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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年2月


東京から深澤が転校してきて、何もかもおかしくなった。
壮多は怪我で「鹿踊り部」のメンバーを外され、幼馴染みの七夏は突然姿を消した。
そんな中、壮多は深澤と先輩の三人で宮沢賢治ゆかりの地を巡る自転車旅に出る。
花巻から早池峰山、種山高原と走り抜け、三陸を回り岩手山、八幡平へ。
僕たちの「答え」はその道の先に見つかるだろうか。
「青」のきらめきを一瞬の夏に描く傑作。

                  (新潮文庫HPより)



花巻農芸高校(架空らしい)地学部の部員たちの話。

先ずは部を立ち上げるところからのスタート。

発起人は、3年生・土木造園科の三井寺修平
東京から転校してきた2年生の深澤北斗
美術部と掛け持ちの2年生・佐倉七夏(なのか)
鹿踊り部を怪我で休部中の2年生・江口壮多
宮沢賢治を研究している1年生の川端文香

顧問は新任で国語教師の芳本。


夏休みに宮沢賢治の
イーハトーブはどこか?をテーマにゆかりの地を巡る調査へ。
参加は諸事情あり、三井寺、深澤、壮多の3名。

結構な距離で時間(2週間?)もかけての調査旅。
出会う大人たちに助けられながら、途中、結構、危ないことにもなりながら・・

深澤が転校してきた理由。
深澤が壮多に語る話は、びっくりする内容だった。
最初は深澤に嫌悪感すら感じていた壮多だったけれど、話を聞いて
旅を一緒にするうちに思いは大きく変わっていって
きっと、この二人は大人になっても友達としてお互いを大切に
思い合うんだろうな・・・・と。

そして七夏と深澤の関係も、気になったけれど(東京から来たのに七夏のことを
知っている様子だった)、そういうことだったのかと納得のわけがあった。


宮沢賢治の作品についてのことなども多く出てきた
「へ~」と思うことが多く、毎度ながら伊与原さんの書くものには
勉強になることが多い。


宮沢賢治の作品もまた読んでみたくなった。


この青ノ果テというタイトルもすごくいい。

今回も素敵なお話でした♪




                     ★★★★★

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発行年月:2024年12月


「いじめ」問題に正面から切り込む、著者渾身の意欲作!
佐久間美保は小学生の息子・晴翔と夫の三人暮らし。ある日、晴翔が小学校のベランダから転落して骨折してしまう事件が発生する。
転落した理由を尋ねるも、晴翔はかたくなに口を閉ざしたまま。
もしかして、わが子はいじめを受けていたのではないか……? そう思った美保は独自に真相を探ろうとするが、自身も小学生時代にあるいじめを「目撃」しており……?
衝撃のラストに震撼する、「いじめ」問題に切り込む意欲作!


                    (角川書店HPより)




小学校5年生の息子が小学校のベランダから転落なんて連絡を貰ったら動揺する

のはわかる。
手術はしたが踵の骨折で入院後、リハビリをすれば日常生活に支障はないくらいに
回復すると言われホッとする。
が・・・誰のせい?
と最初から自分の息子・晴翔

事の真相が段々わかってくると、子どもたち一人一人は、その親にとっては
普通ないい子。
けれど学校という集団生活のなかで、ちょっとしたことが引き金になり
人を恨んだりすることは誰にでもあり得るだろうな。
クラスのなかでリーダー的に皆を誘導していくような存在の子が
ちょっと極端な正義感みたいなものを持っていたため、晴翔は精神的に
追い詰められていったのかな?

晴翔自身にもよくないことは、あったと思う。
学校であった出来事を逐一、報告する子はいないと思うし
外で我が子がどんなふうに人と接しているのかは、なかなかわからない。


そして、母親の美保自身にも小学校時代、クラスのリーダー的存在の
アケミに翻弄された過去があり、今でも苦い思い出。
美保自身も虐められた過去があり、二度とそうならないために
自分が標的にならないために行動し、結果的に虐めに加担したことに
なってしまった。


大人になって反省して謝りたいと思ったとしても、被害者側の傷は
深く、素直に赦せるものではないんだな。


子育て真っ最中の人が読むには、なかなかハードな内容だけど
そういう人こそ、読むべきなのか?


