学校帰りに気分が悪くなった15歳のミヒャエルは、母親のような年の女性ハンナに介抱してもらい、それがきっかけで恋に落ちる。そして彼女の求めに応じて本を朗読して聞かせるようになる。
ところがある日、一言の説明もなしに彼女は突然、失踪してしまう。彼女が隠していたいまわしい秘密とは何だったのか・・・・・。
(本の表紙裏の解説文より)
来月公開予定の映画「愛をよむひと」の原作本です。
映画の予告を観て、その原作があることを知り、図書館で借りました。
全世界500万人が涙したベストセラ-小説・・・・と映画のチラシにもありました。
15歳のミヒャエルが36歳のハンナに気分が悪いときに優しくしてもらい、その後も家を訪ね、恋が芽生える。
が、それは短い時間に幕を閉じ・・・・でも、その後、再会するのは、法律を学ぶ大学生になったミヒャエルがゼミの担当教授の指示で傍聴したナチス時代の強制収容所で起こった事件に対する裁判だった。
ハンナは複数の被告者のうちの一人として、裁かれる側。
その罪とは?
とても重い内容でした。
アウシュヴィッツの近郊の収容所に当時、看守として勤務していたハンナ。
その収容所から再び、アウシュヴィッツに戻される囚人は殺される。
ハンナは再び戻される囚人を呼び出し、本を朗読させていた。
それは、直接的な罪でもないのだが・・・・裁判では、そんな事すらも罪だとハンナを攻める。
複数の被告人のなかでハンナだけが重い罪を着せられるその過程は辛い。
それを傍聴し続けるミヒャエルの心中も想像すると辛い。
一人だけ、重い罪を背負うことになってしまうハンナだが、それを覆すことが出来る事実を掴むミヒャエル。
しかし、それを暴露することをハンナ自身は望むか?自分でその事実を述べないハンナに代わって自分がそれを言うことはハンナにとって良いことなのか?
自分だったら、どう行動するだろう?
でも、そんなに隠したいことだろうか?(あえてここでは言いませんが・・・・)
無知ゆえにこういう仕事に就いてしまったか?と思うとハンナが気の毒でした。
裁判で無期懲役を言い渡され、長い服役生活をする間に、ミヒャエルは同じように法律を学ぶ女性と結婚、娘も生まれ、幸せそう。
でも、ハンナを想う気持ちが常にある。
ラストの方では、恩赦により18年の服役生活から開放されることが決まったハンナとミヒャエルの再会。
だけど結末は。。。。。切ない。哀しい。辛い。
泣けます。
ハンナの気持ちを想像すると・・・・。
彼女の一生って、何だったんだろう?
すごく重たい恋をしちゃったミヒャエル。
でも最後まで、ハンナへの想いを貫き通したのは、スゴイ!
こういうのを本当の無償の愛というのでしょうか?
映画ではハンナ役はケイト・ウィンスレット。
これは映画も観なくては!!と思いました。
現世を享楽的に生きる主人公が自動車事故に遭い、病院に運び込まれる。重度の火傷に絶望し、死を決意した男だったが、そこに中世ドイツで彼と恋人どうしだったと称する女が現れる。彼女、マリア-ネ・エンゲルは男の快復に力を貸しながら、日ごと夜ごとに語る。異なる、異なる国に生まれ変わっては繰り返される男と女の壮絶な愛の物語を---------。
(本の表紙裏の解説文より)
図書館の外国文学の棚を見ながら歩いていて、赤い表紙のこれが目に留まりました。
手に取り、表紙を開くと(ここの図書館の蔵書は帯文が表紙裏に貼ってあります)、アンジェラ・アキさん絶賛の文字。
後ろには、特別寄稿文として彼女の話が載っていて、立ち読みして、「是非、読まなきゃ!!」と思いました。
著者のアンドリュ-とは、アンジェラがシンガ-ソングライタ-としてデビュ-する前からの友達で、お互いがメジャ-になるときが来たら・・・・という当時はまだ夢物語でしかなかった話が書かれていました。
この本は既に27ヶ国語に訳されているそうで、二人の夢物語は、夢でなくなったことを意味するでしょう。
肝心の本ですが、最初から最後まで飽きませんでした。
重症の火傷を追い、かつては美しい男らしい容姿を誇示していた男性(名前はずっと出てこなかったような・・・^^;)が退院したら24時間以内に死のう。それを心の支えに生きている。
彼の病室に同じ病院の精神科病棟に入退院を繰り返す女性・マリア-ネが訪れるようになる。
彼女は、彫刻家。
石の中に居るガ-ゴイルたちを見つけそれを掘り出すのが仕事と。
マリア-ネは、あなたも彫刻を昔はやっていたと話し、自分たちが知り合ったのは、ずっと昔(700年ほど前)の事なのだと告げる。
そして、いろいろな時代、いろいろな国での男と女の哀しく美しい話を聞かせる。
その話のどれもが良かった。
ドイツ、イタリア、イギリス、アイスランド。
日本の話「ガラス吹きの僧侶」もあって、日本で愛し合う二人、セイとヘイサクの話は印象的。
哀しいけど、美しい。
人をそこまで純粋思い続ける女性の強さ、優しさには感動した。
日本人の心みたいのをよく表現してるなぁ~と感心したら、プロフィ-ルに5年間日本で暮らした経験があるとか。
なるほど・・・。
マリア-ネと男は、二人が退院した後は一緒に暮らし、ハッピ-エンド?と思うとそう単純ではなく、そのラストまでは、また過去に遡った話が絡んできて、なかなか予想がつかない展開で、二人はどうなる??の気持ちを最後まで引っ張ってくれました。
そして、ラストは・・・・・・。
う~哀しいけど、納得!
