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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2025年2月


絵師の一念、憂き世を晴らす。
仏画、絵巻、浮世絵――美に魅了された人々の営みを描いた歴史小説集
六十路を越した老境の絵師・喜平治(宮川一笑)は、肉筆美人画の名手・菱川師宣の曾孫である姉弟と知り合う。絵描きを志す弟の伊平の面倒を見ることになった喜平治は、幼いながらも確かな筋の良さに感嘆するが、折しも町絵師の宮川一門と表絵師の狩野家の間で諍いが起きてしまい……。(表題作「しらゆきの果て」)
鎌倉、戦国、江戸、幕末
時代と歴史を超えて、
人々を狂わせ、神仏さえも惑わせる、
あらゆる「美」の真髄を描く5つの物語


                    (角川書店HPより)




5つのお話、どれも読みごたえがあった。
表題作は、ちょっと絵師の世界の派閥争いみたいなものが激しくて
恐ろしかったなぁ~。


<さくり姫>
絵師の詫間為久は、代々絵師の家の3男。
源頼朝が亡き父・義朝の菩提を弔う寺を建てその後御堂に壁画を描くよう
命じられ長兄の代理で寺へ。
そこで出会ったしゃくり(さくり)をする美しい女性。
それは頼朝の妹・有子だった



<紅牡丹>
9歳の苗は人質として松永久秀の城に。
同じように人質として暮らす3人の男子たちとも打ち解け
何不自由なく暮らすが、そのうちの一人は父親が裏切ったということで処刑。
もう一人は父親が良い働きをしたとして家に帰される。
そして一番年上の藤松は戦へ
東大寺に火か放たれ城は混乱。その隙に逃げることを決意する苗。
苗が大切に育てていた牡丹は苗に優しくしてくれた老僧・勝源が
引き継いで育てると。
老僧から聞いた焼けてしまった巨勢金岡(こせかなおか)という画人が
描いた極楽図の美しさ。


<輝ける絵巻>
左近中将の四辻季賢は歌会で知り合った豪商の宗蓮から
白河院の源氏絵巻を手に入れたというが
それは既に焼けてしまったとされている絵巻?



<しらゆきの果て>
亡き菱川師宣を師としている宮川長春。
長春の弟子・喜平治は師匠がずっと気になっいる師宣の息子のこと。
菱川の家は師宣亡き後、あっという間に落ちぶれ息子は筆を置いてその後は
行方がわからなくなってしまった。
が、ある日、その息子を長春の息子・長亀が見つける。

長春の師に対する想いはすごい。
そしてそんな長春を慕う喜平治もまた師を思い・・・

壮絶な話だった。
この時代の絵師の派閥争いみたいなものは命がけだったのか?




<烏羽玉の眸>
天子さまのご下命により寺を地元の村人たちによって壊されることが決まって
いる内山永久寺。
住職の亮珍は、200名の僧侶を集め、寺男・八太吉に用意させた鹿汁を皆に
振舞い、これを食べて寺から去れという。
そして亮珍は5年前に殺された絵師・岡田式部のことを思い出す。
寺が滅茶苦茶になる前に、その絵師。冷泉為恭の描いた画帖を持ち出してほしいと
八太吉に頼む。



どれも、そのまま長編でじっくり読みたいと思える内容だった。
知らない絵師の名前も出て来る。

一番好きだったのは<紅牡丹>
人質として出て行く娘・苗に母親が持たせた牡丹の苗。
その意味を教えてくれた老僧。
苗が無事に親元に帰り、牡丹の花を勝源が咲かせる未来があってほしい




                      ★★★★





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発行年月:2022年7月


高校生の茜寧は、友達や恋人に囲まれ充実した日々を送っている。しかしそれは、「愛されたい」という感情に縛られ、偽りの自分を演じ続けるという苦しい毎日だった。ある日、茜寧は愛読する小説の登場人物、〈あい〉にそっくりな人と街で出逢い――。 いくつもの人生が交差して響き合う、極上の青春群像劇。


                     (双葉社HPより)



