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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年12月


コピー機が憎い! どうしてこんなに使えない機械を入れたんだ!? 
OLの日常のいらだちは思いもがけない方向に発展し……。
書き下し「地下鉄の叙事詩」も収録。

                 (筑摩書房HPより)

中編2つ。
最初は、表題作の<アレグリアとは仕事はできない>

アレグリアって、人の名前じゃなかった(笑)。
コビー機の商品名でした。
でも、擬人化して、度々、仕事を中断させるアレグリアに文句たらたらの
ミノベ(女性)。
自分と同じような仕事をしているトチノ先輩は、そんなミノベにイマイチ
共感してくれず・・・・
共感して二人で文句いうほうが、楽なのに・・・。
結局、先輩もミノベと同じ気持ちだったんだとわかるんだけど・・・

アレグリアを納品した会社からメンテナンスで来るアダシノ(男性?)
いつも定時以降に来るっていうのも嫌だわ~(-_-;)
で、不具合で呼んだけれどアダシノが来ると正常に作動するアレグリア。
全く、性悪だよ・・・。
社長が来た時も不具合は起きず、アレグリアは優秀だという認識は覆らない。

でも、結局、最後は、誰の前でも不具合を起こすようになり撤去。

ああ、よかった。


もうひとつの話は<地下鉄の叙事詩>
朝の通勤・通学の時間の混雑した地下鉄車内で起きること。
そこにいる色々な視点で順番に同じその時を語る。
・大学に通学途中のイチカワ。
 隣に立つOL風の女性が何やら険しい顔で
 いるけど、自分が原因か?少し揺れたとき触れたことで痴漢と勘違い
 されたのか?
・通勤途中のニノミヤ。
 今日は座れて運が良かったと思う。
 いつも席に座れる女性が今日は立っているのも嬉しい。
 隣の席の携帯画面が目に入る。「どんな内容を打っているのか気になりつつも
 目を閉じてうとうとしていると、人身事故で電車が止まる。
 皆と一緒に電車を降り、ホームを歩いていると何やら叫び声。振り向くと
 男がホームから転落しそうになっているので、思わずジャンパーを掴んで
 ホームに引き倒す。
・通勤途中のミカミ(女性) 
 車内を見ていて女子高校生の様子が変だと気づく。
 電車が停車したら、あの男を逃がしてはいけない
・女子高校生のシノハラ
 男が触っているのがわかるが身動きできず、声もあげられない状況。
 周りに人は沢山いるのに、孤独。
 電車が止まり、降りる。
 あの男を捕まえてくれている人がいる。
 ちゃんと見ていてくれた人がいた。
 OL風の女性は駅員に説明し、男の耳元で何かを囁き、男は力なく肩を落とし
 ホームの灰色のタイルに両手をついた。


こんな電車通勤は、嫌だな。
でも、こんな風に毎日、電車に乗らないといけない人たちがいるんだよね。
都会暮らしは絶対、無理だな。

しかし、ミカミは格好いい!!
男の耳元でなんて囁いたんだろ?


ふたつの話、それぞれ面白かった。
津村さんの物語にする題材は、興味深いものがおおい。



                      ★★★
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発行年月:2024年3月


うまい棒一本で、世界の秘密がわかる?
とある高校の喫茶部。それぞれ好みのおやつを持ち寄る四人は、不思議な噂を耳にする。
「うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい」
それはただの都市伝説か、それとも--⁉
ゆる部活のメンバーがたどりついた「答え」とは。
「おやつ部」のメンバーが、世界の謎にゆるく挑む。
スナックをつまむ指先が光るのは、油のせいだけじゃない、かも。
おいしく楽しく、ときどき切ない5つの物語。
うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい--学内で囁かれる噂の真相とは?(「うまいダッツ」)
おばあちゃんが失くしたブローチを探すことになったおやつ部の面々。探し物の過程で見えてきたものとは。(「チロル・ア・リトル」)
お菓子当てクイズに参加することになった四人。果たして、その勝敗はいかに。(「バカみたいにウケない」)
SNS上の友達と気まずくなってしまったメンバー。会いたくない彼女と会いたい彼女、それぞれの理由とは。(「それは王朝の」)
学年が上がり、初めてできた後輩。しかし彼らは全員、妙にまじめで--。(「百年の愛」)


                   (文藝春秋HPより)



