が選ばれたのには、お体が大変、丈夫で
あったことが一番の要因だったとか。
節子さまの幼い頃の様子は、お転婆娘ですが、心優しい女の子で
大正天皇のお后としても常に天皇の気持ちを汲んで気持ちが通っていた
素晴らしい夫婦だったんだなぁ~という逸話が多かった。

世界的には、戦争があちらこちらで起き、日本もそこに巻き込まれていく
激動の時代。
そんなことを憂い、天皇でありながら、危い道に突き進むことを自分の意志だけで
食い止めることが出来ない悔しさを感じていた大正天皇。
それを側でいつも見ている節子さまも同様の心痛。

今の天皇・皇后さまもたぶん、同じような心境かと想像してしまいました。


あまり知られていない大正天皇のこと、そして、それを支え続けた皇后さまの
ことが、よくわかる物語でした。


昭和天皇と良子さまの物語も書いてくれないかなぁ~?


                          ★★★★★



発行年月:2014年6月


 この中に、あなたの目指す女性が、きっといる



日本女性初の五輪メダリスト人見絹枝、西郷隆盛を支えた奄美の妻・愛加那、「鹿鳴館の名花」と讃えられた大山捨松など、幕末~昭和を力強く生きた35人の「女の生きざま」。

                   (角川文庫HPより)



名前を知らない方も結構、いらっやったけれど、
どの女性も素晴らしくその生き様は恰好いい!
昔の人は、若くて亡くなる方が多かったんだなぁ~とも感じた。

植松さんの「はじめに」と「むすびに」の文章も良かった!
第二弾出るのが楽しみです♪


35人羅列しておきます。

<第1章 チャレンジした女たち>
1、大浦お慶  茶貿易の先駆けとして巨万の富を築いた長崎の女傑
2、大山捨松  鹿鳴館の名花と呼ばれた日本発の女子留学生
3、松旭斎天勝 明治時代に世界で活躍した天才マジシャン
4、天野わかの 夫に支えられ初の女性名士になった輪島の漆器作家
5、兵頭 精  大正ロマンの時代に大空に挑んだ女性初のパイロット
6、知里幸恵  ユーカラの記録に命をかけたアイヌの天才少女
7、人見絹枝  短い生涯を駆け抜けた日本女性初のオリンピック・メダリスト


<第2章 愛に生きた女たち>
8、楢崎お龍  最愛の夫・坂本竜馬を暗殺で失った波乱の生涯
9、幾松    幕末の動乱の中で命をかけた桂小五郎との恋
10 、岡本かの子 個性派作家は人気漫画家の妻で前衛芸術家の母
11、竹鶴リタ  「日本のウイスキー産業の母」とまで呼ばれたイギリス女性
12、小森和子  恋をして好きな仕事をして人生盛りだくさんの映画評論家
13、山崎富栄  いわれなき非難を浴びた太宰治の心中相手


<第3章 運命を受け入れた女たち>
14、皇女和宮  朝廷との仲立ちをつとめ江戸城開城に尽くした大奥最後の主
15、若松賤子  教師として立ち母として生きた「小公子」の翻訳家
16、川島芳子  男装し日中戦争の狭間で暗躍した清朝皇族の姫
17、沢村貞子  波乱の末に人生後半を捧げる伴侶に巡り合った名脇役
18、安井かずみ 時代をはるかに先駆けてスタイリッシュな生涯を貫いた作詞家
 

<第4章  家族を支えた女たち>
19、滝沢 路  「里見八犬伝」を口述筆記した滝沢馬琴の嫁
20、愛加那   奄美大島に流された西郷隆盛を支えた島妻
21、野中千代子 富士山頂で気象観測のため夫とともに越冬に挑んだ明治女性
22、クーデンホーフ光子 ボヘミアの伯爵家に嫁ぎ7人の子を守り通した強き母
23、与謝野晶子 11人の子を持ち筆1本で家計を支えたワーキングマザー
24、麻生和子  吉田茂の娘で麻生太郎前首相の母だった美しき女傑
25、長谷川町子 大人も子供も楽しめる「サザエさん」の作者


<第5章  人のために生きた女たち>
26、太田垣蓮月 これでもかという不幸続きの末に才能を開花させた歌人陶工
27、岸田俊子  元海援隊士と結ばれた自由民権運動の美貌の弁士
28、石井筆子  知的障害時の母として福祉の扉を開いた明治の教育者
29、長谷川時雨 美人作家の華やかな前半人生と人に尽くした後半生
30、澤田美喜  2千人もの日米混血の子供たちを救った三菱創業者の孫娘
31、徳川幹子  戦後の農地開拓に身を投じた最後の将軍の孫


<第6章  日本ゆかりの女たち>
32、イザベラ・バード  明治初頭に日本の北の山里を旅したイギリス人
33、プリンセス・セイウラニ  日本の皇室との縁談もあったハワイ王朝最後の王女
34、ベアテ・シロタ・ゴードン  日本国憲法に男女平等を取り入れたアメリカ人
35、ベラ・チャスラフスカ  東京オリンピックの名花がたどった壮絶な道


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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