これがデビュ-作だというから、また傑作を書いてくれるかな?
期待して待とうと思う、海外の作家さんにまた一人出会えた幸運に感謝したくなりました!
なかなか格好いいです。
1969年カナダ生まれ。
安土龍・・・アンドリュウ
アハハ・・・なんだか可愛い。
茶目っ気たっぷりなかんじで、いいなぁ~。
同じでしょうか??
ちなみにこちらは、パリ ノ-トルダム寺院のだそうです。
中世ヨ-ロッパの建物には、魔よけ的な意味でこういうガ-ゴイルが結構付いているんですね。ちょっと不気味だけど、愛嬌もあるかんじ。
横道に結構、逸れましたが、読み応え十分の物語でした。
543ペ-ジと長いですが、読み始めたら結構、スラスラ読み終えました。
★★★★
ベントレ-を駆り、GHQに啖呵を切る。お洒落でダンディ、何をしても様になる。危機の時代、日本が最も必要としたジェントルマンの生涯。
こんなカッコいい男見たことない!
(平凡社 コロナ・ブックスHPより)
正直、この方の名前を知ったのは、少し前です。
NHKドラマスペシャルで、「白洲次郎」の放送があると知り、その名前をそのときに知った次第。
3部作のドラマは、既に第1回を2月に第2回を3月に放送済み。
どうしたことか、その2回とも見るのを忘れていました・・・・・友達のブログで既に放送済みを知ったときは相当にショック!(笑)
最終話は8月放送予定だそうなので、それは忘れないようにしないと!
前置きが長すぎました・・・・^^;
もうご存知の方も多いこの「白洲次郎」という方。
いろいろな面で、本当に格好いいです!
父親は綿の貿易で巨額の財を築き、兵庫県芦屋の高級住宅地でも屈指のお金持ちの家庭。
法外な小遣いをもらっていて、神戸一中の頃に米国製自動車を乗り回していたというから、かなりの不良。スポ-ツ万能だったが、乱暴者で学校でも度々、問題を起こすので、家には、謝罪にいつでも駆けつけられるよう菓子折りまで常に用意されていたとか。
こんな少年時代を経て、大学は英国ケンブリッジに留学。
そこで真のジェントルマンの精神を学んだそう。
父の後を継ぎ、実業家の道を進むのだが、親子ほど年の差があった吉田茂とウマが合い親交を深め
その信頼から終戦直後の混乱の時代、吉田茂の側近としてGHQ支配下にある日本の橋渡し的役割を努めることになる。
この本は、「白洲次郎」を知る人たちが語る形式。
多くの人に愛された人間としても、とても魅力のある方だったのだと理解できます。
最初の奥様である「白洲正子」さんの話はよかったなぁ~。
若い二人の写真もステキ!
写真は、たくさん、この本の中にあり、どれも綺麗。
愛車や愛用していた時計、ライタ-、かばん、どれも高級感があるもので、見るだけで貫禄あるかんじ。
後ろの方にあった、次郎が大工仕事で作った数々の品も見事!
手先も器用だったのね!
テ-ブルや、ワゴンの数々。
あと、ステキなのが、日常使う、しゃもじや串、まな板の類。
それらを製作していた、工作室の写真も使っていたまんま。
ペ-ジをパラパラめくってみるだけでも、楽しい書だと思います。
ホントは、もっと小説っぽいのを借りようと思っていたので図書館から受け取るとき「え?こんなに薄い本!?」と思ったのですが、なかなか良かった!
