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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年9月


 泣いて笑って、誰だって人生の主人公。

賭け将棋で暮らす、破天荒で非常識な父ちゃんと姉ちゃん。
ご立派な母ちゃんの元に残された、まったく普通の僕。
おかしな家族の四十年の歩みが愛(いと)おしい、感動の家族小説!

「僕は……普通の高校生をしているよ」
「普通の高校生か」父ちゃんは面白そうな表情を浮かべる。
「そりゃあいいなぁ。普通の高校生かぁ。憧(あこが)れちゃうなぁ」

僕が小学六年生の春、両親が離婚した。家を出たギャンブル好きの父ちゃんは、将棋の天才の姉ちゃんに賭け将棋をやらせて暮らしている。
父ちゃんが「ご立派」と呼ぶ母ちゃんの元に残された「普通」の僕は、非常識で破天荒で、将棋以外何もできないくせに、楽しそうに生きる二人を軽蔑(けいべつ)しながらも、どこか羨(うらや)ましい──

読む人の心を激しくゆさぶる、おかしな家族の四十年。

                     (祥伝社HPより)



変な家族だな~。
父親が働かずにギャンブル好きという典型的なダメ夫。
看護師の母親はしっかり者らしいけど、そもそもなんでこんな男と
結婚したのか???
ま、人柄は悪くなさそうだけどね~


そんな家族の40年間の物語。

家族の長男・守は、父親と姉が暮らす場所に時々、訪ねていく。
2人の暮らしぶりを見守るかんじ。

父親は最後までダメダメ。
でもなぜか、憎めない。
姉のりか子は、将棋が子どもの頃から強かったけれどプロにまではなれず
妊娠して、相手の男と結婚したまでは良かったけど、長続きせず・・・
生まれた子ども・純の将来がちょっと心配だな~。


最後は、ちょっと、しんみり。
なんだか温かい。

だけどやっぱり、純のその後がきになる・・・・。


表題から、主人公の長男・守が将棋で活躍するのかと思ったけど
家族の中の金が守ということかな?


                          ★★★
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発行年月:2018年5月

武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが……。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉と出会い、名を訪ねられた久斎は“無暁”と名乗り、ともに江戸に向かう――波瀾万丈の人生の始まりだった。

                   (光文社HPより)




垂水行之助・・・久斉の名で寺で修行するが辛い出来きごとがあり寺を飛び出し

知り合った同い年の万吉と共に江戸に向かう。
九斉は以後の自分の名を無暁と決める。

やくざの若頭・乙蔵と知り合い、成り行き上、やくざ稼業に身を置くが
敵対する組の者に襲われた際、自分をかばった万吉が命を落とす。
一家総出で相手側に攻め入り、相手側の親分など8人を殺す。
無暁も2人を殺めた罪で島送りの刑となり八丈島へ。



常に寄り添ってくれる者が現れるのが唯一の救いだけど
自ら苦しい道に進んでいく無暁の姿が痛々しい。

飢饉が人々を襲う描写が生々しく、実に残酷で飢えと闘う辛さが
精神も壊し人が獣に化して行く様が恐ろしかった。

そんな様子を見た無暁は更に自分を追い込んでいく。
千年行も成し遂げ、人々の尊敬を受けるまでになったのに
そこで留まらない姿勢には、驚いた。


最期を見届けてくれた弟子が2人いたのがせめてもの救い。


凄い生き方だな。
静かに手を合わせたくなるようなお話でした。

先に読んだ<銀杏手ならい>に次いで、こちらも素晴らしい!!
この著者の他の書をこれからも少しずつ読んで行こう!


                        ★★★★★





発行年月:2018年4月

「人は三千円の使いかたで、人生が決まるよ」結婚、子育て、入院、離婚、老後……御厨家の女性たちが直面する人生の節目やピンチ。前向きに乗り越えるためには、どう貯めて、どう使う? 一生懸命生きるあなたのための「節約」家族小説

                    (中央公論新社HPより)



これは勉強になりました。
お金のこともっと詳しくなりたいと思いました!


御厨家の女性たちのそれぞれのお金の話。

73歳の御厨琴子さんがステキ。
ご主人が先に亡くなり預金は1千万円あるけれど、この先、介護が必要になったり
したら・・・とあれこれ考え年金生活だけでは不安と働こうと決める。

1千万円あれば安心じゃないの?
なんて思ったけれど、琴子さんの考えは堅実でいい。
若い頃は銀座のデパートで働いていたということで、和菓子屋さんの店先に立つ
ことになるけど、適任!


琴子さんの孫・美帆は、恋人・翔平に大学時代の奨学金の返済金が550万あると
知り、オロオロ。
これから2人で新生活を始めたいのに、これは大きな問題。
でも、これには、良い解決策!
ナイス!
なるほど・・・・琴子さんが金利1%で貸す
金融機関に預けてもこんな金利はないからね~。
翔平にとってもローンで返す利子より割安だからありがたい!

美帆の姉・真帆は、消防士の夫と娘の3人家族。
真帆は元証券会社勤務でお金のことには詳しい。
が・・安定した職業でも夫の給料は安く、自分の知識をフル活用して
節約生活に励んでいる。
とっても尊敬しちゃう。


そして真帆と美帆の母親・智子。
歳は55歳かな?
自分とほぼ同じなので、イチイチ、うんうんとうなずきながら読む。
子宮がんの手術をして、その後の治療が必要だったら・・・・と
あれこれ悩むけれど結果、手術で癌は除去出来、その後の治療も必要なしと
わかりホッとする。
本当に良かった!

