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読んだ本の感想あれこれ。
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41AKwe5YbjL__SX230_.jpg     発行年月:2011年10月

    人気作家が挑む、3.11以後の物語

3月11日以前と以後で、世界は一変した。この圧倒的な現実を前にして、小説に何ができるのか。『亡国のイージス』の人気作家・福井晴敏氏が、はじめて「現実」に挑んだ『週刊ポスト』連載作品である。
 東京に住む平穏な家族を、あの震災が襲った。エコ担当社員の主人公・野田圭介は、3.11以後、元防衛庁職員の父の不穏な様子や、ネットにはまる中学生の息子の心境の変化に戸惑い、翻弄されていく。大震災と原発事故に見舞われたこの国で、彼は家族の危機を乗り越えることができるのか。


                                         (小学館HPより)


物語は2011年の3.11を体験した、東京に住む野田家の物語。
震災当時の様子は、リアルで、幸いにして大して被害のなかった我が地域とはまた違う恐怖の瞬間だったのだとわかる。

野田家は、会社員の野田圭介、妻・美希。
圭介の父・輝夫、長男・弘人、長女・千里。

震災後、高校生の弘人の様子が前と違ってくる。
何かふさぎ込んでいる様子で、パソコンに向かうことに夢中。

祖父・輝夫の発案で、5月の連休に被災地に一家でボランティアに向かう。
家が残っているために避難所に来ないで家で暮らしている人の手助けをして欲しいと現地で言われ、家々を訪ね、一人の老婆が暮らす家の掃除・片付けをすることになる。
弘人が黙々と作業をし、被災地に来て良かったと思う両親と祖父だったが・・・・
一段落し、休みも終わるので帰ろうと言う時に「ここに残っていい?」と言う弘人。

一旦は帰ってまた来ればいいと説得し帰ったけれど、ボランティアシンドロ-ムに陥ってしまう。
そして、そんな鬱積した思いがある事件を起こしてしまう。

どうやって弘人の気持ちを救えばいいのか?
悩む大人たち。

そんな悩みに上手く対処する術もなく、間違った行動だけを批判するPTA。


父親である圭介は、そして決断する。
子どもたちの前で今、話しておかなければならないことを話そうと。

その話は、著者が伝えたいことに繋がっている。
結構、長い演説。
そんなこと出来るのかな?と思うこともある。

原発反対派がいて、推進派もいる現在。
いつまた日本の何処かに大きな地震がくるかわからないのに、今回のような原発被害が起きたら日本は滅亡してしまうという危惧。
原発がなくなったら日本の経済が立ち行かなくなるという懸念。
う~ん、どうしたらいいのか?
原発のリスクを背負いながら、少しずつでもほかのエネルギ-供給の方法に変えていくのか?


これから先、何十年か経ったとき
原発がなくても経済が潤っている日本があったらいいな・・・。


自分たちは老いるばかりだけど、子ども達が、そんな未来を作ってくれると信じたい。

この物語を読んで、いろいろなことを考えました。
これは、未来を作る若者たちに多く読んで欲しい書だと思う。



 

★★★★★  

 
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51vxNYRgXSL__SX230_.jpg   発行年月:2011年11月


   ここは、永遠に卒業できない、終わらない学園――。



誰も疑問に思わない学校というシステムにふと違和感を覚えたその日から、思いもよらない陰謀に巻き込まれ、壮絶な逃走劇を繰り広げる、暴力と愛、性と孤独、死と希望に満ちた、平山瑞穂ダークサイドの到達点。

                           (角川書店HPより)



舞台は中学校。
しかし、異質な世界の中学校というかんじ。

主人公の僕は、30代男性。
2年1組に所属している。

学校の教師には、自分より年下もいる。
生徒の年齢もバラバラ。
そんななか同じクラスの一人の女子生徒・岸谷涼子に憧れる。
彼女は自分の半分くらいの年。

冒頭から登場の「コンフィ」の存在から怪しい。
政府が不適豪奢向けに設置した簡易な宿泊設備ということらしいけど・・・。

物語は、最初からずっとダ-クな世界。
暴力あり、乱れた性関係あり・・・・・で読み進めるたび嫌な気持ちになっていき、リタイアしようか?と何度か思った(笑)。
でも、読み続けていくとその世界観に慣れて、僕はこの先、卒業出来るのか?と気になる。

教師の香坂月子と関係を持ち、彼女から刺激をいろいろ受ける。
そして、卒業準備委員会からの接触があり、事態は急展開。
卒業するためには、どうすればいいのか?議論の末、決行される大量殺人計画。

で、最後は結局・・・・・。
これがよくわからない。

ま、たぶん、僕は抜け出せたということだろうけど・・・。

以前、読んだ「ラス・マンチャス通信」ととてもよく似た雰囲気だった。
後で調べたら、著者自身もそう言っていたけど(笑)。

よくわからないけど、まあ、なんとか頑張って読み切ってよかった。


                                           ★★★
41LQSBMFSIL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年8月


書道教室で生まれた、長い長い片想いの行方
小学生の頃から通う書道教室の先生に、長い片想いをしている佳奈。けれど先生には奥さんがいて……。春から夏へと移りゆく季節のなかで、ひとりの少女の成長を繊細に紡ぎだす長編青春小説。