発行年月:2005年1月
お姉ちゃん、僕たちもう
帰れないかもしれない。
中学生姉弟が突然迷い込んだ、もうひとつの
不思議な日常。
(本の帯文より)
先日、テレビ放送されたのを録画で観て、なかなか面白かったので、その原作本にも興味が沸いて読んでみました。
映画を観たときの感想は・・・http://www.dhcblog.com/ykyoko/archive/988 ここでどうぞ。
本を読むと、映画がこの原作にとても忠実に作られたものだと思いました。
会話の細かいところまで同じなので、つい映画で見た多部未香子とその弟(名前知りません^^;)の顔が本を読みながらも浮かびました。
突然、別の世界に迷い込んだ姉(エリ子)と弟(ダイゴ)。
帰りたいといろいろその方法を探るのですが、帰れず・・・。
家の中は、さっきまで母親が料理していたシチュ-がまだ温かいままなのに、両親は帰宅しないまま。
一人じゃないから、まだなんとか気持ちの平静さを保っていられるかんじの二人。
家に居ても仕方ないからと、それぞれ中学(エリ子は女子校、ダイゴは男子校)にもいつもどおり登校する。
自分たちが居た世界とは、同級生もおなじ姿なのに、ちょっと違う。
死んだはずのダイゴの同級生の女の子も生きてるし・・・。
最近、あまり良い関係とは言い難かったエリ子の友達、大久保ちゃんも自然に接してくれる。
でも、マッチョ(太っていてマッチョとは程遠いブヨブヨけど、名前が松本だからこの呼び名)は、相変わらず本当にいい子。
そして、マッチョのお母さんも良い人。おやつをくれるだけに登場なんだけど、
これ、映画ではなかったので、頭の中で映像化しちゃって楽しんじゃった。
そして可笑しいのが、この迷い込んだ世界では弟が好きなプロ野球選手・高橋好伸がちょっと太ってるっていうこと。
それについての姉弟のやり取りも笑える。
元の世界に戻れないという緊迫した状況にも関わらず、どこか楽観的な二人。
ラストもそんな二人らしい終わり方。
ハッピ-エンドなのかどうかは、読み手の解釈でどうにでも変わりそう。
ちなみに、わたしは一応、ハッピ-エンドなのかな?と思いました。
本も映画と同様、面白かった!!
★★★★
さびれた商店街の、父と息子だけの小さな中華料理店。味気ない日々を過ごす俺たちの前に現れたテンンしのような女・純子。あいつは線香花火のように儚い思い出を俺たちに残し、突然消えてしまった。
表題作「夕映え天使」をはじめ6編の短編を収録。
特別な一日の普通の出来事、日常の生活に起こる特別な事件。
人生至る所にドラマあり。
(新潮社HPより)
有名な作家さんだけど、意外とあまり読んでないです^^;
映画化された「椿山課長の七日間」を読んだくらい。
あの物語は面白かった!
この短編集は、文芸誌にあったか、何かで読んで良さそうだったので、図書館で借りてみました。
でも・・・・・わたしには、うまく読めなかった。
面白くないわけでは、ないけど・・・・なんだろ?不思議な読後感。
表題作「夕映え天使」が一番最初にあって、表題作で、しかも最初にあるのだから・・・と期待し過ぎたのが悪かったのか?
読み終えて・・・う~ん。何が言いたいのやら??
父子で地味に営む中華店に住み込みで働いていた純子が半年経ったある日、忽然と姿を消し、どうしているのやら?と父子でたまに話をしたりしていると、警察から電話。
純子の身元確認の手助けになれば・・・と警察にいく息子。
なんだか、切なかったけど・・・。後味がよくなかった。
次の「切符」は、時代は東京オリンピックの頃。
これまた切ない話。
三番目の「特別な一日」は、最後にえぇ~っ!?の驚きの展開でしたが、なんだかスッキリしない。
次の「琥珀」は、訳あって逃げてる男が以前、バ-だった店「琥珀」でコ-ヒ-店(喫茶店かも?)を営んでいる。男の背景にあるものが不吉。
次のが一番、印象に強く残ったかな?
「丘の上の白い家」。
家が貧しく高校で奨学金を貰っている、僕と清田。
清田は、僕と正反対で成績優秀で全国模試でも県で1番の成績。先生には期待され、貧乏でもきっと奨学金でエリ-トの大学にも進めるだろう。
だが清田のその後は、あまりにも不憫。
清田が可哀相で仕方ない。
最後の「樹海の人」は、自衛隊の演習中に体験する不思議なこと。
極限状態に陥ると人は現実と非現実の区別がつかなくなるのかな?という怖さを感じました。
大した感想がないので、結局、全部の簡単な説明しちゃいました(笑)
これ、書いてなかったら、本を閉じた瞬間に記憶からなくなりそうな短編集でした。
やや辛口評価でごめんなさい。
単に、わたしの嗜好に合わないだけかも・・・・^^;
★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;