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読んだ本の感想あれこれ。
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f75f5309.jpg発行年月:2008年7月(第1刷)


ニュ-トンよりも、ライト兄弟よりも
偉大な奇跡を為し遂げた
男の物語。

「死ぬくらいなら、その前に一回は
   バカになってみたらいい」

                   
(本の帯文より)

主人が先に読み、面白そうなので、読みました。

本書は2006年NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場したリンゴ農家の木村さんの無農薬のリンゴ栽培に臨む壮絶な闘いの経緯を紹介しています。

野菜の無農薬栽培は、結構、目にしますが、リンゴの無農薬栽培は、リンゴづくりを知ってる人から見たら信じられないことらしいです。
その辺の事も説明されていて、木村さんがどんな無謀な事をやり始めたのかが解り、木村さん自身は勿論ですが、それを見ながら非難することなく寄り添って来た奥様にもスゴイ!と思いました。

リンゴを完全な無農薬に変えてから、実がつかないのは勿論、枯れたようになり、害虫が増大。
そんななかただただ、害虫を1つずつ除去するだけの日々なんて、想像しただけで肉体的にも精神的に参りそう。

実際、木村さん自身も参ってしまった時期があった。
貧困生活、家族に満足な暮らしをさせてあげられない事の不甲斐なさに打ちのめされてしまった。
一人なら何処までも自分の思うように進めればいいけど、家族(娘も三人)居て
婿養子なので、義父母もいて・・・・

山の中に入り自らの命を絶つことが一番良いとさえ思ってしまう・・・・自殺は駄目だよなんて簡単に言えない状況でしたので、読んでいて苦しかった。

でも、そんな事があったから?とも思えるような偶然のひらめきで、救われる木村さん!

結果、無農薬のリンゴ栽培に成功するという奇跡を生み出したわけです。

人柄がすごくいいんだなぁ~と思える話が沢山。

今は無農薬野菜は高いけど、それではいけない。
裕福な人だけが買うようなままでは普及していかないと。
今は難しくても、自分の栽培方法で作った物を肥料や農薬を与えて作った農作物と競争できるくらいの安い価格で出荷出来るようにするのが夢なのだと。


現在は、リンゴ栽培のかたわら、国内外を飛び回り講演や農業指導を続けているそうです。


この本の表紙の笑顔はステキですが、歯がないんですね。
その経緯もまたスゴイんです・・・・本を読んでからのお楽しみですが・・・(^^)


とにかく、いろいろな意味でスゴイ人でした!

★★★★★
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b8e00bc9.jpg発行年月:2009年4月


魔法のように『失われた時間』が浮かびあがる------
絶賛された、川端康成文学賞受賞作。


都会で働き続けることに不安を抱き始め、志摩半島の一角に小さな土地を買い、家を建てて、新しい生の感覚を見いだしてゆく40代後半の女性を主人公に、人を救い再生へ向かわせるものを瑞々しく描き、「光る比喩」 「正確で細密な描写」 「静かな戦慄」と絶賛された川端賞受賞作「海松」、その続編「光の泥」 ほか2編。

                                    
(新潮社HPより)

主人が知人が「面白い」と言っていたので興味を持ち、先に読み「なかなか面白い」という事で、わたしも読みました。

4つの作品が収められていますが、表題作の「海松」と「光の泥」は、同じ主人公で、
「海松」では、東京で仕事をする自立した彼女が、母親と妹と訪れた志摩半島に魅せられて、そこに土地を買い、家を建て、東京とその家とを行き来するまでの経緯。
「泥の光」は、半島の家に行き来してから7年の歳月が過ぎたが、それまでの自身の身辺の出来事を思い出しながら、自身を見つめなおすようなかんじ・・・かな?

女性が40代後半ということもあり、自分の今の立場とは、かけ離れたものではあるものの共感できる部分もありました。
あまり人が多く登場するわけでもなく、静かな物語なのですが、周りの自然の描写がリアルで頭の中に情景が浮かんでくるようでした。
土地のいたるところにはびこったフユイチゴ・・・それを摘んでジャムを作る。
あ~ステキなんて思うと、蛇の抜け殻、窓や洗面所の排水管から侵入するムカデなどもいて、わたしにはムリだ~なんて思いましたが・・・^^;

切り立った絶壁の上にあるような家で、周りの人からも「なんであんな場所に家なんか・・・」と呆れられながらも彼女はその場所を気に入っていて・・・
東京に居るときには、遠くの恋人を想うように半島の家の事を想う。

家のそばを手入れしていて見つけた「沼」を見ながら、そこで早くに亡くなった友を想う場面は
なんだかジ~ンとしました。
上手く説明できないけれど・・・・

言葉の使い方、物ごとの表現がちょっと今まで読んだことの無いようなものでわたしにとっては新鮮でした。

表題になっている「海松」は ミルと読みます。
海藻の一種で、松の枝みたいな形をしているから、こう呼ばれ、万葉の歌にもこれを詠んだものがあり「海松色」とはオリ-ブグリ-ンのような色で昔から着物の色になっていたり昔から親しまれていたものだとか。

知らなかったなぁ~。

4作中、先の2作がやはりとても良いですが、他二作「「桟橋」 「指の上の深海」も良かった。

ちょっと過去作品も読んでみたい!と思いました。

★★★★★
efcc11fa.jpg    発行年月:2009年8月


    短編の名手が贈る“世界一うつくしい物語”

