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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年4月


 あなたはまるで、人の死を自分の幸福に変えて生きているようだ
城石明音は先天性の心疾患を患っていた。8歳の時に病状が悪化し、両親は渡米しての心臓移植手術を決断する。しかし、そのためには1億5千万円という莫大な費用が必要だった。懸命の募金活動の末、募金額は目標額を越え、明音はチャーター機でアメリカに渡った。幸いドナーも見つかり、手術も無事に成功し、明音は一命を取り留めた。誰もが明音の生を祝福しているかのようだった。このときまでは――。

                      (光文社HPより)





アメリカに渡り、心臓移植を受け、助かった明音の命。

その先に待っていたのは、あまりにも過酷な日常。

想像しなかった。
こんなこと、実際もあるんでしょうね。

渡米費用が用意出来ず、移植されることもなく失われた若葉の命。

助けることが出来なかった若葉の母親は、明音の存在を妬み、攻撃する。
そして、そのことによって、明音に向ける周囲の眼が変わってしまう。


なんとも辛い話だった。

募金を募り、公に晒される患者家族。
その後の経過も含め、プライバシーが晒されることになる。

大人になって、やっと幸せが訪れるかと思ったのに・・・どこまでも不運が
やってくる。


なんか、色々、考えさせられた。
自分が若葉の親だったら?
明音の親だったら?

ず~んと重たいものを残したまま、終わるけれど、読んで良かったと思う。
今まで気付かなかったことを教えて貰えたかんじ。


                         ★★★★
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行年月:2016年3月


近所で恐れられる謎の老人と彼を監視する少年。
二人を繋(つな)ぐ貧弱な樹が白い花を初めてつけたとき、
“終わりと始まり”を告げる長い長い旅が始まった。

それは、神様が鳴らした優しく静かな号砲――――
人生に大切なものが詰まった、
心に沁(し)みわたる感動の物語。

そのとき、老人はある決意を固め、
少年は大人への門を潜(くぐ)る。
札幌(さっぽろ)で暮らす小学六年生の瀬川大介(せがわだいすけ)には、自らの鬱屈(うっくつ)を晴らす、ささやかな楽しみがあった。それは隣家に住む、指が2本ない謎の老人佐藤北海(さとうほっかい)が見守る貧弱な樹がつける花芽(はなめ)を削(けず)り取ること。開花を待つ北海の喜びを奪うことで、不満を溜(た)めた老人が“暴発”することを願っていた。だが、夏休みに入ったある日、大介の油断を衝(つ)いてその樹が白い花を咲かせる。それを見た北海は突如ボストンバッグを抱えて旅に出発、両親と喧嘩(けんか)して家出をするつもりだった大介は、急遽(きゅうきょ)彼を追うことに……。一人の少年の好奇心と冒険心が生んだ心に沁みわたる感動の物語。

                     (祥伝社HPより)



少年・大介の好奇心が生んだ奇跡。
近所に居るちょっと気になる老人・佐藤北海と、大介は旅をする。
そうなるまでの過程も面白かった。

ちょっと疎ましい親から、意地悪なクラスメイトから、逃げる口実のように
北海の運転する軽トラに上手く潜り込み、今いる場所から離れようとする夏休み。


表題の「花が咲くとき」の意味も重要。
北海が語った過去の話は壮絶で、ショッキング。
戦争によってこんな風に苦しんだ人が居たということが大介にも伝わったかんじ。


これは児童書としても通用しそう。
小学校高学年くらいなら十分、読んで楽しめると思う。
課題図書になってもいいくらいな内容。


大介は、北海と旅をして、そこで出会った人たちからも多くのことを
学び成長したんだなあ~。


                       ★★★★★
 



発行年月:2013年1月


 27年前に土砂崩れで半壊したラブホテルを探索に訪れた帝都大学の廃墟探索サークルのメンバー5人。一行がホテルに足を踏み入れた途端、土砂崩れがおこる直前にタイムスリップし、土砂崩れがおこるとまた事故の前に戻されるタイムループにはまり込んでしまう。ループから抜け出すには事故で亡くなった1人を特定するしかない!? 5人は、1人ずつ建物に残って、土砂崩れに遭遇する実験を始めるが——。極限の状況で噴出する5人のエゴと愛憎を容赦なく描き出す、著者畢生の新感覚ホラー。

                    (文藝春秋HPより)



5人の廃墟探索サークル「ときたび」の面々が土砂崩れで死亡者を1名だした
廃墟ホテルに潜入。
土砂崩れが起き、驚くが事故が起きた時間に再び戻る。
そしてそれがループ。
ループから抜けるには、犠牲者1人を特定するしかないと
メンバーが1人ずつ土砂に埋もれるホテルに残ることに。


一人残される者たちそれぞれの行動、考え方に本性が現れ面白かった。
皆から憧れられる、まどかが腹黒い性格だとわかって幻滅したし、
自信満々の野間坂にもうんざり。

最後は、大人しい秋穂もちょっと怖かった。
リーダーの葦原は、皆を巻き込みながら自分の探究心を満足させてこれまた
勝手な人。

日吉くんが唯一、善良な人かな?とも思ったけど、まどかを見捨てることに
躊躇なく、結構、残酷。


う~ん。登場人物たち、全員なんだか嫌な人たちでした。

後味は悪いけど、どんどん読み進めたくなる面白さもあったかな?


