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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年7月

「直木賞の時に帰ってきます」

あの日、この場所で交わした約束があった。
渾身の感動長編、堂々の完結。

辻村深月が本当に書きたかった物語!

昭和46年、新館への建て替えを経た東京會舘。
緊張で肩を震わす舞台女優、東日本大震災の日、直木賞授賞を知らされた青年......
優しさと慈しみに満ちた物語は、ついに終章(フィナーレ)へ

                  (毎日新聞出版HPより)



上巻も良かったけれど、下巻がまたいい!
どの話も感動した!

<第6章 金環のお祝い  昭和51年(1976年)1月18日>
今年金婚式を迎えるはずだった夫は他界して2年。
建築士だった夫に初めて東京會舘に食事に連れて来て貰い緊張しながら
フルコースの仏蘭西料理を味わった思い出もある。
久しぶりに訪れ、新しくなった東京會舘内を見て廻るうち、旧館にあったものに
再び出会え、夫の姿も見える気がした。


<第7章 星と虎の夕べ  昭和52年(1977年)12月24日>
毎年恒例の越路吹雪のショーのある日。
営業事務所に配置換えになり2年目だが未だに接客に慣れない志塚(21歳)。
上司に頼まれ越路吹雪のマネージャー・岩谷時子を探して来るように言われる。
越路が「虎をかいてもらわなきゃ困る」と言っているという。


<第8章 あの日の一夜に寄せて  平成23年(2011年)3月11日>
久しぶりの友と再会するため東京に。
そして大きな地震に遭遇。地下鉄もJRも不通になり行き場に困る。
クッキングスクールで自分たちが最初に会った東京會舘ならば・・・と
4人で向かい、電車が動くまで居ても良いと快く滞在を許してくれる。
翌朝、電車が動き、それぞれ帰路に。
家では、東京會舘のクッキングスクールのシニアクラスに通う夫がカレーを
作って待っていてくれた。


<第9章 煉瓦の壁を背に  平成24年(2012年)7月17日>
5回目の正直で直木賞受賞した作家の小椋真護。
受賞が決まったら東京會舘。
その東京會舘に初めて行ったのは中学生のとき。
単身赴任中の父親が群馬に住む母と自分を食事に誘ってくれた。
高校合格のとき、大学入学前にも。
そして大学入学前の食事で進路のことで大ゲンカになり以来、疎遠に。


<第10章 また会う春まで   平成27年(2015年)1月31日>
大正11年創業にして93年目で2度目の建て替えが決まった東京會舘は
平成30年の春までの3年間休業する。
その最後の日、最後の結婚披露宴が行われる。


歴史ある東京會舘の物語。
そこで多くの物語が実際、生まれてきたんだなぁ~。

どの話に登場する従業員の心遣いが温かくて、接客のお手本というかんじ。
上巻で出て来た人が再び年を経て下巻で登場するのも嬉しかった。
皆が幸せになれる話は、読んでいて楽しかった!

まだ一度も行ったことがない場所ですが、いつか行ってみたいな~。


                        ★★★★★
 
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発行年月:2016年7月


 ここは夢が生まれる場所。

華やかなる"社交の殿堂"。
大正、昭和、平成という時代を情熱的に生きた人々を、鮮やかな筆致で描き出す。
直木賞作家が贈る、一つの建物の〈記憶〉をたどる長編小説。


大正11年、丸の内に落成した国際社交場・東京會舘。
海外ヴァイオリニストのコンサート、灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出すバーテンダー......。
変わりゆく時代の中、"會舘の人々"が織り成すドラマが読者の心に灯をともす。

                 (毎日新聞社HPより



上巻は5章からなる。
大正11年の創業から、東京オリンピック開催の昭和39年までの物語。
章ごとに東京會舘に関わって来た人たちが主人公になる。

先の話で出て来た人が、後の章で、ベテラン従業員になっている様子を
知れたりするのも楽しかった♪

<第1章 クライスラーの演奏会 大正12年(1923年)5月4日>
金沢から久しぶりに上京した寺井承平。
作家になる夢を持つ続けつづけている。
東京会館で開催されるクライスラーの演奏会チケットを東京在住の友が送って
くれた。
演奏会に感動し、折角なら東京会館に寄ってから帰ろうと向かい、偶然
演奏会終わりのクライスラーもそこに!


<第2章 最後のお客様   昭和15年(1940年)11月30日>
東京会館に創業時からボーイとして勤めて来たが、辞めることに。
これからは、政府のもとで管理されるという。
第1章でも登場のボーイ。


<第3章 灯火管制の下で  昭和19年(1944年)5月20日。>
今は政府の管理下に置かれる旧東京会館で結婚披露宴を行う
第1章で登場の青年は作家として成功している


<第4章 グッドモーニングフィズ  昭和24年(1949年)4月17日
バーテンダー見習いの枡野。
戦後、再び東京会館は政府から戻されたが、
アメリカ人高級将校のための宿舎とクラブにするということで
アメリカン・クラブ・オブ・トーキョーに
その後更に、ユニオン・クラブ・オブ・トーキョーとも呼ばれる。
そして、昭和27年にはGHQによる接収解放で再び日本人の元に。
名前はそのまま東京会館から東京会舘に。


<第5章 しあわせな味の記憶 昭和39年(1964年)12月20日>
東京会舘の初代製菓部部長を務めてきた勝目。
退職し、久しぶりに東京会舘を訪れ、チーフバーテンダーになった枡野に会う。
懐かしい話をし、帰るとき、お土産の製菓を購入しようとしている夫婦の
会話に思わず加わる。



時代背景を描きながら東京の歴史も感じながらの物語。
最後の話が好き。
東京會舘のクッキー、今度お土産で誰か買って来てくれないかな?

