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発行年月:2024年1月


その女は愛する男を殺し、陰部を切り取り逃亡した──
脚本家の吉弥は、少年時代に昭和の猟奇殺人として知られる「阿部定事件」に遭遇。
以来、ゆえあって定の関係者を探し出し、証言を集め続けてきた。
定の幼なじみ、初恋の人、初めての男、芸妓屋に売った女衒、更生を促した学校長、被害者の妻、そして、事件から30年が経ち、小料理屋の女将となっていた阿部定自身……。
それぞれの証言が交錯する果てに、定の胸に宿る“真実”が溢れだす。
性愛の極致を、人間の業を、圧倒的な筆力で描き出す比類なき評伝小説。
作家デビュー30周年記念大作!

                (集英社HPより)



事件の背景にあるものが、よくわかる小説で猟奇的事件には違いはないけれど
阿部定という人が、どんな人なのかが少し分かったような気がする。


物語は、事件の被害者・石田吉蔵の妾の子・波多野吉弥(42歳)が
30年前の事件の真相を知ろうと、関係者に取材した記録を元に進む。

吉弥は、事件の起きる数日前、偶然にも母親と一緒にいて、定と吉蔵が
一緒に居るのを目撃している。
吉弥と定は、目が合い左目が義眼だということを覚えていて再会したときに
すぐに吉弥のことを思い出す。


阿部定は、結構、裕福な家庭の子だったというのに驚いた。
身体を売るような芸奴をしていたと知っていたので貧しい家庭で育ち
売られたのか?と思っていた。
が・・・・結構、性悪で親が半分、捨てるような仕打ちをしていた?
それも酷い話だけど・・・・


殺した吉蔵とは、吉蔵が婿養子の形で働いていた料亭「吉田屋」に定が
女中として働き始め知り合い、それから事件が起きるまで約3か月というのも
驚き。
そんな短時間で、深い仲になって、あんなことになるとは・・・・。

吉弥の取材を受けるという形で、事件前から事件後のことを淡々と語る定。
その話は、凄い濃厚。
信じられないのは途中で宿賃などを工面するため、お互いがお金を借りに行っている
こと。
定は、嘘をつき自分のことを大事に思ってくれている人から金を借り
吉蔵は、吉田屋に戻り妻から・・・

吉蔵を殺すことになって経緯も詳細に語る定。

理解できないけれど、二人の間では、自然な流れだったのかなぁ~?
吉蔵も定を恨んではいないような気がする。


逮捕された写真で微笑んでいるのは、何故か、前から気になっていた。
周りの警察関係者らしき人たちのにこやかな表情で、こんな事件で逮捕した
容疑者を囲んでいるのに・・・・


恩赦があり5年で刑期を終え、出所後は、普通に生活(結婚もして)いたのは
またまた驚き。
事件のことが取り上げられ本になったりで夫に阿部定だとばれて離縁することに
なったらしいけれど。

阿部定の没年は不明らしい。
けれど、この物語のように、命日には吉蔵のことを偲び墓参りし
静かに生活していたのかな?


阿部定事件の深いところを知れて、なかなか面白かった。



                      ★★★★★

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