霞かかった夜空の下で、1人だなんて寂しいでしょう。だから甘えたいだけなのに。
恋愛小説の名手・谷村志穂が描く「出会い」と「別れ」・・・
孤独な魂に響く7つの物語
(祥伝社HPより)
恋に悩む若者たちの心理描写がよかった。
7つの話殆どは、女性側の気持ち。
あまり上手く行っていない恋に苦悩する。
本当にダメになってしまう話もあれば、ちょっと考え方が変わったり、相手の見る目を変えてそこから新たな付き合い方を見いだすような話あり。
恋愛って、こういう風にあれこれ悩むものだったなぁ~なんて遠い過去を振り返ったりしながら楽しめました。
最初の「キャメルのコ-トを私に」は失恋しちゃう女の子の話でしたが、彼女の踏ん切りが付いたような様子が微笑ましく好きなお話でした。
あとは、7つの話のなかで唯一男性が語る表題作の「おぼろ月」が良かった!
付き合っている女の子とのちょっとした苦悩をある大人の女性と語ることで少しふっきれる話。
大きな出来事が起きるわけでもないけど、恋をするとあれこれ悩む事ってある。
そんな心理描写がうまく描かれていて、どの話も面白かった!
この表紙の絵もすごく好き!
美しく壮大な自然に囲まれた長野県安曇野。ここで生まれた少年が「いとこおば」にあたる同い年の少女に恋をした-----五感に響く描写で、生き生きとその姿を描く。
(ポプラ社HPより)
安曇野の田舎で毎年、夏にだけ一緒に過ごす子ども時代。
広大な自然のなかを、生き生きと駆け回る様子は楽しかった。
流星にとってリリ-はいとこおばに当たる。
流星の父とリリ-がいとこ。
年は、流星が1つ下。とはいえ、3月生まれのリリ-と4月生まれの流星なので、学年が1つ違いなだけでほぼ同年。
けれど、子どもの頃から活発で男勝りのリリ-がのろまな流星をいつも引っ張るかんじ。
大人に段々成長する過程で、少しは対等になるけど、やはり大人なのはリリ-かな?
一時、親戚関係にあるリリ-との事に悩む流星にずっとソバで見守ってきたひいばあさんの菊さんの一言が流星を後押したんだろうな。
「従兄弟でも結婚できる時代。二人はそれよりずっと遠いんだし・・・」
菊さんが素敵でした。
作るお料理が全部、とても美味しそうでした(^^)
成長しながら、お互いの環境も変わり、何度か別れを繰り返す二人。
二人共、他にお互い以上に分かり合える人に巡り合えなかったのかな?と考えるとちょっと寂しいかんじもしちゃうけど、ま、ハッピ-エンドで良かったということかなぁ?
最後、二人で家系図を眺めながらの会話がいいな。
あと・・・
命日は亡くなった日でもあるけど、天国でのお誕生日なんだね。
全然、悲しい日じゃないんだね
ということばもよかったな。
生まれる命あり、逝く命あり・・・・どんどん血は繋がっていくんだな~。
発行年月:2006年9月
専業主婦の恭子は、夫の子供を身篭ったという
不倫相手を毒殺、
完全犯罪を成し遂げたかに思えたが、
ある疑念を抱き始める。
罠が罠を呼ぶ傑作ミステリ。
(幻冬舎HPより)
長い話ですが、面白くて、殆ど一気読みでした!
夫の出張中に不倫相手だという女・関口真弓からかかってきた電話に激しい憤りを感じる恭子。
プライドが高い彼女に殺意を抱かせるだけの言葉。
そして、真弓を毒殺。
犯人が最初にわかるパタ-ンの推理小説。
でも、その後が面白い。
完全犯罪かと思われた恭子の綿密な犯行だったが・・・
捜査段階の割と早くから刑事・戸田は、恭子が犯人なのでは?と睨み、その確証を得るための推理と捜査の過程が面白い!
いろいろな仮定を立ててひとつひとつを事実と併せて検証してゆく。
そして、事情聴取での刑事・戸田と恭子のやりとり。
罪を割りとアッサリ認める恭子だったが、どこか自信に満ちている態度に違和感を覚える戸田。
そして裁判・・・・・ここからがまた面白かった!
いろんな人間が出てくるけれど、自然と頭のなかに残っていて、「あ~この人は・・・」とその前に書かれていた伏線がこういう風につながるんだ!と納得。
鋭い推察力の刑事・戸田ですが、彼女の本当の殺害理由はついに謎のままというのもいい。
ラストは壮絶だけど、恭子らしい。
これは、2009年にドラマ化されたそうですが、正にドラマを見ているような感覚で読めます。
ドラマ、見てみたかったなぁ~。
恭子役は米倉涼子。
刑事役は舘ひろしだったんですね!!
他にも豪華キャスト!
う~んDVDないかな?(笑)
著者は60過ぎでこの本でデビュ-とか。
最初は自費出版。その後、出版社から単行本として発行され、売れに売れ増刷も何度かされてる作品だそうです。
この次に出した「目線」は先に読みましたが、それもなかなか面白かった!
次の作品も期待します!!
著者のこの本に賭けた意気込みのようなものも垣間見える
幻冬舎のこちら(氷の華 もうひとつのスト-リ-)のペ-ジを気になる方は一緒にどうぞ♪
★★★★★
川田幸代。29歳。会社員。腐女子。社の秘められた過去に挑む―。本間課長は言った。「社史編纂室でも、同人誌を作ろう!」その真意はいかに?風雲急を告げる社史編纂室。恋の行方と友情の行方は、五里霧中。さらには、コミケで人気の幸代の小説も、混乱に混乱を!?これでいいのか?わたしの人生。
(筑摩書房HPより)
三浦さん、いろんな話を書きますね~。
今度は、商事会社が舞台。
主人公の幸代は、社史編纂室の一員。
なんだか冴えないほかのメンバ-たち。
本間課長は、定年が近いのに課長どまり。定時に出勤する事ほとんど無し。
2年先輩の矢田は、別名「ヤリチン」。
後輩のみっこちゃんは屈託がなくいつも明るい。
社史を作る・・・地味な作業だな。
これがどういう面白い展開になっていくのか?
三浦さんなら絶対面白くなるんだろうけど・・・と思いながら読み進めると、やはりどんどん面白くなりました!(^^)
星間商事の知られざる過去!
登場人物の人間関係の新事実も明かされたりでした。
幸代が最初、ナイショで高校時代の友達と作る同人誌の小説。
学生時代は文芸部で小説も書いていたという本間課長が幸代の小説に触発されて書き始めた時代物小説。
その後、新たに社史に関わる小説。
これらもそれぞれ面白かったな~。
会社と関わりのあったという「サリメニ」という国は・・・・想像上の国?
今は崩壊したけど、ホントにかつてあった?(この辺、疎いけどないよね?^^;)
社史編纂室に届いた脅迫状と思われる葉書の出所はハッキリ書かれていなかったけど
多分・・・〇〇ですかね?
幸代と一緒に暮らす、恋人の洋平の実態はよくわからなかったけど、二人はお互いのやりたい事を認め合えてよい相棒というかんじでなかなかいいな。こういう関係なんて思いました。
結婚するか否か?迷っていた幸代の気持ちもよくわかったけど、お互い離れなれないんだろうね。
自分を一番理解してくれてる人だから。
最後は、社史編纂室は解散したけど、清々しい別れというかんじで良かったな。
今回の話も楽しかった♪
人の表裏を巧みに描いた最新傑作連作集!
出張ホストを買う孤独な女・りつ子。自殺願望のある風俗嬢・茉莉。八人の女と同居する中年男に安らぎを求める可世子。アイドルのおっかけに夢中の高校生・奈々美。女になりすましてメールを書く淋しい青年・光。息子を溺愛する有名女優・黎子――。人間の心の明と暗、優しさと毒、安らぎと恐怖、それらはどれも隣り合わせにある。だから人は、ほんのささいなきっかけで足を滑らせる。
10人の人間たちの人生がゆがむ一瞬を見事に切り取った連作短編集。直木賞・柴田錬三郎賞を受賞した恋愛小説の名手による、新しい傑作!
(小学館HPより)
8番目に登場の光以外は女性が主人公。
年齢はいろいろ。職業もいろいろ。
その生き方もいろいろ。
だけど・・・・第三者的に見たら、ちょっと危ない。
最初のりつ子が一番、ありそうな堕ち方かもね。
若いホストに貢ぐ女性の話。
5番目に登場の中学の養護教諭の和美の話は、理解出来ないけど、ま、ありえる話か?
最後はえぇ~っ!?だったけど。
唯一男性で話の主人公になっていた光は、最後、自業自得ですね^^;
生い立ちを知ると同情もしたくなるけど・・・・。
どの主人公たちも、他人からみたら幸せとは言い難いんだけど、他人が思うほど、不幸とは感じていないのかもなぁ~なんて思いました。
最後の妙子の話は、途中まで厭な女!(怒)って思ったけど、最後はちょっと笑えた。
10の話どれも他人事だから、おもしろかった!
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;