こういうの読むと学校の先生は、やはり凄く大変な仕事だと感じる。




                   ★★★





発行年月:2024年9月


なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。
老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。
山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男――。
人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、
科学だけが気づかせてくれる大切な未来。
きらめく全五篇


                 (新潮社HPより)


直木賞受賞作!!
納得の内容でした!!
5つのお話、それぞれが凄く良くて
おまけに知らないことが色々学べる内容。
全部、本当のことみたい。
一部は著者の創作だと、あとがきにあって、そうなんだぁ~と。


<夢化けの島>
地質を調査するために日本海の小さな島にきた大学の助教授・久保歩美と
陶芸のため島にある土を求めて来た三浦光平。

もう出会うべくして出会った二人じゃん!
でも恋愛話にまで発展したかどうかは・・・


<狼犬ダイアリー>
夜、獣の遠吠えを聞く。
大家の家の小学3年の拓巳は、オオカミだという。
数日前にオオカミらしい獣を見て、驚いた話をする。
その後、同じように遠吠えを聞いた者、オオカミにような獣をみたという
者が現れる。
動物病院の先生が語る狼の歴史。
昔、犬と狼の子どもが生まれたことがあったと。



<祈りの破片>
空き家になっている家の中から青白い光が時々、目撃される。
年配者たちはその光の色から原爆を想像し怖がる。
役場の職員・小寺はその家になかに警察官と一緒に入る。
家のなかには石像の顔の一部や建物の一部のような瓦礫が沢山。
そしてノートが5冊。持ち主は加賀谷昭一。
原爆投下後の何かを調べていたよう。

原爆について、まだまだ知らないことがいっぱいあるなと感じた。
長崎に原爆が落ちたのはキリシタンが多かったからなんて言われていたことも
あるとか・・・・なんて考え方をするんだろ・・・恐ろししい考え方。



<星隕つ駅逓>
北海道の各地で目撃された火球。
それが隕石を降らせたと捜索隊が来る。
偶然、隕石らしきものを見つける涼子。


涼子の父親は郵便局員として働き、もうすぐ定年を迎える。
そしてその郵便局は廃止される。
隕石は昔、見つかった場所の近くの郵便局の名前をつけていたと知り
拾った場所を偽るが・・・・

郵便局の歴史も語られ、なるほど・・・・駅逓と呼ばれる場所のなかに郵便局ができ
その後、郵便局だけが残ったとか。
「逓」の意味は次々に伝え送るの意味。


隕石からこんな風に話を広げて素敵な物語に仕上げる伊与原さん、凄い!!
この話が一番、好きだなぁ~。

最後は<藍を繋ぐ海>
ウミガメの孵化を毎年、管理しているところの近くで育った中学生の沙月。
ウミガメの卵を5個、持ち出し、自分で育て海に返そうとする。


沙月の気持ちもよくわかる。
ウミガメの放流とか時々、ニュースで見て「かわいいな」と思っていたけれど
それってウミガメにとっては迷惑なことなんだとか。
暗い海に放流してあげないと食べられてしまう確率があがってしまうそう。



どの話もよかった。
伊与原さんのまだ読んでいない本も読んでみよう。




                     ★★★★★



発行年月:2024年5月


原生林で5歳のASD児が行方不明になった。1週間後無事に保護されるが「クマさんが助けてくれた」と語るのみで全容を把握できない。バッシングに遭う母のため義弟が懸命に調査し、4人の男女と一緒にいたことは判明するが空白の時間は完全に埋まらない。森での邂逅が導く未来とは。希望と再生に溢れた荻原ワールド真骨頂。


                   (新潮社HPより)



森で母親とはぐれ行方不明になった5歳児の真人。

一週間後に見つかるが衰弱した様子はなく、食べ物や飲み物を誰かに
貰っていた様子。
真人が過ごした森のなかでの1週間が明かされていく。


森のなかで出会った人物は・・・

松元美那・・・恋人を殺害し遺体を森の中に遺棄しているところで真人に会馬
       寒そうな真人に自分のマフラーを巻いてあげる恐怖を紛らすため
       歌っていた「もりのくまさん」を真人が歌い二人で歌う。
       

戸村拓馬・・・YouTubeチャン寝る「タクマのあくまで原始キャンプ」の撮影のため
       森にきて、キャンプ中に真人に出会う。
       キャンプ飯のカレーを与え、一緒に焚火で温まる。
       拓馬のキャンプのお供、じゃがりこも一緒に


