〃 (第3刷)
女子になりたい中学生・大輔と彼を守ってきた幼馴染の茶子。
彼らが暮らす空堀商店街に、会計検査院の調査官3人の
手がのびる。
(文藝春秋HPより)
大阪が舞台・・・というか、大阪城が舞台。
東京から、出張で会計監査院の三人(松平・鳥居・ゲ-ンズ・ブ-ル)が大阪に訪れる。
松平:身長175cm。国家公務員Ⅰ種試験を受験した4万人のトップで合格したエリ-ト。
卓越した調査能力が評判。
鳥居:身長160cm。新しいインクの香りに大腸が過敏に反応する。偽装文書を探す隠れた秘密兵器。よって、ミラクル鳥居の異名をもつ。
ゲ-ンズ・ブ-ル:ヒ-ルを履くと身長180cmを越える。フランス人と日本人のハ-フ。ハ-バ-ド大卒で頭脳明晰、容姿端麗。
この3人の会話が最初から愉快。
ミラクル鳥居は、癒し効果抜群!
大阪を何の目的で調査するのか?最初から興味を持ちつつ・・・大阪の公な機関での国家予算のムダ遣いを正すのかな?
などと思って、読んでいましたが、話には空堀商店街のお好み焼き屋とか、中学生しか出てこなくて・・・・???
でも・・・そのお好み焼き屋のおじさんと中学生たちが、重要な鍵だったちは!!
いや~予測が出来ない面白さ。
これ、大阪の人や、大阪出身の人が読んだら、もっと面白いでしょう。
史実に基づいている話に加えた架空設定の別の歴史がうまく合わさっていました!
奇想天外の発想に基づく、フィクションですが、こういう話は、ひょっとして・・・・・なんて想像したら楽しいなぁ~。
調査は結局どうなるか?は読んでからのお楽しみですが、ラストは爽やか。
ミラクル鳥居は、本当にミラクル!!
「鹿男あをによし」 「鴨川ホルモ-」に続いて、楽しませてもらいました!
★★★★
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ほんの少し心をほどけば、わたしたちはいつだってどこだって行ける。
OL、母親、料理家、看護婦。普通の人たちの日常におとずれる小さな「気づき」の瞬間が、まるで自分のことのように胸にしみ入ってくる。
ペ-ジをめくるたび、頑張っているあの人の顔が浮かぶ。ごぶさたしている人に手紙を出そうと思う。“最も新作が待たれる新人作家”による、ほんの少し前に進む勇気をくれる12の物語。
(新潮社HPより)
この作品は12の短編集。
以前、Re-bornというアンソロジ-に書かれていて、その時、この著者の作品をもっと読んでみたい!と思っていました。
1つ1つの話は、本当に短くて、すぐ読み終えてしまうのですが、全て完成されたものでした。
特に変わったことが起きるのでもなく、それぞれの主人公たちがいつもと同じ生活をするなかでふと、気づくことが描かれてるような・・・・。
前半の方で登場した物語の人物たちが、後ろの方の物語の登場人物と繋がりがあったり、人と人の繋がりって面白いな~なんて思ったりしながら楽しみました。
こういう普通の日常を送る人の話の中に読者をひき付けるものを散りばめられるって凄いな~。
いいなぁ~。好きだなぁ~。
以前、看護師だったわたしなので、病院のことを書いた「うなぎを追いかけた男」は、看護師の気持ちに共感しながら読みました。
ただ、潜るという看護師の中で隠語のように使われている言葉の行為は、全く、わたしには経験なくそこだけちょっと引っかかりましたが・・・・^^;
「うなぎを追いかけた男」は、一番最後の「夕焼けの犬」にもリンクしていて、静かな余韻を残してくれました。
好きだったのは「白い足袋」かな?
幼なじみの花嫁の為、買い忘れたという足袋を懐かしいお店に買いに行き、お店のおばちゃんに昔も足袋を買いに来たねと言われる場面では思わず「えっ!」
運動会で足袋を履いて走る・・・・・わたしも同じ経験ある!ある!
余談ですが、前に主人と何かの話の折に「子どもの頃、小学生の運動会で足袋を履いて走ったよね?」と言ったことがあるのですが、その時「なに!?足袋?へんなのぉ~なんでそんなの履くの?」と大笑いされた記憶があり・・・・・
自分の周りだけの流行だったのか?と思っていたので、この話は妙に嬉しかったのです!(笑)
12の短編どれも良かった!