うまいダッツってなんだろう?と先ずは本を手に取って思った。
表紙の絵は、プルッチェル(?)だし・・・・


要するに、うまい棒とハーゲンダッツをかけたわけね・・・^m^
うまい棒を渡すと知りたい質問になんでも答えてくれる、おじさんがいるという
噂話を検証する、喫茶部内のおやつ部の4人。
おじさんの正体は・・・・・(ここ誰か読んでいてまだ未読ならごめん(^^ゞ)

なるほどね。万引きGメンでした。
それより、コウが「今度のバレンタインにチョコが貰えるか聞きたかった」と
言ったことに対してのタキタが可愛すぎる・・^m^



コウの祖母・ミツコさんがチャーミングだな。

週一で来るヘルパーさんに不満があっても、言えないって気の毒。
こういう人、意外といるのかも。


出てくるお菓子が殆ど、知っているものなので、久しぶりに食べたくなる。

マリービスケットは、確かに紅茶に合うと思っていた。
マリーアントワネットからついたというのは知らなかったし、
模様は家紋をイメージしているとか。

今度、買って来よう!!


坂木さんが、あとがきで書いていた通り、皆でお喋りしながらお菓子を食べるって
コロナ禍にはできなかったことだよなぁ~。
今は、また、そんなことが出来るようになってきて、本当に良かった。


ゆるいお話だったけれど、楽しかった♪



                     ★★★★



発行年月:2024年1月


「ゆりかご」か「養成所」か、はたまた「墓場」か。
累計100万部突破! 「理瀬」シリーズ初短編集
ゴシック・ミステリの金字塔。
湿原に浮かぶ檻、と密やかに呼ばれていた全寮制の学園。
ここでは特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。               
ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、
月夜に馳せる聖、そして水野理瀬の現在。                            
理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編。
・水晶の夜、 翡翠の朝
・麦の海に浮かぶ檻
・睡蓮
・丘をゆく船
・月触
・絵のない絵本


                   (講談社HPより)



理瀬シリーズは、ほぼ読んでいるはず。
でも忘れていることも多く、読みながら、思い出すこともあり
「え?そうだったんだ~!」と知ることも多かった。

学園の色々な人が語る短篇。

興味深かったのは、今の校長の話
<麦の海に浮かぶ織>
校長は双子だった。
校長は、要で鼎(かなえ)という妹?姉?がいた。
二人と同じファミリーになった転校生のタマラは、無口で人と接するのが
苦手だという。
校長のお茶会にほかの生徒と共に呼ばれた3人は、お茶会に。
タマラは渋々参加。
タマラの前にあるカップだけ皆と違う。
そして、そこに何やら薬を入れる校長を目撃してしまう要と鼎。

タマラの正体にはびっくり。そんなタマラを助けたいとした行動した鼎は
命を落とすことになってしまう。

驚いたのは、校長が双子を後継者にふさわしいかを試すために仕組んだこと
だということ。
命を落とした鼎とそうさせてしまったタマラが気の毒で仕方ない。

こんな辛い過去が校長にあったとは・・・・衝撃的な話だった。


<丘をゆく船><月食>も衝撃的な話。
妹を殺した母親を殺してしまった黎二。
男子として育てられた麗子。

二人の過去に似たものがあり、お互いを理解したふたり。
けれど、黎二に固執していく麗子。
黎二がほかの女子と一緒にいるのが我慢できず、その女子に襲い掛かるのを
阻止して二人は湿原に落ちていく


最後の<絵のない絵本>は理瀬のはなし。
日本を離れてイギリスで生活し、大学にも進学した理瀬はヴァカンスで
訪れている南国のホテルで、爆弾事件に巻き込まれる。

危ない!命を狙われている???なぜ?


