赤字5つ星の極北市民病院に赴任した外科医・今中を数々の難局が待っていた。不衛生でカルテ記入もずさん、研修医・後藤はぐ-たらだし、院長と事務長は対立している。厚生労働省からの派遣女医・姫宮は活躍するが、良心的な産婦人科医師はついに医療事故で逮捕された。日本各地で起きている地域医療の破綻を救えるのは誰か?
『週間朝日』大好評連載小説の単行本化。
現役医師で医療エンタ-テイメント街道を驀進する著者の最新作
(朝日新聞社HPより)
今度はどんなお話?と読む前から期待感大の海堂さんの作品。
今回は、民間でいうと破産という状況の 極北市民病院が舞台。
そこに派遣された外科医・今中の奮闘ぶりが描かれていました。
赴任早々、感じるのは、病院スタッフのやる気のなさ。
朝の看護師ミ-ティングは雑談交じり。カルテの記載事項もいい加減。
病室を覗けば、褥創(しかも緑膿菌感染してる)患者多数で室内の異臭は著しい状況。
そんなスタッフのなか、産婦人科の三枝は、誠意ある態度で日夜勤務している。
しかし、以前、運ばれた妊婦を死なせてしまった医療事故を起こしているとか。
そんな問題山積みの病院に、厚生労働所から派遣されてきた姫宮登場。
上司は、白鳥ですよね?
なんだか知ってる人が出てくると嬉しい♪
相変わらずの物怖じしない行動で、たった3日間なのに、予定である任務を果たして去っていったのは圧巻!
もっと居て欲しかったような・・・・・。
物語の中に、医師としての著者が思う、今の医療界の問題が掲げられていました。
市民病院の再建問題、日本医療業務機能評価機構のあり方、医療崩壊を煽り立てるような医療ジャ-ナリストの存在・・・・・などなど。
わかりにくい事がなんとなく無知なわたしにもわかるような気がしました。
三枝医師の逮捕ニュ-スを知り、すぐに立ち上がって救済行動した清川医師
市民病院で受け入れが難しい救急患者は極北救命センタ-で受け入れると協力を約束した速水医師など、今までの海堂作品で登場の医師たちが、連携しあっているのが頼もしかった。
院長不在になった市民病院に最後、病院再建で登場は、これまた御馴染み、世良医師。
物語は世良の登場でおしまいですが、続きはあるのかな?
今回も期待通り、楽しませてくれました!
★★★★
PR
追い詰められた者たちが見つけ出した答え。
善意に満ちた悪
驚愕の心理サスペンス長編
(講談社HPより)
文庫化されたものが2009年4月に発行されているそうで、主人が「本屋の店員のPOPに10年に一度の傑作ってあったから読んだけど、なかなか面白かったよ」というので、わたしも読んでみました。
なるほど!これは面白い!
物語は3つの章に分かれています。
Ⅰ 教唆
Ⅱ 隠匿
Ⅲ 転落
Ⅰでは、あるホ-ムレスの語りで、食べる物を探すことが生きる為には必須の毎日の中で、偶然、出会った小学5年生の少女から食べものを貰い、そのお返しに彼女の下僕となった「ボク」
Ⅱでは、ボクを周囲には内緒で匿う女性との関係
Ⅲでは、ボクと匿った女性とが、関わった共通のある事件についての真相
こんなかんじかな?
これは、あまり説明するとこれから読む人の楽しみ(恐怖)を奪うことになるので、あまり書かないけど、兎に角、予想を覆す事がどんどん出てきて、読み進めるのが楽しみだった。
職場や、親戚や、近所、周りの人間たちの言葉や態度で追いつけられていく果てに起こすことって、恐ろしい。
誰の身近にもありそうな事だけに、背筋がゾクゾクした。
読みながら感じた「?」の幾つかは、段々に明かされるが、全ての「?」が明かされずに終わるため、読後もモヤモヤした違和感が残るのだけど、それも含めて面白かった!