畠山理実・・・中学教師。人間関係に疲れ、自殺しようと森の中に入り真人と出会う。
       寒そうにしていたのでマフラーを巻いてあげる。
       その後も暫く一緒に行動。


谷島・・・・・ヤクザ。娘の心臓移植の金を組から盗み追われている。車を乗り捨て森に
       逃げ込こみ、再び車に戻ると真人が寝ていた。
        娘よりまだ小さい真人に持っていたクリームが挟まれたパンにバナナを
       挟んで食べさせ、そのまま一緒に逃亡しようとするが追手に追いつかれ
       真人だけなんとか逃がす。
       


みんな出会った真人に優しかった。

真人の母・岬と、義弟・冬也も真人を探し、後に助けてくれた人たちに会いにいき
感謝の言葉を伝える。
美那は逮捕されていたので拘置所に。
谷島はその後の行方がわからず、妻だったカイラと娘の莉里花の元へ。


しかし、SNSでは事情を知らず勝手な憶測で岬や冬也を誹謗中傷する言葉が並ぶ。
ユーチューバーの戸村拓馬の協力でその誹謗中傷を続ける二人を見つけ
身元を調べることに成功し、そこに書き込み削除を直訴しにいく。

一人は、真人の捜索に参加していた地元の自警団のひとり。
そしてもう一人は真人を助けた一人、畠山理実だった。
理実は一方的に岬が酷い母親だと決めつけ攻撃していた。
そして途中から理実を嫌う生徒の刈山心亜が理実に成りすまし投稿していたと
わかり心亜の家にも向かう。
そこには暴力団風の父親がいるのだけど、元ボクサーの岬がノックアウト!
これはスカッとした!
以来、理実は岬のファンになる・・・^m^



最初はどうなることかと思って読み始めた物語だったけれど面白かった。
ただヤクザの谷島が気になる。
娘の元にどうにかお金は届けられた様子だけど・・・
生き抜いて(元)妻子に再会してほしい。

ASDの真人も大変な1週間だったけれど、親切な大人たちに接し
色々なことを体験し、大きく成長した様子なのも良かった!


結構、厚い本だけれど、一気読み!



                     ★★★★★



発行年月:2024年10月


傷口に、おいしいものがしみていく――つらい過去をもつ主人公が、
かけがえのない人たちと出逢い自らの心と体を取り戻していく。

               (ポプラ社HPより)


変わった表題だなと思ったら男女2人の名前だった。

小鳥は母子家庭で育った。
母親は社会的には地位のある仕事で、経済的には恵まれており
小中一貫校に通っていた。
けれど、セックス依存症で、色々な男性が家にきて、小鳥がいるのに
平気で自分たちの寝室に呼んだり・・・
中学になると親友と呼べる美船(父親は医者)と仲良くなったが妊娠し
出産したがコーディネーターに生まれた男の子は渡したと話す。
いつか会いにいくんだと明るく語る美船だったけれど、自死してしまう。

やっと心を許せる友達が出来た小鳥だったのに。。。。

そして18歳のとき、父親だと名乗る小島さんから連絡を貰い
治らない病気でいずれ死を迎える状態だけれど、自分の介護をしてくれないか?と。

普通に考えたら知らない人からそんな連絡来ても断ると思うのだけど
小鳥には、それは今の生活から逃れるための唯一の方法だった。

実際、小島さんは紳士で小鳥にいろいろなことを教え、小鳥を養子にする
手続きも自分の死後のことも小鳥が不自由ないように万事整えて亡くなる。


それからの小鳥は小島さんが整えてくれた道を進み、かけがえのない人と
巡り合う。


後半は小鳥が幸せな道に進んでいくので、よかったけれど
小島さんと出会うまでの日々が地獄のようだったので読んでいて辛かった。

ひとつ前の「老人ホテル」の主人公は、貧困家庭に育ったのだけど
こちらは、違う。
廻りの目からも母子家庭だけれど比較的、裕福で特に問題のある家庭とは
思われていない状況。
ある意味、小鳥の方がキツイかも。


表紙の絵は、小鳥と理夢人。
二人がいつまでも幸せでありますように・・・・




                     ★★★★
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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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