智子はパニック障害の治療に専念するため仕事を辞めることにした。一緒に暮らす哲ちゃんと共に都心から離れて始めた新生活。細かな不安を抱えながらも、何気なく過ごしていく日常が、智子をやさしく癒してくれる。そんなつましい生活を続けるうちに、薬を手放せなかった日々がだんだんと遠いものへとなっていく-----。
ひたむきで一生懸命な「疲れた心」に響く一作。
(光文社HPより)
グラフィックデザイナ-として活躍していた智子ですが、いろいろな重圧から神経を病んでしまった様子は気の毒。
どういう風にという具体的なそこに至る経緯はないけれど、責任ある仕事をするって大変だろうなぁ~。
一緒に暮らす哲ちゃん。
家事が得意だからと家で主夫している様子は、なんとも微笑ましい。
でも哲ちゃんにもいろいろあって、こういう形に落ち着いていたんですね~。
智子と哲ちゃんの関係は理想的。
相手を優しく包みこむオ-ラ同士で助け合っているかんじ。
東京から田舎に引っ越した暮らしのなかで、新たに築いていく人間関係もよかった。
智子のお姉さんの気遣いにはジ~ンときました。
辛いことがあっても、そばに癒してくれる人の存在があれば、乗り越えて
希望を持って前に進んでいけるんだよね。
静かで温かい物語でした。
★★★★
十五年前のキャンプに参加した二十七歳の男女五人が、
キャンプ主催者の遺言執行者に集められ、
莫大な遺産の相続者がこの中にいると告げられる……。
人間の記憶の暗部に迫る群像ミステリー!
(幻冬舎HPより)
物語が始まる前にある短い話のなかに出てくる、夫婦と周りからは認識されているけど、それにしては他人行儀過ぎる男女。
その男女は誰と誰なのか?
始まる物語のなかに出てくるんだろうな・・・。
と思いながら読みました。
小学6年生のとき、参加したサマ-キャンプの当時の主催者の遺言で、そのとき参加した5人の男女の誰かにに遺産分与したいのだが、その誰かを知るために、それぞれが当時の事を振り返り文章にしたものを用意して欲しいと。
なんだか胡散臭い話だなぁ~と思いましたが、莫大な遺産が自分の物になるかも?と思い各自が作文のようなものを書く。
なかには、面倒臭がって放棄するような人もいましたが。。。
そして、そんな作文のようなものを書かせた本当の意味が段々明かされる。
なんだか辛い話でした。
そして、冒頭の夫婦のようだけど、他人行儀の二人もわかりますが・・・・
二人を結びつけることになった過去のあれこれは、びっくり。
それぞれの気持ちに、共感出来るものは全くないし、二人が一緒にいて安らげるという意味もよくわからないなぁ~。
そして、ここに出てくる若者たちの話す言葉が、なんだか地元の方言に似てるけど
なんだか田舎っぽくてイヤだな・・・・と思ったら、やはり浜松でした。
でも、ちょっとこの方言は、違う気がする。
こんな話し方をする若者は、わたしの周りには居ない^^;
妙にこの話しことばが気になって、こんなクセのある方言で書く必要なかったんじゃないかな?
ま、でも、物語としては、結構、楽しめました。
次回作に期待します。
まさか30歳にもなって、こんなにもわかりやすく恋愛体質になってしまうとは。

もうやめよう、こんな人。もう絶対にやめよう。そう固く心に誓うのは、一体これで何度目なのか----。小説家のミサの部屋は、誰が呼んだか「S町のネバーランド」。いつしか部屋には年下の隆文が居着いちゃって……。決めてくれない彼と、心配性の私。ふざけているのが好き、堅苦しいのは嫌い。そんな二人の終わらない恋の物語。
(新潮社HPより)
表紙の絵と表題から、児童書かな?と思ったら・・・大人の恋愛小説でした^^;
サキの3つ年下の彼・隆文には、自分のほかにも彼女がいる。
いい加減、どちらかに決めて欲しいと思って、自分と別れてくれというのなら、それも受け入れるから、はっきりして欲しいというのに、「サキは何も心配いらないよ~」と軽くかわされ続ける。
わたしは、そういう関係も面白いなぁ~と読みましたが、読む人によっては、イライラするかも(笑)。
サキの友達やら、仕事関係の男性たちにもダメな彼の噂は広がっていて、女友達たちは「早く別れれば?」と言われる。
当然のアドバイスなんだけど、サキは隆文の事が好きなんだろうなぁ~。
別れられないでいるのだから・・・・。
彼にとって常に居心地の良い空間を作ってあげちゃう。
相手の思う壺!