この著者のほかの作品も読んでみようかな?
★★★★
私ねえ、欲望の愛弟子なの。
4人の少年少女たちの、生と性の輝き。
そして、いつもそこにある、かすかな死の影。
山田詠美の新たなる代表作
(本の帯文より)
タイトルの「学問」から連想すると・・・堅苦しいお話?とも思いますが、
帯文の「欲望の愛弟子」を見ると・・・・官能っぽい?
そして、読み始めると、最初にあるのは、雑誌掲載された一人の女性・香坂仁美の死亡記事。
享年68歳。
その後の文では、ガラッと雰囲気が変わって、仁美が東京から転校し、静岡県のとある場所にある小学校の同級生たちとの日常が描かれる。
大人からも子どもからの人気者の心太(ところてんとも読むから・・・てんちゃん)
心太のことを好きな千穂(チ-ホ)
病院の跡取り息子で食いしん坊の無量(ムリョ)
ほかにも可愛くて、頭も良いけど、ちょっと自己中心的な素子やら、学校の先生たちとの関わりも。
彼らが1962年生まれという事、静岡県ということで、私自身との共通点がある為、
おやつの うなぎパイやら源氏パイとか彼らが話す方言「~だら」「~じゃん」「ひずるしい」などを読むと自分の小学生時代とだぶりました(笑)
そんなのんびりした日常の中で、ふとした瞬間に気づく体の奥深くで感じる「得体のしれないもの」。
仁美の視点で性に目覚める少女のリアルな様子が新鮮。
大人の「性」にまつわる話にはない、不思議なかんじ。
男の子のそういう話(書きにくいなぁ~^^;)は、意外と今までも読んだ事あるけど、女の子の・・・仁美自身もそれをなんと言っていいのか分からず「儀式」と呼んでいました。
彼女の言葉を借りて。。。。その儀式の様子がリアルに書かれているわけです。
子どもなので、それがどういう意味があるのか?不思議で心太に話したり、みんなで考えたり・・・その事を知ってる大人にとっては、赤面しちゃうような言葉だったりするのですが、子ども達は、純粋な気持ちで「なんだろね?」と言ってる。
物語は彼らの小学生~中学生~高校生の出来事を断片的に追ってゆくのですが、途中で一人ずつ冒頭の仁美ような死亡記事が載ります。
亡くなった年齢もバラバラですが、経歴などを見ると、大人になり、それぞれが、立派な社会人に成長したことがわかるものです。
多くの事を学びながら、きっと有意義な人生を歩んだんだなぁ~と思えました。
最後の最後、仁美と心太の子どもの頃に戻っての会話が、なんとも言えず良かった!
山田さんの作品、「風味絶佳」以来、久しぶりに読んだけど、やっぱりいいな!
★★★★★
米原万里 全書評1995-2006
絶筆となった壮絶な闘病記(「私の読書日記」週間文春)を収録した最初で最後の書評集。
第一部 私の読書日記
第二部 書評 10年間に執筆した書評140編を収録!
(本の帯文より)
主人から「本好きなら、凄く面白いと思うよ」と薦められて読みました。
米原真里さんは、テレビで何度か見たことがあり、頭の良い方だなぁ~という印象でしたが、2006年5月に亡くなっていたのは、この本を読むまで知りませんでした。
そして、この書は、闘病生活を送りながらも書き続けていた読書日記と140編の書評から成っています。
「読書日記」を読むと、米原さんと言う方の人柄がよく伝わります。
読んだ本に関するちょっとしたエピソ-ドもあり、結構、お茶目でユ-モアのある方だったんだなぁ~などと新たな発見もありました。
「打ちのめされるような・・・・」と表題がありますが、友人が、ある本(海外の作家)を大絶賛し薦めるので、それを読んだ後、確かに、面白いけど、これに似た感じでもっと凄いのが日本にはあるじゃない!
