現世を享楽的に生きる主人公が自動車事故に遭い、病院に運び込まれる。重度の火傷に絶望し、死を決意した男だったが、そこに中世ドイツで彼と恋人どうしだったと称する女が現れる。彼女、マリア-ネ・エンゲルは男の快復に力を貸しながら、日ごと夜ごとに語る。異なる、異なる国に生まれ変わっては繰り返される男と女の壮絶な愛の物語を---------。
(本の表紙裏の解説文より)
図書館の外国文学の棚を見ながら歩いていて、赤い表紙のこれが目に留まりました。
手に取り、表紙を開くと(ここの図書館の蔵書は帯文が表紙裏に貼ってあります)、アンジェラ・アキさん絶賛の文字。
後ろには、特別寄稿文として彼女の話が載っていて、立ち読みして、「是非、読まなきゃ!!」と思いました。
著者のアンドリュ-とは、アンジェラがシンガ-ソングライタ-としてデビュ-する前からの友達で、お互いがメジャ-になるときが来たら・・・・という当時はまだ夢物語でしかなかった話が書かれていました。
この本は既に27ヶ国語に訳されているそうで、二人の夢物語は、夢でなくなったことを意味するでしょう。
肝心の本ですが、最初から最後まで飽きませんでした。
重症の火傷を追い、かつては美しい男らしい容姿を誇示していた男性(名前はずっと出てこなかったような・・・^^;)が退院したら24時間以内に死のう。それを心の支えに生きている。
彼の病室に同じ病院の精神科病棟に入退院を繰り返す女性・マリア-ネが訪れるようになる。
彼女は、彫刻家。
石の中に居るガ-ゴイルたちを見つけそれを掘り出すのが仕事と。
マリア-ネは、あなたも彫刻を昔はやっていたと話し、自分たちが知り合ったのは、ずっと昔(700年ほど前)の事なのだと告げる。
そして、いろいろな時代、いろいろな国での男と女の哀しく美しい話を聞かせる。
その話のどれもが良かった。
ドイツ、イタリア、イギリス、アイスランド。
日本の話「ガラス吹きの僧侶」もあって、日本で愛し合う二人、セイとヘイサクの話は印象的。
哀しいけど、美しい。
人をそこまで純粋思い続ける女性の強さ、優しさには感動した。
日本人の心みたいのをよく表現してるなぁ~と感心したら、プロフィ-ルに5年間日本で暮らした経験があるとか。
なるほど・・・。
マリア-ネと男は、二人が退院した後は一緒に暮らし、ハッピ-エンド?と思うとそう単純ではなく、そのラストまでは、また過去に遡った話が絡んできて、なかなか予想がつかない展開で、二人はどうなる??の気持ちを最後まで引っ張ってくれました。
そして、ラストは・・・・・・。
う~哀しいけど、納得!
これがデビュ-作だというから、また傑作を書いてくれるかな?
期待して待とうと思う、海外の作家さんにまた一人出会えた幸運に感謝したくなりました!
なかなか格好いいです。
1969年カナダ生まれ。
安土龍・・・アンドリュウ
アハハ・・・なんだか可愛い。
茶目っ気たっぷりなかんじで、いいなぁ~。
同じでしょうか??
ちなみにこちらは、パリ ノ-トルダム寺院のだそうです。
中世ヨ-ロッパの建物には、魔よけ的な意味でこういうガ-ゴイルが結構付いているんですね。ちょっと不気味だけど、愛嬌もあるかんじ。
横道に結構、逸れましたが、読み応え十分の物語でした。
543ペ-ジと長いですが、読み始めたら結構、スラスラ読み終えました。
★★★★
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1953年夏、アメリカ・ニュ-ジャ-ジ-州。
11歳のペニ-は幼くして父を亡くし、母とその両親である祖父母との3人暮らしをしていた。亡くなった父方の親戚も近くに住んでおり、そちらの賑やかな親戚とも交流するペニ-だが、母親や祖父母は父方の親戚とは、わだかまりがある。
第二次世界大戦後のアメリカのあまり知られていない史実が織り込まれたお話で、いろいろと勉強になりました。
ペニ-は本名ではなく亡くなった父が、ビング・クロスビ-ファンの歌「ペニ-・フロム・ヘブン」が大好きだったので、ペニ-と幼いときから周りにも呼ばれている。
ペニ-が一緒に暮らす母方の祖父母は、アメリカ国籍だが、亡くなったペニ-の父は両親とまだ幼い時にイタリアから移民してきた人たちだった。
アメリカ人の母とイタリア人の父。
亡くなった父の弟・ドミニク叔父さんは、元野球選手で父より先にアメリカ国籍を取得していた。
ペニ-は、父親の事を知りたいと「何で死んだの?」と聞くのですが、その質問は何故か皆の哀しみを呼ぶ様子で、「病気だよ」という者あり「事故だよ」という者ありで一貫性がなく、父親の死の真相を知りたいと一層強く思うようになる。
そして、ある偶然から、真相を知るペニ-。
ショックを受けながらも、それを受け入れる。
大人たちより、この辺は立派だったかも。
そこには、アメリカの知られざる史実があるのです。
イタリア系移民に対し「敵性外国人」というレッテルで多くの者がスパイ容疑を掛けられ、収容所送りになったそうです。
そんな事に巻き込まれてしまったペニ-の父親。
気の毒としか言いようがなく辛かった。
こんな背景があり、お互いの親戚関係に溝が出来てしまっていたのですが、最後は少しずつ歩み寄りを見せた形でよかった。
ペニ-の存在が大きかったのかな?
