発行年月:2022年2月
いくら悲しくても話を聞いてくれる家族も友人もいない。
頭をめぐるのは後悔ばかり。
「両親にも亡くなる前にもっと親孝行ができていたら」
「故郷に戻らなければよかった」
こぞって読んだことでも話題の、
(ハーパーコリンズ・ジャパンHPより)
図書館棚の上にお薦めとして置いてあったので読んでみた。
訳が浅倉さんというのも惹かれて・・・
主人公のノーラ(35歳)は、
・恋人のダンとの結婚を式の2日前に自ら取りやめた。
・仕事をクビになる
・バンドメンバーから抜けたことで一緒にやって来た兄との関係も壊れる
・ピアノのレッスンを受け持っている少年・レオのレッスンをすっかり
忘れたため、その母親に批難されレオ自身はピアノをもうやめたいと言っていると
・隣人の老人・パナジーさんから今まで薬を代わりに届けてもらっていたけれど
その必要がなくなったと言われる
そして・・・・可愛がっていた猫が道路脇で亡くなっていると友人の
アッシュ(外科医)が家を訪ねてきて教えてくれる
ノーラにとって、悪いことばかりが、重なり、自分はもう誰にも必要と
されていない。明日など迎えたいと思わないと「死」を考える。
そして、気づくと図書館に。
そこには、高校時代、図書館にいた司書・エルム夫人がいる。
よく一緒にチェスをした。
そしてエルム夫人が、説明する。
生と死の狭間には図書館があり、かつてあなたが違った選択をした人生が
この書架に並べられているのだと。
そして、ノーラは、かつて自分が選ばなかった人生を体験していく
・猫のヴォルテールがずっと家の中で飼われていた人生を
・・・・・けれど、ヴォルテールは家のなかで死んでいる。
・友人のイジーに誘われたのに一緒に行かなかったオーストラリアに
自分も行っていた人生を・・・しかし、そこでイジーは事故死。
ほかにも沢山の違った選択を生きるのだけど。。。。。
結局、どんな選択をしても後悔することにはなる。
エルム夫人が言う
人生を理解する必要なんてない。ただ生きればいいだけ
自分が今、生きている環境のなかで生き続けることが大事ということか?
なかなか、深い話。
でも、最後は、死にたいと言っていたノーラが、わたしは、まだ生きたい!と
強く思えるようになって、良かった。
浅倉さんの訳は、やはり読みやすかった♪
★★★★
発行年月:2022年1月
「なぜわたしは死ぬことになっているの?」終末期病棟の礼拝堂で、17歳のレニーは神父を詰問して困らせる。好奇心旺盛で何事にも前向きの少女は老人向けアート教室に入り、83歳のマーゴと計画する。1年に1枚ずつ、2人の人生を100枚の絵に描くのよ――。デビュー作にして世界中で大絶賛を浴び、映画化も決定した心温まる物語。
(新潮クレストブックスHPより)
ターミナルケア病棟に入院しているレニーは17歳。
同じように余命短い83歳のマーゴとアートの教室で知り合い
二人合わせて100歳だから100枚の絵を描こうと決める。
目標がある毎日は、輝いている。
物語は、二人のこれまでのことを織り交ぜながら進む。
83歳のマーゴは長く生きた分、多くの物語を語る。
最初の結婚で男の子を出産したけれど、すぐに亡くなってしまい
その後、離婚。
48歳で2度目の結婚。
ご主人はアルツハイマーになり、最期はマーゴのこともわからなくなって
しまう。
67歳で再び一人に。
レニーは、14歳で特に好きでもない男の子とキスをする。
病院に来たホームレスの男性がスエーデン人だというのでレニーが通訳。
男性は、生きることに無気力になっていたけれど、レニーが生きていれば
自分で・・・・できるんじゃない?と。
男性はやがて亡くなるけれど、レニーと話せて、きっと生きようと
思ったはず。
色々な大人に刺激を与えた素敵な17歳の女の子だった。
ターミナルケアにいる人たちを飛行機に例えて、自分ももうすぐ旅立つんだと
哀しくなりがちな話もユーモアを交えて語る姿が、切ない。
もっと行きたかっただろうな。
でも哀しくなり過ぎず、生きいるうちは、毎日を楽しまなきゃいけないなと
思わされた。
★★★★
発行年月:2007年3月
17世紀、エディンバラの寒村に暮らしていた遠い祖先。やがて19世紀前半、一家三代でカナダへ。語り部と物書きの血が脈々と流れるマンロー一族の来し方を、三世紀に亙る物語として辿りなおす。実直な父、世故に長けた母、階級の違う婚家、新しい夫との穏やかな暮らし……人生のすべてが凝縮されたような自伝的短篇集。
(新潮社HPより)
ノーベル文学賞受賞の作家さん。
以前、他の作品をよんだような・・・・
スコットランドから、長い航海をしながら、カナダに移住する一族。
こんな昔の一族の生活を細かく描写しているのが、凄い。
ちゃんと記録に残していた者が何人かいたのが幸い。
書くことが好きな人がいたのは、著者の一族らしい。
短篇なので、ひとつひとつ話は切れる。
それでも、登場人物がだぶっていたりで、ちゃんと繋がっているお話なんだと
わかる。
生き生きとした日常の話から、次の話では、彼らのお墓があったりして
こうして命は引き継がれていくんだな・・・としみじみしたり・・・。
後半は、著者自身の子どもの頃の話などが出て来て読むスピードが上がった。
表題になっている「林檎の木の下で」は、ちょっと甘酸っぱいような思い出?