    美人だけど性格が悪い僕のおばさん。
    でも彼女は、正真正銘の天使だった。
    なぜなら、自分の命を分け与えることができたから-----


                         
(文藝春秋HPより)


表題作を含む7つの短編集。
どの話も著者独特のノスタルジックな雰囲気の優しくて温かいお話でした。

時代は昭和40年代あたり?
わたし自身の子ども時代にもダブるので、懐かしさ倍増です。
物語の中に、自分も見ていたTV番組「巨泉・前武ゲバゲバ90分!」やら「フィンガ-5」が出てきたり・・・笑

朱川さんの話には、ちょっと不思議な話が多いのですが、今回も幾つか。
表題作の「あした咲く蕾」に出てくる叔母さんは、自分の命を少し相手に分けてあげられる能力を持っていた。
「雨つぶ通信」では人の心が読めてしまう子が居たり

でも全部の話に共通していたのは、人の優しい気遣いが切なくもあり、温かくもありひとつひとつのお話に感動しました。

最後の「花、散ったあと」なんて、もうなんていうか・・・・泣けました。
それは哀しいのか?嬉しいのか?
切ないほどに美し過ぎる優しい気持ち。


短編集って、暫くすると「どんな話だっけ?」と忘れちゃう事多いけど、
これは題名で思い出せるかも。

★★★★★
077e7bdb.jpg発行年月:2009年8月


私の知らない彼の秘密

結婚を約束していた遼平が、アムステルダムで急死した。
一年後、死を受け入れられない美樹は、彼の過ごしたヨ-ロッパを訪れる。
愛をめぐる女性の心の旅を描く、小地真理子の真骨頂。


                   (集英社HPより)

男性は、離婚歴があるが独身。女性も婚約者と別れた過去はあるが独身。
二人の恋に何ら障害はないのだけど・・・男性が突如、仕事先でもある異国で急死の連絡。

なんて、残酷なスタ-トなのぉ~(/_;)

一年後、彼から電話やメ-ルで知ったヨ-ロッパの各地を、男性の幻を追うように旅する女性。
切ないです。
痛々しいです。

彼との幸せだった思い出を頭に描きながら、今、目の前に彼がいるような錯覚を覚えてしまう美樹。

物語は、ヨ-ロッパ各地を旅する様子と、彼が亡くなった後の日本での美樹の行動などが時々、交錯しながら進んでいく。

自分は彼のことが好きだったが、本当の彼はどうだったんだろ?
彼は自分といて、本当に幸せだったんだろうか?
彼の生い立ちには、やや暗いものがあり、その辺での自分には言えない心の闇を抱えていたままだったのでは?
部屋で亡くなって数日後に発見され、事故ではないとされたが、本当の理由は?
などなど悪い方にばかり考えが巡っていく。

これはいったいどういう結末なんだろ?とやや重い気持ちになりながら読みましたが、ラストはそんな状況のなか、少し心が軽くなれたのはホッとした。

ヨ-ロッパ各地の様子も想像しながら楽しかったし。

アムステルダム国立美術館で思い出に浸る場面は映像化されたらステキだろうなぁ~。

でも、どんな美術館だろ?
早速、調べました!   こちらにて。

あ~ステキな美術館!わたしも行ってみたい!!


ロマンチックな大人の純愛スト-リ-というかんじで、素敵でした!

これは、再読したいな。

★★★★★


                         
7dac9950.jpg発行年月:2008年10月


そもそも二人は、なんでもなかったのだ。
あとから考えても線引きはできない。

人生に突如起こる取り返しのつかないこと、日常に潜む不穏との境目を鋭敏に描き出す、注目の作家・椰月美智子の最新作

                 
 (本の帯文より)


以前、『体育館座りで、空を見上げて』を読み、なんとなくこの人の書く文章は好きだな。と思っていて短編ならどうなる?と思い、こちらを読みました。

表題作を含む10編の短編集。

帯文に書かれていた最初の文は、表題作の中にある言葉。
不倫していた夫の相手が妊娠していることを告げられた妻が「どっちが好きなのよ」と問うと夫は
「わからないんだ」と答える。君と過ごした11年と同じ年月を彼女と過ごした後じゃないと比べられないんだ・・・・って。
ここで、逆上して修羅場にならないのが何となく面白い。
万が一自分の夫がおなじ状況を告白したら?なんて想像すると・・・・わたしは案外、この女性と同じ行動パタ-ンかもな。なんて思ったりして(苦笑)。

著者があとがきで書いていたけど、この10編は自身が結婚後に書いた短編を集めたもので、結婚以前に書いたものに『みきわめ検定』という短編集もあるそう。
それも読みたい!と思ったら、図書館に蔵書がなく残念でした(/_;)
リクエストしようか思案中。

10篇の短編はなるほど、そうしてみると、夫婦の日常の事を書いていたりするものが多い。

ちょっと他のとは違う雰囲気だったのは
「プ-ルサイド小景(仮)」と「七夕の夜」かな?
ちょっと異質なものを描いている?

「七夕の夜」は、七夕祭の夜店など賑やかな場に両親と出かけた4歳の女の子・かなえの話。
そこで体験した事は、同じように幼い頃、高校生か大学生の従兄弟に連れられて行った先で、私自身が経験した事に、かなり似ていて、当時の様子が鮮明に蘇ってきて怖かった。
この著者もきっと自身が同じ体験してるんじゃないかな?なんて妙な親近感が沸きました。


10篇とも、かなり面白かった。(↑1つは怖かったんだけど・・・^^;)

やっぱり、この作家さんは好みだと再認識しました!

★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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