「ひとは男女である前に人間だ」。
インタ-セックス(男女どちらでもない性器官をもっていること)
の人々の魂の叫び。
高度医療の聖地のような病院を舞台に、医療の錯誤と人間の尊厳を問う。
(集英社HPより)
以前読んだ「エンブリオ」の続編という作品。
今回の主人公は34歳の女性医師・秋野翔子。
翔子が、「エンブリオ」での主人公・岸川医師が経営し、自身が院長を務めるサンビ-チ病院に転勤することから物語が始まっていく。
「エンブリオ」のときにもいろいろな専門知識を学び勉強になりました。
そのなかでの岸川には、医師として優れた才能を持ってはいるが、独りよがりな行動は好きじゃないなぁ~の感想を持っていたので、この作品の中では、意外と良い医師の顔が描かれていて、「え?この人こういう人だったの?」と先ずは少々、戸惑いました。
でも、後半部分で「エンブリオ」の中で起こした岸川の罪の部分に翔子が気づいたあたりから、またまたエゴむき出しのような面が出てきて・・・・。
でも、最後の最後に、自己中心的な面を自身も自覚していて、後悔していたのかな?なんて思えて、岸川のした事は許せない事だけど、その心理のようなものが少し理解出来たかな?というかんじでした。
罪を犯さず、成功することは出来なかったのか!?残念で仕方ない結幕ではあり、少しやり切れない思いが残りましたが・・・・。
一方、翔子は優等生過ぎるくらいのよく出来た医師。
まだ若い彼女がそこまで「インタ-セックス」の患者のために自分の人生を全て賭けたような行動をするのが最初から不思議でしたが、これも最後の方で、納得しました。
物語の中に性器の名前やらセックスという言葉も頻繁に出てきますが、厳粛な印象だけが残るのは、この著者の文章が清潔なかんじだからでしょうか?
まるで医学書を読んでいるかのようですが、その説明は分かり易く、医学知識がない者でも自然と理解できる内容でした。
わたしは、元看護師なのでインタ-セックスは学生の頃「半陰陽」ということで講義を受けました。
スライドで実際の画像を見たときのショックは今でも鮮烈に覚えています。
世間ではあまり知られていない特別な人たちの様ですが、実際には、結構な割合で生まれているという事もその時、まだ若かったわたしは、将来、自分の子どもがそうだったら?などと心配もしたりしました。
この物語の中でも、発現率は100人に1.5人の割合とか。
想像より多い発現率には驚きでした。
この書の至るところで、これは医師でもある著者自身の考え方かな?という部分がありました。
人を「男」と「女」の二つの性で区別するだけでいいのか?
第三の性もあって良いではないか?
第三の性を排除してしまおうとする社会規範(戸籍や常識)を改める方向にいっても良いのでは?
などなど。
なるほどなぁ~わたしもそう思う!という部分が多かった。
こういう小説を通して、一人一人の認識が変わっていったらいいな。
帚木さんの小説を読んでいると、何か熱いものがこみ上げてきます。
きっと医師としても、素晴らしい方ではないかな?と想像します。
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