忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6



発行年月:2021年1月


皆が読みたい小説を書いてほしいんです!
「こんなに美しい富士山と海を、どんな文章でお書きになるのか、読んでみとうございます」
鏡子の言葉は、金之助の胸の奥を揺り動かした。
英語教師として松山で子規と過ごした金之助は、次に赴任した熊本では鏡子を迎えて新婚生活が始まる。
英国に留学している間に子規は亡くなり、帰国すると帝国大学の教師に。高浜虚子から子規ゆかりの句誌
「ホトトギス」に小説を書いてほしいと頼まれ、初めて書いた小説「吾輩は猫である」が大評判に。
やがて東京朝日新聞の社員として連載した数々の小説で国民作家となり、後進の文学者たちにも多大な影響を与える。
処女作「吾輩は猫である」がいきなり評判となり、「坊っちゃん」で国民作家に。
『機関車先生』『いねむり先生』に続く「先生」シリーズ第三弾!


                       (講談社HPより)



小説家になるまでに、色々な体験をしているんだなぁ~とこの小説を読んで知った。

英語教師としてあちこちに赴任し、イギリス留学(2年)へ。
その間に、子規が亡くなってしまうけれど、亡くなった後も、子規のことを
思う場面が多く、それだけ大切な存在なんだとわかる。

子どもも結構、たくさん。
体が弱そうな奥さんだったけれど、どんどん強くなっていく様子で頼もしい。
神経質な漱石には、いいかんじなおおらかさの妻・鏡子の存在は救い。

時代は日露戦争の頃。
戦争が落ち着いたあと、満州~韓国へも友人(中村是公)と訪れている。

けれど、持病の胃痛が悪化し帰国後に入院。胃潰瘍の診断。
朝日新聞に籍を置き、小説家として暮らすようになってから、新作をどんどん発表
し続ける。
根を詰めすぎる真面目さが病気にはなかったか?
50歳を前に亡くなっている。

亡くなるときも新聞掲載の小説・明暗を書いていてそれは未完のままだそう。


後に文豪と呼ばれる人たちも漱石を慕い、見舞いに訪れたり、亡くなったときには
駆けつけたり。
人徳の大きさを感じた。


漱石の作品は、吾輩は猫であるがデビュー作で有名だけれど、その元になった話も
物語のなかにあった。
何処からともなく家に来る人懐こい猫を可愛がり、一方的に話をし
案外、わかっているのかも・・・・と考えたり。
その猫が亡くなったときは、手厚く葬り、
東京朝日新聞の随筆蘭にも「夏目氏の猫死す」の文が載ったとか。
これは猫好きには嬉しい話だった(^^)


漱石の作品は中学生の頃に読んだくらい。
そんなに読んだ数も多くない。

今から読んでみようかな?

そういえば、これを書いた伊集院氏も亡くなったんだよな・・・
伊集院氏の小説も読みやすくて好きだから、寂しい気持ち。


                      ★★★★★
PR



発行年月:2021年11月


ミチクサが多いほうが、人生は面白い!
てっぺんには裏から登ったって、足を滑らせたっていい。あちこちぶつかったほうが道は拓ける。
夏目家の「恥かきっ子」金之助は生まれてすぐに里子に出されたり、年老いた父親にガラクタ扱いされながらも、道楽者の祖父の影響で子供ながらに寄席や芝居小屋に入り浸る。学校では異例の飛び級で頭角をあらわし、心のおもむくままにミチクサをして学校を転々とするように。その才能に気付いた兄に英語を仕込まれ、東京大学予備門に一番で合格した金之助は、そこで生涯の友となる正岡子規と運命の出逢いを果たす――。
伊集院静がずっと共鳴し、いつか書きたかった夏目“漱石”金之助の青春
「日経新聞」大人気連載、待望の書籍化!