最初は、隆文のことを、都合よく女のところを交互に訪ねて来て、嫌な奴だな。
と思っていたけど、本人には、その自覚はないみたい。
もう一人の女性とは、どんな付き合いをしているのか、わからず仕舞いなんだけど、サキと二人でいる時は、すごく寛いでいて、二人の会話もほのぼの。
でも、やっぱりどちらか選びなさいよ!!と思いながら読み続け・・・・
他人から見てたら、この途中経過も楽しいけど、自分の彼が、こんな感じだったら悩むだろうな。
サキも悩んでいたからね~。
でも最後は、ホッと出来る結末だったので、めでたしめでたし。
ささやかでいい。叶ってさえくれれば--------
可愛い妹が欲しい、元恋人と復縁したい、部下と不倫をしてみたい、とにかく誰かと話したい……。
芥川賞作家が掬い取る、街にあふれたいくつもの小さな願いごと。静かだけれど切実な、9つの物語。
1.「あと1つのお願いは何にしよう」不倫がバレて会社を辞めたOL……【願い】
2.「可愛い妹が欲しい」妄想がちの大学生……【妹思い】
3.「大坪さんと寝てみたい」管理職のサラリーマン……【ノーチャンス】
4.「熊になるのは、嫌」母の恋人が気に喰わない小学生女子……【つるとくま】
5.「ちゃんとしたお墓が欲しい」3人の息子を持つ老紳士……【散骨と密葬】
6.「いつかホームランを打ったら」元カノと復縁したい男……【ファウルボール】
7.「友達が泣くところは、みたくない」友情睦まじいアラフォー女たち……【たくさんの荷物】
8.「1週間、電話がかからなかったら、もう死のう」引きこもりのライター……【七日間】
9.「知子はお願い玉を手に入れた」夢が叶う緑色の玉を大切に持つ少女……【お願い玉】
(講談社HPより)
お願い事に関する9つのお話。
どの話も楽しみながら読みました(^^)
願いが叶う人あり、叶わなくてもめげずに前を向いて進む人ありで、読後は爽やかなお話なので、ひとつを読み終えると、さて、次はどんなお願い事の話かなぁ~?なんて思いながら読みました。
「つるとくま」の小学6年生の美々加が「熊になるのはいや」は最初?でしたが・・・
あ~そういう意味ね・・・・^^;とわかって
そういう苗字の人、実際にいるのかなぁ~?なんて思ってしまった。
都留くんは・・・・芸能人にいなかったっけ?
久しぶりの読んだ、この著者の本。
今度は長編で何か読みたいな。
過去の作品でも探そうかな。
あなたの恋人はほんとうに「理想の人」ですか?
高校卒業と同時に上京した佐川夏実は、アーティスト・デビューの夢を追いながら、吉祥寺でストリートライブをしていた。彼女が歌う『不在証明』という曲は、おぼろげな記憶の中にいる「彼」のことを歌っていた。それは「彼」との写真もあるが、「彼」が誰なのか夏実にはまったく思い出せないという彼女の不思議な体験を歌ったものだった。一方、吉祥寺の私立大学に通う伊神雄輝は、自ら主宰する学生サークルで、世間に流布する数多の“都市伝説”の謎を追っていた。現在のもっぱらの話題は、「イレイザーヘッド」という謎の人物によって人々の記憶が突然消されるというものだったが、あるとき雄輝の携帯に奇妙なソフトが届く。それを使えば、誰でも「理想の人物」を生み出すことができるという触れ込みで。この都市伝説は単なる噂なのか、それとも……。書店員さんからも大反響。新作発表ごとに新たな顔を見せる実力派作家・平山瑞穂が、壮大な愛と存在証明の物語に取り組む。著者渾身の最長編にして新たなる代表作が誕生!
(小学館HPより)マザ-っていう表題から勝手にヒュ-マンドラマかと思ってました^^;
最初は、結構明るいかんじで、プロのミュ-ジシャンを目指して地方から上京して、ストリ-トライブなどをしながら頑張っていく女の子のサクセススト-リ-が軸かと・・・。
でも、違うんですね~。
主人公・夏実には、ちょっと気にかかっている事があるのです。
夢で見る見知らぬ男性と自分。男性は自分の恋人の様子。
でも覚えがない。
そして、ある日、実際にその男性と二人で撮った写真が自分の部屋から見つかる。
やはり、記憶がない。家族や知人に見せても「知らない人」と言われる。
段々、SFっぽい話になって行きます。
そして、結構それはスケ-ルが大きい話になっていって・・・・
登場人物もどんどん増えていくし、話もすごく入り組むのだけど、
わかりやすいのでちゃんと付いていけました(^^)
大学生の伊神の真実を知った後の苦悩の様子がこちらにも伝わって切なかった。
彼の決断も。
ラストも切なく哀しい。
けれど、読後感は悪くない。
うん、面白かった!!
今まで読んで来た平山さんの作品とは大きく異なる作品だけど、こういうのも好き!
文章はやはり巧い!
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;