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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年2月

戦争とは? 日本人とは? 構想三十年、壮大なスケールで描く最後の長篇小説!

「戦争の時代に生きた私の、“書かなければならない” という使命感が、私を突き動かすのです」(山崎氏)。海上自衛隊潜水艦部隊の若き士官を襲う過酷な試練。その父は昭和十六年、真珠湾に出撃して――。時代に翻弄され、時代に抗う、父子百年の物語が、いま始まる。「この日本の海を、二度と戦場にしてはならぬ!」

                   (新潮社HPより)





未完のままの逝ってしまった山崎豊子さん。
完成させたかっただろうなぁ~。


本書は、戦後の日本が舞台。
主人公は花巻朔太郎28歳。
防衛大卒で潜水艦「くにしお」の船務士の二等海尉。

展示訓練を終え、帰港の途中で民間船と衝突事故が起きる。
死亡者、行方不明者を多数出してしまったため、一方的批難を受ける海上自衛隊。

花巻は事故後、遺族宅に出向き、謝罪の言葉を述べる。
日頃、国を守るため懸命に訓練をしているのに、国民の命を奪ってしまう事態を招き
自分の今後のついても悩む花巻。


偶然な縁で知り合ったフルート奏者の小沢頼子との恋の予感もあったのに
今後、どう展開していくのか?

気になる事だらけのまま終わってしまった事がとても残念でならない。
これが完成したら、凄い小説になったでしょう。


花巻朔太郎の父・花巻和成は、帝国海軍少尉として日米開戦時、第一陣として
真珠湾攻撃に投じられ、米軍の捕虜として生き残った者だった。
2巻以降ではそんな父親の戦争体験が読めたはず。

物語の概要は、巻末の山崎プロジェクト編集室のおかげで読めた。
なるほど・・・こういう展開になっていくのか。
実際に山崎さんの文章で読めないのが残念でならないけれど
未完のままでもこうして形にして出版してくれた事は嬉しいこと。


この1冊だけでも十分に感動できました。
戦争とは?自衛隊の役目とは?
今、問題になっている集団的自衛権について・・・・
いろいろ考えさせられる内容でした。

 

こんな物語、書いてくれる作家さん、そうそう居ないでしょう。

そう思うと、亡くなられたのが本当に哀しい。


                                   ★★★★★
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発行年月:2014年2月


 大学の推理小説研究会に入ったけれどこわがりな僕と、ミステリ大好きでしっかりした中学生の先生が、日常に潜む謎を解いていく〈先生と僕〉シリーズの最新刊。社会問題にも目を向け、ちょっぴり大人になった二人の活躍をどうぞお楽しみに!

                     (双葉社HPより)




「先生と僕」の続編ですね~。

大学1年生の伊藤二葉と中学1年生の瀬川隼人のコンビ。
家庭教師とその生徒の関係なのに、二葉が優位に立つ場面は少ないのが可笑しい。

日常の謎解きに挑む2人。
でも、今回は、二葉が大学で所属する推理小説研究会の面々も度々登場で
にぎやかなかんじ。

1話~5話。
そしておまけの話で最後は、1話に登場の犯人(?)が再登場。


1話は、バレンタインデーが近いデパ地下のチョコレート売り場でのちょっとした
事件。

2話は二葉の大学の先輩のバイト先のマスターの謎。

3話は二葉の大学の先輩(2話とは別)の就職活動にて起きた謎。

4話は研究会メンバーで出かけたバーベキューの場所での謎。

5話は研究会の学祭用ポスターの掲示を頼みに行った先での謎。


身近に起きる謎いろいろ。
二葉の学校の人間関係絡みの話が多いけれど、隼人が無理なくそこに絡む。
そして3話で、隼人のお父さんが登場。
隼人とは雰囲気違うけれど、良いお父さんだなぁ~。
また違う場面で今後、登場して欲しい!!


いつも年下の隼人くんに大人顔負けの対応で頭が上がらない二葉だけど、隼人の
言葉に一応、反論する場面が最後にあって・・・
それを素直に受け入れる隼人。
二人の関係は絶妙だな(^^)と嬉しくなった♪


「先生と僕」「僕と先生」と来たら・・・次はどんな表題になるんだろ?
その辺も楽しみに待とう。


                           
                             ★★★★




発行年月:1999年12月


 学者の<<円田:つぶらだ>>さんと探偵局を始めた、吉田音ちゃんは十三歳の活発な女の子。黒猫・シンクが持ち帰った「おみやげ」から「闇のむこう」の世界を推理していきます。

                (筑摩書房HPより)




先に、ミルリトン探偵局シリーズ2を読んでいたので、今回は、探偵局が出来た経緯が

わかって嬉しかった♪
主人公の音ちゃんは、中学生。
そして著者の吉田 音さんは1989年生まれとプロフィールにありますから・・・
え?本当に中学生で書いた作品ですか???