                    (講談社HPより)


夏目漱石の話。
産まれたとき、里子に出されたのは知らなかった。
でも、お兄さんが素晴らしい。
漱石が学問を学び続けるように、常に激励している。

漱石の鼻の頭に、あばたがあるのも知らなかった。
天然痘に罹った際、掻いた跡が残ってしまったのだとか。
端正な顔だけど、そういう傷があったとは・・・
でも、見合いで結婚した妻は、それを何ら気にせず、可愛らしいとも言っていた。
癇癪持ちのお嬢さんという話もあったけれど、案外、お似合いなかんじ。

漱石は最初、建築の方に進もうとしていたが、知り合った友人・米山安三郎から
「文学をやったほうがいいんじゃないか?」みたいな話をされて
英語には自信があった(兄のおかげ)ので英文学の道へ。

そしてこれも米山の紹介で生涯の友とも呼べる正岡子規と出会う。

お互いになんでも語り合える関係のようで、読んでいて楽しい。


漱石は英文科へ、米山と子規は哲学科へ入学するが、子規は国文科へ。
この頃が、一番、二人が密に時間を共有している。

その後、漱石は熊本の英語教師。
そのころ、見合いで結婚し熊本で妻と、妻の家で寄越した女中のとく
新しく雇った若いテルとの生活に。

一方の子規は、喀血し、時々、療養を繰り返すが、区会を開いたりして過ごす。
子規の元には母親と妹の律がついていて、特に律が子規のことをよく看ている。


米山は急性腹膜炎で亡くなってしまう。

漱石の兄二人も亡くなってしまい、兄一人だけになった夏目家に養子先にあった
戸籍を戻す。


下巻では、作家活動に専念する漱石の暮らしぶりが描かれるのかな?
楽しみに読みたいと思う。




                       ★★★★



発行年月:2023年11月


大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中に話しかけてきた女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗は――「違う羽の鳥」
調理師の職を失った恭一は、家に籠もりがち。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣に住む老人からもらったという。翌 日、恭一は得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れると――「特別縁故者」
渦中の人間の有様を描き取った、心震える全6話。


                    (光文社HPより)




直木賞受賞作というので、期待大で読み過ぎたか・・・・。

6つの短編の前半3つの話が、ゾゾッとするもので苦手だったなぁ~
物語としては面白いのかもしれないけれど・・・

後半も同じような感じだったら嫌だな・・と恐る恐る読んだけど
後半は、最初、不穏だったりするが次第に良い方向に向かうものだったので
ホッとした。



<違う羽の鳥>
居酒屋の客引きのバイトをしている優斗(20歳)に声を掛けてきた女性は
中学時代の同級生だった。
が・・・彼女(井上なぎさ)は線路に飛び込んで死んだはず。

なぎさ真偽がよくわからない。
自殺したのは、自分の名前を語って死んでくれた別の子だという。
自分は親の元から逃げ出し自由になりたかった。
こういう虐待もあるのか・・・それは辛かっただろうな。



<ロマンス☆>
デリバリーしているイケメンの男の子に惹かれ、夫と子ども(4歳の女の子)に
内緒で注文し続ける。
けれどなかなか目当ての子が担当にならず・・・
幼稚園が感染で休園になり昼食を注文できない。娘に告げ口されるのは困る。
小児用の睡眠導入剤を娘に飲ませ、眠っている間に注文。

ラストに「え?」。
配達によく来る男の子に気があると勘違いされた挙句、部屋のなかに強引に
入られ抵抗しているうちに殺害しちゃうって・・・恐ろしい。



<憐光>
15年前の豪雨災害の日に、亡くなった唯。
自分の親友と担任教師が一緒にいる場に。
自分が白骨化された姿で見つかったらしい。
そして思い出す、15年前、自分が亡くなった経緯を。

二人によって殺害されたってこと?
憐れ過ぎる・・・(/_;)



後半3編は、まあまあだったかな?
<特別縁故者>
コロナ禍で職を失った恭一(元調理人)。
小学1年の息子が知り合ったおじいさんの家にあがることになり
肩もみをしてあげたらお礼にと1万円を貰ったと。
それは聖徳太子の1万円で息子は「閻魔様の顔が書いてある紙」という認識。
自分もその人に取り入ることを考え、魔法瓶にすまし汁を持っていく。

よこしまな考えから近づいたけれど、結果オーライになってよかった。



<祝福の歌>
達郎の17歳の娘が妊娠した。
相手は同じ高校の同級生で18歳になったら結婚したいと。

マンションで一人暮らしの母親の元へ。
隣室に越して来た夫婦が挨拶にきたとき、もうすぐ赤ちゃんが増えるといっていた
けれど、その後、赤ちゃんが生まれた様子はなく、その奥さんの様子がなんだか
変なのが気になるという。


