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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:1955年12月


 世界の「MISHIMA」、この時29歳。純潔無垢でパーフェクトな恋物語。

文明から孤絶した、海青い南の小島――潮騒と磯の香りと明るい太陽の下に、海神の恩寵あつい若くたくましい漁夫と、美しい乙女が奏でる清純で官能的な恋の牧歌。人間生活と自然の神秘的な美との完全な一致をたもちえていた古代ギリシア的人間像に対する憧れが、著者を新たな冒険へと駆りたて、裸の肉体と肉体がぶつかり合う端整な美しさに輝く名作が生れた。

                       (新潮文庫HPより)




山口百恵さんと三浦友和さんで演じられた映画「潮騒」は見ました。

読んでいると自然に二人の俳優さんの顔が浮かんで来ちゃいましたが・・・^^;
とても綺麗な純愛ストーリーでした。

やはり三島由紀夫の文章は美しいな~。
美しい海辺の風景も目に浮かぶようで、若い二人が惹かれあう様子も
なんだかドキドキしました。
恋愛小説は、いくつも読んでいますが、なんだろ?凄い新鮮なかんじ。


「金閣寺」をこの前読んで、あちらは暗く影のある主人公の行き場のない運命を
切なく描いていて、胸が苦しくなりましたが、こちらは180度違う作品。
明るく希望に満ちた若い命が惹かれあい、これからひとつになって進んでいくだろうという物語で、爽やかな読後感でした!

三島由紀夫という人は、本当に素晴らしい作家だったんだな・・・・。
まだ2作品しか読んでないけれど、違う作品も読みたい。
さて、次は何を読もうかなぁ~?


                       ★★★★★
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発行年月:2014年10月

町を好きになることは、恋をすることに似ている――。

 風が運んできた香り、ふと目にした風景、耳に入ってきた会話、あの日の舌の記憶……。歌壇を牽引する一人であり、心の琴線に触れる言葉を紡いできた著者が、25の町の表情を五感で綴った随想集。まるで、著者と一緒に町を歩いているような気持ちになれる珠玉の25篇を収録する。

 本書に登場するのは、山形/松山/名古屋/遠野/下北沢/京都/大森/入谷/紀伊田辺/神保町/立川/仙台/銀座/吉祥寺/池袋/表参道/新宿/御茶ノ水/江古田/有明/青森/パリ/高幡不動/横浜/福岡。

 歌人ならではの独特の視点で切り取られた何気ない日常のひとコマは、あたたかく、せつなく、時に妖しく感じられ、あなたの知らない“もうひとつ町の顔”を見せてくれるはず。

 「東さんの言葉は、面倒くさいスーパーの買い物帰りの景色を楽しくしてくれます」と、漫画家の大橋裕之さんも推薦の一冊。

                    (PHP研究所HPより)




いろんな土地を訪れながら、そこの風景を見てふと思うことをつらつらと書いている。

気楽に読めて楽しい1冊でした!

ひとつの風景を見て、そこから思い出す過去のこと。
特に幼いときの記憶とか、いつのことだったかわからないけれど同じような
情景を見たような気がすると思ったり・・・・。

東さんの場合は、歌人なので、思い出す歌も載っていて、ああ流石だなぁ~と
思った。
ふと先人が詠んだ歌が浮かぶって、凡人のわたしにはないことなので。。。^^;


<狼煙(のろし)>の中で
地獄から共同浴場、温泉と話は広がって行くのが特に心地よく
そういえば、のろしってどうしてオオカミの煙なんだろか?と思っていたので
その解説には思わず「そうだったんだ!!」と心のなかで叫んでしまいました(笑)。

オオカミのフンを燃やして「ココニイルヨ」の合図として煙を真っ直ぐにあげたのだとか。
オオカミのフンは煙が真っ直ぐ上るのだろうか???
という新たな疑問は残るけれど・・・・^^;


<光景>で、金と銀について語る話も面白かった♪

ま、全部面白いのですが、特にこの2つの章がお気に入りでした!


                            ★★★★★
 



発行年月:2014年5月


 生きづらい世の中を生きる全ての人たちにエールを送る山女子小説!