近所に住む学者の円田さんの飼い猫・シンクが持ち帰る物について
あれこれ推理(妄想?)をする二人。
その思考回路は凄い!
よくそんな推理(妄想?)が浮かぶものだ・・・^m^

そしてシンクが持ち帰った物の写真が載っている。
こういうの作っちゃうんですね~。
さすがクラフト・エヴイング商會が後ろにいるとセンスある作品になりますね~。
 


円田さんも架空ということが、著者・吉田音のプロフィールにありました。

とういうことは、案外、著者・吉田音自体も架空かも??
クラフト・エヴィング商會ならあり得るな・・・
それが一番謎だ。
 

 
 
                          ★★★★★




発行年月:2014年4月



生きて、愛して、死ぬ、ということ。
その途方もない歓喜と悦楽。

あなたの心をかき乱す、七つの物語

                 (本の帯文よる/文藝春秋)




どれも濃厚な読み応えでした!

小池さん、凄いなぁ~。


<鍵>
46歳の周子。夫が病で急死し、今は長男と二人暮らし。
ある日、合鍵が出てくる。
それはオフイスに出入りしていた女性の部屋の鍵ではないか?と勘ぐる。


<木陰の家>
今は森のような木々に囲まれた実家で猫と暮らすわたし(58歳)。
かつては、ここには両親と、離婚後で戻った姉が3人で住んでいた。
わたしは実家にあまり寄りつかず、自宅療養の父の世話は主に姉がしていた。
そして父の危篤の知らせで実家に戻ったわたしだったが、不倫相手の家が実家の
近くにあったので、実家を抜け出し、家を見に行く。
そんな30年前のことを回想。


<終の伴侶>
13年前に離婚し独り暮らしの喜和子(57歳)。
別れた夫・拓郎の姉から拓郎の死を知る。
そして13年前に別れたときの拓郎の姿を想う。


<ソナチネ>
ピアニストの佐江は、チェリストの婚約者が居る。
とある金持ちの令嬢・菜々子(11歳)のピアノを個人的にレッスンしていて、
別荘で開かれる菜々子のリサイタルに招待された。
そして出会った菜々子の叔父にあたる男性・健次郎。


<千年萬年>
東京の娘一家が1週間滞在後帰っていった。
美津代(52歳)は、疲れがドッと出ている。
買ってあげたのに結局置いて行ったカメ。
買い物途中に見かけた指圧院の看板。
指圧でもしてもらおうと気楽な気持ちで指圧院を訪れるが、それは未知の
感覚を美津代に開花させる。


<交感>
26歳の作家・小堀縫子にファンレターを送る老齢の男性・飯沼政夫。
小説の感想を述べ、日常のことなども書いて寄越すファンレターに好感を抱き
返事を書く縫子。
そして、手紙のやり取りが続く。


<美代や>
内科医院の水口新平の元にある日、堀美代が亡くなったとの知らせがある。
美代は、水口家で住み込みで働いていたことがある女性。
母親は、美代のことを「美代や」とよく呼んでいた。
そして幼かった自分も美代のことを慕っていた。



表題作<ソナチネ>と<千年萬年>は、官能的。
ソナチネのピアニスト佐江は、この後、どうなっちゃうのだろ?
一方の千年萬年の美津代のこの後もすご~く気になる^^;
指圧の自宅出張って・・・・ドキドキ妄想が膨らんじゃうわ~(笑)。

官能的な描写も小池さんだと下品にならないのが良いですね~。
これ以上は、ちょっと読みたくないというギリギリのところで止めてくれるかんじ?


ほかの話もそれぞれ良かった。
主人公たちの年齢が自分の年に近いのもリアルなかんじで
老いは誰にもやってきて死もだんだん、身近になっていくんだなぁ~
なんて思って少し暗い気持ちにもなったけれど
残された時間を有効に生きていかなきゃなぁ~なんてことも考えた
意外と深いお話でした。


                         ★★★★★




発行年月:2008年5月


 あなたと一緒に眠りたい。でも、こんなに幸福なのだから、ひとりで眠るのもわるくない。
どこまでも凛とした、恋の形を描く長編小説

画家の彩夏を、優しく包む大貫。盲目の舞子を、さりげなく支える恭一。1枚の古い写真とマチスの画集が4人を出会わせた。2組の恋人たちの間に、はぐくまれる絆と優しい時間。

                     (講談社HPより)





2組のカップルの話。
彩夏(26歳)と大貫(41歳)。
高校からの同級生カップル、舞子と恭一(28歳)。

イタリアンレストランでそれぞれのカップルが食事していて、そこで出会う。
きっかけはマチスの画集。
そして恭一の顔が偶然、大貫が依然付き合っていた女性の顔に似ていた。


恭一と大貫の元恋人との接点は全くなかったのだけど・・・
最後に偶然の出会いがあって、このカップルの関係は変化するのか???
なんてちょっと不安が過りましたが、大丈夫で、ホッ。

それぞれのカップルが親交を深め、これからの事を考える良い刺激になっていく。
ああ、こういう付き合いが出来る知り合いカップルがいるといいなぁ~。
なんて羨ましい状況でした。

それぞれのカップルが一緒に暮らし始めたキッカケも偶然のようなもの。
暮らし始めた頃は、まだお互いを束縛してまで引き留めておこうとは思わない状況。
でも少しずつ、お互いが大事な存在になっていることに気づく。

盲目の舞子にも視力が戻れば、またそれはそれで楽しいことを共有できる時間が
増えそうだなぁ~とちょっとワクワクする終わり方なのも良かった!


                               ★★★★
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