代理母がウクライナ人・・・凄い話だな。
そして達郎の本当の母親は別にいるという事実にもビックリ。
でも、50過ぎて知る事実なら受け入れるしかないもんな~。
本当のことが知れてよかったんだと思う。



<さざなみドライブ>
ツイッターの「パンデミックに人生を壊された人」として一緒に死ぬ仲間を
募集しているのを見て集まった5人。
それぞれのことを話し、さて今から・・・・と思ったとき、
1台の車のなかで自殺しているのでは?という2人の姿を見つけてしまう。

なんやかんやで、皆がもう少し生きようと思ってよかった。
一人は、それを阻止するために活動していた人だったけれど、一人は
自分は死ぬつもりはなく、そんな最期をみることを目的としている人だった。




パンデミックな世界で色々な罪が描かれた短編集。

でも正直、直木賞に選ばれたことが、不思議。
面白くなくはないけれど・・・・



                     ★★★








発行年月:2023年10月


第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書&NHK「ドラマ10」決定!
第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書
&NHKドラマ10「宙わたる教室」決定!
東京・新宿にある都立高校の定時制。
そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。
負のスパイラルから抜け出せない21歳の岳人。
子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。
起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。
中学を出てすぐ東京で集団就職した70代の長嶺。
「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、
理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、
学会で発表することを目標に、
「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。
『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、
今年一番熱い青春科学小説!
目次
第一章 夜八時の青空教室
第二章 雲と火山のレシピ
第三章 オポチュニティの轍(わだち)
第四章 金の卵の衝突実験
第五章 コンピュータ室の火星
第六章 恐竜少年の仮説
第七章 教室は宇宙をわたる


                   (文藝春秋HPより)



定時制高校に通う人たちが科学部で藤竹先生の元、実験を繰り返す。
科学部のメンバーたちの背景にある環境がなかなか、ハード。
それでも勉強したいという強い気持ちを持っている人たち。


頑張っている人たちが、報われていく過程がよかった。

火星探査車のオポチュニティのことも、凄く愛おしく思えてくる。
かすみの愛読書「火星の人」も読んでみたいな。


作者のあとがきで、これが実話に基づいていることにビックリ!

いつも素敵な物語を届けてくれる作者だな・・・。



                    ★★★★★



発行年月:2013年8月


夏休み最中の八月四日,向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は,取材で市内の穴場スポットである,丸美水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると,B棟の巨大水槽の前で驚愕のシーンを目撃。な,なんとサメが飼育員と思われる男性に喰いついている! 駆けつけた警察が関係者に事情聴取していくと,容疑者は11人にもおよぶことに。しかもそれぞれに強固なアリバイが……。袴田刑事は,仕方なく妹の柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン"が,今度はアリバイ崩しに挑戦。


                     (発行/東京創元社)




地雷グリコが面白かったので、過去本も読んでみた。


青春小説としての部分はすごくいい。
登場人物たちのキャラもいいし、会話も楽しい。

で、今回は新聞部の取材で水族館を訪れたら、そこでいきなりサメのいる
水槽に人が落ちて喰われて死亡する場面に遭遇。
映像なら、凄い場面だな。


で、そこに警察は来るんだけど、容疑者が多く、皆、アリバイがあり捜査は難航。

刑事は妹に連絡して、前にも事件解決に力を貸した高校2年の裏染天馬が
呼ばれる。
前の事件の話を読んでいないけれど、この裏染くんが、事件の真相を淡々と
解明していく。
学校で暮らしているという変わった子だけれど、それには家族背景に何か
ありそう。
その辺は、今回ではわからなかった。



事件の犯人の動機は・・・「ええっ?そんな理由で人を殺しますか?」と
いうものだった。
殺し方も、そんな複雑じゃなくて良かったんじゃない?と思うもので・・・。


ミステリー作家らしいけれど、青春小説として読むなら面白い・・・かな?




                         ★★★
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
2 4 5
6 8 9 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]