                        ★★★



発行年月:2015年4月

未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは、“ミツハの一族”と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」のみ。大正12年、黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の従兄が死んだと。墓参りのため村に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う──。過酷な運命を背負わされた二人と一族の姿を抒情豊かに描いた、清艶な連作ミステリ。

                     (東京創元社HPより)




短編連作の形。
ミツハの一族には、烏目を持つ男とむくろ目を持つ女が生まれる。

亡くなった者がこの世に未練を残すと、井戸の水が濁り小安辺の村の池に鬼が出たことを
報せる。
鬼を黄泉に送ることが出来なければ、村の水は枯れてしまう。
そのために、烏目役とむくろ目の水守で力を併せ、鬼の未練の元を断ち切らなければ
ならない。


<水面水鬼>
最初の話の鬼は、清次郎の従弟で村の烏目役だった八尾庄一。
庄一は、自死だった。
庄一の未練の元は水守。

<黒羽黒珠>
次の話の鬼は、亡くなった3兄弟の末っ子7歳の捨吉。
未練は、拾って育てようとしていたヒナ。

<母子母情>
鬼は佐々本トシ38歳。
妾として子どもを産んだが産後の肥立ちが悪くて亡くなった。
残した子の将来が心配で成仏出来ずにいた。

<星雲青山>
鬼は内藤由太郎80歳。
移住する前の地が懐かしく忘れられずにいた。

<常世現世>
鬼は八尾清次郎。
未練は、水守。


どの話の鬼も未練を断ち切れない亡き人たち。
哀しいのは、最後の話。
烏目役は一度きりだと最初は思っていたのに、いつしか水守に会うことに
喜びを感じてしまった清次郎。
従兄の庄一と同じ運命を辿ることになってしまった。


怪しく美しい話でした。


                         ★★★★★
 



発行年月:2015年1月


あなたも歩いてみませんか。
小さな奇跡の森を。

いじめ、就職、恋愛、不治の病……さまざまな思いを抱えた人々の運命を変える言葉とは? 静かな感動を呼ぶ「森」のミステリー。

僕は死に場所を探しに、この森に入った――
登校拒否の息子を持つ母親、自分に合った仕事が得られず世間に不満を抱く女、余命間近である瞬間を見たいと思い続けている青年、リストラされた中年男……希望を失い、森に迷い込んだ人々に森番の青年は語り掛ける。「ここはとても気持ちのよい森なんです。どうか歩いてみてくださいませんか?」そして、最後に明かされる、森と森番に秘められたミステリーとは?

森にも、人にも、新たなる季節がやってくる――『あの日にかえりたい』『メグル』の著者が贈る希望のストーリー。

                    (実業之日本社HPより)




切羽詰まった心理状態で、森に来る人たち。
偶然、みつけたり、子どもの頃遊んで知っていたり・・・。
そして、それぞれが出会う、森を守る森番の青年。
青年の優しい言葉が沁みる。
自分のことを気にしてくれて、優しく接してくれる人の存在が人を救う。
どれも良いお話でした。

<色づく木------------鏡の森>
不登校になった15歳の少年。
部屋に閉じこもっていたけれど、ある日を境に何処かに出かけるのを不審に
思う母親。悪い仲間と関わっているのでは?と心配するが、行き先は森だった。

心優しい少年が、段々とまた明るさを取り戻してくれそうで、ホッとした。



<春めく木---------------我は地に伏し>
有名企業の内定をもらったが、配属場所が不服で内定辞退する。
何処にも就職しないまま、自分の能力を認めてくれて、自分の能力が
発揮できる場所を求めるが・・・。

自身過剰の人ってこういう躓きに弱いんだろうなぁ~。



<雪まつ木----------------インディアンサマー>
余命わずかな自分なら美しい景色が見られるはずと森に通う青年

切ない話だったけれど、こういう最期の過ごし方は理想的かも。



<病の木---------------夏の名残のバラ>
田舎では天才と言われたが都会の中高一貫校に編入したら下から数えた方が早い
成績。自信を無くし学校には仮病を使い通学路そばの森で一日を過ごす日々。

森番の青年が与えた病気のバラの世話。
少年に敢えて厳しく意見する森番の姿に感動。



<育ちゆく木-------------52歳の秘密基地>
名ばかりの係長。38歳から昇進せず、責任ある仕事は自分には廻って来ない。
子どもの頃、遊んだ実家そばの森に会社の帰り寄ってみる。
そして森番の青年に会い、子どもの頃会った森番の消息を聞く。

森番から聞いた話で、ちょっと元気が出て、家に帰って奥さんの言葉で救われた男。
奥さんが良い人でよかった!



<とらわれの木-------------揚げヒバリ>
退職した元正社員の男のことが許せない40歳の女性。
自分が退職したのもあの男のせい。
不審な中傷ハガキを送ったのもきっとあの男。
イライラする気持ちを癒して貰おうと、森番に会いに行くが会ったのは
見知らぬ中年の外人女性・メアリ。
「あなたは不幸な人」と辛らつな批判をする。

森番の青年とメアリの関係は?と気になる。
女同士の言い合い、それがストレスを和らげた。



<新たなる木----------------光差す場所>
不登校の15歳少年。
とても気が合う友達を失ったのは自分のせいと責めるあまり喋られなくなった。
森のなかで眠り一晩過ごしたところを森番の青年とメアリに見つけられて
介抱される。

少年が新たな気持ちでこれから生きて行けるようになって良かった!
メアリの祖母と青年の前の森番との話が素敵だったなぁ~。


                        ★★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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