ややこしくなった心と身体がほぐれる、魔術的な恋愛小説。
いま起こっていることは、すべて必然なんだと思う・・・・身寄りを置き去りにして、山崎由実が流れついたのは商店街のはずれの薬屋だった。独身の店主、平山タバサはつかみどころがないが、町の住人からは信頼を寄せられ、山崎も次第に馴染み、解き放たれてゆく。とどまり、たゆたう愉悦と、帰るべき場所を探す極上の恋愛小説。
(新潮社HPより)
前に読んだのは・・・『とりつくしま』だったかな?
あれも不思議なかんじの話でした。
今回も、登場人物たちが果たして何者なのか?よくわからない。
薬局を営むタバサは、独身の男性。変わった名前「タバサ」は、彼の言うこれまた変わった母親がテレビドラマ「奥様は魔女」の登場人物から付けたそう。
「奥様は魔女」の登場人物?ダ-リンと魔女のサマンサ以外、知らないなぁ~と調べたら
二人の第一子の女の子が「タバサ」らしいです。
女の子の名前なのに・・・・しかも日本人には似合わない名前^^;
タバサの元に居候する山崎由実。
途中まで、二人の関係は?と謎でしたが、段々にこの辺はわかってきます。
兎に角、「?」とわからない事だらけの物語なのですが、不思議な魅力があって、言葉の流れとかそこから漂うフワフワしたような物がなんだか読みながら、わたしにはとても心地が良いものでした。
タバサの亡くなった母親を語る部分は、ちょっとホラ-っぽかったけど、怖いというより美しいと感じてしまう。
視覚的に考えたらやっぱり怖いんだろうけど。
医師免許も持っているというタバサが処方する薬。
病人への治療方法も不可解。
最後は、霧とともに遠くに消えてしまうような、あやふやなまま・・・・
でも、好き。こういうかんじ。
多分、好みが分かれる作家さんなんだろうけど。
★★★★
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手の内は「握卵(あくらん)」。
自信が持てず臆病で不器用な初心者、早弥。タ-ゲットパニックに陥った天才肌、実良。黒人の父をもち武士道を愛する少年、春。
たまごを持つように、弓を握り、心を通わせていく、
中学弓道部の男女3人。
こわれやすい心が、ぶつかりあう。
(講談社HPより)
図書館の児童書新刊本コ-ナ-にあったそうで、主人が借りて来ました。
中学の弓道部のお話。
少し前に、女子高校生の剣道部を扱った物語「武士道エインテ-ン」を読みましたが、武道物って、なかなか馴染みがないですが、こういう書で結構、雰囲気は掴めます。
弓道部の顧問は、学校の先生でなく、年配の女性。
この先生の指導が良いかんじ。
武道云々よりも人として美しくある為に・・・みたいな物も教えてくれている。
上手くなりたい、強くなりたいと焦り、上手く行かない時期を乗り越えて、成長する。
そんな様子が読んでいて、嬉しい。
表紙の絵を最初にみて、男の子が二人?と思いましたが・・・違いました^^;
真ん中は、女の子・実良でした。
短い髪に変身の経緯もなかなか良かった。
青春物語は、清々しくていいなぁ~(^^)
★★★
おばあちゃんはあなどれない-----何かが過剰で、何かが足りないこの世の中。今日も出くわす(ばかげた)事象を、宇陀川静子・75歳は見過ごさない。
チャ-ミングで痛快な家族小説。
(中央公論新社HPより)
愉快。愉快。
静子さんの考え方、いいなぁ~(^^)
近くにいたら、お友達になりたい!
ご主人を亡くして、1年ほど前から、息子・愛一郎とその妻・薫子とその娘で高校1年の、るかと同居している静子さん。
週2日はバスでフィットネスクラブに水泳をしに行き、幅広い年齢の方たちと交流している。
フットネスクラブのあちらこちらに貼られる「・・・しましょう」「・・・・しないようにしましょう」の類のものをナンとも馬鹿げたものだと常々思いながらも面と向かって抗議するような事はしない。
ささやかなに抗議しましたが・・・笑
息子夫婦や孫の様子を見ていて、何か普段と違うな~と敏感に察するけど、やはり口出しはしない。
でも、見過ごすのでなく、ちゃんと対策を練って行動する。
誰にも気づかれず、水面下であれこれ画策する様子は、実にチャ-ミング(^^)
こういうおばあちゃんにわたしもなりたい!
静子さん、最高です!