短編集で全部、よかった!ってなかなかないのでこれは凄い!!
長編作もぜひ、近いうちに読まなきゃ!
★★★★
2009年3月(第4刷)
父は虎になった---------。
そんなこと、簡単にしんじられるものではない。
ぼくだってそうだった。
しかし、父に会った、という人物からもらった手紙には、
父がその場で詠ったという一篇の漢詩が書かれていた。
父の血をひくぼくも、いつかそうなってしまうのだろうか。
父がどうして虎になったのかを知りたい。
言葉の魔術師・柳広司が放つ
中島敦「山月記」に想を得た、奇想天外な変身譜。
(本表紙裏の解説分より)
中島敦の「山月記」・・・・はて?無知ゆえ知らず・・・・^^;
主人に聞いたら「名作だよ。高校の授業で習ったでしょ?・・・・・・・・」とあれこれ説明ありましたが。
殆ど、覚えていません。
簡単に言うと・・・中国の話で、詩人になりたかったが、夢なかばで挫折した男が虎に変身してしまうお話だそう。
で、この「虎と月」は、その話の後日談。
「ぼく」がまだ4歳の頃、突然、姿を消した父。
父は超難関の試験に受かり、そうとうな身分の職に就き、前から好意を寄せていた美人な母と結婚し「ぼく」が生まれた。
しかし、父はあるひ、突然、苦労して手に入れた職を捨て、「ぼく」たちの前からも姿を消してしまった。
しかし、父の友達が手紙を送ってきた。
父に会ったという手紙だったが、なんと虎になった父と再会したという。
そして、そのときある漢詩を詠んだと、その文字が一緒に送られて来た。
その漢詩
偶因狂疾成殊類
災患相扔不可逃
今日爪牙誰敢敵
当時声跡共相高
我為異物蓬茅下
君巳乗輙気勢豪
此夕渓山対名月
不成長嘯但成嘷
これだけ打つのに時間かかりました・・・・笑
でも、これだけ見たらわかるようなわからないような・・・^^;
本には、その解説が丁寧に書かれていますのでご安心を。
これが、父が虎になったことを知る真相になっているのですが、最後の最後にその種明かしがあります。
そして、その真相をこの漢詩から、知ったときには、なんとも言えない感動がありました!
いや~漢字って楽しい!!
これは、一応ミステリ-YAなので、小学校高学年の本好きな子なら楽しめるかも。
父親探しの冒険物として読んでも、なかなか面白い内容でした。
柳さんの著書、初めて読みましたが、他の作品も読んでみよう!と思いました。
君巳乗輙気勢豪
此夕渓山対名月
不成長嘯但成嘷
これだけ打つのに時間かかりました・・・・笑
でも、これだけ見たらわかるようなわからないような・・・^^;
本には、その解説が丁寧に書かれていますのでご安心を。
これが、父が虎になったことを知る真相になっているのですが、最後の最後にその種明かしがあります。
そして、その真相をこの漢詩から、知ったときには、なんとも言えない感動がありました!
いや~漢字って楽しい!!
これは、一応ミステリ-YAなので、小学校高学年の本好きな子なら楽しめるかも。
父親探しの冒険物として読んでも、なかなか面白い内容でした。
柳さんの著書、初めて読みましたが、他の作品も読んでみよう!と思いました。
★★★
昭和39年夏、オリンピックに沸きかえる
首都東京。
開催妨害を企む若きテロリストと警視庁刑事たちの
熱い戦いが始まる---------。
(本の帯文より)
奥田さんの社会派の小説。
読む前から期待していました。
図書館から借りて、手に取り、その本の厚さ、中は二段書き。字がビッシリ!にはちょっと驚き。
これは読了までに時間がかかりそうだなぁ~と覚悟して読み始めました。
読み始めたのが丁度、週末だったので、予想通り読了までに時間はかかりましたが、面白くて長さは全く気になりませんでした。
時間さえあったら一日で読み終えられる面白さ!
でも、内容は真面目。リアル感もありました。
昭和39年東京オリンピック開催の年。
戦後の貧しかった日本がここ東京に限ってはもはやウソのよう。
ビルが建ち、首都高速が走り・・・。
これでオリンピックが無事に開催されれば、日本も世界に認められた一等国になれる!