他にも琴子さんの知り合い小森安生(40歳)の話も面白かった。


最後は、まあまあ皆、幸せそうで良かった!


                         ★★★★★



発行年月:2018年9月


 もうほとんど何もかも終えてしまったんじゃないかと僕は思う。間違っていたらごめんなさい。

僕は「こうもり」と呼ばれ、崖っぷちの家にひとりで暮らしながら、石炭を選り分ける仕事をしている。高級な石炭である〈貴婦人〉を見つけ出す天才だった祖父が亡くなり、家と仕事を引き継いだのだ。机と電話機しか置いていない〈でぶのパン屋〉の固いパンを、毎日食べるようになったある日、公園のベンチで居合わせた体格のいい男のひとに英語で話しかけられた。が、意味はさっぱり理解できない。長い話の最後に、彼はひと言「おるもすと」と云った。

世田谷文学館開館20周年記念企画として限定販売され完売した幻の作品に、書き下ろしエッセイを加えた特別版!

                     (講談社HPより)




吉田さんの魅力が詰まった1冊でした!


物語と共にその物語がこの世に出て来るまでの経緯。
吉田さんと同年なので、特に子ども時代の話になると共感する部分も
多く、懐かしい感情がワ~ッと蘇る。
駄菓子の数々・・・全部、覚えてます!


本を読んで「?」
一番最初にあった、凄く短いお話に気づく。
なんだか得した気分だった!


物語の主人公・僕の淡々とした日常生活の描写がステキ。
祖父が亡くなり一人で崖の上に住み、崖下の墓地をみて
墓のひとつひとつは、しるしだと言う。
なるほどね・・・・。

死んだらお墓なんか要らないって思っていたけれど・・・これ読んだら
しるしを残しておくのも悪くないかも?と考え方が少し変わった。


また読み返したくなる1冊。



                        ★★★★★

  
  
  
  発行年月:2018年4月
  
  
  人間の愚かさ、残酷さ、哀しみ、業――これぞ江戸怪談の最高峰!
江戸は神田の筋違御門先にある袋物屋の三島屋で、風変わりな百物語を続けるおちか。塩断ちが元凶で行き逢 江戸は神田の筋違御門先にある袋物屋の三島屋で、風変わりな百物語を続けるおちか。 塩断ちが元凶で行き逢い神を呼び込んでしまい、家族が次々と不幸に見舞われる「開けずの間」。 亡者を起こすという“もんも声”を持った女中が、大名家のもの言わぬ姫の付き人になってその理由を突き止める「だんまり姫」。屋敷の奥に封じられた面の監視役として雇われた女中の告白「面の家」。百両という破格で写本を請け負った男の数奇な運命が語られる表題作に、三島屋の長男・伊一郎が幼い頃に遭遇した椿事「金目の猫」を加えた選りぬき珠玉の全五篇。人の弱さ苦しさに寄り添い、心の澱を浄め流す極上の物語、シリーズ第一期完結篇!

              

もくじ

第一話 開けずの間
第二話 だんまり姫
第三話 面の家
第四話 あやかし草紙
第五話 金目の猫

                   (角川書店HPより)





三島屋シリーズ。

聞き手のおちかに加えて三島屋の次男・富次郎が登場。
おちかにとっては従兄弟。

最初の話<開けずの間>は、行き逢い神を招き入れてしまったことによって
次々起きる不幸に翻弄される三好屋の物語。
語るのは、当時まだ子どもだった三好屋の平吉。

行き逢い神は恐ろしいと最初は思ったけれど、結局は人間の身勝手さが
一番恐ろしい。

読んでいて次々起きる不幸には気が滅入った。


他の話は、一話ほどの怖さはなくて楽しみながら読めた。

お話としては二話の<だんまり姫>が好きかな?
あやかしを呼び寄せる声を持つ、おせいの語り。

大黒家の姫・加代姫(7歳)のおまる係として奉公することになった、おせい。
姫はしゃべらないので、だんまり姫と呼ばれていた。
何故、喋らない?喋れない?
おせいは、10歳で亡くなった一国様と会話し、お城に憑りつかれて
外に行けない一国様を解放してあげる。
あやかしの力を借りながら・・・

最後は姫様の声も戻り、めでたしめでたし。


<面の家>もちょっと不気味。
面が逃げないように見張る仕事を任された、お種の語り。

第四話<あやかし草紙>では、貸本屋を営む瓢箪古堂の若旦那・勘一が
登場。
おちかと良い関係になって、あれよあれよと言う間に夫婦になる顛末。
ちょっとこの急展開には驚いたけど、おちかが幸せそうで良かった

富次郎が聞いた物語を絵にして、それをまとめて<あやかし草紙>と名付けることに。


最後の<金目の猫>は、富次郎とその兄・伊一郎の子ども時代の話。
仔猫を見つけ家に連れ帰るが飼うことは許されず、油屋の娘・お久の元で
飼って貰い、そこを度々訪れる富次郎。猫の名前は、まゆと付ける。
まゆは、富次郎の家に以前いた縫い子の生霊だった。

生霊ってちょっと怖い響きだけれど。これは少し温かい気持ちになれて
良い話だった。


この後、三島屋の百物語は、富次郎が引き継ぐみたい。
新しい百物語もまた楽しみに待ちたい。



                         ★★★★★


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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