東京に縁がないものでも楽しめるのだから、東京會舘を知っている人なら
もっと楽しめる物語でしょう。

下巻も読むのが楽しみ!


                         ★★★★






発行年月:2015年10月

色恋をめぐる狂気は、その女たちを少しずつ蝕み、少しずつ壊していった……。ある女は大阪に引っ越してまで愛人を追いかけ、またある女は親友の婚約者を欲しがる。職人の夫の浮気を疑った妻は夫の作る提灯に火を仕込み、OLは見る間に垢抜けた同僚への嫉妬に狂う……。サスペンス・ミステリーの名手による短編を、単行本未収録作品を加えて精選したベスト・オブ・ベスト第一弾!

                 (新潮文庫HPより)



乃南さんの短編傑作集が3冊出ているのを知り、先ずは1冊目を読んでみた。
恐ろしい、女の恨み、嫉妬のオンパレード。
どれも結末が最悪で、事件だ!

最初の<くらわんか」からビビった!
疎遠になったキャバクラの客を追いかけて来ての復讐劇。
そのやり方が恐ろしい。

次の<祝辞>も。
親友だと思って居た女友だちが披露宴の場でまさかの花嫁の暴露話。


ほかの話も全て女性の話。
表題作<最後の花束>は一番最後の話。
先ずは16歳~17歳の家で少年と少女が夜の世界で働いていて、知り合い
仲良くなった後、悪い先輩によって事件が起きる。
その後、話が変わって、お花屋さんを営む女性の結婚式が近いという話になり・・・

全く別の話かと思ったら、先の話のその後の話で、当時の少女が復讐に及ぶ話。

ああ、嫌な話ばっかりで恐ろしい。

唯一、<はなの便り>は、微笑ましかった。
この流れだったので、途中まで、どんな展開になるのやら?とドキドキして
いましたが、ああ良かった♪


短編なので1つの話がサクサク読めていい。
2冊目、3冊目も読んでみよう♪


                         ★★★
 

発行年月;2016年7月

薔薇の咲き誇る家で優しい夫と暮らす咲季子。
平穏な毎日が続くはずだった。あの日、年下の男と出会うまでは。
めくるめく恋は世界を一変させ、夫からの酷いモラハラに気づいた咲季子は
自由を求め踏み出すが……。      

                    (集英社HPより)



裕福な家庭に育ち、両親から譲られた広い土地を洋風にして夫と二人で
暮らしている咲季子。
庭で薔薇を育てるのが趣味で、その薔薇を使ったフラワーアレンジメントの
教室を開く。
自身のブログが出版社から写真集として出版された。
夫の通彦もグラフィックデザイナーとして写真を撮るなど協力してくれた。

しかし、夫は事ある毎に咲季子を見下した発言をし、何かの拍子にそれが
増大し、咲季子は自分をダメな人間と思ってしまう。


そんなとき、写真集の2冊目の話が出版社から来て、そこで出会った堂本。
堂本の強引さに抗えず、どんどん深みにはまる咲季子。


そして最後は・・・・最悪な結末。

ああ、咲季子って女性はなんて男運がない!
夫も最低だけど、不倫相手も最悪な男で、こんな二人と関係ないところで
だったら、幸せに暮らせた人なのに・・・・

両親から貰った土地と不動産があれば経済的にも独りで十分なんだから
別れるという勇気を持てば良かったのに・・・・。
愚か過ぎる。
でも常々、夫の道彦からモラハラ受けていたら、自分は一人じゃなにも
出来ないダメな人間って思わされてしまっていたのかな?

自分が咲季子の立場だったら・・・・と考えるとちょっと恐ろしい。


話としては後味悪いけど、一気読みでした。


                          ★★★



発行年月:2011年7月


 自分を中学一年生だと思い込む祖母。父と別居中の母。
入学早々失敗した私。
三人の人生のつまずきに、祖母のある言葉が絡み合い、
切なく悲しい過去がよみがえる??。
感動長編ミステリー。

                  (幻冬舎HPより)


ほしおさん、前回読んだ「活版印刷三日月堂」が凄く好きなかんじだったので
こちらの過去作品も読んでみました。
やはり、いいですね。
文章がすらすら読めます。

主人公は中学受験を経て、祖母の母校でもあるミッション系の
望桜学園に進学した都築夏草。
入学後、なんとなく周りの雰囲気に馴染めず、あることを機に陰湿な
いじめに遭ってしまう。

入学前には、3.11があったり、両親が別居中とか、問題があれこれ絡んできます。
けれど・・・どれも自然の流れのなかのことで、唯一、自分を理解してくれる
友だち戸倉千波の存在もあって絶望感からは脱出する。

そして、大きな出来事・・・・祖母が倒れて入院。意識不明からは脱するけれど
記憶が混乱して自分を中学1年生と思いこむ。
そんな祖母を温かく見守る夏草と母の木の実。
3人の関係が素敵でした。

祖母がどうして中学1年生の記憶を強く残しているのか?
その疑問から夏草は祖母の過去を調べていき、初めて知った祖母の過去。

この辺りの謎解きには、切ないものがありました。
祖母・夕子さんの手紙は長かったけど、じ~んとしました。

そして、夕子さんは息を引き取りますが、その前に一時意識が戻り
学圓時代の相馬先生と面会出来て、本当に良かった。

別居中の夏草の両親もお互いの良きところを再び見つめ直す機会ができ、
明るい未来が見えそうな結末が物語を気持ちよく読み終えることに繋がった。


いいですね、ほしおさん!
他の未読作品もどんどん読みたいと思います。


                        ★★★★★

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