13歳のわたしの話。
次の「雇われさん」は17歳で、ある家でお手伝いさんのような仕事をしていた
時の話。
ちょっとした妄想をしながら・・・・著者のお茶目なかんじが可愛らしい。
情景の描写がいい。
自然の景色などが目に浮かぶよう。
著者の他の本も読んでみたいな。と思う。
★★★
発行年月:2007年10月
おかえり、ダグラス――。永遠の名作『たんぽぽのお酒』で描かれた、あの夏の日がよみがえる。あたらしい物語は一年後、夏の終わりにはじまる。子どもたちを支配する老人たちとの戦い、時計塔の爆破、はじめての異性への感情……。人生との和解を学びはじめた少年の心の揺らぎをあざやかに描いた、名手ブラッドベリによる少年文学の最高傑作。
(晶文社HPより)
「たんぽぽのお酒」の続編。
36年後に出された続編。
でも、ダグラスはまだ少年のまま14歳。弟のトムは12歳。
やんちゃぶりは、益々・・・^m^
トムも立派な相棒になっていて、兄を助けている。
今回は、老人カルヴィン・C・クォーターメイン(通称・キャル)
とその仲間たちとの対決。
少年たちは、老人たちがかつて子どもだったことがあるとは信じられず
何なら人間でもない、自分たちとは全く異質の敵だという。
そして、キャルのチェスの駒を全て盗む。
老人たちが自分たちを駒を動かして操っているんだという仮定のもと。
それから庁舎の古時計を破壊する。
時計がなければ、自分たちは自由になれるという仮定のもと。
でも、ダグラスのおじいちゃんが、それは違うんじゃないか?と
優しく諭す。はっきり否定するのではなく、自然とダグラスが
「あれ?間違えたかな?大変なことをしちゃったのかも!」と気づくように
持って行くのが凄い。
結果、老人とダグラスは、お互いを敵対心を持たずに近づく。
めでたしめでたしというかんじ。
「たんぽぽのお酒」より、こちらのほうがわかりやすいかな?
いずれにしても、最高な物語。
★★★★★
発行年月:1971年6月
夏の陽ざしの中をそよ風にのって走る12歳の少年ダグラス。その多感な心に刻まれるひと夏の不思議な事件の数々。輝ける少年の日の夢と愛と孤独を描ききった、SF文学の巨匠が贈るファンタジーの永遠の名作。
(晶文社Hより)
夏が始まると読みたくなる。
これ、購入したのは、中学生になったばかり位だったかな~?
本好きな、母の知り合いからのお薦め。
この表紙の本はもう絶版みたい。
挿絵が長信太さんでそれも凄く気に入っている。
主人公は、12歳のダグラス少年。
好奇心旺盛で、やんちゃな男の子。
それでも鋭い、感性の持ち主。
夏の始まりを肌で感じ取り、自分はいま生きているんだ!と実感できる子。
弟のトムは、ダグラスより理性的というか大人っぽい考え方をする子。
ダグラスに振り回されているかんじかな?
舞台は1928年のアメリカのイリノイ州 の小さな町グリーンタウン。
夏が始まる直前、大人たちは収穫したたんぽぽでお酒を仕込む。
グリーンタウンの住人が色々登場するけれど、大人はなぜか高齢者が多い。
物語のなかでダグラスは、そんなお年寄りの死もみる。
大好きな、おおおばあちゃんも亡くなる。
亡くなる前のおおおばあちゃんの話は素敵。
こんな風に皆、穏やかに死を迎えられたらいいな~。
他にも殺人なのか?
ある女性の死も出てくる。
そんな体験を続けてしたダグラスは、感受性が強いためか医者も原因がわからない
という熱を出し意識不明の状態に。
いつもお兄ちゃんに振り回されているトムがオロオロする様子がかわいい。
大嫌いだと思っていたのに・・・・って。
兄弟ってそんな感じだろうな。
グリーンタウンの住人の色々な話がそれぞれ興味深いので
アッと言う間に読んでしまった。
続きの<さよなら僕の夏>も今から読もう♪
やはり、最高な1冊だったな。と今回も思う。
★★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;