が、その裏には、それを実際に造っている数多くの貧しい日雇い人夫たちの壮絶な働きがある事を多くの豊かな暮らしをする者達は知らない。
東大で経済学を学ぶ島崎国男の兄もそんな人夫のひとりとして、過酷な労働に日々追われる生活を強いられていた。
国男は秋田の貧しい農家の生まれ。
早くに父親を亡くし、兄が一家を養うために出稼ぎで仕送りをしてくれていた。
自分が学問を学べるのは兄の犠牲があるから。
そんな兄が突然、東京の仕事先で亡くなる。
死因は心臓病ということらしいが、本当にそうか?
疑問を感じながら、国男は兄が同じ出稼ぎ人夫として働いていた飯場を訪ね、兄と同じように働きたいと言う。
東大の学生が物好きに・・・と最初は浮いた存在だったが、真面目な働きぶりや、実家は秋田の貧しい農家で兄の代わりに自分が送金してあげなくてはならないなどの話から次第に周りの労働者たちにも受け入れられる。
しかし、仕事はとてもキツイ。
それを紛らすためにヒロポンに手を出す。
もはやそれは人夫たちの間では珍しくないこと。
皆、その力を借りない限り続けられない労働の過酷さ。
富める者と貧しい者は、いつの時代にも存在するという不平等さ。
そして、東京は、その富める者たちが暮らす都市。
自分の故郷との格差にもやり切れなさを痛感する国男。
東京だけが富と繁栄を享受している事に怒りを覚え、ついにオリンピックを阻止しようと大胆な結論に達する。
開会式の10月10日の前に、何度か爆破事件を起こす。
が・・・・不思議なことに報道されない。
事件の真相を明かすことは、オリンピックを前には出来ない。
なぜなら、日本は国の治安においても一等国と国際社会にアピ-ルしなくてはならないときだから。
犯人と警察の度々の交渉は、リアルでハラハラドキドキ。
国男を手助けする東大の学生運動に力を注ぐものたちや、スリの男の生活は、今にはないその時代背景が感じられて興味深かった。
互いに不平等な資本主義に向う日本に対しての反感を抱いていることで仲間意識を持つ。
ある意味、真面目に社会のあり方を考えている彼ら。
ラストは、意外とあっけない結末。
しかし、それも仕方ないか?と思わせるそれまでの流れ。
そして、現在の日本の状況を考えたら、この結末は、闇に葬られた事実として、逆にリアリティあるかもなぁ~とも思いました。
犯人が警察に送る犯行声明文の名前が「草加次郎」。
ん?ちょっと聞いたことあるなぁ~と少し調べたら、実際の連続爆弾事件の犯人が名乗っていた名前なんですね?
こちらは、迷宮入りなんだそうですが・・・。
東京オリンピックの頃の日本にタイムスリップしたような感覚(まだわたしは生まれて数年ですが・・・^^;)にもなりました。
★★★★
冒険ふしぎ美術館へようこそ。
ここは、謎に包まれたふしぎなできごとが起こる場所だ。
きみも、あのレオナルド・ダ・ヴィンチの人生や
アイデアについて、おどろくべき事実をいくつも
発見できる。
(本の表紙裏の解説文より)
先日、次女と映画「ダヴィンチ・コ-ド」を見て、気に入った様子だったので、図書館で次女の為に借りてきました。
早速、読んで「おもしろい!お母さんも読めば?」と言うので、読みました。
美術館見学にクラスの子どもと訪れた少年が、館長さんのトナテッリさんが怪しげな二人組みに何やら脅されているのを目撃するところから物語が始まります。
館内の宝を守るために暗号を解読しながら物語が進みます。
これは、ダヴィンチの数多い謎のいくつかを楽しめる本で、子ども用に分かり易く解説されたものなのですが大人でも十分、満足できる本でした。
既に知っている謎もありますが、鏡文字を解読しないと答がわからないようになっていたり、一工夫あるのが面白い!
あらためて、自分が既に知っていることを確認しながら、また時々「へ~そうなんだ?」みたいな知識も得ながら読み進めて行きました。
巻末にちゃんと付録で、鏡文字を解読する手助けになるアイテムが付いているので、字の読めるお子さんなら楽しく遊びながら解読できそう。
図書館で借りたものなので、実際は作れませんでしたが、工作の付録も付いていて、何倍にも楽しめる本だなぁ~という印象。
こういうのがキッカケでダヴィンチの絵画をより深く楽しみ、他の絵画にも興味が沸きそう。
ちなみに訳者の越前氏は、「ダヴィンチ・コ-ド」「天使と悪魔」(ダン・ブラウン/著)の訳者でもあります。
★★★★
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女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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