誰からも愛されたいと、本音を隠して、好意を感じて貰える発言や行動をする茜寧。
そして愛読書である「少女のマーチ」のなかに出て来る人物が自分そのものでは
ないかと思い、その物語の主人公<あい>にそっくりなイメージの人を偶然
見つけて思わず声を掛ける。
その人物は<宇川逢>偶然、<あい>と言う名前であることに運命のようなものを
感じてしまう茜寧。
しかし、宇川逢は女性に見える容姿だったけれど、男性だとわかる。

なぜ、声をかけてしまったのかを説明する茜寧。
茜寧のことを変わっている子だなと思う反面、嫌なかんじはなく求められるまま
友達として時々、会う。

宇川逢が、理性のある大人でよかった。
茜寧の頼みに付き合ってあげたり話を聞いてあげたり・・・

けれど、本のなかの<あい>とは違うとわかって絶望したり・・・
なかなか厄介な子。

他にも女性バンドグループに所属している後藤樹里亜。
宇川逢の働くライブハウスで歌うこともあり、顔なじみ。
樹里亜も本当の自分を隠しファンが求めるカッコいい女の子を演じている。


こんな風に悩んでいると生きづらいだろうな・・・・。

茜寧は宇川逢に出会えてラッキーだった。
救われているんだと思うから。



登場人物たちの心理描写が細かくて、なかなか読むのに時間がかかった。

住野よるって作家は、なかなか独特な世界観を持っているな。




                         ★★★



発行年月:2024年7月


【全冊著者直筆サイン入り!】
延暦19年。駿河国司の家人・鷹取は、軍馬を養う官牧で己の境遇を嘆く日々を送っている。ある日、近くの市に出かけていた鷹取は、富士ノ御山から黒煙が噴き上がるのを目撃し、降り注ぐ焼灰にまみれて意識を失う。一方、近隣の郷人や遊女などの避難民を受け入れた牧は、混沌とする。灰に埋もれた郷では盗難騒ぎが起こり、不安、怒り、絶望がはびこるなか、京から坂上田村麻呂による蝦夷征討のための武具作りを命じられる。地方の不遇に歯噛みする鷹取は――
平安時代、富士山延暦噴火。大災害に遭った人々の苦悩と奮闘の日々を描く、歴史パニック長編。


                     (光文社HPより)



著者のサインには感動・・・・全冊直筆って凄い!


登場人物が次々と出て来るので、慣れるまでちょっと難儀した。
でも、それぞれのキャラクターが魅力的で、起きていることは大災難なんだけど
そこにいて、奔走する人たちがただ恐れ慄くだけではなく
凄く生き生きしていた。

そこは、やがて軍馬として活躍する馬を育てている地だったため、
自分たちの命よりまず、馬を守るために色々な知恵を出し避難させる場所を
決めたり、実際に移動させたりと必死。


主人公の鷹取(30歳)は、生まれは貧しい賤民。
京都から主に従って駿河の地へ。
着いた早々、馬を一頭、逃がしてしまい、新たな馬を貰い受けて来いと
岡野牧へと出向く。
そこで、遭遇した富士ノ御山の噴火騒ぎ。
そのままその岡野牧にとどまる。

そこで、出会う人たちとも次第に親しくなっていく。
身分の低いことにずっと引け目を感じていた鷹取だったが、ここではそれを
次第に感じなくなる。


噴火したあとの暮らしも大変だけど、皆、黙々とやるべきことをやっている。
そして再びの噴火。

時代は坂上田村麻呂が東北を制覇する頃。
東北の地のリーダー・阿弖流為は(アテルイ)囚われの身として
田村麻呂と共に岡野牧へ
寄る。
その時、二人の関係討伐した側の大将とそれに敗れた者という
だけではないのでは?と感じる鷹取が田村麻呂に自身の疑問を問う場面が
いい。
そして、かつては自分と似た身分だった小黒が出世して田村麻呂に仕えて
いたんじゃないか?と思えるところも。


