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読んだ本の感想あれこれ。
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7bc308ed.jpg発行年月:2009年7月


田園を美しく輝かせる一瞬の光が、雪国に厳しい冬の訪れを告げる-----。封印されていた一枚の絵が脚光を浴びたとき、「閉じられた天才画家」は妻の元を離れ、郷土の人々の欲望と疑心がうごめき始める。著者の新境地を示す傑作長編!


                     (日本経済新聞出版社HPより)

読み始めから暫くは、これはどういう話の展開になっていくのか?
と全く、わからず少々、戸惑いましたが、それを過ぎると(1/4くらい?)、面白くなっていきました。

物語は、人気のあるタレント兼エッセイストが書いた書のなかに、世間では知られることなくこの世を去った画家「宮嶋哲郎」の絵を絶賛する件があり、読者の反響を呼び、雑誌に関わる仕事をしている男・橘が画家のことを自分で詳しく探ろうとする。

絵の所有者を訪ねながら絵を実際に見、悪くないと直感し、その画家の画集を出せないものか?と思う。

都会でなくずっと地元に留まり絵を描き続けた宮嶋を郷土の誇りと支え続けた人々にとっても画集により多くの人に認められることは嬉しいこと。
画集出版にも乗り気。

しかし、そこに大きな壁となった人物=画家の妻。

画家・宮嶋哲郎が世に知られ評価されることは嬉しいに違いないが、自分の把握していない絵については贋作と言い張り、画集に載せることを拒む。
その姿には狂気じみた感もあり不気味。

しかし、夫婦の歴史を知り、どれだけ妻・智子が画家・哲郎を献身的に支えてきたのかがわかるとその発言も納得出来る部分もあり・・・。

妻の元を一時離れ、寺にこもるように描き続けた作品が人には素晴らしい物と評価されるのは面白くなかったのでしょう。
「母子像」や「自画像」には特に嫌悪感すら抱く。

画家である夫が自分にとって全てであり、夫も同じであったはずと思いたい妻の強い思い。
その思いが起した事は、何とも身勝手な行動でした。

しかし、考えると結構、ここに出て来る人たちって身勝手な行動してるのね。
橘だって、智子を騙すこと言ってたし、絵を管理してる人たちも、本音の部分では自分たちの利益を考えてるでしょうし・・・
哲郎が世話になった寺の住職の後妻・多津子も結構、したたかで怖いなぁ~と思った。

最後の方、焼失したと思った絵は実は無事だった?の話は「え!?」と驚いた。

1千万で買えば、それは1千万の価値の物になる・・・なるほど・・・。

価値があると信じた物は、他に鑑定など無闇に頼まない方がいいんだろうな。
なんてちょっと思った。

読み応えあったし、面白かったけど、少々、疲れたな・・・^^;

そして・・・・この表紙のは、絵なのかな?写真なのかな?
物語にすごくよく合ってる!
なんだか不思議な魅力を感じます。

★★★
PR
1147f923.jpg発行年月:2009年9月


父は、昔からよく知っていたようにも、全く見知らぬ人のようにも感じられた。

「今、見ているものとか、ここにあるもの全部。お父さん。桐子。全部、かけらだ」-----二人で参加することになった日帰りさくらんぼ狩りツア-。そこで桐子が眼にしたのは父の意外な顔だった・・・。
川端康成文学賞を最年少で受賞した「かけら」ほか二篇。
人と人とのあいだの微妙な関係を瑞々しいタッチで描いく珠玉の短篇集。

                                     
(新潮社HPより)

「かけら」「欅の部屋」「山猫」の3つの物語。

「かけら」は、ひょんな事から父親と二人だけでさくらんぼツア-に参加する大学生の桐子。
今は、実家から離れて暮らしているが、父親とツア-に参加しながらの父と娘の関わり方が絶妙な描写で、桐子の思うことに「ああ、わかるわかるその感じ・・」なんて始終思いながら読みました。

目で見えるものでなく、人の心の中の思い、父を見て思う娘の気持ち・・・上手い!表現の仕方が!
こんな風に表現出来るのは、スゴイ!

この作家さんは初めてですが、最所のこの「かけら」を読んでファンになりました。
他愛もないことをこんな描写で書けるってなんかいいな。好きだなぁ~。こういう話。

他の話
「欅の部屋は結婚を控えた男性の語り。
暫く前に別れた小麦とのことを、思い出す主人公。
別に未練があるとかじゃないのに、不思議と頭に浮かんでくる。

ソバに居すぎたからじゃないか?・・・・なんて思ったりもしたけど。


最後の話「山猫」これもなかなか面白い設定でした。
若い夫婦が、妻の親類の女の子が東京の大学を幾つか下見したいからと西表島から上京し、夫婦の空いている部屋に少しの間、同居するという話。
女の子と妻、女の子と夫、妻と夫。
いろいろな会話から、若い夫婦それぞれの考え方みたいな物が覗いて面白かった。


ささ~っと読み終えたけど、結構、響くものがあって、不思議な読後感。
この方の文章の書き方が好き!

他の作品も読みたくなった。

結構、好みの作家さんをまた新たに見つけた感じで嬉しい(^^)

プロフィ-ルを見たら、1983年生まれ?
最年少で川端康成賞受賞とあったので、「え?何歳?」と思ったのですが、まだ20代なんですね。
結構、落ち着いた雰囲気の文章なので、30代後半~の方かと思っていました^^;

まだまだ、長くいろいろ書いてくれそうで、楽しみです。


★★★★

 
a1216983.jpg発行年月2009年5月


12歳の文学賞・大賞受賞の初の単行本化。
現役小学生の作家デビュ-!