謎が残ったまま終わってしまったけど、理瀬の話を長編でまた読みたい。


この短編集は、よかったけれど・・・・



                     ★★★★



発行年月:2023年9月


ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ
『屍人荘の殺人』の著者が仕掛ける
ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ
小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。
ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、〝掲示係〟に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。
優等生のサツキが掲示係を選んだ理由は、去年亡くなった従姉のマリ姉にあった。
マリ姉は一年前の奥神祭りの前日、グラウンドの真ん中で死んでいた。現場に凶器はなく、うっすらと積もった雪には第一発見者以外の足跡は残されていなかった。つまり、自殺の可能性はなく、マリ姉を殺した犯人が雪が積もる前に凶器を持ち去ったはず。犯人はまだ捕まっていない。
捜査が進展しない中、サツキはマリ姉の遺品のパソコンの中に『奥郷町の七不思議』のファイルを見つける。それは一見地元に伝わる怪談話を集めたもののようだったが、どれも微妙に変更が加えられている。しかも、『七不思議』のはずなのに六つしかない。警察がこの怪談に注目することはなかった。そして、マリ姉に怪談を集める趣味がなかったことをサツキはよく知っている。
マリ姉がわざわざ『七不思議』を残したからには、そこに意味があるはず。
そう思ったサツキは掲示係になり『七不思議』の謎を解こうとする。ユースケはオカルト好きの観点から謎を推理するが、サツキはあくまで現実的にマリ姉の意図を察しようとする。その二人の推理を聞いて、三人目の掲示係であるミナが冷静にジャッジを下す……。
死の謎は『奥郷町の七不思議』に隠されているのか? 三人の〝掲示係〟が挑む小学校生活最後の謎。
こんな小学6年生でありたかった、という思いを掻き立てる傑作推理長編の誕生です。

                   (文藝春秋HPより)



家人が図書館で借りていていたので、読んでみる。
ホラーは好きじゃないんだけれど・・・
小学生の話なら、面白いかもなぁ~と。

小学6年生の木島悠介、波多野沙月、畑美美奈の3人は掲示係になり
住んでいる町に伝わる七不思議についてを調べて掲示新聞に書こうとする。

ああ、楽しそう・・・最初は、思いながら読んでいたのだけど
なんだか、死人が結構、出てくるし、これは本当に何かまずいかんじだな・・・と
嫌な予感。


魔女の家に住む、おばあさんに色々聞きながら、その家を集合場所にしたりして
3人は意見交換したりしていくんだけど、最後まで読むと、この人が
かなりヤバイ。
色々なこと知っていて、小学生が危ないことに巻き込まれていくのを
黙認していたんだから・・・・

学校の先生も3人が調べていることを危ないことと知っていた?

亡くなった沙月のいとこ・真理子の死の真相も、なんだか・・・
ノートパソコンに遺すなら、もっとわかりやすく危険を知らせるものにするべき
じゃないか?


と、いろいろ考えたけど、物語の成立のためなら仕方ないのか?

う~ん。
とんでもないことだらけの話で、なんだか最後は、どっと疲れたぁ~



                       ★★☆



発行年月:2024年2月


「ホットプレートほしい人いませんか?」――或る日、或る食卓、9つの物語。
女も男も、子どもも大人も。誰にでも、感情を呼び起こす“食と道具”がある。
数々の「おいしい小説」を手掛けてきた著者が贈る――“食にまつわる道具”を通して揺れ動く老若男女を描いた短編集。「今年のゼリーモールド」「ピザカッターは笑う」「コーヒーサーバーの冒険」「あのときの鉄鍋」「水餃子の机」「錆び釘探し」「ホットプレートと震度四」「さよなら、アクリルたわし」「焚いてるんだよ、薪ストーブ」の9篇を収録。

                   (淡交社HPより)


ほんわかした短編集。

<今年のゼリーモールド>
庭にあるプラムの実をバケツで収穫し、半分はそのまま。
残りは煮て・・・ゼリーも作ろう!東京の大学に春から行った娘も
帰省してくるだろうし・・・・けれど型がみつからない。
そして娘からは帰省しないと連絡あり、がっくり。
そして、再び娘から本を送ってほしいと。
娘の部屋に入り、本はすぐ見つかるが、ゼリー型も見つかる。
小物いれとして娘が使っていたのだ。


ああ、こういう母の気持ち、わかるぅ~!!


次の話<ピザカッターは笑う>は、父親の心境。
洋食屋を営む夫婦の息子が高校生6人でクリスマスパーティを
貸し切りですることに。
みな、顔なじみの子達。
息子は、そのなかの一人と最近、付き合い始めたらしい。

父親目線で、息子たちの様子を観察する姿が微笑ましいけれど・・・

来週は、自分たち大人のパーティの予定。
プレゼント交換のときに、もし、そのなかの一人の彼女の手に渡ったら
いいな。それを見た彼女の反応も期待しつつ・・・・と思って
買った、ピザカッター(猿が一輪車に乗っている、その車輪がカッターに
なっている)
けれど、それは、息子たちに出すピザに添えてだす。

うんうん、それは、大人のパーティで出さない方がいいに決まっている!

他も全部、いい話。
ちょっと切ない部分もあったけれど、前を向いて進む話になっているし
読んでいて、すっきり。


                    ★★★★


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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