40歳目前、文芸誌の副編集長をしているわたし。仕事は充実しているが忙しさに心擦り減る事も多く、私生活も不調気味。そんな時に出逢った山の魅力にわたしの心は救われていき……。じんわりと心ほぐれる連作長編。

                      (角川書店HPより)




山登りのお話。
主人公の女性は、職場の同僚に最初は誘われて山登りをし、その後、訓練しやや難度の
高い山登りを体験していく。

山登りは、今、ブームだけれど、危険と隣り合わせなんだなぁ~。
彼女は、一人で行動する。
確かに登るペースとか、それぞれ違うから単独行動がベストなんだろうけど、
広い自然のなかで自分しか居ない空間って、想像しただけでちょっと恐怖で
自分には無理だな~。


単独で上っていても、人と会い、そこで生まれる交流の場面は、温かいかんじで
いいな。

物語は月日が経過しながら、いろいろな季節に山登りをする様子を描いている。
普段は文芸誌の編集をして、山に入れば、目的地を目指しひたすら進む。
過酷な状況を、自分自身の体調の変化を気にしながら続けるのか断念するのかの
判断も大事。

登山後の食事の風景が、美味しそう♪

山登りをする人には共感する部分も多いんでしょうね~。


                             ★★★



発行年月:2014年9月

胸奥の深い森へと還って行く。見失っていた自分に立ち返るために……。

蘇りの水と水銀を司る神霊に守られて吉野の地に生きる草壁皇子の物語――歴史に材をとった中篇「丹生都比売」と、「月と潮騒」「トウネンの耳」「カコの話」「本棚にならぶ」「旅行鞄のなかから」「コート」「夏の朝」「ハクガン異聞」、1994年から2011年の8篇の作品を収録する、初めての作品集。しずかに澄みわたる、梨木香歩の小説世界

                       (新潮社HPより)


どれも素晴らしいお話。
梨木さんらしいちょっと独特な不思議な空間に連れて行かれるような気持ちに
させられて、それがすごく心地ちいいのです!!
ああ、さすが梨木さんだぁ~と思わせてくれる作品集でした!!


表題作の「丹生都比売」だけやや長めのお話。

時は1300年以上前の壬申の乱のころのお話。
大海人皇子・おおあまのおうじ(天武天皇)と
鸕野讚良皇女・うののさららのひめみこ(持統天皇)の子どもである草壁皇子の物語。
 心優しき皇子が戦乱の世に巻き込まれる様子はなんだか痛々しい思いがしました。

このお話だけでも読み応え十分!
 

他は短いお話。
特に好きだったのが2つ。

「コート」
2つ違いの姉と幼い時からずっと冬になるとお揃いのピンクのコートを母親が用意してあり着せられていた。
母は9着のサイズ違いの同じ型のコートを買ってあったから。
でも16歳の姉は、自分好みのコートを買い、わたしはおさがりでないコートを着る。

妹が姉を想う気持ちが切なく温かかった。



「夏の朝」
6歳の誕生日に特別な球根(親指姫の生まれる球根)が欲しいとねだるが
代わりにユリの球根をお花屋さんからプレゼントとして貰った夏ちゃん。
なかから女の子が生まれたので、春ちゃんと名付ける。

子どもの個性を大事に見守るって大事だな・・・・。
夏ちゃんが可愛い♪
お母さんも一時は悩んだと思うけれど、見守る姿勢は素晴らしい!


梨木さんのあとがきも良かった!
今度は新作の長編を読みたいな。


                            ★★★★★



発行年月:1968年7月


 少年は覗き穴から母の裸を凝視した――。
大人の世界を許せない少年たち。その心理を克明に描く問題作。


船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実の挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の眼がえぐる傑作。

                    (新潮社文庫HPより)



読む本が手元になくなり・・・自宅本棚にあった本を読んでみました。
「金閣寺」が面白かったので・・・。

とても薄い本で、頁数は168頁。
すぐに読み終えましたが。。。。面白かった!!
三島作品に今更ながらのめり込みそうな予感(笑)。


これは、13歳の少年たちの持つ残虐性も描いていて、大なり小なり
男の子にはこういう気持ちを秘めているものなのかも・・・なんて思った。

主人公の黒田登は、父親を亡くして、家には母と使用人が住む。
母は登が寝る時間には部屋の外から鍵をかける。
そんな彼はある日、母の寝室と通じる壁に穴を見つける。
その穴は普段は気づかない大抽斗の棚を引き出したところにある。
母親の裸体を偶然見て、その後、母が連れて来た二等航海士の塚崎竜二との
様子も覗き見る。

竜二の前では、子どもらしい屈託ない明るさを演じる登。

そして、物語の結末は・・・おぉ~そう来たか!?というかんじ。
読み終えてみると、この表題は、凄い!巧い!

 
 
ウキペディアで調べたら・・・これ日米英合作で映画化されているんですね!
ちょっと見てみたいなぁ~。

海が見える景色が、どんな風に映像では写っているのかな?
ラストシーンも気になるし・・・。
小説では舞台は横浜の港町でした。
日本の景色でも十分美しいものは出来たと思うのだけど、俳優陣を見ると
外国が舞台でしょうね。


                            ★★★★
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