夫の十三が下戸だったから、自分も妻でいるうちは酒は飲まないと決めて十三の通夜の席で、50年ぶりにお酒を口にした静子さん。
思い出を回想するような場面では、ご主人との関係は円満だったとは言えないようなこともあり、悩んだ時期もあったよう。
生きていればいろいろあるけど、年を取ったときに、静子さんみたいな心持ちで居らるのは、その人の考え方ひとつなんだろうなぁ~。
自分が子供の頃の75歳って、もうすごい年寄りって感じだったけど、考えてみれば、自分の母親もそんな年なわけで、未だに運動してるし、海外旅行にも行ったり、すごく楽しそうだものなぁ~。
わたしも75歳頃になったとき、毎日がたのしいって思えるような生き方をしていたいな。
なんだか、未来に勇気をもらえた感じのお話でした♪
★★★★★
君だったのか、俺が探していたのは。走るために生まれながら、走ることから見放されかけていた清瀬と蔵原。二人は無謀にも陸上とは無縁だった八人と「箱根」に挑む。走ることの意味と真の〝強さ”を求めて・・・。
超ストレ-トな大型青春小説。
(新潮社HPより)
三浦さんの作品は、いくつか読んでいますが、これは未だでした。
今月末から、映画も公開だそうなので、ちょっと気になり読んでみました。
学生の運動部の物語は、基本的に好きです!
こちらは、大学生。
毎年、お正月に行われる「箱根駅伝」出場を目指して練習に励む10人の学生の物語。
しかし、陸上経験者は二人のみ。
ハイジは膝の故障で、陸上競技から離れていた。
しかし、仲間を集めて「箱根駅伝」に出場する夢を持っていて、密かに準備を始めていた。
仲間は9人。既に確保(?)。
駅伝をやるには、あと一人。その最後の一人は、カケル。
走ることは好きでかつてはその走りに高い定評があったが、過去にある問題を起こし、仲間から離れ、陸上競技からも遠ざかっていた。
そんなカケルとハイジが偶然、出会い、駅伝メンバ-10人が揃う。
10人の仲間たちはそれぞれ個性的。
リ-ダ-として、常に皆を引っ張るハイジだが、時には問題も起き、どうなることか?とハラハラする場面もありました。
でも、やはりハイジの引っ張る力は強かった!
力ずくではなく、皆を納得させながら、ひとつの方向に向かわせる。
なんて素晴らしい統率力!
駅伝当日のひとりひとりの走る場面も感動物で、最後は爽やかな読後感!
やっぱり運動部の話はいいなぁ~。
映画も今月末から公開ですね。
ハイジ役は・・・小出恵介さんらしいです。
そして、双子のジョ-タとジョ-ジは・・・斉藤慶太さんと翔太さん
映画も見てみたい♪
★★★★
5つのリドルスト-リ-に秘められた物語
古書店アルバイトの芳光は、依頼を受けた5つのリドルスト-リ-を探し始める。実は著者は生前「アントワ-プの銃声」事件の被疑者だったことが明らかになり・・・・・・。
著者新境地の本格ミステリ。
(集英社HPより)
少し前に読んだ「春期限定いちごタルト事件」~「秋期限定栗きんとん事件」なども、青春小説の軽いミステリ-で楽しかったのですが、今回の物語は、大人も楽しめる上質なミステリ-だと思いました!
かなり、面白かった!
こういうかんじ大好きです!
伯父の経営する古本を扱う書店に、家庭の経済状況が悪く、一時休学し、学費を自分で稼ごうと身を寄せる大学生の芳光。
そこに、亡くなった父親が生前に書いていた5つの物語がどこかの雑誌に載っていると思うので探して欲しいとやってくる可南子。
1つ見つけたら10万円という報酬に魅せられ、仕事を引き受ける芳光。
ひとつずつ、見つけた物語が語られるのですが、どれも少し哀しい。
幸せな雰囲気はしない話ばかりで重いのですが、独特の魅力があり、どれも好きでした。
物語を探しながら、芳光と可南子の生い立ちのような過去を振り返るような話もあり、二人には共通するものを秘めているかんじでした。
そして、探していた物語が全て揃った後、明らかになる事には、とても辛いものがありました。
明らかにされた事は、今後の可南子にどう影響されていくのだろう?
なんて考えたら、本を閉じた後も、なんともスッキリしない読後感が残りました。
でも、作中作の雰囲気もそれに似たもので、その先の物語を読者が想像して楽しめばいいのかな?
なんて勝手に思い、わたしはきっと今後の可南子はこれを知った上で強く生きて行っただろうと解釈しました。
ある程度、可南子自身もわかっていたのではないかな?
この物語をいずれ娘が手に取り、そこから自ら感じ取るであろう事実を予見しながら書いた父親の気持ちは、どんなだっただろう。
最後まで読んで、すぐ作中作だけを読み返したら、なんだか一層ジ~ンと来ました。
これは今まで読んだ米澤作品では一番!(わたしの好みですが・・・^^;)
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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