’08年春、「ヘチマと僕と、そしてハヤ」(「12歳の文学賞~第二集」収録)で「第二回12歳の文学賞」大賞を受賞した三船恭一郎。破天荒な同級生との友情と別れを見事に描いたエンタ-テイメント小説は、審査員に「三島由紀夫レベル早熟さ」と言わしめた驚異の完成度。受賞後も着々と次回作を書き続け、総300頁にも及ぶ大作が完成しました。

                                   
(小学館HPより)

12歳の書く物語って、どんなのかな?
興味津々で読みました。

本書には「12歳の文学賞」大賞受賞作「ヘチマと僕と、そしてハヤ」が最初に、他「とびら」 「それからの、僕らの空」の三作品が収められています。

最初に「ヘチマと・・・」を書いたのは10歳のときと、あとがきで書かれていて、それを12歳で再度見直しし書き直したものが本書の作品だそうです。

5年2組のクラスの日常的な物語が実に楽しい。
今までの大人が書いた小学生とは、ちょっと違う。
正に現役小学生でしか書けない物語というかんじです。
同じ年代の子どもならきっと読んでいて楽しいでしょう(^^)

この頃の小学生がよく使う、ちょっと大人からみたら下品な言葉もいっぱいですが・・・^^;
でもそれだけで終わらず、ちょっと切なかったり、感動させてくれたり。

物語も良いけど、「はじめに」と「あとがき」の言葉がすごく良かった!
三船くんってすごくしっかりしてる!
頭も良い子なんだろうな~。

本のプロフィ-ルに・・・・・将来の夢は、まだ解明されていない難病の研究と治療もする内科医だが、「書くこと」は続けたいと語る。

とあって、あ~素晴らしいわ!!とまたまた感動しました。

デビュ-なんかしちゃうともう作家としての道だけを考えちゃいそうだけど、自分の未来にまだ他の事を求めて学んでいこうとする姿勢みたいなものがあって、いいな。

三船くんご本人に先ずは惹かれます。

そして・・・・あれこれ見ていたらブログも書いているのね?
これがまた楽しい♪
創作日記、最高です!

53009a96.jpg三船恭一郎くんのブログは・・・こちら


1997年1月生まれ。
現在、中学1年生。

                                 

★★★
f28c703a.jpg発行年月:2009年9月


大学生の佐々木ましろは、小学6年のとき、何者かに連れ去られ監禁された過去からPTSDを抱えカウンセリングにより事件に関する記憶を封印されていた。犯人はその後も不明で事件の真相も明かされぬまま。
ある日、自分に何らかの危険が及ぶとその防御反応のように強い「殺気」を感じることに気づく。
過去の自分の事件を探るうち、ほかの事件の真相も知り、また新たな事件も起きるが・・・・


表紙の絵や表題から勝手に想像した何やら不穏な雰囲気は、最初の方で打ち砕けられたかんじでした。
結構、明るい青春小説のかんじ。

ましろの抱える過去が気になるし、彼女自身もそれを知りたい様子なので、どういう真相が隠されているのか気になり、読み続けました。

表題にもある「殺気」は、ましろ自身が感じる防御反応なんですね?
その力を使って、ちょっとした危機を回避できたりするのは、いいな。
そういう力、あると便利かも^^;

彼女の周りの友達やバイト先の店長など、結構、愉快でそのやりとりが楽しかった。

ファッションショ-に出場の場面は本題から逸れてる感あったけど面白かったからいいか?

後半、ましろの未解決の事件の真相、友人理美子の父親の死の真相が明かされ、そこに加わるように同級生・尾形の犯した誘拐事件の真相と、ややゴチャゴチャしながらも見事に解決したのは、スッキリ。
尾形の犯した罪は、友人たちの説得(?)で幾らか軽くなるのかな?


でも、理美子の父親の死の真相は、知らされてよかったのか?
真実を知ることは大事とは言い切れないような・・・・複雑な思い。


軽く読めるけど、読んですぐ感じた通りミステリ-というより、これは、やはり青春小説だな。
わたしは、嫌いじゃないから楽しめたけど、ミステリ-好きには、ややつまらないかも?

 

★★★

c703cbfa.jpg発行年月:2009年10月


便利屋コンビと愉快な仲間たちが帰ってきた!

指輪奪取作戦に“追憶のまほろロマンス”、由良と行天の奇妙な1日など、笑いと切なさを綯い交ぜに紡がれた「多田便利軒」外伝7篇


               
(文藝春秋HPより)


前作『まほろ駅前多田便利軒』のコンビ、多田と行天にまた会える!
読む前からウキウキ。

二人との過去には、ちょっとした辛いものを経験しているようですが、ここでも詳しくはわからなかったな~。
少しだけ、出ては来るけれど・・・・。
二人の関係も不思議。
仲良しとは言えないのに、ずっと一緒に居るし・・・。

便利屋の仕事は順調みたいで、お得意さんもいる様子。
家族の代わりにお見舞いに行ったり、お庭の手入れも定期的に頼まれていたり・・・
結構、好かれている便利屋の二人。

コンビの凸凹感もいいかんじ。
真面目に働く多田の横で、ややいい加減な行天だけど、肝心のところでは結構、役立っていたり。

依頼人とはちょっと違うけど、小学5年生の田村由良と行天の話はなかなか楽しかったな。

新たな登場人物と何やら新たな展開になるかも?なんていうところで終わったから、これは、まだまだ続きそうですね~(^^)

次回作もたのしみに待ちます♪


★★★★


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