と逆にその友人に「これを読んで打ちのめされなさい!」という逆にある本を薦める場面が印象的!
その米原さんが「打ちのめされなさい」と仰った本は・・・丸山才一の「笹まくら」
恥ずかしながら、作家さんの名前すら知りませんでした。
米原さんの言う「過去の名著を顧みない若者が多い」と叱咤されちゃう一人です・・・^^;
近いうちにこれは読まなくては!とメモしました。
他にも何冊か、メモをしてあるので、そのうち読みます!!
本の事以外にも、ロシア通訳者ということで、難しいロシア情勢についての話、当時の小泉政権に関する厳しい批判なども書かれていました。
兎に角、この書は勉強になることばかり。
手元に置きたい!
文庫本も出ているようなので、購入しよう!
そして、付箋を貼りまくろう!!赤ペンでチェックしながら・・・・再読しよう!
そんな本でした。
でも、癌に侵され、闘病の日々を綴った部分もあり、なんとも切ない気持ちになりました。
こんな知識と素晴らしい筆技を持ちながら、56歳で逝ってしまったとは!
すごく残念です。
ご本人が一番、無念だったでしょう。
素晴らしい本でした。
この本、そのものが 打ちのめされるすごい本でした!
★★★★★
私はまだ“本当の自分”と出会っていない
女として人生が終わる前に性愛を極める恋がしてみたい。
35歳脚本家・高遠奈津の性の彷徨が問いかける
夫婦、男、自分自身
(文藝春秋HPより)
発売当初から話題の書でしたね。
図書館予約でも結構、待ちました。
表紙写真(?)に、まずはビックリ!
これは人前で読むときには膝に表紙を置いて読まなきゃ^^;
肝心のお話は、脚本家の奈津は元ドラマ制作に関わっていた夫・省吾と子どもは居ないが二人で仲良く暮らしていた。
今は家庭の雑事を全て引き受け、仕事に没頭出来るようにしてくれる夫には感謝しつつも奈津の書き進める脚本については、昔同様、一番にチェックし、厳しい評価を下すのが常で、それについて不満がある。
しかし、争い事を抱えるのがイヤで夫に管理され束縛されることに辟易しているのも関わらず、穏やかな夫婦関係を保とうとしている。
そんな葛藤のなかで、自身の師と尊敬する、演出家の志澤一狼太と会話(メ-ルが多いけど)するうちに、やはり自分はこのままではダメだ。
志澤に言われた
「穏やかな生活を続けるうちは、大した作品は生まれない」の通りなのでは?と
ついに夫に本音をぶつけ、夫の元を出奔。
それからの奈津は凄かったなぁ~。
志澤との性愛シ-ンもかなり激しかったけど、これは激しすぎて、逆に色っぽくなかった^^;
でも、その後、大学時代の先輩・岩井、元精神科医の僧侶・祥雲、俳優の大林
と次々に・・・・
村山さんの作品は、過去に数冊読みましたが、どちらかというと清純物語。
こういう作品は書かない人だと思っていたので、驚きです。
主人公の奈津は脚本家。
どうしても著者本人の経験によるもの?主人公=著者のイメ-ジを読み手は頭に浮かべてしまう。
そういう事を勿論、覚悟のうえでの作品なのだと思うと、その事に対して敬意さえ覚えてしまう。
奈津のように、次々と性愛を求める女性について、共感出来ないけど卑下する気持ちは全くないです。
奈津も自分自身のなかにある覚悟を持って行動している事ですから。
潔さみたいなものも感じました。
いや~恐れ入りましたというかんじです。
賛否両論ありそうですが、わたしはこの作品、すごく良いと思いました!
これからの作品も今まで以上に期待したい!
★★★★
カレンダー
カテゴリー
フリーエリア
最新記事
(07/12)
(07/10)
(07/06)
(07/03)
(07/02)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア