発行年月:2009年7月
いつか忘れなくてはいけない大切な人。
あの感動から3年-------
“失われた時”が息づく街を舞台に描く待望の長編
存在しないはずの図書館から借りられる本
ラジオ局に届く失われた人々からのはがき
響き渡る今はもう無い鐘の音
席を空けて待ち続けているレストラン
「開発保留地区」行の幻のバス
「開発保留地区」------それは10年前、3095人の人間が消え去った場所。街は今でも彼らがいるかのように日々を営んでいる。
(祥伝社HPより)
「失われた町」の続編のような・・・・でも内容はすっかり忘れている^^;
何故、どういう経緯でこの物語でいう「開発保留地区」の人々だけが消えてしまったのか?
ちょっと解らない部分多いのですが・・・・
けれどこの作品だけでも十分、楽しめました。
消えた人々には、家族や知り合いが居て、今も消えた人達を忘れられずに生きている。
時にふと感じる気配。
消えてしまっても存在しているのだ!と信じたい気持ちがあるはずもない気配まで生み出すのか?
未だ居なくなった者たちを忘れられず、その者が居ない世界で前を向いて進もうとしなかった人々だが、少しずつ、それぞれが接触し、お互いの傷を癒していく。
物語は連作方式でいろいろな登場人物が入れ替わりで登場。
最初の話で出てくる「歩く人」も最後で再び登場し・・・読みながらバラバラの個人が互いに結びつきを持っていく様子に希望の光をみるようで嬉しかった。
記憶が薄れている前作の「失われた町」をもう1度、読んでみたくなった。
★★★
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飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、
大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。
先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現われた。
(幻冬舎HPより)
次女が好きでよく読んでいる乙一。
わたしは、ちょっと敬遠してました。
で・・・・「お母さんにもこれならお薦めって言うのがあったら教えて」と言っておいたら
これを薦められました。
小学5年生になった主人公・マサオは引っ込み思案で、自分の意見をハッキリ言えない子。
担任の若い男性教師・羽田は皆から最初は人気があったが、段々とその評価は下がる。
そして・・・あるときから、マサオを執拗に虐める。
こんな教師、最低!!
なんじゃこりゃ!(怒)と思いながら・・・でも次女が薦めてくれたんだから・・・と我慢して最後まで読み終えよう!と心に誓いながら読み続けました^^;
ま、途中まではこの信じられないバカ教師にイライラしながら読んでましたが、
マサオの前に現れた「アオ」の出現あたりから、これがどう展開していくのか?気になり
なかなか面白く読み終えました。
最後の方は、結構、先生VSマサオ&アオの対決で、ハラハラしました。
マサオの判断に拍手!
この子良い子だな。
冷静な判断がちゃんとできる子。
自分が辛かったときも虐めてる側の子の気持ちの奥を理解しようとしていたし健気だったし。
こういう大人しくても真面目で、ちゃんと内にはしっかりした意思を持っている子の本心を見抜ける人間が教師になってもらわなきゃダメだ!
ここに出てきた羽田先生は教師になる人間ではない!最低最悪!
「アオ」の存在はよかった。
結構、過激な助言をマサオにしていたけど、それはもう一人のマサオ自身だったんですね。
マサオはきっと優しくて強い大人になっていくんじゃないかな?
敬遠していた乙一でしたが、なかなか良かった。
またお薦め本あったら教えて貰おう(^^)
★★★
驚愕の一夜
明かりの消えた深夜のデパートのあちこちに蠢く人の気配。不穏な空気が流れ出し、静かに騒ぎが始まった。
所持金143円、全てを失った男は、深夜のデパートにうずくまっていた。そこは男にとって、家族との幸せな記憶がいっぱい詰まった、大切な場所だった。が、その夜、誰もいないはずの店内の暗がりから、次々と人の気配が立ち上がってきて----。一条の光を求めてデパートに集まった人々が、一夜の騒動を巻き起こす。
(講談社HPより)
図書館予約でかなり待ちました。
期待しました。
で・・・・・正直・・・・退屈だった。
登場人物多すぎる。
デパ-トに閉店後まで潜んでいる人、そんなにいるか!?^^;
ま、でも物語なので、その辺は良いとして・・・
・所持金わずかのホ-ムレス状態の46歳の加治川英人46歳
・百貨店勤務だが腹いせで退職金代わりに宝飾類を盗もうと企てる29歳の山添真穂
・親のクレジットカ-ドを盗み家出してきた高校生カップル・ユカとコ-ジ
・暴力団から逃げている元警察官の塚原仁士
彼らが最初は別々に描かれ、次第に出会って生まれる物語。
彼らが潜む鈴膳百貨店側の社長・矢野や警備員の半田と信なども加わり結構、話はあちこちに。
その辺がやや疲れて面白いんだけど、ちょっと途中で飽きましたね~^^;
ラストはハッピ-な雰囲気でよかったけど。
デパ-トに潜むお話では
アレックス・シアラ-の「魔法があるなら」がとても素敵なお話だったので、つい比べちゃって・・・もっとスッキリしたお話ならなぁ~なんて思ってしました。
やや体力的に疲れ気味で読んだので悪かったかな?
★★
わたしはひどいことをしました。神さまはわたしたちをおゆるしになるでしょうか----。

コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは----なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす……。
(新潮文庫HPより)
今日は、梨木さんずくし・・・笑
薄い本なので、アッと言う間に読み終えました。
寝たきりの殆ど喋らないおばあちゃん・さわこと孫のコウコの物語。
コウコは何歳だろ?進学校に通うとあるから高校生かな?
熱帯魚が欲しくて、やっと飼う事を許され、水槽に浄水のためのモ-タ-を取り付け、ネオンテトラとエンゼルフィッシュを飼い始める。
熱帯魚を飼う事に伴って、夜中のトイレ介助を申し出たコウコが、おばあちゃんの異変に気づく。
モ-タ-音がおばあちゃんを覚醒した?
おばあちゃんは昔、さわちゃんと呼ばれていた。
ミッション系の学校に通い・・・・ちょっと憧れていた同級生・コウちゃんと友達になりたいと思っていた。
でも、ある事がキッカケで相反する態度で接するようになってしまう。
それは苦い思い出。
そんな思い出話が現在の話と交互に語られる。
小さな水槽のなかで起こる事件。
それを通して、かつての自分の行いを思い出し、興奮するさわちゃん。
水槽のなかのことを世界に置き換え、それを見ているコウコを神に置き換えて語るさわちゃんの説は、なかなか面白かった。ミッション系の学校に通っていたからなのかもしれないけど、妙に説得力があって、ちょっと怖いかんじもしましたが惹かれるものもありました。
人って、自分が第三者的に見ている「悪」には憎悪感を抱くのに、自身の心のなかにある「悪」って物には案外、気づいていないのかもしれないな・・・。
なんて思いました。
短いお話なのに、とっても、ふか~い内容でした。
暫くこの梨木作品の余韻に浸っていたい。
★★★★★
ここにはないなにか」を探そうとしないで。ここが、あなたの場所。

祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして----。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
(新潮文庫HPより)
先に読んだ「りかさん」の続編とかで、興味あり読みました。
りかさんは、蓉子の祖母が大事にしていた市松人形。
「りかさん」のなかでは、まだ小学生の蓉子と会話したり、人形なのに、意思をきちんと伝えていました。
今回もりかさんは登場するのですが、話しかけたりはしません。
ただ、存在感は常にあり、蓉子を含めて共同生活する4人の女性の中心にいるも居るかんじ。
いつか話したりするのかな?なんて少し期待しながら読みました。
「りかさん」で小学生だった蓉子も成長し、今は植物染料を考える会のメンバ-として活動中。
ほか3人の女性・与希子、紀久は美大生で
与希子は染織を、紀久はテキスタイルの図案を学んでいる。
そしてマ-ガレットはアメリカから鍼灸を学びに来ている。
性格は違っても、物の捉えかたというか、感性が似ているかんじ。
会話の内容が、なかなか高尚でちょっと難しいところもありましたが、そんな部分も好き。
そして物語のなかで四季折々の自然から受ける感情の変化を表現した描写も素敵でした。
例えば・・蓉子が染物工房の先生・柚木と染料となる柏の葉を採取に行き、
緑が茂る柏の木の群生のなかにいて・・・
「あんまり緑がいっぱいで、息苦しいような・・・・・」という場面。
その感情はちょっとわかる気がする!
そして目の前に風景が浮かんで来るようでした。
柏の葉が喪服の染料になるのは知らなかったぁ~。
「死者を悼む色」・・・・・なるほど、なるほど。
物語中、知らなかった事もいっぱい出て来て、メモを取りながら読みたくなるかんじ。
今回は喋らない、りかさんでしたが、そのル-ツのようなものも詳しく知れて、楽しかった。
ちょっと重いかんじの昔話も交えたり、人間の過去のル-ツを探ると新たな繋がりの事実も出てくるんだなぁ~。
今、近くにいる人も実は過去の何らかの出来事により、お互いがお互いを引き寄せていたりして・・・
なんてちょっと思ったりもしました。
「りかさん」とこの「からくりからくさ」暫く時間をおいて、また再読したい!!
以前読んだ「りかさん」は単行本ですが、文庫本には、更なる関連話が収録されているとか
なので、近いうちにそちらも是非、読まなきゃ!と思ってます。
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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