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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年3月


 人が生きてきた時間を封じ込める――それが、肖像彫刻。芸術の道を諦めて、八ヶ岳山麓で職人彫刻家として再出発した正道。しかし彼の作品には、文字通り魂が宿ってしまうのだった。亡き両親、高名な学者、最愛の恋人……周囲の思惑そっちのけで、銅像たちが語り始めたホンネとは。人間の愚かさと愛しさが胸に迫る人生賛歌。

                     (新潮社HPより)




今までの作風とちょっと違って、ユーモアありちょっとオカルトっぽさもありの
温かい物語だった。

妻と幼い息子と別れ、姉の口利きで山梨県の農村に移り住む。
お金がなくても住むところと時々、お惣菜や食べ物を持って来てくれる
大家家族に助けられる正道。

作品制作しながら、美大時代の仲間・富沢の鋳造書でバイトしながら作品づくりも
手伝って貰えるという好都合の環境。


そして始めた肖像彫刻。
HPで宣伝し、依頼客が来る。
その話が短編連作の形で綴られている。

正道が造った肖像彫刻には、不思議なことが起きる。
まるで生きて居るかのように、会話したり、動いたり・・・。

7つの話のなかでも5話の<最高峰>が傑作だった!
著名な教育者で『日本の智の最高峰』と言われた父親の像を
造ってほしいと依頼したのは娘。


父親は殺されたのだと怒る娘。
殺した相手は、父が介護者として家に入れて親しくしていた女だという。
戸籍にはいつのまにか妻とあり・・・


名誉があって財産があっても、やはり一番、欲しいのは自分を大切に
想ってくれる人の存在なんだなぁ~。
後妻女は、それを誰より満たしてあげた存在だったんだなぁ~。


最後の<寿老人>では、元妻の依頼を受ける正道。
これがキッカケでまた新たなつながりが出来るのもいいかもね~。


どの話も面白くて、さすが篠田さん!というかんじ。



                       ★★★★★
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