                      (集英社HPより)



書道教室の先生に片思いの佳奈の気持ちが、とても純粋で、応援したくなるけれど。。。
継野先生には奥さんがいて、その奥さんも素敵で、どうにもならない辛い恋。

ま、この年頃の少女にはありがちな片思いですね~。

でも書道教室のなかで、二人きり、書によって告白し、その返事を貰い、またそれを見て自分の気持ちを込めた書を渡し・・・の場面は、とても高尚な告白の方法!
継野先生が冷静にそれに応じる姿にも好感が持てました。

ここでどうにかなったらどうしよう??なんて読みながらドキドキしちゃったけど・・・^^;

書道教室に途中から少し通ってきた津田くんも良い子だったなぁ~。
津田くんと佳奈の恋は?と期待したけど、こちらもうまくいかず。。。
相思相愛には、なかなかならないものですね。
それがまた良いのだけど。。。。

継野先生と書道家として有名になった塚本翔平の関係がもう少し、深く知りたかったな。

佳奈の妹・沙英の存在もなかなか良かった。

もう少し、主人公以外の人物の背景も深く知りたいと思うくらい登場人物たちがみな、魅力的。
そしてみんなすごく純粋なかんじがして、清らかな青春小説を読ませてもらったというかんじ。

橋本さんの書く物語は、やはりとても優しく美しい。

★★★
 
 
73e1e7ba.jpg発行年月:2006年7月


智子はパニック障害の治療に専念するため仕事を辞めることにした。一緒に暮らす哲ちゃんと共に都心から離れて始めた新生活。細かな不安を抱えながらも、何気なく過ごしていく日常が、智子をやさしく癒してくれる。そんなつましい生活を続けるうちに、薬を手放せなかった日々がだんだんと遠いものへとなっていく-----。
ひたむきで一生懸命な「疲れた心」に響く一作。

                        (光文社HPより)


グラフィックデザイナ-として活躍していた智子ですが、いろいろな重圧から神経を病んでしまった様子は気の毒。
どういう風にという具体的なそこに至る経緯はないけれど、責任ある仕事をするって大変だろうなぁ~。

一緒に暮らす哲ちゃん。
家事が得意だからと家で主夫している様子は、なんとも微笑ましい。
でも哲ちゃんにもいろいろあって、こういう形に落ち着いていたんですね~。

智子と哲ちゃんの関係は理想的。
相手を優しく包みこむオ-ラ同士で助け合っているかんじ。

東京から田舎に引っ越した暮らしのなかで、新たに築いていく人間関係もよかった。
智子のお姉さんの気遣いにはジ~ンときました。


辛いことがあっても、そばに癒してくれる人の存在があれば、乗り越えて
希望を持って前に進んでいけるんだよね。


静かで温かい物語でした。


★★★★


 
d912b753.jpg    発行年月:2010年11月


    十五年前のキャンプに参加した二十七歳の男女五人が、
    キャンプ主催者の遺言執行者に集められ、
    莫大な遺産の相続者がこの中にいると告げられる……。
    
     人間の記憶の暗部に迫る群像ミステリー!

    
                                (幻冬舎HPより)


物語が始まる前にある短い話のなかに出てくる、夫婦と周りからは認識されているけど、それにしては他人行儀過ぎる男女。
その男女は誰と誰なのか?
始まる物語のなかに出てくるんだろうな・・・。
と思いながら読みました。

小学6年生のとき、参加したサマ-キャンプの当時の主催者の遺言で、そのとき参加した5人の男女の誰かにに遺産分与したいのだが、その誰かを知るために、それぞれが当時の事を振り返り文章にしたものを用意して欲しいと。

なんだか胡散臭い話だなぁ~と思いましたが、莫大な遺産が自分の物になるかも?と思い各自が作文のようなものを書く。
なかには、面倒臭がって放棄するような人もいましたが。。。

そして、そんな作文のようなものを書かせた本当の意味が段々明かされる。


なんだか辛い話でした。

そして、冒頭の夫婦のようだけど、他人行儀の二人もわかりますが・・・・
二人を結びつけることになった過去のあれこれは、びっくり。
それぞれの気持ちに、共感出来るものは全くないし、二人が一緒にいて安らげるという意味もよくわからないなぁ~。


そして、ここに出てくる若者たちの話す言葉が、なんだか地元の方言に似てるけど
なんだか田舎っぽくてイヤだな・・・・と思ったら、やはり浜松でした。

でも、ちょっとこの方言は、違う気がする。
こんな話し方をする若者は、わたしの周りには居ない^^;

妙にこの話しことばが気になって、こんなクセのある方言で書く必要なかったんじゃないかな?

ま、でも、物語としては、結構、楽しめました。
次回作に期待します。

★★★
 
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