これも図書館の児童書コ-ナ-で見つけましたが、なかなか良いお話でした。
大人が読んだほうが理解出来るお話でしょう。
★★★★
小学6年生のグレッグはお金が大好きな少年。
レオネ-ドを売ったり、近所の雑用を引き受けたり・・・・。
しかし仲の悪い幼なじみの女の子・モ-ラがグレッグのお金もうけの方法を 真似し始めたから、大変!
どうするグレッグ!?
面白そうな表題とこのイラストに惹かれ図書館の児童書コ-ナ-から借りてきました。
日本の子どもはやらないけど、アメリカでは、子どもがレモネ-ドを売ったり、他所の家のお手伝いを引き受けてお金を貰うことは、珍しくないのかな?
お金もうけに奔走する少年・グレッグは、とうとう、学校のなかでの商売を考え出します。
ここまでやると、ちょっと心配で・・・。
案の定、先生に注意されちゃうのです。
グレッグの母親も「子どもらしくお金よりものびのび遊ぶことで時間を費やしてほしい」と思っているようでしたが、わたしも同感。
ちょっと、こういう子、好きじゃないかも・・・・・なんて事も正直、思ってしまいました。
でも、止めないグレッグ。
これなら注意されなかな?という次の手段に出るのです。懲りないこの根性はスゴイ!
グレッグのお金もうけは、仲の悪い幼なじみのモ-ラが真似をするという邪魔が入るのですが、ここからが面白い展開になってゆきます。
最初は、真似されたということで喧嘩になるのですが、最終的に協力してお金もうけをするようになっちゃう。
で、それを応援する先生も現れます。
校長先生や教育委員会にも理解を示して貰う方法を考えてくれたりして。
この辺は、日本の学校ではまず、ありえないことでしょうけど・・・・。
そしてある条件を出して許可されます。
その条件を満たすことで、グレッグは単なるお金もうけの楽しさ以上の喜びを見つけたラストはホッとしました。
★★★
どうしてぼくたちが天国に行けないか知ってる?
引っ越してきた古い家に待ち受けていたものは・・・・
ファンタジ-の名手がおくる哀しい愛の物語
(理論社HPより)
次女が読みたいと借りて読み「おもしろかったよ」というので、わたしも読みました。
児童書は、最近、次女のお薦めを読むのが殆どかな?
物語は、父親を亡くしたばかりの少年・ジャックが母親と共に、古い家に引っ越してくるところから始まります。
その様子をみて「子どもがいる!男の子だ!一緒に遊べるかな?」などと話している4人(アン14歳、オリバ-12歳、チャ-リ-8歳、グウィネス7歳)の子ども達。
その様子は可愛らしく、ジャックと子どもたちの楽しい話かな?なんて最初は思いました。
しかし4人の子ども達は既に亡くなっていて、この古い家に長い子は60年以上も閉じ込められているのです。
ある者によって、魂を奪われたことにより天国にいけないでいる子たち。
そして、ある者の存在に怯えて暮らしている。
ジャックは、家に入った時から、なんとなく誰かの気配を感じます。
やがて、ジャックは幽霊たちと接し、幽霊たちの過去の出来事も知るようになります。
幽霊たちが恐れている者も登場するのですが、その者が、なぜ子どもの幽霊たちを脅かす存在になったのか?の真相は哀しかった。
ジャックは、幽霊たちの魂を助けるためにはどうしたら良いか考え自らも危険な目に遭いながら、立ち向かう様子は、感動しました。
母親が子どもを想う気持ちが、歪んだ形で他のものを犠牲にしていたのかな?
最後の最後までドキドキしましたが、ラストはホッと出来る終わり方で大満足。
これは、児童書ですが、大人が読んだ方がより深く理解出来そう。
とても良い物語でした。
★★★★
小さな森のなかを抜けて、学校がない日、おじさんの家に行くのがエドガ-の決まりみたいなもの。
「変わりもの」と言われるおじさんだけど、エドガ-にはおじさんの話、そして住んでいる家、その周辺も興味深いものであった。
今日もエドガ-はおじさんの家を訪れ、暖炉の左右に分かれて座り不思議でちょっと怖いお話を聞く。
図書館の児童書コ-ナ-で、なんとなく表題に惹かれて手に取り、この絵にも魅力を感じました。
本を借りるときは、装丁も大事な要素!
絵は画家のデイヴィッド・ロバ-ツによるもの。数々の絵本を発表しているイラストレ-タ-だそうです。
この独特な絵が、お話の内容をよりファンタジックに仕上げていたと思います。
エドガ-がおじさんの家に行くまで様子やおじさんの家(そうとう大きなお屋敷の様子)もなんとなく不思議な雰囲気。
おじさんの家には、まだ顔をみたことにない使用人・フランツがいるのですが、その存在も少し怪しげ。
そんな雰囲気を最初から感じながら、おじさんのお話が始まります。
お話は10こ。
どれも少しだけ怖い。
恐怖に震えるというほどでは、ないけれど、なんとなく背中がゾゾ~ッとするようなかんじ。
想像力を働かせて楽しむ怖さ。(映像になったら、すごく怖いと思いますから・・・)
おばけが出てくるとかの具体的な事よりもその周りに漂う空気のようなものによる恐怖(?)。
ひとつひとつのお話の前後のおじさんとエドガ-のやりとりもその不思議な空気感を増してたかな?
10のお話の最後は、おじさん自身の体験を語るはなし。
その中で、今までのおはなしのなかに出てきた人物の正体も明かされたりして、それも面白かった。
もう1度、おはなしを読み返したりして・・・。
児童書といえ、なかなか良くできたお話でした!
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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