災厄に逃げ惑う人の物語だと辛いだけだけど、そんな中でも逞しく生きている
人たちの物語は、読んでいて心地よかった。



                       ★★★★★



発行年月:2024年2月


藤原道長の栄華を転覆させようと都を暗躍する盗賊たち。道長邸で働く女房・小紅は、盗賊の首魁が死んだはずの兄との噂を知り探索を始める。その過程で権力を巡る暗闘とそれに翻弄される者たちの恨みを知った小紅は、やがて王朝を脅かす秘密へと辿り着き――紫式部、和泉式部も巻き込んで咲き誇る平安ロマン、艶やかに開幕。

                 (新潮社HPより)



面白かった!!
大河ドラマの影響もあり、すんなり話が頭に入って来たのもよかった!

時もちょうど、今の大河ドラマとおなじ。
紫式部が物語を書き始めた頃で、道長邸(土御門第)で働く小紅も
新しい物語を読むのを楽しみにしている。

時は、道長の時代だけれど、そんな道長を憎む者もして
その盗賊の首魁が小紅の兄・保輔だという。
その兄・保輔は捕らえられ獄中、自害したと聞くが
小紅の記憶の兄は無骨ながらも優しい兄だった。
そして再び、賊が土御門第に侵入する。

小紅は、兄・保輔と賊の関係を知りたいと一人、模索する。

小紅の兄は3人いて、保輔は3男。
長男は闇討ちで殺害されており、次男の保昌は、道長に仕えている。


賊と対面して兄の生前のことを聞くが、その賊たちもやがて何者かに惨殺される。
賊の仲間で一人生き延びた少女・御以子は、兄のことを父親だと言っていた。
その謎ときもなかなか興味深いものだった。

保輔と道長の妻・倫子との関係は、なんだか胸キュンものだったし
ドラマにしても十分、面白そうな物語だった!



                      ★★★★★




発行年月:2022年2月

現役受験生作家がリアルに紡ぐ受験生の青春
 舞台は、とある地方都市。高校3年生となり、受験生の水咲。
 ある朝、町中の尊敬を集める「先生一家」の門前にパトカーが何台も集まり大ニュースに。そこは昔から憧れの的だった、現在通う高校の生物教師の家でもある。水咲といつも一緒の幼なじみ・聖二と愛海も心配で駆けつけるが、手錠をかけられ警察に連行されて出てきたのはなんと憧れの生物教師だった!
 その先生は幼い頃から水咲にとって特別な存在。先生をひたすら信じたい一心から水咲はまた別の事件にも巻き込まれてしまい……。
 著者が現役受験生として受験勉強と並行して描いた、地方都市在住受験生の青春を描いた初恋小説。読後爽快、リアルな青春を鮮やかに描く。

                   (小学館HPより)



花実シリーズ以外の作品ということですね。

最初からビックリ!
幼い頃から憧れて慕って来た祐太お兄ちゃん(高校教師23歳)が
自宅で逮捕。

水咲や幼馴染の愛海、聖二と共にショックを受ける。
特に水咲は幼いときから祐太と一緒に過ごした思い出が多く、何かの
間違いでは?と思い続けている。

そんな水咲の健気さ、一途に祐太を思う気持ちがなんとも辛い。


教師の家庭に育ち、幼い時から優秀で、スポーツも出来き、性格も容姿もよく
非の打ちどころがない生き方をしてきた青年が下着泥棒で逮捕されるって、
何が彼をそうさせたのか?
そちらが凄く気になったのだけど、その辺については語られず
逮捕後にストレスがそうされたようなことを言っているとあったのみ。

順風満帆で周囲からも高く評価されて、挫折を一切知らない彼が
高校教師になり、初めて何か試練にぶつかったんだろうな。
なんだか、やりきれない話。
この先の祐太の生き方が心配。

そして、そんな祐太を想い続ける水咲のことも凄く心配。


幼馴染(愛海と聖二)と、文芸部後輩の山田たちの会話は
テンポよく面白かったけれど・・・。
お話としては、あまり好きじゃないな・・・。



ただただ、明るい青春小説を書いてくれないかな?

                      ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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